人材枯渇で「洗練された個性」が消失の危機に。エクイティ投資で地域の文化と歴史の継承に挑む/トパーズ・リージョナル・パートナーズ 宮田湧太様 インタビュー<後編>【BEYOND-CONSUL─元コンサルの生き方】

人材枯渇で「洗練された個性」が消失の危機に。エクイティ投資で地域の文化と歴史の継承に挑む/トパーズ・リージョナル・パートナーズ 宮田湧太様 インタビュー<後編>【BEYOND-CONSUL─元コンサルの生き方】

BEYOND-CONSULシリーズでは、コンサルティング業界を経験した方々が、その後どのようなキャリアを歩んでいるかを追います。

新卒で株式会社シグマクシスに入社し、独立してECサイトを立ち上げ、現在はPEファンドで活躍する宮田湧太様。前編では、大学時代に出会った人口4,000人の集落での「洗練された個性」をきっかけに、地域に眠る価値に光を当てたいという思いから、5年間のコンサルティング経験を経て長野県小布施町へ移住されるまでの軌跡をお聞きしました。

後編となる今回は、現在のトパーズ・リージョナル・パートナーズでの業務の醍醐味から、地域企業が直面する需給両面で域内に「人がいない」という構造的課題、そして宮田様が次に挑戦したい「マイクロキャップ投資」まで、幅広くお聞きします。
前半はこちら:https://www.axc.ne.jp/insights/article/beyondconsul/9090/

東京でのファンド業務と小布施町での暮らしという二拠点生活を通じて、「数字の目線」と「人や暮らしの目線」の両方を大切にするようになった宮田様。地域文化を背負う中小・中堅企業への投資で、「洗練された個性」を守り抜く挑戦を続けています。

コンサルで磨いた「事業を伸ばす視点」、ファンドで得た「お金を回す視点」

アクシス
現在トパーズ・リージョナル・パートナーズでの業務内容について教えていただけますか?

宮田様
私は現在、投資チームに所属しています。投資チームでは、ソーシングから投資検討、投資実行、そしてPMI(投資後の経営支援)まで一連のプロセスを担当しており、案件ごとに継続的に関わっていきます。

アクシス
ソーシングからPMIまで全部のフェーズを経験できることは、ミッド・スモールキャップのPEファンドならではの魅力ですね。

宮田様
そうですね。PEファンドでは企業によっては業界分野や投資プロセスごとに役割が分かれることも多いですが、比較的中堅規模の企業を対象とするミッド・スモールキャップの場合は、ファンドの仕組み上少人数で投資検討を進めることも多いです。結果として、1人が幅広い分野を横断的に担当することになりますが、それがこの仕事の醍醐味だと思います。

PEファンドの仕事はよく「総合格闘技」と称されたりしますが、自分の専門性を持ちながら、他の領域もキャッチアップしつつ投資検討・投資先企業の価値向上を進める。非常に難しくもありますが、全方位的に企業投資と経営に触れることができるのでそのバランスがとても面白いですね。

アクシス
ご出身のコンサルティングファームでは戦略案件が中心だったと思いますが、ファンドでは財務や法務のスキルも必要になります。キャッチアップは大変ではありませんでしたか?

宮田様
財務三表の中でも特にPLはコンサルティングの仕事でも扱う機会が多く、比較的なじみがありました。ただ、法務や税務といった領域は未経験でしたね。とはいえ、大事なのは「どこが分かっていなくて、どのような判断をするためには何がどこまでわかれば良いのか」を見極めることだと思います。そのプロセス自体が問題解決に近く、コンサルで培ったスキルは活かせる機会があると感じています。

アクシス
宮田様から見て、ファンドに向いているのはどんな方でしょうか。

宮田様
まだ自分自身の経験も道半ばですが、あえて申し上げるならば「自己理解が深い人」だと思います。(最低限身につけなければいけない知識や経験のフィールドは広くその水準も総じて高いですが、その中でも)自分の得意・不得意を把握し、どんな場面で力を発揮できるかを冷静に捉えられる人。ファンドの仕事は多面的なスキルを求められますが、すべて完璧な人はいません。

また、財務や法律など、知識やルールは形式的なものがありますが、企業投資とその後の企業成長のアプローチは、似ているものはあっても1つとして全く同じケースというものはありません。譲受企業の事業成長はもちろん、投資リターンをどのように生み出すかは個々の投資でそれぞれ個別の設計が必ず必要になってきます。

だからこそ、自分の強みを武器にして、株式譲渡の背景や業界環境ごとに異なる課題に、自分なりのアプローチで挑む。そのスタンスが大切だと考えています。おごりもせず、過小評価もせず、「ここを伸ばせばもっと自分自身が価値提供をできる」という誠実な感覚を持てる人が、とても向いている仕事だと思います。

アクシス
コンサルティングファームでの経験が今に活きていると感じる瞬間はありますか?

宮田様
たくさんありますね。若い頃にお世話になった先輩から「自分の課題は自分で解決しよう」と何度も言われたのを覚えています。コンサルタントには戦略やマーケティングといった機能的な知識や経験がありますが、多くの場合、お客さまの方が業務経験や業界知識は豊富です。その中でどう価値を出すかが常に問われる。クライアントより経験が少ない中で価値を出すためには、問題解決の能力そのものを磨き続けるしかない。そのためには、自分の成長すら「解決すべき課題」として捉える必要がある。
だからこそ、自分自身の成長課題も自分で設定し、それを解決するための方法を考え、実行していく。その姿勢が徹底的に求められました。当時の自分はできないことに直面すると感情的になりがちでしたが、「感情と自分の課題を切り分けて、課題をしっかり解決する」ということを何度も言われました。そうした考え方やカルチャーは、現在の仕事のいろいろなところで活きていると思いますね。

その考え方は、今投資先企業と向き合う際にも同じで、感情に流されず課題の本質を捉え、解決に導く力として強く生きていますね。

アクシス
「PEファンド」という業務に限って言うと、コンサルティングの経験はどういったところが生きていますか。

宮田様
非常に多くあると思いますが、一つ例を挙げれば、「相手が何を求めているかを考える力」だと思います。コンサルティングでは、お客さまとの距離感や関係性の築き方がとても重要でした。同じようにPEファンドの現場でも、売主や会社の現経営陣、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)など、利害の異なる多くの関係者と向き合う必要があります。

その中で、相手が今何を気にしているのか、不安に感じているのか、どんな課題を抱えているのかを丁寧に想像しながら、事実に基づいて対話し、物事を円滑に進めていく。その姿勢は、まさにコンサルティング時代に培った力であり、PEファンドの実務でも大きく役立っていると感じます。

アクシス
一方でコンサルとPEファンドの違いについてですが、経営者との向き合い方や求められることに違いはありますか?

宮田様
はい、大きく違います。コンサルティングは報酬をいただいてクライアントの求める成果の実現にコミットメントする(その一部として、ドキュメントや成果物をお渡しする)関係なので、プロジェクトごとに求められる価値は異なり、非常に専門性の高い知見・経験が要求されます。新しい視点や知見を求められることもあれば、類似事例の経験やシステム導入のノウハウが必要なケースもあります。

一方、PEファンドは株式を譲り受け、経営そのものをご一緒する立場です。時には足元の業績から、5年・10年という時間軸で未来をどう描くかまで共に考えます。当事者として共に経営の内側に入り込み、経営全体の舵取り役も担うことがあるという点が大きな違いです。

コンサルティングは、多岐にわたる経営アジェンダからテーマの優先付けを行い、期間を決めて集中的に解決を推進することが多いです。一方、PEファンドでは経営全体を見る立場ですので特定のテーマに偏ることはなく、足元の業績から将来への投資まで、経営全体のアジェンダの重要度に沿ってバランスよく対応する必要があります。

アクシス
改めて、コンサルティングとPEファンドの両方を経験されているからこそ得られた強みはどんな点にありますか?

宮田様
コンサルティングでは、売り上げやコスト改善など事業単位、いかに事業を伸ばすかという主にPLにフォーカスした課題に取り組む機会が多く、私もそうした経験を積みました。もちろんそれはとても重要なのですが、会社経営全体から見ればPLは一部に過ぎません。

PEファンドでは、PLや事業に加えて財務三表全体を軸にキャッシュフローや資金繰りを含め、会社全体のお金の循環をどう良くしていくかも考えます。どのようにお金を回せば会社がより良い流れになり、企業価値が向上するか、いわば「血の巡り」のような視点が求められます。

「事業を伸ばす目線」に加えて、「BS/CF会社全体のお金の循環を良くする目線」、を持てるようになったことが大きな強みだと思っています。

アクシス
続いて、ワークライフバランスや働き方の違いについても、コンサルティングファームと比較して教えてください。

宮田様
コンサルティングもPEファンドも共通しているのは「働いた時間の長さ」ではなく「アウトプット(アウトカム)の質」で評価される点です。価値をどう創出するかが最優先されるので、時間だけで測られるものではないと考えています。

一方で大きく違うのは仕事の進み方で、コンサルティングは契約でプロジェクト期間が決まっているため「この日までに必ず成果物を出す」という状況が多いです。PEファンドでは当事者として投資の検討であったり、投資後の経営に入る立場なので、クライアント仕事ではない分、基本的には自分たちで立てた計画に沿って、時には必要に応じて計画も見直しをしながら進めていきます。

ただし、PEファンドにも独特の難しさがあります。ディールの状況次第で急にタイトなスケジュールの仕事が発生したり、複数の案件が同時に動いたりすることも少なくありません。コンサルの場合はプロジェクト期間が明確な分、先の見通しが立てやすいですが、PEファンドでは少し先の時期にどのくらいの仕事量になるかの予測が難しい面もあります。

宮田様

人材枯渇で地域経済が危機。ガバナンス整備と業界シナジーで未来を開く

アクシス
地域創生におけるファンドの可能性についてお伺いします。まず、PEファンドに入られて改めて感じた地方創生の課題について教えていただけますか。

宮田様
これまで多くの企業の投資機会に携わってきましたが、業界や業種を問わず共通しているのは「人がいない」という課題です。

ここでいう「人がいない」とは、単にアルバイトやスタッフの方が不足しているという話ではありません。企業を存続させ、次の成長につなげていくためのリーダー(候補)層や経営を担う人材も根本的に不足している、という深刻な問題です。

現場を支える方から経営層に至るまで、あらゆるポジションで人材が足りない。たとえ魅力ある会社でも、人がいないことで事業が継続できなくなるケースも少なくありません。これは地域経済にとっても非常にもったいないことであり、必ず解決していきたいと強く感じています。

もう一つ深刻なのが、域内内需の減少です。地方の企業の多くは、店舗での販売や対面サービスなど、地域の経済圏に依存したビジネスを営んでいます。地方では年間2〜3%程度の人口減少が続いている町も珍しくなく、何も手を打たなければ、企業の競争力が変わらなくても売上が自然と減少していく構造にあります。

特に日常的に使うコモディティ商品の場合、値上げをすれば大手や他の事業者に顧客が流れてしまうため、価格転嫁も難しい。人口減少に伴う市場の縮小は、地域企業にとって避けられない環境変化であり、地域外への展開や商流での付加価値の拡大など、従来とは異なる戦略が求められています。

供給力不足と需要縮小という、成り行きでは経済規模自体の縮小を招くこの2つの構造的な課題をどう解決していくかが、地域経済の持続可能性を左右すると強く感じています。

アクシス
そうした課題がある中、PEファンドが果たせる役割、インパクトについてはどうお考えですか?

宮田様
大きく2つあると思います。
1つ目は、経営基盤を強くする役割です。ファンドには投資銀行やコンサル出身者、弁護士や会計士など、何らかの領域で専門性を培った人材が集まっています。そうしたメンバーが経営に入ることで、ガバナンスや管理体制といった”足腰”を整えられるのは大きな価値です。たとえ優れた創業者がいらっしゃっても、後継者がいなければバトンはつながらない。企業の歴史や文化・伝統は尊重しつつ、ノウハウや数字の感覚を体系化し、次の世代に引き継げる形にしていくのは、まさにファンドの得意分野だと思います。

2つ目は、業界全体を見渡してシナジーを生み出せることです。たとえば、受注は好調だが生産余力に課題がある会社と、逆に生産力はあるが受注が弱い会社が一緒になれば、大きな可能性が開けます。あるいは飲食業と食品製造業といった異なる事業を組み合わせても新しい価値が生まれ得ます。

ファンドが資本を入れて複数の会社の事業活動がグループ全体の中で連携する体制を構築できれば、同じ方向を向いて経営ができるため、グループ全体での事業成長に強くコミットメントすることができます。投資先企業の成長のために、さらに別の企業を買収してM&Aを実行することも少なくありません。

こうして会社単体だけでなく、地域全体、さらには業界全体にとって良い形をつくっていけるのが、PEファンドならではの役割だと感じています。

次の挑戦は「自分ならではの視点を持つ」。地域の文化や歴史を背負う会社に光を

アクシス
現在、トパーズ・リージョナル・パートナーズに入られて1年以上経ちますが、現在の心境はいかがでしょうか。

宮田様
地域社会や地域経済というものに、仕事と私生活の両面で関わってきました。仕事では数字を見る機会が多いので、やはり数字を通して地域経済の直面する、決して楽観視はできない課題や現実というもの伝わってきます。一方で私生活では、私の住む小布施をはじめ、地域には魅力的な食や自然、活力ある人々であふれているのを肌で感じます。
地域社会の現実、厳しさも目の当たりにしながら、今後のポテンシャルや未来への希望というものにも多く触れる機会を経て、リアリズムでもなく夢追い人でもない中庸なバランスでいるからこそ、微力ながらですが今後の地域社会の発展に本当に意味のある貢献をしたいと思うようになりました。

アクシス
もともと大学時代に多様性や個性の魅力に気づかれて、それを元にキャリアを歩まれてきていると思いますが、今後そうした多様性や個性が残る社会をつくるために、どのようなチャレンジをしてみたいとお考えですか。

宮田様
まだまだ基本的な金融や法律の知識、形式的な部分も学ぶべきことや経験を積むべきことは多くあると考えていますが、自分ならではの視点での投資や経営ができるようになりたいと思っています。
ある程度の部分までは市場の環境、競争環境などから比較的論理的な事実の積み上げで、企業成長のアプローチが導き出されることが多いですが、やはり魅力的な企業は誰が見ても魅力的と思うことが多く、逆に向かい風の環境では多くの人が同じく厳しい環境と捉えることが多いです。その中で、自分自身の経験、得意分野の知識やノウハウ、また最後は熱量で以て、一筋の光を見つけて企業成長を実現していけるような仕事をしていきたいと考えています。

自分ならではの視点を持つということの先に、例えば食品をはじめとするコンシューマー向け製造業やサービス業、小規模ながらも地域文化や伝統を背負い世界に羽ばたける可能性を持つ地域企業、そういった企業の成長に貢献していきたいと考えています。

アクシス
コンサルから独立、ファンドへとキャリアを広げてきた宮田様から見て、キャリアの選び方において重要なことは何だと思われますか?

宮田様
ポストコンサルのキャリアパスには、プロファームからプロファーム、大手事業会社、スタートアップのCXOなど、いわゆる“きらびやかな選択肢”が見えやすいですよね。それを目指すのも素晴らしいですが、華やかさにとらわれすぎて本来の目的を見失わないことが重要だと思います。

ファンドの仕事もそうですし、地方の仕事もそうですが、コンサルティングファームで培ったスキルを必要とする場所、生かせる場所は社会に無数にあると思います。たとえば規模は小さいけれど歴史ある企業の経営幹部、あるいは公共セクターの中核など。こうした場所でもコンサル経験は大きな力になります。

ポストコンサルキャリアを選択する際には報酬や肩書も気になるところかと思いますが、それよりも大切なのは、自分が積み重ねてきた経験を社会でどう還元するか、何を残せるかという視点だと思います。私たちを含め、多くの人は偉人ではありませんが、それでも社会の中で誰かの役に立ったり、社会全体を良い方向に変えていける可能性を一人一人が秘めていると思っています。

この世の中の、どの部分に、数ミリでも自分がやったことを残していけるか。後から振り返ったときに「これが残せた」と思えるものは何か。そうしたことを考えることが一番大事なのではないかと感じています。
そこを意識することで、思いがけない面白い展開が開けるのではないかと思います。

小布施町の生活で得た、数字だけでは見えない「人や暮らしの目線」

アクシス
現在、長野県小布施町に移住されて5年以上が経ちますが、キャリアやプライベートにどのような影響がありましたか。改めて今の心境をお聞かせください。

宮田様
小布施町に移ること自体は偶然でした。ただ、当時すでに食品産業や地域経済への関心があり、結果的に小布施町に暮らしの拠点を移した意味合いはとても大きかったと感じています。

振り返ってみると、食品産業だけでなく地域社会やカルチャー全体を、“外側から眺める”のではなく、“暮らしの一部として内側から関わる”ことになったのは非常に大きな経験でした。そこから自然と「地域社会をつくってきた素晴らしい事業や会社を、どうすればきちんと残していけるのか」という関心がさらに強く芽生えました。

アクシス
最初から小布施町に定住するつもりだったのでしょうか?

宮田様
いえ、そうではありませんでした。私も妻も関東出身で、交友関係や仕事のつながりが東京にも今も多くあります。だから当初は、3年、5年といった期間限定でまた東京に戻るという選択肢もありました。
短期間でも地域に暮らすこと、地域と都心の人的交流が増えることは望ましいと思っていますが、実際に住んでみると、私たちは時間の経過とともに気持ちが変わってきました。最初の1〜2年は長い旅行のような感覚もありましたが、5年ほど経った今では、「普段よく買い物をする店は?」といったことに自然と小布施町の店を真っ先に思い浮かべるようになっている。暮らしの拠点として、小布施町が自分の生活の中心になってきています。

当初、小布施町に関わり始めた頃は「外側」からの視点で、半ば好奇心のようなモチベーションでした。でも今では、自分が住み続けたい場所として捉えるようになり、「どうしたらこの町の持続的な地域経済に貢献できるのか」という気持ちがより強くなってきています。今後もできるだけ長く、暮らしの拠点は小布施町に置きたいと思っています。

アクシス
仕事以外にも地域とのつながりはありましたか?

宮田様
はい。こだわりを持って野菜作りをされている農家さんとご縁があり、畑に通う中で学ぶことが多く、一つひとつの話がとても新鮮でした。その延長で小さなイベントを企画したところ、リピーターが出るほど好評をいただきました。農業の新しい売り方や価値の伝え方を一緒に考えながら実践できたのは、小布施町に移住しなければ得られなかった経験だと思います。

アクシス
改めて小布施町の魅力について教えていただけますか。

宮田様
まず外面的な魅力は「町の美しさ」です。公共空間とお店や住宅の境界が自然に溶け合い、細部まで住民の美意識やセンスが行き届いています。散歩しているだけで「なんだか心地よい」と感じられるのは、小布施町ならではですね。

内面的には「住民の熱量」です。人口約1万人、わずか4キロ四方の小さな町ですが、事業を営む人が非常に多く、民間の力で町を発展させてきた歴史があります。住民一人ひとりが町づくりを担ってきた存在でもあり、それぞれが「この町をこうしたい」という思いやこだわりを持ちながら実際に行動している。とてもエネルギーに満ちた場所だと感じます。

オープンガーデン

※小布施町では、個人宅を中心とした100以上の庭園が町内に点在し、誰でも自由に散策できる「オープンガーデン」文化が根付いている。詳細はこちら

アクシス
そうした環境に身を置いて、ご自身にはどのような影響がありましたか?

宮田様
現在、平日は東京で仕事をし、週末は小布施町で過ごす二拠点生活をしています。ファンド業務に携わる以上、どうしても数字や投資リターンを中心に考えてしまいがちですが、小布施町での暮らしを通じて「その数字の背景にいる人や歴史、地域の営み」を想像するようになりました。

株式を譲り受け、経営に携わるということは、単に数字の責任を負うだけでなく、その会社に関わる方の人生や地域社会の責任も引き受けることだと思います。だからこそ「数字の目線」と「人や暮らしの目線」の両方を、偏らずに持つことが大事だと強く感じています。

宮田様

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