【匿名インタビュー】シニコンで双子出産、育休取得。マネージャー目前で夫の海外赴任が決定。今もコンサルを続ける女性の、リアルな両立論。

【匿名インタビュー】シニコンで双子出産、育休取得。マネージャー目前で夫の海外赴任が決定。今もコンサルを続ける女性の、リアルな両立論。

双子を妊娠したと分かったとき、Big4のシニアコンサルタントだったHさん。

もともとは事業会社の人事畑出身。「経営者のパートナーとして、人・組織の変革にコミットしたい」という思いで大手ファームのコンサルタントに転じ、マネージャー昇格を見据え自分の専門性・付加価値をどう高めていくか真剣に考えていたタイミングでの双子妊娠でした。さらに、育休を取得し、フルタイムで復職して1年弱で、夫の海外赴任が決まりました。

育休中の不安とどう向き合ったのか。組織を離れるという選択を前に、何を考えたのか。同じ悩みを抱えるコンサルタントに向けて、リアルな経験を語っていただきました。

「人・組織の変革をリードできる力」を求め、組織人事コンサルへ

アクシス
これまでのキャリアについて教えてください。

Hさん
私のキャリアには、一貫して「人」という軸があります。新卒で大手鉄道会社への入社を選んだのも、日本経済を支える新幹線などの大きな事業が、最終的には人によって動かされていることに魅力を感じたからです。

入社後約2年弱は、駅員や新幹線の車掌などの現場を経験し、新幹線運転士の国家資格も取得しました。その後、現場、本社、グループ会社の人事に約4年半携わりました。働く中で学んだのは、鉄道の安全・安定輸送を守るため、人の配置、育成、評価、報酬などのあらゆるシステムが一気通貫で設計されていることです。その成熟した仕組みから、企業理念から一気通貫で設計された人材マネジメントの体系を学びました。

一方で、入社2〜3年目頃から、既存の仕組みを運用するだけでなく、世の中の変化に応じた組織変革を推進できる力を身につけたいという気持ちが強くなっていきました。そこで、仕事と並行して日本の大学院でMBAを学び、現在、副理事長を務めている人材マネジメントの専門団体(日本人材マネジメント協会)にも、社会人3年目頃から関わってきました。

当時、社内の人事制度を見ながら、「これは今後も最適解であり続けるのか」と疑問を持つことが多々ありました。ただ、書籍を読むだけでは、知識と現実がなかなか結びつきません。そこで、専門団体で出会った人事領域の経験豊富な方々に「私はこのような違和感をもっている」「他社はどのような考え方なのか」などと問いかけ、対話を通じて自分なりに咀嚼していました。

アクシス
その後、コンサルタントにキャリアチェンジしたのはなぜでしょうか。

Hさん
取り巻く環境の変化に応じて、人や組織の変革をリードできる力を身につけたいと考えたからです。安全安定輸送を担う事業特性上、小さな制度改定にも時間を要する社風の中で、裁量をもって挑戦したい気持ちを抱え続けるよりも、一度外に出て腕を磨きたいと考えました。

そこで、若いうちに一つ上、二つ上のランクの方と仕事をして視座を高められること、経営視点で人事の専門的スキルを磨ける仕事であることから、組織人事コンサルティングを選びました。

まずはシンクタンク系コンサルティングファームへ転職し、人事制度設計の基本や骨格を実務の中で学びました。制度をつくる際に押さえるべき本質を理解せず、流行している言葉だけを取り入れても、自社に合った仕組みにはなりません。ここで築いた人事制度設計の土台は、今の仕事にもつながる大きな財産です。

アクシス
その後、Big4へ移られました。入社の決め手は何でしたか。

Hさん
より大規模な企業の、国内で例の少ない先進的な課題解決に携わりたいと思ったことが理由です。加えて、人事コンサルティングの専門チームがあり、長年蓄積されたナレッジのある組織で経験を積みたいと考えました。

最後の決め手になったのは、面接でお会いしたパートナーの言葉です。コンサルタントは、解のない問題に取り組み、お客さまと一緒に最適な答えを見つけなければならない。そのためには、自分たち自身が変わり、新しいことに挑戦し続けなければ、お客さまにも変革を提案できない。だから、自分たちの組織を実験台にして、さまざまな取り組みをしているのだと。その姿勢が私の価値観と重なり、「この人たちと働きたい」と、その場で入社を決めました。

Big4にはコンサルタントとして入社し、シニアコンサルタントに昇格しました。企業統合に伴う人事・労務制度の設計、サクセッションプラン、人事機能の見直し、CHROの役割に関するプロジェクトなど、幅広いテーマを経験しました。退職前には、マネージャーへの昇格を見据えて研鑽に励んでいました。

「コンサルは育児と両立しやすい」双子出産後もフルタイムで復職

アクシス
在籍中に育休を取られていますね。

Hさん
はい。シニアコンサルタントの時に取得しました。双子だったため、妊娠中期には自宅で静養するよう言われました。産前14週から産前休業に入り、その後、子どもたちが1歳になるタイミングまで約1年間の育休を取得しました。

アクシス
育休によってキャリアが止まる不安はありませんでしたか。

Hさん
私の場合、そこまで大きな不安はありませんでした。
第一に、元々、結婚・出産する前に多様な職務経験を積み、経営や人事について勉強しておこうと決めて、会社に閉じない自主学習や人脈形成をしてきたことが大きいです。実際、育休中も専門団体での活動は継続し、思考が鈍らないよう意識していました。
第二に、私が所属していた組織人事系の部門では、男女やランクを問わず育休を取る方が多く、育休を特別なこととして構える雰囲気がなかったためです。周囲の理解には、とても恵まれていたと思います。
第三に、人に関する仕事に携わる身として、究極の人材育成たる育児の機会に恵まれたことは、私個人としての幸せはもちろん、中長期的なキャリアの面でも学び多いものであろうと確信していたためです。

アクシス
復職後は時短勤務だったのでしょうか。

Hさん
時短ではなく、フルタイムで復職しました。ただ、出社の少ない案件にアサインしていただくなど、パートナーの方々に配慮していただきました。繁忙期を除けば出社は週1回程度で、できる限り所定の労働時間内に仕事を終え、足りないときは子どもが起きる前または寝てから仕事をすることもありました。

コンサルは一般的にハードなイメージがありますが、私はむしろ育児と両立しやすい仕事だと感じています。成果で評価され、仕事の進め方に裁量があり、案件によっては在宅勤務もしやすい。働いた時間の長さではなく、限られた時間でどう価値を創出するかによって評価していただける点は、育児との相性が良いと思います。

コンサルタントは、組織に所属していても、個人として腕を磨かなければ、次の案件でも「Hさんにお願いしたい」とは言ってもらえません。自分で学び、仕事の進め方を考えることが求められる環境だったからこそ、その後フリーランスになったときにも対応しやすかったのだと思います。

双子育児は協働プロジェクト。それでも、心の余裕を失うことはある

アクシス
双子を育てながら働くために、どのような準備をしましたか。

Hさん
両家の実家が遠く、日常的に両親を頼ることはできません。そのため、外部サービスを活用しました。本当に必要になってから探すのではなく、育休中にサービスを調べて登録し、信頼できる方や場所を見極めておきました。
復職後は徒歩で通える保育園を選び、子どもが熱を出したときは病児保育、どうしても仕事を外せないときはシッターサービスを利用しました。掃除は家事代行に任せ、繁忙期や夫婦でリフレッシュしたいときには、土日も利用できる認可外の預かり保育も活用しました。

アクシス
夫婦で育児を分担するうえで意識していることはありますか。

Hさん
第一に、夫婦間の情報格差をつくらないことです。一方が育児情報を集め、もう一方に作業として依頼する形になると、「主」と「従」が生まれます。依頼される側の主体性も下がってしまいます。地域や双子親のコミュニティなどで得た情報は直ちに夫にも共有し、「私たちはどうするか」と2人で意思決定をしてきました。

第二に、育休中から役割分担を始めることです。復職してから急に分担しようとしても難しいので、例えば「私は離乳食を担当するから、あなたは子供たちの入浴をお願い」と、早い段階から互いの得意・不得意に合わせて役割を決めました。

そして、一番大切なのは、自分の苦手や不安を隠さないことです。
私は物事を理屈で考えがちなので、子どもは議論や理屈だけで動くわけではないと頭では理解していても、子どもたちが思いどおりに動かないと、「こうして理由を説明しているのに、なぜ分かってくれないのだろう」とイライラしてしまうことがあります。双子から同時に泣かれたり、感情的に訴えられたりすると、叫び出したくなるほど余裕を失うこともあります。

そんなときは夫に、「今日はこういうことがあって、もう限界だった」「私はこういう状況が苦手」と、そのまま伝えます。自分がうまくできないことも、できるふりをせずに曝け出す。すると、夫が子どもたちの気持ちを捉え直し、間に入ってくれることもあります。

組織でも、チームとして機能するには弱みを開示することが大切だといわれます。それを家庭でも実践している感覚です。育児も、一人ひとりが完璧にこなすものではなく、互いの凸凹を補い合う協働プロジェクトなのだと思います。

アクシス
最初から、夫婦の育児マネジメントが順調だったのでしょうか。

Hさん
夫婦間の役割分担と連携という面では、比較的うまくいっている方だと思います。ただ、私自身の心の余裕については、今も葛藤があります。

母親になるために必要なのは、知識だけではなく、いろいろなものを受け入れられる心の余裕なのだと感じます。私は仕事も好きですし、人材マネジメントの専門団体の活動も、せっかくやるなら形にしたいと思ってしまう。そうすると時間が足りなくなり、子どもの情動的行動や癇癪を受け止められなくなることがあります。

余裕がなくなると、夫に対しても「どうして言わないとやってくれないのだろう」と感じたり、小さなことにイライラしたりしてしまって。でも冷静になると、夫は自分の役割を果たし、私が余裕を失っているときにはちゃんとフォローしてくれているんです。相手の行動が問題なのではなく、自分の心に余裕がないのだと気づき、今は、できる限り無理の無いよう、仕事や予定の量を調整するようにしています。

心の余裕を守るため、「量の限界」には挑まない

アクシス
仕事と育児を両立する上で何を意識していますか。

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