大手ファームを入社4年目で退職し、AIスタートアップにベット。「PoCで終わる違和感」はどうなったのか/Gen-AX株式会社 野村湧さん インタビュー

大手ファームを入社4年目で退職し、AIスタートアップにベット。「PoCで終わる違和感」はどうなったのか/Gen-AX株式会社 野村湧さん インタビュー

Gen-AX株式会社は、ソフトバンクの100%子会社として、コンタクトセンター領域の顧客応対をAIで変革することを使命とするAIスタートアップです。自社プロダクト「X-Ghost(クロスゴースト)」を軸に、音声AIによる応答自動化を推進し、鉄道業界をはじめとする大手企業への社会実装を着実に進めています。

今回は、アクセンチュアでData & AI領域のコンサルタントとして3年半のキャリアを積んだのち、2025年10月にGen-AXへ転職した野村湧さんに、転職の経緯から入社後のリアルな働き方まで、幅広くお話を伺いました。

生命科学の研究室からデータサイエンスへ。新卒でアクセンチュアを選んだ理由

佐藤
新卒のときの就職活動について教えていただけますか。どういった軸で動かれていたのでしょうか。

野村さん
新卒のときは比較的広くいろいろ見ていたのですが、特にデータサイエンス領域への興味があって、その分野で新卒採用をしているコンサルティングファームを中心に検討していました。アクセンチュアはデータAI部門として採用区分が明確に分かれていたので、確実にその領域でキャリアをスタートできるという安心感があり、選びました。

佐藤
データサイエンスへの関心は、どんなきっかけで生まれたのでしょうか。

野村さん
大きくは二つあります。一つは、大学院で生命科学系の研究をしていたことです。研究の過程でデータ分析が必須になる場面が多く、データを集めるよりも、分析して示唆を出していくプロセスが特に面白いと感じるようになりました。
もう一つは、学生時代のアルバイトでドローン撮影画像の解析に携わった経験です。そこでAIやデータ解析の領域が今後大きく伸びると感じ、この分野でキャリアを築きたいという意識が強まりました。

野村さん

「POCで終わる仕事」への違和感が、転職のきっかけに

佐藤
アクセンチュアでの3年半を振り返ると、どのような経験でしたか。

野村さん
もともとやりたかったデータサイエンスの領域で、様々な業界のプロジェクトを経験できたことは、非常に良かったと思っています。ただ、転職を考えるようになったきっかけとして、やはり大きな組織ゆえの分業が進んでいたこともあり、PoC(概念実証)には関われても、その先の実装に関わる機会が少ないという部分に、個人として課題を感じていました。

佐藤
転職活動では、どのような軸を重視されていたのでしょうか。

野村さん
大きくは三つです。一つ目はAI・データサイエンスの分野で継続的に専門性を伸ばせること。二つ目は、これまでの領域から少し幅を広げられること。そして三つ目が、実際の社会実装まで踏み込めるかどうかという点です。PoCで終わるのではなく、実際に一般のお客様が使うものをつくるところまで関わりたい、というのが転職の核心にあった動機でした。

Gen-AXを選んだ理由は「社会実装に最も近い場所」という確信

佐藤
転職活動では他にどのような企業を検討されましたか。

野村さん
Big4や野村総合研究所といった大手コンサルティングファームも受けましたし、AI系のスタートアップやベンチャーも複数見ていました。その中でGen-AXを選んだのは、社会実装という観点で最も実装に近い場所でやれると感じたからです。コンタクトセンターという社会ニーズの大きい領域に絞り、自社プロダクトを持って実際の導入まで手がけているという点が、他社との大きな違いでした。

佐藤
他のAIスタートアップとの違いはどこにあると感じましたか。

野村さん
ソフトバンクが100%の親会社であるという点が、他のスタートアップとの大きな差別化ポイントだと思っています。スタートアップでありながら、安定した経営基盤と、グループとしてAIへの強力な投資姿勢を持っている。この「スタートアップの裁量感と大企業の安定感」の両立は、転職先を検討する上で非常に魅力的でした。

コンタクトセンター×AIが急拡大する理由。鉄道業界での社会実装事例

佐藤
Gen-AXが注力するコンタクトセンター領域には、どのような背景があるのでしょうか。

野村さん
コンタクトセンター領域はそもそも慢性的な人材不足という課題を抱えています。それと同時に、音声AIの技術進歩が急速に進んできていて、AIが実際に応答を担えるレベルに近づいてきている。需要側の課題と、技術的な進化がちょうど交差してきているタイミングなので、問い合わせやニーズは確実に増えている実感があります。

佐藤
実際にどのようなプロジェクトに関わっていらっしゃるか、差し支えない範囲で教えていただけますか。

野村さん
最近プレスリリースも出たので話せる範囲でお伝えすると、鉄道業界のクライアントを支援しています。窓口などでの切符販売対応をAI音声応対による自動化を目指すプロジェクトです。具体的には、どの業務領域であればAIで対応可能かを見極めるところから始まり、現状の業務フローをヒアリングで把握した上で、AIでの実現・実装に落とし込んでいくという流れで進めています。

佐藤
前職のアクセンチュアとの仕事の違いを感じるのはどんな場面ですか。

野村さん
前職はPoCやデータ分析で示唆を出すことがゴールになることが多かったのですが、今はプロダクトを実際に導入してお客様が使えるようにすることをゴールに見据えています。エンジニアと一緒にプロジェクトを進める機会も多く、「実際に一般のお客様が使う」ことを常に念頭に置きながら仕事ができるのが、前職との最大の違いだと感じています。

野村さん

「マネージャーまで待つ必要はない」。スタートアップだから早期に得られる裁量

佐藤
Gen-AXに入社してから、仕事の進め方や裁量感はどのように変わりましたか。

野村さん
現在スタッフレベルですが、すでにプロジェクトマネジメントを担わせていただいています。大手コンサルティングファームだと、一つのプロジェクトにコンサルタントが5名以上アサインされて、その中の一員として動くことが多い。でも今は、一人でカバーできる幅が非常に広く、上位のポジションに近い経験を早い段階から積ませてもらえています。

佐藤
コンサルファームでマネージャーになるまで待つよりも、早めに出た方がいいと感じますか。

野村さん
私自身、マネージャーになる一歩手前で転職しましたが、今の環境ではマネージャーに近いような業務を、より早い段階から経験させてもらえています。コンサルティングファームでマネージャーになるまで待ってから、という考え方もあると思いますが、Gen-AXのようなスタートアップに早めに出ることで、その経験を前倒しで積むことができる。結果として、今後どのような選択肢をとる場合でも、市場価値を高める上でのプラスになると感じています。

佐藤
人数が少ない環境ならではの学び方というのもありますか。

野村さん
そうですね。人数が少ないからこそ、上司からのフィードバックが非常に丁寧で、手厚くいただける環境があります。また、わからないことはSlackでエンジニアに気軽に聞けて、すぐに返ってくる。組織の規模がコンパクトだからこそ生まれる、学びの速さがあると感じています。

自社プロダクトを持つことで、知見が「蓄積」される面白さ

佐藤
「自社プロダクトに縛られてしまうのでは」という懸念を持つ方もいると思います。その点はいかがですか。

野村さん
確かに、コンサルティングファームでは課題に応じてソリューションを使い分けられるという強みがあります。ただ、Gen-AXの場合は、プロダクトへの知見が一つひとつのプロジェクトを通じて長期的に蓄積されていく点が大きな違いです。単発のプロジェクトで終わるのではなく、積み重ねた知見がプロダクトそのものを育て、次のプロジェクトにさらに活かされていく。その循環の中に携われることは、普通のコンサルティングファームにはない面白さだと感じています。

佐藤
音声AIの技術領域としての将来性についてはどう見ていますか。

野村さん
テキスト生成AIの進化は目覚ましいですが、音声AIはまだ発展途上の段階にあると正直に思っています。ただ、その分、今後の伸び代が非常に大きい領域でもあります。テキストと同水準のレベルに達すれば、コンタクトセンター業務の多くをAIが担える時代が来る。さらに音声だけでなく、多言語対応や画像との組み合わせなど、技術の進化の方向性も広がっています。その最前線に身を置けることは、キャリアとして非常に魅力的だと感じています。

野村さん

技術的な知識の有無よりも、その志向性が重要

佐藤
最後にGen-AX株式会社についてもお聞きしたいのですが、コンサルティング部門のメンバーは、どのようなバックグラウンドの方が多いですか。

野村さん
私の知る範囲では、大手コンサルティングファーム出身者がほとんどです。プリンシパルコンサルタントの方々はマッキンゼー出身の方が複数いらっしゃいますし、デロイト出身の方もいます。ただ、AIの経験が必ずしも必要というわけではなく、むしろコンサルタントとしての業務経験がしっかりある方であれば、技術的なキャッチアップは入社後に十分できる環境が整っています。

佐藤
AIの専門知識がなくても、入社後にキャッチアップできるものでしょうか。

野村さん
はい、十分できると思っています。プロジェクト間で知見を共有する定期的な勉強会もありますし、わからないことはプロダクト側のエンジニアにSlackで気軽に相談できます。私自身も、音声AIのプロジェクトは入社前にほとんど経験がありませんでしたが、実際に現場で動きながらキャッチアップしてきました。音声AIを専門的に扱った経験を持つコンサルタント自体が、業界全体でもまだ非常に少ない領域なので、そこはむしろフラットなスタートラインだと感じています。

佐藤
どのような志向を持つ方に向いているとお感じですか。

野村さん
AIを使って社会実装に踏み込んでいきたい、という思いを持っている方が一番フィットすると思います。技術的な知識の有無よりも、その志向性が重要だと感じています。スキル面で言えば、コンサルタントとしての基礎に加えて、コードが少し書けるとか、通信・インフラ周りに詳しいといった技術的な強みがあると、より活躍しやすい環境ではあります。ただ、それぞれが持ってきた専門性を活かして活躍できる場は十分にあります。

佐藤
貴社に興味をお持ちの方にメッセージをいただけますか。

野村さん
現在、コンサルタントとして動けるスタッフレベルのメンバーはまだ少ない状況です。コンサルティングファームで2〜3年経験を積んで、もっと社会実装に近い場所でやってみたい、もっと早く裁量のある仕事をしたいと思っている方にとっては、非常にチャンスのある環境だと思っています。同世代や少し上のメンバーと一緒に刺激し合いながら働けることを、個人としても楽しみにしています。ぜひご一緒できればと思います。

野村 湧さん Gen-AX株式会社

大学院で生命科学系の研究を経験後、新卒でアクセンチュアに入社。SongのData&AI部門にてマーケティング領域のデータ分析・活用プロジェクトを中心に約3年半従事。2025年10月、Gen-AX株式会社に入社。コンタクトセンター領域における音声AIを活用した顧客応対自動化のコンサルティングに携わる。

Gen-AX株式会社

ソフトバンクの100%子会社として、コンタクトセンターをはじめとする顧客応対領域のAI変革を推進するAIスタートアップ。生成AI、自律型AIを活用したSaaS事業および専門コンサルティングサービスの提供。自社プロダクト「クロスゴースト(X-Ghost)」を中心に、音声AIによる「自律型AIオペレーター」を大手企業へ展開している。

アクシスコンサルティング

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