キャップジェミニ・インベント インタビュー/MDが語る「立ち上げ2日目の提案書」レベニューの壁を超えたグローバル連携の実力

欧州最大級のコンサルティングファーム、キャップジェミニがCxO向け戦略コンサルに特化して展開する「インベント」。2025年9月に日本上陸を果たしたこの組織は、国境を越えたレベニューシェアの壁がなく、各国の専門知見を自在に組み合わせる点で他ファームと一線を画します。日本オフィスのマネージングディレクター、佐々木尊浩氏が、AI×社会課題で日本発イノベーションを起こす戦略を語りました。
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アクセンチュア20年からの転身。「看板替え」ではない挑戦を求めて
村松
まずは、佐々木様のキャリアについてお聞きしてもよろしいでしょうか。
佐々木様
大学卒業以来、一貫してコンサルティング業界に身を置いています。若いうちからクライアントの経営課題に携わり、より幅広い経験を積みたいという思いがあり、コンサルティング業界を選びました。その中でもアクセンチュアは、若い人が多く、非常にアグレッシブな環境である点に惹かれて入社を決めました。
村松
その後、キャップジェミニ・インベントに参画された理由は何でしたか。
佐々木様
新卒でコンサルタントになってから20年が経ち、これからの20年を考えたとき、新しいチャレンジを探していました。ただし、既存の巨大組織で看板を掛け替えるだけの挑戦は考えていませんでした。
そんな折、キャップジェミニが日本でCxO向けの戦略コンサルティングに特化した「インベント」をゼロから立ち上げ、そのトップを探していると聞きました。しかも、内部登用ではなく、外部から経験のあるリーダーを迎える方針だと知り、「ゼロからの構築」こそが、私の次の20年に値する挑戦だと確信したのです。
また、自身の思いやフィロソフィー、コアバリューを組織全体に深く浸透させ、クライアントバリューを最大化できる最適な規模は、100〜200人程度だと考えています。その規模の精鋭チームを率い、手触り感を持って社会課題の解決に挑みたい。その強い思いが、参画の最大の動機となりました。

欧州発・CxO特化の戦略コンサルティングユニット。レベニューの壁がないグローバル連携
村松
現在はキャップジェミニ・インベントを率いていらっしゃいますが、あらためてインベントについて教えてもらえますか。
佐々木様
キャップジェミニ自体は、欧州発の総合コンサルティングファームです。戦略立案からシステム実装、さらにはアウトソーシングまでを、グループ全体でEnd to Endで支援しています。その中でインベントは、CxOが抱える経営・業務課題に特化した戦略コンサルティングを担う組織です。データアナリティクスやAI、最先端のテクノロジーを用いた企業変革を専門としています。日本部門は2025年9月に設立されました。
村松
キャップジェミニ・グループの中の戦略コンサルティングユニット、という位置づけですね。グローバルチームとの連携について、特徴的な点があれば教えてください。
佐々木様
一番の特徴は、国境を越えたコラボレーションの壁が極めて低い点にあります。多くのグローバルファームでは、国ごとのレベニューシェアが壁となり、他国の案件をサポートすることに消極的になりがちです。しかし、キャップジェミニにはその壁がありません。
私が驚いたのは、入社2日目に提出期限のあったSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)戦略案件でのことです。まだ入社したばかりで、「どうやって2日でつくればいいんだ」と思っていたところ、自動車業界の事業変革に精通したフランスやドイツのエキスパートがすでに私の代わりに非常に精度の高い提案書を作成してくれていて、私は最終チェックをするだけの状態でした。
自国の利益を超えて「顧客のために最適な知見を提供する」というカルチャーが、組織の隅々まで浸透していること。そして、欧州市場で培われた知見や実績を、日本のクライアント向けの提案に惜しみなく活用できる点が、他社にはない圧倒的な強みだと感じています。
村松
組織体制について教えてください。キャップジェミニとキャップジェミニ・インベントの関係性についてお伺いできますでしょうか。
佐々木様
組織は、一般的なコンサルティングファームと同様に、業界別と機能別を掛け合わせたマトリックス組織を採用しています。ただし運用面では、顧客の課題解決に必要な専門家を、グローバルから最適に組み合わせてチームを編成しています。
たとえば、前述の日本のSDV案件のように、案件に応じて欧州、フランスやドイツの専門家が日本の提案チームに加わり、実際の提案内容の検討や顧客へのプレゼンテーションに同席することも珍しくありません。また、日本の製造業クライアントへの提案では、日本の顧客と欧州の領域エキスパートをシリコンバレーに集め、現地のAI専門家が招いたスタートアップとともに、2日間にわたるワークショップを開催したこともありました。こうした動き方は、前職ではなかなか考えられませんでした。
後発でも勝てる理由、グローバル知見で日本の競争力を再構築
村松
日本市場における、キャップジェミニ・インベントの位置づけをどのように見られていますか。
佐々木様
日本のコンサルティング市場はアジア太平洋地域(APAC)の中でも最大規模であり、グローバルに見ても極めて重要なマーケットだと考えています。日本企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)の初期局面では出遅れた面があるかもしれませんが、その分、企業変革をサポートする形でコンサルティング市場はこの十数年拡大してきました。
一方で、日本全体を見渡すと、かつて世界有数の経済大国として存在感を示していた時代から、徐々に勢いを失ってきたという課題も、私自身は強く意識しています。そうした現状を前に、もう一度日本がグローバルで戦える国になっていく必要があるのではないか、という問題意識を強く持っています。
キャップジェミニ・インベントは日本市場では後発となりますが、グローバルの専門人材や実績を活用しながら、日本が再び競争力を発揮できる領域をつくっていく。そのための高品質なコンサルティングサービスを提供していくことが、私たちの基本的なスタンスです。
村松
DXにおけるAIの重要性の高まりを、どう分析していますか。
佐々木様
現在のDXは、明らかにAIの活用・適用フェーズに入っていると感じています。AIそのものの技術開発では、北米や中国に後れを取っている部分もありますが、AIをどうビジネスに活用し、社会に実装していくかという点では、まだ勝敗は決まっていません。
実際、ここ1年ほどでクライアント企業の意識も大きく変わってきました。以前はCIOやCDOと議論するテーマだったAIが、今ではCEOアジェンダとして語られるようになっています。「AIを活用した企業全体の変革が必要だ」という認識が、経営の中枢にまで広がってきている証拠だと思います。
村松
日本社会全体にとって、AIはどのような意味を持つでしょうか。
佐々木様
日本は労働力不足や高齢化など、多くの社会課題を抱える「社会課題先進国」だと言われます。その意味で、日本はAIとの相性が非常に良い国だと思っています。人とAIがどう共存し、社会や生活をどう変えていくのか。その問いに最も早く直面しているのが日本です。
重要なのは、単にテクノロジーを導入することではなく、それを人間社会にどう適用していくかという視点です。その点で、キャップジェミニがヨーロッパ発のグローバルカンパニーであり、人間中心の価値観を重視していることには大きな意味があります。アメリカや中国のような覇権的アプローチではなく、各国の知見を持ち寄り、協調しながら価値を生み出していく文化がある。
そうしたヨーロッパのケイパビリティやナレッジを、日本という社会課題の最前線に持ち込み、そこで生まれた知見や取り組みを、再びグローバルに展開していく。日本がイノベーションのハブとなり、新たな価値を世界に還元していくことは十分に可能だと考えています。
村松
クライアント企業のAIの取り組みは、どのように変化していますか。
佐々木様
多くの企業ではまだ、AIを導入して翻訳が楽になったとか、メールの下書きをしてくれるといったレベルで、「こんなものか」と感じている状況だと思います。ただ、AIは導入すること自体が目的ではなく、課題を解決するための手段にすぎません。
単にAIソリューションをカタログから選んで提供するのではなく、クライアント企業の「どこをどう高度化すれば競争優位性を築けるのか」を明確にし、経営課題や業務課題の本質を見極めた上でアプローチすることが重要です。CEOレベルでAIを活用しようという流れの中では、まさにそうした視点が求められていると感じています。
案件ごとに組み替えるグローバルチーム、ブロークン・イングリッシュカルチャー
村松
プロジェクト体制におけるチーム編成について教えてください。
佐々木様
顧客は海外の企業である場合もあれば、日本企業である場合もあります。日本のメンバーが海外案件にアサインされることもあれば、海外のメンバーが日本のプロジェクトチームに加わることもあります。
村松
チームづくりについては、どのような考え方を大切にされていますか。
佐々木様
経営課題や業務課題に対して、エンジニアリングやテクノロジーなど、キャップジェミニ・グループ全体の力を結集し、真に課題を解決できるチームをつくりたいと考えています。産業別の知見や技術動向に精通し、クライアントと共に考えながら、エンドツーエンドで変革を支援する。チームとしての総合力を最大限に発揮し、クライアントに確実に成果を届けられる組織が理想です。
村松
組織のカルチャーについてはいかがでしょうか。
佐々木様
現在、日本オフィスには23カ国の多国籍なメンバーが在籍しています。英語が母国語でないメンバーも多いですが、皆が“伝える姿勢”を大切にしながら熱意を持ってコミュニケーションしています。私たちのスタンダードは、いわゆる「ブロークン・イングリッシュ」でも構いません。流暢さよりも、異なるバックグラウンドを持つ人々と協力しながら価値を生み出そうとするカルチャーを大切にしています。
求めるのはゼロイチのフェーズで、チャンスを掴みにいける人材
村松
キャップジェミニ・インベントが求める人物像についてお聞かせください。
佐々木様
チームで力を発揮し、クライアントのために「自ら仕掛ける」アントレプレナーシップを持った方です。現在、保険や官公庁コンサルティング案件が立ち上がっていますが、これらはすべてメンバーが「やりたい」と手を挙げ、自らチャンスを掴み取ったものです。数千人規模の組織では仕事は与えられるものかもしれませんが、今の私たちのフェーズでは、自ら提案し、仕事をつくっていく姿勢を求めています。
村松
キャップジェミニ・インベントで働く魅力は、どのような点にあるとお考えですか。
佐々木様
キャップジェミニは「People-centric」、つまり人を中心に置く会社です。KPIやプロセスで縛るのではなく、人との信頼関係を重視する文化があります。私自身、入社以来、多くのグローバルリーダーと直接会い、協力関係を築いてきました。グローバルとの連携を通じて、新しい価値を共につくっていける点は大きな魅力だと思います。また、アントレプレナーシップを大切にしており、自分で何かを立ち上げたい人、新しい取り組みに挑戦したい人にとっては、とても良い環境です。決まった形がないからこそ、裁量を持って自分の考えで動ける風土があります。
村松
前職と比較して、良い点や改善点があれば教えてください。
佐々木様
良い点は、これまでお話ししてきた通り、グローバルとの「真の連携」が日常的に行われている点です。一方で、改善すべき点もあります。現状では、グローバルのエキスパートに頼りすぎている側面があると感じています。今後は、日本オフィスのメンバーがジェネラリストとしてクライアントと向き合い、主体的に戦っていく姿勢を、さらに強めていく必要があります。
また、戦略(インベント)、テクノロジー、BPOといった各部門を横断し、一貫した変革を提供できる「ワン・キャップジェミニ(One Capgemini)」としての連携力も、より一層高めていきたいと考えています。

日本を世界へのイノベーションハブに。社会課題×AIの実験場
村松
キャップジェミニ・インベントの日本オフィスが、目指す方向性を教えてください。
佐々木様
AIやテクノロジーを活用して社会課題の解決に挑み、一定のイノベーションを生み出していくことができれば、日本オフィスがその発信地として機能できると考えています。日本は労働不足や高齢化など、先進的な社会課題を数多く抱えています。そうした課題にAIで挑戦し、その成果を世界に広げていく──。日本オフィスが「イノベーションハブ」としての役割を担っていきたいと考えています。
村松
最後に、キャップジェミニ・インベントに興味をお持ちの方へメッセージをお願いできますでしょうか。
佐々木様
キャップジェミニ・インベントは、まだ発展途上の組織です。だからこそ、仕事は与えられるものではなく、自らチャンスを見つけ、チームや上長に提案しながら形にしていくものだと考えています。そのチャンスを主体的に見つけてリードしていきたい方、周囲のヒントや誰かの困りごとに真摯に向き合い、自ら仕掛けていける方と、ぜひ一緒に挑戦していきましょう。

2004年に新卒で外資系コンサルティングファームに入社し、20年以上にわたり在籍。戦略コンサルティング部門シニアマネジャー、データドリブンコンサルティング部門日本統括マネージングディレクターを歴任し、消費財、製薬、ヘルスケア、小売など幅広い業界において、戦略コンサルティングおよびデータ&AIを活用したビジネス変革を多数支援してきた。
現在はキャップジェミニ・インベント日本オフィスのマネージングディレクターとして、日本市場のクライアント企業に対し、戦略立案、事業変革、イノベーション創出など多岐にわたるテーマでの価値創出をリードしている。

キャップジェミニは、AIを活用してビジネスならびにテクノロジーの変革を支援するグローバルパートナーとして、お客様に具体的なビジネス価値をご提供します。企業の未来を描き、AI・テクノロジー・従業員の力を融合させ、その実現をご支援します。当グループは、約60年にわたる確固たる実績を有し、50か国以上に展開する約42万人の使命感あふれる多様性に富んだチームメンバーから成る組織です。深い業界知識と強力なパートナーエコシステムを基盤に、戦略・テクノロジー・デザイン・エンジニアリング・ビジネスオペレーションにおける高度な専門性を活かし、エンドツーエンドのサービスとソリューションをご提供しています。2024年のグループの売上高は221億ユーロです。
日本国内では20か国以上の国籍から成る1,400人超の従業員が在籍し、最大手の銀行・保険・消費財・自動車・製造業・政府機関と協働し、グローバル規模での事業変革を支援しています。

アクシスコンサルティングは、コンサル業界に精通した転職エージェント。戦略コンサルやITコンサル。コンサルタントになりたい人や卒業したい人。多数サポートしてきました。信念は、”生涯のキャリアパートナー”。転職のその次まで見据えたキャリアプランをご提案します。
キャップジェミニ・インベントの求人情報
| 募集職種 | 戦略コンサルタント・ビジネスコンサルタント |
|---|---|
| 職務内容 | キャップジェミニ・インベントは、欧州発グローバル総合コンサルティングファーム「キャップジェミニ」の戦略コンサルティング、デジタル、データ・AI等のテクノロジーを活用したイノベーション創出およびトンランスフォーメーション支援特化型のコンサルティングチームです。世界に約40のスタジオと60以上のオフィスを構え、戦略コンサルタント、データサイエンティスト、AIエキスパート、プロダクトおよびエクスペリエンスデザイナー、ブランドスペシャリスト、エンジニアなど1万人を超える専門家が、新たなデジタルサービス、製品、顧客体験、ビジネスモデルの創出を通じて、クライアント企業のみならず社会全体の持続可能な成長の実現に貢献しています。 キャップジェミニ・インベントは2025年9月に日本オフィスの立ち上げを開始し、現在、創設メンバーを積極的に募集しています。キャップジェミニがこれまでグローバルで培ってきた豊富な専門知識とネットワークを最大限活用しながら、トップティアの外資系コンサルティングファーム出身者と、グローバルのキャップジェミニ・インベントの専門家たちが集結し、少数精鋭のコンサルティングチームを構築していきます。 ◆募集概要 ◆主な業務内容: ◆担当いただくプロジェクトの例: |
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