株式会社シグマクシス 常務執行役員 大賀憲様、齋藤立様 インタビュー/コンサルティングと事業開発・運営を両立するビジネスモデルと今後の展望に迫る

株式会社シグマクシス
株式会社シグマクシス

今回はコンサルティングサービスの提供だけではなく、自ら出資し事業運営も行うなど、「共創型価値創造」にグループで取り組む株式会社シグマクシスへのインタビュー。
同社を率いる、常務執行役員の大賀憲様、齋藤立様に、同社入社までの経緯や、シェルパ、アグリゲーターといった考え方、求める人物像や今後の展望についてお聞きしました。

目次
  1. コンサルティング領域を超えた新しいビジネスモデルに魅かれて入社
  2. クライアント企業の自己実現を中から促す「シェルパ」を追求
  3. コラボレーション・信頼関係を前提とした組織づくり
  4. 社会価値創造の”アグリゲーター”としての働き方
  5. 「事業を創る機会」「Giver精神」が魅力
  6. 社会課題解決への意識と、リフレクション力が鍵
  7. トランスフォーメーションのリーダーを自社・クライアント共に育て、社会にインパクトを残していきたい
  8. 株式会社シグマクシス 求人情報

コンサルティング領域を超えた新しいビジネスモデルに魅かれて入社

山口
まずは、お二人のご経歴をお伺いできればと思います。

大賀様
事業会社からキャリアをスタート、4年間勤めました。しかし、ピラミッド型組織に生きる20年後、30年後の自分の姿を想像した時に、「これからはプロフェッショナルの時代になるはずだ」と直感的に思い、26歳で外資系コンサルティングファームに転職しました。そこには11年間在籍し、地道にまじめに取り組んだ結果、お客様にも評価されて順調にシニアマネージャーまで昇進したわけですが、職位があがって眺めが変わってきた時に、ここもちょっと違うなと思い始めました。

山口
「違うな」と思われたのは何がきっかけだったのでしょうか。

大賀様
主な違和感はどこから来たかというと、日本があくまでもグローバル本社の“ブランチ“の位置付けであること。日本でどんなに価値創造しても、そこで獲得した利益は本社に吸い上げられて、グローバル戦略にのっとって再配分されてしまう。当時から、成長が加速する中国やインドなどの国への投資が活発な一方、日本は成熟市場として稼ぐことが求められていたので、目の前にお客様がいながら、価値向上に向けて自らの意志で再投資出来ないことに、歯がゆさを感じたのです。日本の成長性が鈍化していくのを目の当たりにする中、日本人でありながら日本に貢献できない立場にフラストレーションがありました。

山口
そのような経緯で2008年シグマクシスに入社されたとのことですが、決め手は何だったのでしょうか。

大賀様
私がシグマクシスを選んだ理由は、三菱商事とRHJインターナショナル(日本向け米系ファンド運営会社)の共同出資で発足したコンサルティング会社で、大手商社のグローバルネットワークにコンサルを掛け合わせるという戦略の面白さがあったからです。さらに会社立ち上げのゼロからチャレンジできるのがいいなと思った。日本における拡大成長路線にあった外資系ファームからもオファーを頂いていましたが、シグマクシスに決めました。

山口
当時はまだ名の知れない会社だったと思いますが、迷いはなかったのでしょうか。

大賀様
正直言うと、さすがによくわからない会社だったので、最初はシグマクシスに断りに行ったんです。今のシグマクシスの社長の富村隆一が、当時RHJインターナショナルのオフィスにもディレクターとして席を置いていたので、そこに訪ねて行った。すると、彼は断っている私の話なんか聞いてないかのように、「俺たちと一緒にやるとこんな面白い世界がある」という話を延々とする(笑)。その時に出てきたポイントが、商社が持っている「リアルな事業」と「コンサルティング」「IT・デジタル」の掛け合わせの具体的な話でした。その話はもうすでに私の知っているコンサルティングの領域を越えていて、その面白さにやられてしまい、気が付いたら数日後にサインしていました。直感的に、ワクワクする未来があるような気がしたんでしょうね。

大賀憲様大賀憲様

齋藤様
私は、20代は戦略コンサルティングファームに在籍して、コスト削減や効率化などに取り組んでいました。それはそれで当時面白かったのですが、視野を広げるためにコロンビアのビジネススクールに留学。その後、投資ファンドから声がかかり、1度金融の世界を見てみようと1年間ニューヨークで過ごしました。これがRHJインターナショナルのオーナーである投資ファンド、リップルウッドホールディングスだったわけですが、実際金融の世界を経験してみて、自分が本当にやりたいのは自ら組織を動かし事業価値をつくることだと再認識し、帰国しました。

そこで出会ったのが、シグマクシスを立ち上げようとしていた倉重英樹(現シグマクシスの会長)と富村でした。彼らから「単なる投資の取引で稼ぎたいわけではない。多様な人財や組織のコラボレーションで価値創造を加速させるビジネスを、大きなスケールで実証したい。日本を強くしたい。」という話を聞いて共感し、自ら手をあげてシグマクシスに入りました。

立ち上げ直後のシグマクシスはリーマンショックの直撃も受けており、多様な出自の人財が入り乱れて社内はぐちゃぐちゃとしていましたが、そのぐちゃぐちゃ感がむしろ新鮮で面白かった。未知の可能性を感じて、ここから新しい組織の形を創り上げたいと思い続けて今日までやってきました。

山口
他にも事業会社など選択肢があったかと思いますが、その中でシグマクシスに決めたポイントについて教えていただけますか。

齋藤様
シグマクシスはコンサルティング会社のようで、やっていることの半分は事業会社なんです。今は東証一部の600名規模の会社ではありますが、油断するとすぐ潰れてしまうようなベンチャー企業からスタートしたので、その肌感覚を残しながら、今も事業運営できる喜びや面白さがある。先ほど大賀が言ったようにグローバルの中の“ワンブランチ”ではなく、日本で決めるという事業運営のスピード感とヒリヒリ感を味わいながら過ごしています。これこそ私が入社するときに期待していたことですね。

齋藤立様齋藤立様

山口
他社にはない環境だということですね。

大賀様
誰も見たことないモデルの実現を目指して、まさに自分たち自身がイノベーションに取り組んでいるところ。まだまだ道半ばではありますが、成功や失敗から学びながら、コンサルティングと事業のハイブリッドで価値を生み出していく、という新しいビジネスモデルの実績は積みあがってきています。

齋藤様
設立時から目指すイメージはあったのですが、最初はそんな事例もケースもないから「本当にうまくいくの?」と正直多くの人が半信半疑だったと思います(笑)。しかし設立当初からいたメンバーはみんなできると信じてやってきました。10年以上かかりましたが、今ようやく証明できるようになってきました。

クライアント企業の自己実現を中から促す「シェルパ」を追求

山口
この業界では“お客様に伴走する”という表現はよく聞きますが、御社のようにお客様の懐に入って自ら出資し、リスクを取りながら共に事業を運営しようとする取り組みはほぼないと思います。実際に今、お二人が担当されているビジネスについてお聞かせいただけますか。

大賀様
私は今年からインダストリーシェルパという組織を担当しています。インダストリーシェルパは、業界ごとのくくりで1から3まであるのですが、共通して担うミッションは、業界や個々の企業の特性を深く理解し、新しい時代の成長シナリオをお客様と共に描き、「こうしましょう」という提案をつくり動かしていく、ということ。単にお客様と仲良くなって、課題をもらってそれを説きにいくという「御用聞きコンサルティング」ではなく、自らお客様を動かしていくということに集中します。

注力領域は、トランスフォーメーションが遅れている企業に対してのDX支援。これは担当シェルパ関係なく全社で取り組んでいることでもあります。構想策定から実行まで伴走し、さらに内部人財の育成や組織変革までを手がけます。共に社会に価値を生み出したいという想いがあるので、世の中に影響力がある企業のご支援が中心ですが、大規模プロジェクトが受注できるお客様だけをターゲットにするのではなく、本気でビジネスの変革を志向して価値創造に取り組みたいお客様をシェルパとして支援することを大切にしています。

私の担当で言うと商社領域が含まれているので、2021年4月に資本・業務提携を結んだ伊藤忠グループとのDXの推進もフォーカスのひとつです。伊藤忠グループは、CTC(伊藤忠テクノソルーションズ)をはじめとしたIT系の実行能力を擁し、AIのソリューション企業やコールセンター・運用サービス企業などにも幅広く出資しています。商社ならではの実業のノウハウやネットワークと組み合わせて、川上から川下まで一気通貫で日本のDXを支援する体制を整えているわけですが、その上流部分で連携することを目的にパートナーシップを結びました。世の中のDXには「絵に描いた餅」が多い中、事業価値創造に直結するDXをいかに加速させていくか、まさにチャレンジが始まったところです。

齋藤様
さきほど大賀が組織名で「シェルパ」という言葉を使いましたが、もともとシェルパというのは、ヒマラヤの山岳民族です。登山家が山を登る際に、道具や地図をわたすだけではなく、一緒に山を登って降りてくる。場合によっては危ないところは自ら先にいったり、背中を押したりして、最後まで寄り添い続けるというプロフェッショナルですが、我々の動き方も同じ。お客様に指導するだけでもなく、全部を引き受けて請け負うのでもなく、お客様を強くしながら時に寄り添い、ひっぱり、後押しをする支援で完遂させるのがポリシーです。

山口
お客様と寄り添うシェルパ型コンサルでは、全部を丸ごと引き受けるというサービスはしないということでしょうか。

齋藤様
戦略を描いてその事業や解決策の実装まで支援するという意味では「丸ごと」引き受けますね。ただ、大手のコンサルティング会社が大企業に対して提供するような「ここの領域については、BPOで仕組も業務も丸ごと引き受けて私達が運用します」というスタイルではありません。なぜなら、それだと当社の仕事は大きくとれても、お客様自身が強くなれないからです。

我々シェルパのスタイルでは、マネジメントとの対話に時間をかけて信頼関係を積み重ね、目指したい姿を丁寧に合意します。大賀と連携してお付き合いしている製造業のお客様では、「会社をどう変えたいのか」「そのためにデジタルの力をどう使うのか」「戦略の優先順位は」「人・組織で何が足りないのか」「そのための変革に向けてのシナリオはどう作るか」。また実現に向けて「どんなメンバーで動かすか」「何年かけてどこまでいくか」というイメージを、CxOクラスの幹部メンバーと擦り合わせをしています。

その上で「DXの取り組みを動かす」「新サービス開発を走らせる」「新しい組織・人財育成に取り組む」というアクションに落としていきます。動かすときには、お客様の中からリーダーを選出し、メンバーとチームを動かしてもらいながら、私達の各領域のプロがシェルパとして参加します。

山口
シグマクシスも組織を越えて動くのですね。

大賀様
多様な経験をしているプロが集まってチームを組むので、1回ミーティングに出れば「これはうまくいく」「これは危ない」というのが肌感覚でわかるんです。各領域で知恵を出し合って、「この問題はまずつぶさないと進まないです」「ここは一緒にやりましょう」「このポイントはもう一歩踏み込んで議論してから」といった対話をしながらお客様を動かしていきます。

山口
大手のコンサルティングファームなどはある程度案件を大きく取って、人をアサインしないと会社が回らなかったりするかと思いますが、シグマクシスは違うのでしょうか。

大賀様
規模が大きいコンサルティング会社は、規模でインパクトを出していくためのモデルをとるので、大きくまとめて案件を提案するというのが主流になりやすい。結果としてお客様のシステムや領域の一部を切り出してまとめて請け負うという形になっていく。そのモデルを追求する過程で人を沢山採用をしてさらに規模を拡大していく。お客様の効率性やスピード感を高めるという意味ではそれも1つのやり方だとは思いますが、我々が目指すのはまったく違うモデルなんですよね。

齋藤様
お客様からみても、最後はROI(費用対効果)が高いのがシグマクシスの特長だと思います。ある領域を私たちが丸ごと受けるという動き方ではなく、全工程をお客様と一緒に伴走して、かつお客様にナレッジと体験を渡す動き方をするので、結果的にお客様の中の人財が育つからです。これは、弊社の規模でだからこそ、成立するモデルなんだと思っています。

山口
クライアントへの貢献の仕方において、ベクトルがまったく違うように見えますね。

齋藤様
そういう意味では業界がまったく違う、くらいの感覚を私たちは持っているかもしれませんね。

大賀様
そうですね。毎年30%の急成長をしているファームもあることは認識していますが、私達のビジネスの前提は「人財」の価値。人財の能力とモチベーションが、サービスの価値とその品質の根幹です。規模の経済性ではなく、企業や、その向こうにある社会の本質的な価値創造にいかに貢献していくか、その一点にフォーカスすることをぶれずにやりたいというのが私達の想いです。

コラボレーション・信頼関係を前提とした組織づくり

山口
齋藤様ご自身の担当領域についてもお聞かせください。

齋藤様
先ほど大賀がインダストリーシェルパの話をしましたが、私はサービス側で企業のトランスフォーメーション全般を担当する、ヒューリスティックシェルパという組織を担当しています。我々が3X(スリーエックス)と呼んでいる3つの変革の起点になるのが私の組織です。

世の中こぞってDXを叫んでいますが、我々はDXの実現は3つのX(トランスフォーメーション)で成立すると考えています。すなわち、①デジタルトランスフォーメーション(既存事業の効率化)、②サービストランスフォーメーション(新価値の創造)、そして③マネジメントトランスフォーメーション(経営プラットフォーム改革)です。大賀の担当するインダストリー側がお客様の課題や成長シナリオを描く時、この3つの視点を入れながらその中身を詰めていき、プロジェクトを動かしていく、そういう役割です。

特長は、インダスリー側と私も含めたサービスが縦横混じり合って動くこと。さきほどの「多様なプロがワンチームで」というのはそういう意味です。私の部門と並んでデジタル&サーズ(DS)シェルパという、PMOや業務プロセス、SaaS、AI、IoTに強いプロフェッショナルが揃う大きな組織がありますが、そこも含めて全体がコラボレーションしながら3Xの実行に向けて連携します。

大賀様
全社でのコラボレーションはシグマクシスの大きな特長です。3Xの実現や、業界変革シナリオを作って動かしていくことなど、単体のスキルセットの塊だけでできるはずがありません。各部門のリーダーたちが緊密に連携し、情報を共有し、知恵を出し合ってコラボレーションすることが、価値を高めていく。そういう前提で動くので、業績に関するメジャメントは全社で1つです。例えば我々のボーナスも各部門ではなく全社の業績で決まるので、誰が稼いで誰が稼いでないとか、リーダー間でもそういう議論にはなりません。逆に知恵を出して価値を出し合ったらみんなが嬉しい。

齋藤様
お互いの強みを活かすことがあらゆることの前提になっているので、社員同士の信頼関係が重視されるカルチャーが根付いています。先ほどまで、ウチの組織の若手のZoomミーティングに大賀がゲストで参加していました。各部門で状況をのぞき合ったり、意見を言い合ったりしながら動いているのが日常、というのは、他社と大きく違うかもしれません。

山口
他ファームを見ていると、例えばチームとして案件をいくら受注するとか、優秀な部下がいたら囲いこむというケースもよく見られるのですが、御社のように日頃から活発にヒアリングをしたり他部門と密に連携されていたりというのはなかなかない特長だと思いますね。

齋藤様
組織の壁がない、というのは多くのプロフェッショナルファームが言うかとは思いますが、業績評価が部門に閉じず全社一本。そんな会社はなかなかないと思います。一方で個人は能力で評価されますから、本当に多様性にあふれた人がいつも対話し磨き合って物事を動かしています。そのカルチャーを体感して、優秀な方がシグマクシスを選んでくれるケースは多いですね。その背景には、ゼロから会社を立ち上げたメンバーの想いがあり、そこに共感して仲間が集まり、ここまでみんなで創ってきたという歴史と時間の積み重ねがあります。1度はコンサル業界に限界を感じて辞めたけれど、自分たちの理想を活かそうと集まってきたという人達も多い。だからこそ、本当の意味でのコラボレーションをすごく大事にしているのです。

山口
オフィスも特徴的ですよね。この原宿のカフェもワークスペースだと知り驚きました。

大賀様
虎ノ門の本社オフィスは完全オープンなフリーアドレスで、会長含めてマネジメントのスペースもドアがなくてガラス張り、私達、常務執行役員も固定席などありません。そもそも席の数が人数分ない(笑)。創業時から変わらずそれが普通ですので、あらゆるところにフラットであること、コラボレーション重視であることが埋め込まれて作られていると思います。

齋藤様
この原宿のカフェは、ワークスペースでもあるのですが、どちらかというと外の方をお招きしたりお誘いしたりしてネットワーキングする場所、という意味でオープンしました。堅苦しいオフィスよりも、美味しいコーヒーや飲み物を飲みながら、緑に囲まれた風通しのよい場所で対話すると、新しいアイデアや関係が生まれる、そんなことも大事にしています。場所の話だけではなく、私たちとの対話を通じて「雰囲気がよい」「いい空気が流れている」というコメントをいただけることも多く、それは最大の賛辞だと思いますし、私達が大切にしていることそのものです。

社会価値創造の”アグリゲーター”としての働き方

山口
シグマクシスのキーワードは「シェルパ」であるというお話しでしたが、「アグリゲーター」という言葉もよくお聞きします。そこについてお話しいただけますか。

齋藤様
自らビジョンを掲げ、実現に向けてのアクションを決め、そこに仲間を募り、チームを組成して価値創造に取り組んでいく、そういう活動を起こせる人のことを私たちはアグリゲーターと呼んでいます。お客様や相手が軸となる「シェルパ」とはまた違う動き方ですね。

例えば、我々が大事だと思う領域について自分たちでテーマを決めて掲げ、「組みたい」と言ってくださるお客様やパートナーと組みながらビジネスを立ち上げます。シグマクシスは日本にフードテックというコンセプトを持ち込み、イベントを通じて様々な業界を結びつけるコミュニティ、そして市場を創り上げた実績がありますが、これは最もわかりやすい例です。

また長野県の小布施町と一緒に、自立分散型の社会のインフラづくりの支援、次世代エネルギーのビジネス立ち上げなどを行っています。背景には、ビジネスエンタープライズであるのと同時に社会価値を生み出せるソーシャルエンタープライズ(社会的企業)でありたい、という想いもあります。「どうやってシグマクシスで社会価値を最大化していくか」を考え、お客様のSDGs推進やサスティナビリティ領域のトランスメーションなどを推進しています。

山口
今お話をしてくださったアグリゲーターの事例ですが、トップダウンで進めるものなのか、社員の人たちが自分たちの発想でつくっていくものなのか、どのようにプロジェクトができているのでしょうか。

齋藤様
これは大事なことですが、ほぼ全てが、社員からの「やりたい」から立ち上がります。やらされ感からは新しいものは絶対に立ち上がらない、もしくはどこかでハードルを突破できなくなります。そのテーマの実現を信じた人が「自分がやる」と手を挙げて、それをみんなで応援し、本当に伸びてきたら会社の事業として次のステージに昇華させるのです。「今期もこれをみんなで注目しよう」というテーマが10個くらいありますが、すべて手を挙げた個人の発案です。

山口
どういった役職の方がプロジェクトを立ち上げていらっしゃるのでしょうか。

齋藤様
マネージャーや若手の場合もあれば、ディレクターやプリンシパルなど上位職の場合もあります。なのでポジションは不問。チームでやるので、リーダーを支援する形で実質は若手がガツガツ突っ込んでいっているケースもありますし、とにかくチームごとに様々です。みんな本業の傍らやっているわけですから、決して楽ではないのですが、1人でやるよりもチームでやる方が楽しいし成功確率が高いので、本気で取り組む場合はシニアも若手も巻き込み合いながら、まさに組織を越えたコラボレーションですね。

「事業を創る機会」「Giver精神」が魅力

山口
今お話いただいたことが御社全体の強みであり魅力になると思いますが、直近で入社された方はどういうところに魅力を感じて御社に入社されるのでしょうか。

大賀様
自らビジネスをつくれることと、そしてGiver精神だと思います。ギブ&テイクという言葉で表現される経済的な交換価値で、得した・損したという物差しで考える人たちの集まりではなく、「こういうことをやりたい」という声に対して「それいいね、僕も応援するよ」というところ。だからこそ、会社の中にいろいろなアイデアや試みが自然と生まれてくる。どのサービスラインに入る人たちもそのカルチャーに魅力を感じていると思います。

齋藤様
去年入社したコンサルティングファームと事業会社の両方の経験者が「20年プロフェッショナルとして仕事をしてきたけれど、仕事をしていてこんなに楽しいのは初めてです」と言ってくれました。組織の歯車として優秀なパフォーマンスを出すのではなく、自分が信じること、すなわち自分の「ストーリー」を軸に仕事で自己実現できること、しかも仲間も巻き込んで知恵を出し合い、価値を生み出すビジネスとして実現できるからだと。自ら信じることで価値創造できてビジネスになったら楽しいですよね。

また、私のチームにいる20代後半の女性は、外資系戦略ファームで将来を嘱望されていましたが、「社会に意味のある価値を出したい」という想いを自覚し、ソーシャル領域での活動に目を向ける中で我々と出会い、弊社に飛び込んできました。彼女は今、農業やエネルギーのプラットフォームを含めたシグマクシス独自のソーシャル・エンタープライズ領域の活動をコアメンバーとして牽引しています。

有名企業の一員になることも一つの選択肢ですが、自分のストーリーで生きる、それをドライバーにして自らエコシステムを広げるという生き方もある。私は後者を「オプションB」と呼んでいます。一通り組織で経験を積んで、自分のストーリーが芽生えてきた人がシグマクシスに来ると幸せになると思っています。

山口
コンサルティングファームでは、クライアントの黒子になって動いたり、意思決定はクライアントにあったりと、自分が前に出て主役になる環境がない中で、御社ではアグリゲーターとして個が主体となってできるのは他社にない魅力だと思います。

大賀様
どちらも価値の出し方としてはありですが、どちらもできる、というのがシグマクシスの特長だと思います。シェルパとアグリゲーターの2つのモデルがあるので、お客様に寄り添うシェルパ型メインでスタートしながら、徐々にアグリゲーターとして仕掛けていく場面が増えていくケースもあります。こうでなければいけない、というのがない。

たとえばPMO領域のシェルパ型が自分のスタイルという人でも、大規模案件のPMOの一部に甘んじるのではなく、全体の方向性を強く持ちながら局面を動かすステージでは、リーダーシップを発揮して自ら先頭に立つ。一つの仕事の中で価値の出し方を組み合わせることもできますし、それが自分でできることが価値創造においては大事なのです。

サッカーでも、フォワード、ミッドフィルダー、ディフェンダーなどの役割がありますし、考え方によってはジェネラルマネージャーや監督という役割もあります。またプレイヤーと同時並行でGM(ゼネラルマネージャー)をやっている人もいます。必ずチームで動くので、最高の価値の出し方を局面ごとに選べる、場合によってはハイブリッドも可能というのは魅力でしょう。

齋藤様
そういう意味では、政治的に動く人、自分中心でコラボレーションできない人、顧客志向でない人、仲間のために動けない人は、優秀であっても採用しません。さきほど大賀が言ったように自然な形でギブをしたり、お互いに助け合うカルチャーを大事にしていますので、そこに共感できる優秀な方を求めています。

山口
キャリアというものの考え方が変わってきますね。

齋藤様
もはやキャリアという概念がなくなってきているのではないかと。信じることと仕事が重なっていくと全部が一体化する。もともと当社は、ワークライフバランスという言葉に対して「ワークよりもライフが先だ」という想いから「ライフワークバランス」という言葉を使っていましたが、今ではライフとワークがインテグレーション(一体化)している人が増えていると思います。

一方で、成熟したメンバーたちは、こちらから「数字が足りないからもっと働いて」などと言わなくてもみんな勝手に動いています。自分たちのやりたいことをやるためには、まずは仕事をつくって稼がなければならないことを理解しているからです。だから、「困った時は言ってね」とだけ伝えています。

社会課題解決への意識と、リフレクション力が鍵

山口
率直に、どういった方と一緒に働きたいと考えていますか。

大賀様
インダストリーに対する知見や、SaaSやデジタル、PMOなど何らかのプロフェッションを持っていることは当然前提なのですが、「こういう社会課題を解きたい」という強い意思を持っている人と一緒に仕事したいですね。あとはそれを「俺がやる」ではなく、「チームで達成したい」というマインドを持っている人です。

齋藤様
先ほどいった、オプションB、つまり大企業・有名企業の一員になるのではなく自分のストーリーを生きる準備ができた人に来て欲しいです。そういう方にとっては事業会社も選択肢の1つだとは思いますが、もう一つの選択肢として我々を知っていただければと思います。

山口
社員の若手メンバーを育成するにあたって大切にしていることは何でしょうか。

大賀様
若手であってもKPIで追い込むことはせず、個人の意思を聞き、これからどう成長していきたいのかという想いに耳を傾けます。それに対しアサインメントを工夫したり、場合によっては出向させたりもします。個人のビジョンが強まると組織を辞めてしまうから、あえてKPIで追い込むというのが世の中の一般的な手法なんですが、弊社ではそういうことはまずありません。自分の「こうしたい」という気持ちが物事を動かして価値を生むと考えているからです。

齋藤様
もうひとつ大事にしているのは「リフレクション」。リフレクション力とは自分をフラットに見てフィードバックを素直に受けられる力のこと。私も含めて、みんないつでも足りないものだらけなんです。それを理解できるか、フィードバックを受けて成長に向けてアクションをとり続けられるか、そこは継続的な価値創造においてはとても重要なので、One on Oneなどの場を沢山もち、一緒に振り返りもします。時には厳しいことも言いますが、それを通じて気づきと成長の機会を与えることも愛情だと思っています。

ちなみにリフレクションが回らず、受け身・防衛的になってしまう人は伸びません。素直に「自分は足りていない」と言えるか、フィードバックを受け止められるか。それは選考の段階から見ているポイントでもあります。

トランスフォーメーションのリーダーを自社・クライアント共に育て、社会にインパクトを残していきたい

山口
今後の方向性として、先ほどお話にあったように3つのX(変革)や、今期IRでも発表されているように持株会社化を通じた組織再編に取り組んでいかれるのだと思いますが、そんな中これから注力されたい領域についてお伺いさせていただければと思います。

大賀様
コンサルティングサービスだけでなく、事業創造していく方にもより一層力を入れていきたいです。会社が「この事業ドメインで何かをしろ」というのではなく、シグマクスのインフラ上で「やりたい」「つくりたい」と思う人に参画してもらい、お客様やパートナーと一緒に事業のタネを植え、育てていく。サービスや事業が認められるには3年ほどかかりますが、仲間でつくったり応援したりしながら共感資本の考え方で2つ、3つビジネスが増えていければいいなと思います。

山口
どのような業界から着手したいとお考えでしょうか。

大賀様
私は、製造業などクラシックなインダストリーと呼ばれる領域でやりたいですね。サービス業はGAFAに追い立てられてすでに動きが見えてきていますが、日本が強さを誇っていた製造業はいまだ遅れをとっていると思います。

ベストプラクティスが最適解とされた時代には「コンサルタントが何とかしてくれる」と思われていたのに対し、この変化の時代、コンサルタントもすべての解を持っているわけではない。逆に、一緒に知恵を絞りながらトライ&エラーを繰り返して解を創り出すというスタイルが求められています。そうなると、お互いに契約で縛って「今回のプロジェクトのスコープはこれです」「納品物はこれです」「何人でやって報酬はいくらです」というような世界観では対応しきれない。変革は運命共同体、つまりコラボレーションの姿勢なしでは成功しないんです。我々自身も成長しながら、お客様の中から次世代リーダーを掘り起こして覚醒を促し、連携を拡げる。ネットワークが呼応しあって会社や業界、社会を変えていくような動きを創り出したいです。

齋藤様
まさに日本企業の多くは持っている高い潜在的な可能性を活かしきれていません。変革を推進するチェンジリーダーが圧倒的に足りていないのです。でもどんな企業でも隠れたチェンジリーダーは必ずいます。我々のアプローチは、悩んでいるリーダーたちと組んで企業を中から変えていくというやり方。我々の3つのX(変革)の中でその人数は増やしていけると手ごたえを感じています。

そのためにも弊社のコンサルタントにも、こういった話にわくわくする人や自らチェンジリーダーになりたいという志を持つ人を増やしたいですね。チェンジリーダーの力が身につくと市場価値は何倍にもなり、価値創造の機会も増える。それが社会価値の創造、よりよい社会づくりにつながるはずです。

山口
今後御社が目指すところについても教えていただけますか。

齋藤様
すでに発表されていますが、2021年10月に持株会社体制へ移行します。もともとコンサルティングが主軸でしたが、今後はそれに投資を加えて事業の二本柱とし、互いにプロフェッショナルとしての磨きをかけていきます。

これは自分たちにとっても次のステップであり、企業として進化していこうとしているということです。総合ファームや外資系ファームでは、人を大量に採用してお客様先に送っていますが、ボリュームで勝負する先には必ず価格競争がある。我々はその土俵には立たず、他にない価値で勝負をしたいと思っています。

大賀様
私たちはシグマクシスを立ち上げた時から、コンサル会社と括り切れない領域を志向してきました。シェルパ、アグリゲーター、いろいろな価値創造スタイルがありますが、私達が信じる価値の実現に向けて邁進していく体制が整ってきたと思います。力強く成長しながら、美しい明日づくりに貢献していきたいと思います。

株式会社シグマクシス

大賀憲 様
株式会社シグマクシス
大賀憲 様

常務執行役員 インダストリーシェルパ3担当
専門商社、外資系コンサルティングファームを経てシグマクシスに参画。製造業や総合商社など多様な業界で、経営管理から業務改革、大規模システムのインプリメンテーションまで一貫したサービス提供に従事。「変革実現コンサルタント」を信条とする。

齋藤立様
株式会社シグマクシス
齋藤立 様

常務執行役員 ヒューリスティックシェルパ担当
戦略系コンサルティングファーム、投資ファンドを経て、シグマクシスに参画。アートを活用した人財・組織開発プログラム “Vision Forest”の構想・事業展開をリードし、100社を超える変革実績を有する。経営者のシェルパとして、ビジョンと価値創造ストーリー創りから事業開発、人財組織開発まで、一気通貫でのトランスフォーメーションが注力テーマ。

株式会社シグマクシス

株式会社シグマクシス

https://www.sigmaxyz.com/
2008年設立。事業戦略、M&A、業務、デジタルテクノロジー、クラウドソリューション、プロジェクトマネジメントおよび新規事業開発のプロフェッショナルを揃え、社内外の能力を組み合わせたプロジェクトの実行を通じて、様々な産業および企業における価値創造に取り組む。コンサルティングサービスに加え、企業間連携による事業創造、関連する各種事業への投資、およびその運営を通じて、社会課題を解決する新たな市場や価値の創出も行う。2021年4月、2021年10月1日付での持株会社への体制移行を発表。

アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティングは、コンサル業界に精通した転職エージェント。戦略コンサルやITコンサル。コンサルタントになりたい人や卒業したい人。多数サポートしてきました。信念は、”生涯のキャリアパートナー”。転職のその次まで見据えたキャリアプランをご提案します。

株式会社シグマクシスの求人情報

募集職種 DXコンサルタント
職務内容

■産業DX/企業DXの構想から実行まで

  • 戦略:デジタライズ(サービス化)、プラットフォーム構築などのデジタル戦略立案
  • 組織:デジタル推進組織の設計・編成、人財育成
  • 技術:AI, IoT, Robotics、5Gを活用したPoC企画

 

【具体例】

  • (総合商社)産業バリューチェーンDXの構想策定・実行、経営幹部へのDX研修
  • (通信キャリア) 5Gプラットフォーム戦略策定、アライアンス実行
  • (製造業OEM) CVCによるスタートアップ投資戦略・案件創出・ファンド運営支援 など
応募要件

【必須要件】※下記いずれかのご経験をお持ちの方

  • 事業開発の経験(スタートアップ、事業会社の新規事業など)
  • コンサルティングの経験(戦略案件、デジタル案件、業務改革案件など)

【歓迎要件】※下記いずれかのご経験をお持ちの方

  • 事業創造の経験(アントレブレナー / イントレブレナー、ベンチャー立ち上げ等)
  • 企業変革を担った経験(事業戦略立案、全社タスクフォース、ターンアラウンド等)
  • デジタル(AI, IoT, Robotics、5G)などを活用したPoCの経験
  • デザイン(サービス設計・プロダクト開発)に携わった経験
  • プロジェクトのマネージャーとして複雑性の高い案件をやり遂げた経験

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