“CSO(最高戦略責任者)”の役割・CEO/COO/CFOとの違い・年収・キャリアパスについて

近年は企業の取り扱う業務範囲が拡大しているため、分野ごとに責任者を配置する必要が生じており、CIO/CHO/CMOなど様々なCxOの肩書が増加しています。CEOの補佐役である「CSO(chief strategy officer)」も例外ではなく、設置する企業が増加しています。

そこで今回は、よくご質問いただくCSOと「CEO/COO/CFOとの違い」とともに、直近でニーズが高まっているCSOの設置背景~役割~キャリアパスについてご説明いたします。

【目次】

  1. CSOの設置が増加している背景
  2. CSOとCEO/COO/CFOとの違い
  3. CSOの求人内容と年収レンジ
  4. CSOになるまで/なってからのキャリアパス

CSOの設置が増加している理由

グローバル化が進む中で、事業環境は厳しくなっています。その状況下、CEOの業務量は増加し、業務内容も複雑化の一途を辿っています。そこで、CEOを支える右腕として、戦略の立案と実行に最終責任を負うCSO職を新たに設置する企業が増加しています。

例えば、外資企業ではマイクロソフト、AIG、キンバリークラーク、キャンベル・スープ、ノベル、モトローラ、ユニバーサル・ピクチャーズなど、多くの企業がCSOを導入しています。日本でも三菱重工やソニー、帝人などCSOを導入する企業は増加しています。

CSOを設置する最大のメリットは、戦略に関する意思決定が早まることでしょうか。また、次期経営トップの育成を支援する効果、部門横断的な関係を構築してシナジーを生み出す役割も挙げられます。

例えば、三菱重工では2013年に組織体制をドメイン制へ移行する際に、2014年からチーフオフィサー制を導入することを発表しました。

CEO及びドメインCEO(各ドメイン長)に加えて、CFO/CRO/CTOを常設する他、その時々において当社が抱える重要な経営課題に応じて、CSO/CMO/CHO/CIO等を配置しています。チーフオフィサーは、組織の枠を超え、関連するチーフオフィサーとも連携しつつ、与えられた役割に関して、全社経営の観点から各種施策を責任をもって遂行することが求められています。

2019年にグローバル・グループ経営に移行する際には、泉沢CSOは社長の右腕としてグループ戦略を最終的に取りまとめた実績が評価されています。表舞台に出ることは少ないですが、実は三菱重工の組織改革を肌感覚で知っている人物であり、組織の垣根をなくし、管理職の流動性や研究開発費の最適配分を実現しています。

また、帝人は2003年に持ち株会社制に移行した際に、CSO職を設置しました。

同社CSOは、グループ内の短・中・長期計画や企業の戦略を立案し推奨するほか、リスクマネジメント強化に貢献、影響をあたえ、CEOの決定事案を経営戦略の観点から支援しています。また、グループ内に取り巻くリスクや環境変化を把握し、企業の経営力を最大限に発揮できるよう仕組みなどを整備する役割が期待されています。

2008年には、CSOとして1年間経営企画に携わった大八木氏が社長に就任しています。前CEOの長嶋氏は「大八木氏の事業推進力やM&Aにおける手腕を評価した結果、社長として能力と実力があると判断した」と述べており、帝人においてはCSOポジションが社長へのステップであることがうかがえます。

CSOとCEO/COO/CFOとの違い

Forbes JAPANによると、各チーフオフィサーは下記のように定義されています。

・CSO(Chief Strategy Officer)…経営陣と共に企業の戦略立案を行い、実行プロセスを構築。事業部横断的なシナジーを生み出すことを求められる役割。

・CEO(Chief Executive Officer)…経営全体のトップマネジメントを担当し、経営責任を担う役割。各事業・部門ごとにレポートラインを設け指示出しなどを行い、企業全体の長期的な経営戦略を策定する。

・COO(Chief Operating Officer)…企業におけるCEOに次ぐナンバー2ポジション。CEOが企業の全体戦略を練る役割だとすると、COOはその戦略を具体的な戦術に落とし込み、業務オペレーションを確立・管理する役割を担う。

・CFO(Chief Financial Officer)…企業にとって最も重要な財務・経理を担当し、適切なコスト管理を行う役割。資金調達や運用も担当する。

参考:https://forbesjapan.com/articles/detail/18932/1/1/1

まずは、簡単にCEOとCOOの仕事について説明します。

CEOは、企業のトップとして長期的な経営事項に関して、最終決定を下します。一方でCOOは、CEOが決定した経営方針に即して実施に業務を統括します。両者の大きな違いは、CEOには最終決定権がありますが、COOにはないことです。よって、格付けではCEOがCOOよりも上位に位置します。

CEOは長期的な会社の将来を視野に計画を遂行し、COOは実際の現場で社員たちの統制を取り、短期的な業績を担当する役割です。CEOとCOOは共に責任者ではありますが、全く別の役職です。COOはナンバー2としてCEOを支えながら事業の管理を担う役職です。

次に、CFOの仕事について説明します。

財務といえば、主な業務は資金の調達や運用、予算管理になるため、財務部長のようなイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、CFOの役割はそれだけではありません。

CFOはCEOと連携し、CEOの財務戦略作成・実行を支援することが求められます。先程CEOは最終決定権をもつと説明しましたが、CFOはCEOが戦略的意思決定を行うために必要となる様々な経営情報提供やアドバイスを行い、企業価値の最大化に貢献することが求められています。

一方で、CSOの仕事は企業戦略の立案、構想や実行を行う最高責任者です。

企業戦略においては、プロジェクトに関わる社内外の人材に対して企業の業績や説明などを向上させる立場となります。

その他、CEO/COO/CFOとの違いですが、各自の担当する戦略策定の対象期間が異なる点が挙げられます。

企業のトップであるCEOやCOO、財務責任者であるCFOは短期・長期的な経営戦略を重視する傾向にありますが、CSOは、企業戦略において見逃しがちな中期的戦略を率先して立案、実行する立場であるケースが多いです。

CSOの求人内容と年収レンジ

実際のCSO求人としては、CSO「候補」を募集するケースが大半です。また、ベンチャーにおいては、CSO/CFO兼務の場合もあります。

職務内容としては、下記の通り全社横断的な業務を求められることが多いです。

・新規事業、部門、プロジェクトの立ち上げ業務
・経営戦略の立案、事業計画の策定、経営数値管理
・役員、管理部門、事業部との調整などの全社管理業務
・M&A戦略の立案・実行
・分析業務(市場規模分析、費用推計、IP分析など)

CSO/CFOの兼務ポジションであれば、下記のようなファイナンス業務も求められます。

・事業計画の策定とモニタリング
・経営指標モニタリング
・予算の作成、業績予測等の進捗管理

CSOの必須スキルとしては、課題解決能力やロジカルシンキングが求められます。よって、コンサルティングファーム、投資銀行、ベンチャーキャピタル、プライベートバンクでの業務経験が求められることが多いです。

もちろん、事業会社出身者でCSOに就任している人もいますが、コンサルティングファーム経験やスタートアップ企業での立ち上げ経験など、「ゼロベース」思考を併せ持つ人が好まれる傾向にあります。

年収については、CSO室メンバークラスであれば、大手事業会社/ベンチャーのどちらにおいても、700万円~1,000万円程度のレンジ。

一方でCSOとなると、ベンチャーでは1,200万円~2,000万円、大手事業会社では2,000万円~4,000万円程度のレンジまで広がります。

CSOになるまで/なってからのキャリアパス

実際に日本企業においてCSOを担当されている方の具体的な経歴をご紹介します。

A氏:

大学卒業後、大手広告代理店に入社
→大手広告代理店・大手ウェディング事業会社の常務取締役、大手メーカー・総合PR会社の執行役員を経験
→ネットビジネス支援企業にCSOとして参画。その後、CMOに就任。

B氏:

大学卒業後、不動産業に入社
→AIを活用した中古不動産の総合プラットフォームにおいてトップセールスとして活躍した後、本社で仕入や契約などのマネージメントチームを統括
→大阪および名古屋支社長兼不動産販売における責任者を務め、関西圏でのサービスエリア拡大に大きく寄与
→数年後にCSO就任。

C氏:

大学卒業後、大手会計系コンサルティング会社に入社
→外資コンサルティング会社では、日本を代表する企業の経営層が抱える経営上の課題解決や各種プロジェクト推進に尽力
→Strategy(戦略コンサルティング本部)のPrincipal Director(統括責任者)を務める
→総合旅行プラットフォーム企業にて、CSO就任。

D氏:

大学卒業後、大手素材メーカーに入社。製造・販売管理及び販売を経験
→大手通信会社にて、ブロードバンド黎明期におけるパートナーセールス、IPTVサービスのマーケティング、コンテンツデリバリーネットワーク事業を経験
→外資系ITベンチャー2社を経験
→AI技術をベースにしたWebマーケティングサービス企業に入社し、CSOとして上場に携わる。

などの例があります。

このように、各企業によってCSOへのなり方は異なりますが、共通して主に下記のスキル・経験を積んだ方が就任されるケースが多いでしょうか。

・新規プロジェクト/事業の開発・運営
・クライアント/自社における課題解決
・部署横断でのマネジメント
・事業/財務分析業務

そのため、事業会社において新規プロジェクト/事業開発を部門責任者として統括する、または、コンサルティング会社や投資銀行において戦略部門責任者としてクライアントの課題解決の経験を積む中で、「部門横断的に、大人数を対象としたマネジメント経験」を積むことが、CSOへの王道であるケースが多いです。

また、ベンチャーであれば、30代でのCSOも増加しているので、若手であってもCSOに挑戦することは十分可能です。大手事業会社では「CSO経験者」が優遇されるので、まずはベンチャーでのCSOを経験し、その後に大手事業会社のCSOに転身するパスも有効でしょうか。

最後に、CSO後のパスとしては、事例は少ないですが、同業他社/異業種でCSOとして活躍される方や、COO/副社長やCEO/社長に昇格するというパスがあります。

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今回の記事では、今回の記事では、CEOの右腕である「CSO(chief strategy officer)」の設置背景・役割(CEO/COO/CFOとの違い)・年収・キャリアパスについてご紹介しました。

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