“4大監査法人(Big4)”徹底比較【売上から見る特徴と強み】

公認会計士試験に受かり、監査法人に就職もしくは転職する際、キャリアの最初は4大監査法人(Big4)と呼ばれる大手監査法人から始めたいと考える方は多くいらっしゃると思います。
ご存じの通り、4大監査法人(Big4)とは、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人の4つの監査法人のことです。

しかし、「4大監査法人(Big4)それぞれの特徴や強みについてあまりイメージが湧かない」「選び方について教えて欲しい」という声もよくいただきます。

そこで今回は、4大監査法人(Big4)について、業務及び財産の状況に関する説明書類や、実際に内部で働かれている方の意見なども参考に、各社を比較した上で特徴や違いについて説明します。※2021年9月時点での情報を元にしています

【目次】

  1. EY新日本有限責任監査法人
  2. 有限責任監査法人トーマツ
  3. あずさ監査法人
  4. PwCあらた有限責任監査法人
  5. 4大監査法人(Big4)の選び方・選ぶポイント

EY新日本有限責任監査法人

EY新日本有限責任監査法人は日本で最初の有限責任監査法人となった監査法人で、世界の四大会計事務所の一つであるErnst & Youngのメンバーファームです。

このEY新日本有限責任監査法人は監査報酬に関して、長年、日本一です。また、金融商品取引法監査および会社法監査を同時提供している規模の大きなクライアントの数も非常に多いです。そのため、昔から「監査と言えばEY新日本有限責任監査法人」というイメージで語る公認会計士の方は少なくありません。

監査の中でもクライアントの業種として、メーカー、銀行、電力、不動産・建設分野に特に強みを持っています。株式会社みずほフィナンシャルグループや東京電力ホールディングスはEY新日本有限責任監査法人のクライアントです。また、公会計にも強いという特徴があります。さらに、EY新日本有限責任監査法人の業務全体に占める割合は小さいですが、学校法人の監査クライアントの数が他の監査法人より多いです。そして、地方でいえば、東北・北陸地方に強いとされています。

EY新日本有限責任監査法人の業務及び財産の状況に関する説明書類によると、2018年7月1日~2019年6月30日の監査報酬は84,575百万円・非監査報酬は14,721百万円、合わせて99,296百万円です。2019年7月1日~2020年6月30日の監査報酬は86,001百万円・非監査報酬は16,004 百万円、合わせて102,005百万円です。業務収入全体でいえば有限責任監査法人トーマツの方が多いですが、監査報酬については先ほども述べた通り、日本一です。

人員としては、パートナーである公認会計士の数が527人、パートナーではない公認会計士の数が2,445人、公認会計士試験合格者等の数が1,160人で、EY新日本有限責任監査法人全体ではその他の従業員等もあわせて、5,554人です。業務収入が非常に大きい割には、人数は少し少なめです。

金融商品取引法監査および会社法監査を同時提供したクライアントの数は940社でやはり日本一です。非監査証明業務を提供したクライアントの数は2,248社で、有限責任監査法人トーマツに比べると少ないです。

※参考:EY新日本有限責任監査法人業務及び財産の状況に関する説明書類

有限責任監査法人トーマツ

有限責任監査法人トーマツは、世界最大の会計事務所であり世界の四大会計事務所の一つであるDeloitte Touche Tohmatsuのメンバーファームです。世界の四大会計事務所の中で、日本の会計事務所の名前が使用されている唯一の監査法人です。有限責任監査法人トーマツの監査報酬および非監査報酬を合わせた業務収入は少し前から日本一であり、人員数も監査法人の中でトップです。

有限責任監査法人トーマツは特に非監査業務に強い監査法人です。非監査業務の中でも特にIPOに関して強みを持っています。また、いわゆる5大商社の内の三菱商事・三井物産・伊藤忠商事の3つの監査法人が有限責任監査法人トーマツであり、商社の監査に強いのも大きな強みです。さらに、有限責任監査法人トーマツは三菱グループのクライアントが比較的多いです。ただし、昔からメーカーのクライアントが少ないと言われています。地方でいえば、四国・九州に強いと言われています。業務全体に占める割合は小さいですが、労働組合に関する監査クライアントの数が他の監査法人より多いです。

有限責任監査法人トーマツのイメージとしては体育会系の社風があるものとして言われます。営業色の強いIPO等に関する部署に関しては実際にそういった雰囲気があるようです。
監査チームとしては様々なカラーを持ったチームがいます。

有限責任監査法人トーマツの業務及び財産の状況に関する説明書類によると、2018年7月1日~2019年6月30日の監査報酬は77,610百万円・非監査報酬は31,116百万円、合わせて108,718百万円。2019年7月1日~2020年6月30日の監査報酬は80,932百万円。
非監査報酬は33,660百万円、合わせて114,592百万円で、業務収入全体では2年とも日本一です。非監査報酬も2年とも日本一です。

人員としては、パートナーである公認会計士の数が521、パートナーではない公認会計士の数が2,565人、公認会計士試験合格者等の数が1,291人、その他の従業員等もあわせて有限責任監査法人トーマツ全員で6,753人です。人員全体の数自体も日本一多いのですが、特徴として公認会計士及び公認会計士試験合格者ではない方の数が多いことが挙げられます。これは有限責任監査法人トーマツが非監査証明業務に強いことと関連しているでしょう。

金融商品取引法監査および会社法監査を同時提供したクライアントの数は914社です。非監査証明業務を提供したクライアントの数は3,084社で、日本一です。

※参考:デロイト トーマツ コーポレート情報

あずさ監査法人

日本では四大監査法人という呼び方のほかに、三大監査法人という呼び方が用いられることもあります。三大監査法人として、上記のEY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツとほぼ同規模なのが、あずさ監査法人です。あずさ監査法人は世界の四大会計事務所の一つであるKPMGのメンバーファームです。

監査の中でも、売上が1兆円を超えるような企業の監査や電鉄会社の監査に強みを持っています。東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)はあずさ監査法人のクライアントです。
また住友グループ・三井グループのクライアントが比較的多いです。地方としては、関西および中国地方に強いといわれています。イメージとしては、穏やかで落ち着いている人が多いと言われるようですが、実際にはいろいろな公認会計士の方がいます。

あずさ監査法人の業務及び財産の状況に関する説明書類によると、2018年7月1日~2019年6月30日の監査報酬は78,285百万円・非監査報酬は22,208百万円、合わせて100,493百万円。2019年7月1日~2020年6月30日の監査報酬は82,770百万円・非監査報酬は23,199百万円、合わせて105,970百万円。2年とも、監査報酬・非監査報酬ともに第二位でバランスが良いと言えるでしょう。

人員としては、パートナーである公認会計士の数が558、パートナーではない公認会計士の数が2,588人、公認会計士試験合格者等の数が1,238人、その他の従業員等もあわせて全員で6,268人です。人員数も第二位です。

金融商品取引法監査および会社法監査を同時提供したクライアントの数は785社で、EY新日本有限責任監査法人及び有限責任監査法人トーマツと比べると少ないです。非監査証明業務を提供したクライアントの数は2,133社です。

※参考:あずさ監査法人

PwCあらた有限責任監査法人

上の三つと比べると規模は小さいですが、big4の内の最後の一つがPwCあらた有限責任監査法人です。PwCあらた有限責任監査法人は世界の四大会計事務所の一つであるPricewaterhouseCoopersのメンバーファームです。PwCあらた有限責任監査法人自体の社風が外資系企業的であるというイメージが強く、クライアントも外資系企業の割合が多いと言われています。

PwCあらた有限責任監査法人の業務及び財産の状況に関する説明書類によると、2018年7月1日~2019年6月30日の監査報酬は24,533百万円・非監査報酬は24,202百万円、合わせて48,735百万円。2019年7月1日~2020年6月30日の監査報酬は26,104百万円・非監査報酬は28,238百万円、合わせて54,343百万円です。監査報酬は他のbig4と比べると明らかに少ないです。そのため、業務収入全体も少ないです。ただし、非監査報酬の業務収入における割合が高めです。非監査報酬の金額としては、有限責任監査法人トーマツに次いで第二位となっています。

2020年6月30時点でパートナーである公認会計士の数が132、パートナーではない公認会計士の数が888人、公認会計士試験合格者等の数が630人、その他の従業員等もあわせて全員で3,060人です。人員数も他のbig4と比べると明らかに少ないです。

また金融商品取引法監査および会社法監査を同時提供しているクライアントの数は141社です。非監査証明業務を提供したクライアントの数は1,263社です。クライアントの数も他のbig4と比べると明らかに少ないです。ただし、非監査証明業務における1社あたりの収入が非常に高いです。

※参考:PwC Japan有限責任監査法人 法人概要

4大監査法人(Big4)の選び方・選ぶポイント

EY新日本有限責任監査法人を選ぶべき人

EY新日本有限責任監査法人は監査報酬が日本一で監査に特に強いので、将来的に監査業務をずっと継続していきたいという方はEY新日本有限責任監査法人を選ぶとよいでしょう。
特に、メーカー、銀行、電力、不動産・建設分野の監査に関わりたい方にはおススメできます。公会計や学校法人に関わりたい方もEY新日本有限責任監査法人を選ぶべきと言えるでしょう。

有限責任監査法人トーマツを選ぶべき人

IPO等の非監査業務を業務の中心にしたいという方は是非とも有限責任監査法人トーマツにて勤務されるとよいでしょう。また、商社の監査がしたいという方にも有限責任監査法人トーマツをおススメします。

あずさ監査法人を選ぶべき人

売上が1兆を超えるような超大企業のクライアントや電鉄会社のクライアントに携わりたい方にはあずさ監査法人をおススメします。また、関西地方の方もあずさ監査法人を選ぶとよいかもしれません。

PwCあらた有限責任監査法人を選ぶべき人

外資系というイメージが強いので、海外クライアントとの業務に特に興味がある方はPwCあらた有限責任監査法人がおススメです。ただし、4大監査法人として考えると、規模等は他の3つよりは大分小さいので、その点は注意が必要です。

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>監査法人へのキャリアに関する記事

コンサルファームから監査法人アドバイザリーへの転職時によくある質問と回答例
https://www.axc.ne.jp/media/change-jobs-knowhow/firmtoadvisoryqa

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今回は、4大監査法人(Big4)の特徴や違いについてお伝えしました。監査法人へのキャリアをご検討の方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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