【ケース面接対策】代表的な4パターンと例題・解答まで【戦略コンサル転職希望者の方向け】

主に戦略コンサルや戦略チームの面接の特色として、しばしばケース面接が行われることがあります。コンサルとして仕事をする上で必要な「論理的思考力」や「問題解決能力」をクイックにチェックするための手法として取り入れられています。

通常の面接とはかなり異なるため、ケース面接に即して事前準備をしておくことが大切です。今回はケース面接対策に必要な考え方と、代表的なパターンの例題から解答方法までご紹介します。

【目次】

  1. ケース面接の内容・ポイントとは
  2. ケース面接の代表的なパターンと例題・解答①売上推計と売上拡大策
  3. ケース面接の代表的なパターンと例題・解答②現状の利益把握と利益拡大策
  4. ケース面接の代表的なパターンと例題・解答③賛成・反対(もしくは二択)
  5. ケース面接の代表的なパターンと例題・解答④社会問題の現状と解決方法

ケース面接の内容・ポイントとは

ケース面接とは、特定の課題が出され、一定時間自分で考えたのち、面接官に回答します。多くの場合、その後面接官から質問を受けるので、自分の回答と矛盾しないように気を使いながら、それらの質問にも回答していきます。一般的には筆記用具と紙は渡されることが多いですが、念のためノート・ペンくらいは持参しておいた方が無難です。

課題のタイプはこのあとパターンを紹介しますが、市場規模を推計したり、現状の業績を伸ばす方法を考えるなど、ビジネス課題に則したテーマが出される場合が多いです。一方でファームによっては、また面接官の好みによっては社会問題などの二者択一、Pros Consが出題される場合もあります。

冒頭に紹介した通り、論理的思考力・問題解決能力が試されていることから、お題に対して適切に回答しているか、また、回答に至るまでの過程に論理の破綻がないか、その後の面接官の質問についても回答や前提条件と矛盾なく回答できているか、といったポイントが試されています。

ケース面接は一見難しそうに見えますが、概ね今回紹介するパターンに集約されます。いずれにしても数式やマトリクスによる合理的な情報の整理が鍵です。

一方で、面接の場で明らかにわからない部分については大胆に予測値をつけて進めることも大切です。合理性を示すことは確かに重要ですが、ゴールが「答えを出すこと」である点は忘れてはいけません。制限時間も踏まえて、情報を分解して推定すべきか、それ以上推定が困難なので予測値を用いても問題ないか判断するセンスも、ケース面接では大切です。

ケース面接の代表的なパターンと例題・解答①売上推計と売上拡大策

大学の専攻などで普段からビジネス関連のケーススタディに触れているなど、特殊な事情がない限り、こちらのケース面接は、一般的な面接と異なる特殊なものであることから苦戦する就職・転職希望者が多いようです。

しかしながら、ケース面接は概ね以下の4パターンにカテゴリ分けが可能で、あとはテーマや題材がマイナーチェンジしていると考えれば大丈夫です。

ここからはケース問題の代表的なタイプと、解法を考えていく上でのポイントを紹介します。

比較的あらゆるコンサルで頻繁に出題されるのが、特定の業種やプレーヤーを例にして、現在の売上を推計したのちに、それを拡大するための戦略を考えます。

例えば以下のような具合です。

例題: 以下の前提条件のラーメン屋の売上推計と売上を+50%にする方法を考えてください。

前提条件:
●営業時間は10時から22時
● 席数は20席
● 年中無休

ポイント①現状の売上は「フェルミ推定」

まず、現状の売上高ですが、これはコンサルが選考においてよく用いる「フェルミ推定」を使用します。フェルミ推定とは、本来わからない数値を論理的に要素を積み上げ、掛け算・足し算などによって推定する計算方法です。

売上の場合は「需要数×単価」で出すのがセオリー。ラーメン屋なら客数×単価。単価は常識の範囲内で想定するしかありませんが一般的には800円くらいでしょう。また客数は、ラーメン屋を始め飲食店なら客回転数で求めると、合理的に見えます。一人の滞在時間を30分とすると、満席になる場合で1時間に最高2回転する計算になります。お昼と夜のピークタイムに2回転に達するとすると、客数はこのように試算されます。

●10時〜11時:0.5回転→20席×0.5×1時間=10人
●11時〜13時:2回転→20席×2×2時間=80人
●13時〜16時:0.5回転→20席×0.5×3時間=30人
●16時〜18時:1回転→20席×1×2時間=40人
●18時〜20時:2回転→20席×2×2時間=80人
●20時〜22時:1回転→20席×2×1時間=40人

以上により1日の客数が280人と推定され、客単価が800円なので、売上は22万4千円となります。

ポイント②売上を伸ばす方法は分解しながら定量的に考える

続いて売上高を+50%にする方法を考えるわけですが、これを考える際も以下の売上を構成する式に立ち返ります。

売上高=客数×客単価

数式上は片方の要素を50%増やせば解決しますが、実際には+50%売上を増やすとなると大胆な対策が必要になるので、合理的に答えるためには、双方を20%前後増やして、合わせ技で+50%を達成することを目指す方が無難です。ブレストの要領で双方の増加方策を洗い出します。

客数を増やす
●滞在時間を短くしてピークの客数を増やす
●店舗を拡大してピークの客数を増やす
●ポイントカード発行などによりリピーターを増やす
●商品の工夫や割引によりオフピークの客数を増やす

客単価を上げる
●追加メニューを設定する(ライス・トッピング・大盛りなど)
●高価格メニューを設定する(ラーメン→チャーシューメンなど)
●差別化要素を作って、もともとのメニュー自体の価格を上げる

実際のビジネスなら広告手法、マーケティングなども考えられますが、大抵限られた時間で答えを出すことになりますので、定量的に計算しづらい案は避けたほうが良いでしょう。

いくつか出た案から「説明しやすいもの」をピックアップして計算していきます。例えば、オフピークの割引は客数を増やす一方で、客単価を下げる可能性があるため、実際の効果を紙とペンで計算するのは時間がかかるでしょう。

例えばポイントカードの発行は、客単価への影響は限定的ですし、客を増やす要因にしかなりませんので、考えやすいと思います。例えば客数がポイントカードによって30%増えるとすれば、客数は364人となります。一方で、客単価の向上方法として追加メニューの設定を考えます。追加メニューの平均単価を300円とし、1/2の客が頼むと推計すると、客単価は950円になります。以上により364×950=345800、約34万6千円となり、+50%を達成します。

ケース面接の代表的なパターンと例題・解答②現状の利益把握と利益拡大策

似た例として多いのは、現状の利益を推定して、利益拡大の方法を考えるテーマです。

例題:以下の前提条件のラーメン屋の利益を+20%にする方法を考えてください。

前提条件:
●客数200人
●客単価800円

例えば以下のような具合です。

ポイント①利益は要素を分解して考える

まず今回は売上は簡単に算出できます。客数×客単価で16万円です。利益の場合はここからが重要で、利益は売上-費用で算出できます。

費用についてはある程度推定するしかありません。光熱費や家賃については専門知識がないことが多いので、大まかな推定でも大丈夫だと思いますが、大体売上の10%ずつくらいが理想と言われています。また、材料費に当たる原価は30%程度です。時間に余裕があれば人件費はアルバイトの時給などをもとに推定してもいいですが、時間がない場合はやはり30%という一般的な数値で置き換えても良いでしょう。

以上を合計すると売上の80%が費用になる計算ですので、現状の利益は1日3.2万円となります。

ポイント②要因を分解して、利益を増やす部分を検討する

今回は利益を伸ばすわけですが、利益=売上-費用なので、売上を伸ばすか、費用を圧縮することで利益が伸びます。利益は3.2万円としていたので、3.84万円に伸ばす必要があります。

売上:客数×客単価
費用:人件費(30%)・原価(30%)・家賃(10%)・光熱費(10%)=売上の80%

この時、売上を伸ばすと費用も上がってなかなか利益が上がらないため費用を削る方法を考えるべきだ、という見方もあります。しかしながら、営業時間を伸ばす、店舗を拡張するといった対策でなければ、費用のうちラーメンの販売数に合わせて明確に増えるのは原価だけです。以上に挙げた6要素の変更要因を全て洗い出すと時間がなくなる恐れがありますので、今回の例題の場合は「費用をかけずに売上を増やす」ことに集中するのが手です。というのも費用のうち原価だけが変動費と考えれば、売上を少し増やせば利益+20%が達成できるためです。

売上を上げる方法は先のパターンでも示しましたので、詳細は割愛しますが、例えば客単価を100円あげれば、売上は18万円になります。この時原価だけが18万円の30%になり、他は不変とすると、

18万円-人件費4.8万円-原価5.4万円-家賃・光熱費3.2万円=4.6万円

先の3.84万円以上を充足するのでこれでOKです。たかだか100円の客単価を増やすために新たに人を雇ったりするとは考えにくいため、「客単価を増やしても人件費は変わらない」との主張には合理性があります。課題が利益になると、要素が多くなるので、全ての要素をブレストする時間がない可能性が高くなります。このように上手に仮定を置いて、考える様子を絞り込むほうが現実的です。

ケース面接の代表的なパターンと例題・解答③賛成・反対(もしくは二択)

ビジネス課題以外で多いのは、特定のお題に対して賛成・反対のどちらとするかを回答する課題です。比較的シンプルな分、お題の前提を見誤らないことが大切です。

例題:日本国として働き方改革を推進すべきか?

ビジネス課題と比較して自由度が高いのが、この課題の特徴です。まず働き方改革を定義しておいたほうがいいかもしれません。その場で働き方改革を正確に調べる事は不可能なので、まず前提として働き方改革を以下を進めることと定義します。

●残業時間の上限設定
●労働生産性の向上
●従業員の満足度向上

しっかりと体系立てて考えたことを示すことが大切なので、自分なりに簡易なメリット・デメリットの整理を行うと良いでしょう。今回の場合は主体が「日本国」であることから、日本という国の視点からメリット・デメリットを整理することが大切です。

  メリット デメリット
経済成長 労働生産性向上により成長に寄与 1人あたりの労働時間減が却って一人当たりGDPを下げてしまうリスク
政府の財政 長期的には経済成長により税収入が増え、財政下支えに寄与 法令可決や推進のために多額の費用が発生
労働生産性向上のための対策も必要
国民の健康 長時間労働の減少により向上  
国民の幸福度 余暇の増加により向上 残業減が深夜営業店舗の減少やサービスの質低下につながるリスク
家計 労働生産性向上が企業業績の向上につながり、給与増となって家計へ還元される 残業代減少による収入減少につながる
その他   労働生産性の向上の実現性が不透明

※PDF:https://www.axc.ne.jp/cms/wp-content/uploads/2021/08/18a8ebc07351726aa02aa5226e837185.pdf

本来MECEになれば完璧ですが、限られた時間では厳格なMECEを組み上げるのは困難かもしれません。その場合は上記のようにその他を設けるなどして時間内にメリット・デメリットを整理することを優先したほうがいいでしょう。

以上のようにメリット・デメリットを整理したら、今度は賛成・反対を決める上で鍵となる要素をピックアップします。ここは重要である理由を説明できれば、どの要素でもいいと思います。

例えば上記の場合「労働生産性の向上」が鍵にしてはどうでしょう。労働生産性の向上が実現すれば、デメリットのほとんどは打ち消されることがわかります。労働生産性の向上も「働き方改革の一環」として当然実現される立場であれば、賛成でいいでしょう。労働生産性の向上が困難との立場であれば反対という意見も考えられます。

回答後は労働生産性の向上について質問を受ける可能性が高いので、賛成であればどうすれば労働生産性を向上させられるか(反対ならなぜ向上させられないか)を合わせて考えておくと良いでしょう。

ケース面接の代表的なパターンと例題・解答④社会問題の現状と解決方法

最後のパターンは社会問題の現状分析と解決方法の提案です。多くの場合現状については定量的な推定が可能なお題になっています。(明示されていないが、推定することが求められていると考えた方がいいです)

例題:都心の満員電車の現状と改善する方法は何か?

このお題では前提が置かれることは少なく、自力で仮定を置きながら推定することが求められているケースが多いです。

ポイント①満員電車の現状はフェルミ推定で説明

まず、前半のテーマである、満員電車の現状は、フェルミ推定で導出することになります。どこまで正確に人口や通勤・通学者がいるかを知っているかは問題ではなく、大事なのは導出の過程です。論理的に無理のない前提を置きながら推定していくことが大切です。

満員電車を考える時には、朝の通学・通勤ラッシュが最も深刻であると考えて問題ないでしょう。通勤・通学で都内および首都圏から都心に集まることで発生する部分が大きいと考えられます。

朝の利用者数を導出する上では、首都圏人口・労働者/学生の比率と、鉄道を利用する人の比率を前提として推定します。また、満員電車の状況という意味では混雑率の分解も示すと良いでしょう。

朝の鉄道利用者=首都圏人口×労働者/学生の割合×鉄道利用比率
混雑率=朝の鉄道利用者/定員

首都圏人口は3000万人程度、労働者/学生の割合は年齢別人口動態などで推定可能です。年齢別人口は本来は少子高齢化を踏まえた山を付けたいところですが、情報がない中では、単純割りで回答しても大丈夫でしょう。

0〜100歳まで均等に人口がいるとすると(本来人口が減ってくる100歳まで入れることで高齢者の層を厚くしています)1年齢あたり30万人の人口がいる計算になり、16〜18歳までが学生で、ほとんどが高校に行くのが現状なのでここは100%で良いでしょう。一方、19〜65歳が労働者ですが、こちらは働いていない層も一定程度考慮する必要があると思います。失業者・専業主婦(主夫)などを考慮すると80%としましょう。以上の前提をおくと、首都圏の労働者/学生人口は1128万人と推定されます。

問題は鉄道利用率がわからないということですが、ここは限られた時間に推定が難しいのでここでは40%とします。すると鉄道利用者は491万人と推定されます。

続いて鉄道のキャパシティを算出します。電車の定員は1両あたり150人として地下鉄も考慮すると平均8両として1200人です。東京の路線数は実際は85ですが、正確な数値はその場で分からなくても大丈夫です。ここでは簡単化のため80としましょう。大事なことは以下の数式を示すことです。

首都圏電車の定員=1両あたり定員×両数×ラッシュ時運行本数×路線数

本来は運行地域、路線の差などを考えていく必要があるのですが、限られた時間で答えに辿り着くことが大切なので、困難な要素は削ぎ落としていきます。(社会問題系は大抵このような判断が必要なテーマであることが多いです)ラッシュ時の平均を7〜9時2時間・平均4分間隔とすると、首都圏電車全体のキャパシティは306万人となります。

すると混雑率=実際の利用者数÷定員=491÷306=122%です。

ポイント②満員電車を解消する方法

このような題材ではまずゴールを数値化する必要があります。ここでは122%の混雑率を平均100%にもどすことを考えます。

混雑率=朝の鉄道利用者/定員

以上を踏まえると「朝の鉄道利用を減らす」「定員を増やす」が有効手段になります。

朝の鉄道利用者=首都圏人口×労働者/学生の割合×鉄道利用比率

この中で現実的に動かせるのは鉄道利用率でしょう。以下のような解決策が考えられます。

●学校・企業の定時を柔軟化し、9時以降の通勤・通学を促進する「オフピーク」
●都心以外の首都圏での企業誘致などによる雇用促進

これらは短時間で効果を推定するのが難しいので、定員増の手法と組み合わせつつ、解決策の案の一つとして答えていくのが現実的かと思います。

首都圏電車の定員=1両あたり定員×両数×ラッシュ時運行本数×路線数

キャパシティの上げるなら、両数・ラッシュ時運行本数の拡大が考えられます。
ü 平均両数を10→12両に増やす
ü 路線キャパシティを増やして(複々線化など)ラッシュ時の運行本数を上げる

あとは、説明がつく組み合わせを提案すれば良いですが、例えば、両数を20%増やしつつ、オフピークを推進することで、混雑率-22%を達成するとすればいいでしょう。

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今回代表的な題材の解法を紹介しました。こちらを参考に、自分なりに題材をマイナーチェンジして練習を行うと、様々なケース面接に対して柔軟に対応できるようになるでしょうか。

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