コンサル転職のよくある失敗例【バリューを出せない理由とその対策】

コンサルティングファームへの転職に成功すれば、輝かしいキャリアと高い年収が待っているかのように考えてしまいがちですが、現実はそう甘くはありません。
多くの転職者が新天地でのキャリアアップに成功する一方で、転職先でうまくバリューを発揮できず、コンサルへの転職を後悔し、早めにドロップアウトされるケースも見受けられます。
そこで、今回はコンサルへの転職のよくある失敗例と、それぞれのケースを踏まえた対策をご紹介します。

【目次】

  1. アサインされたプロジェクトにおいてスキルセットが合わないケース
  2. 自発的かつ積極的な成長が求められる環境についていけないケース
  3. クライアントとのリレーション構築に失敗するケース
  4. 年収アップを重視した転職で失敗するケース

アサインされたプロジェクトにおいてスキルセットが合わないケース

大手のコンサルティングファームなどでは産業別でチーム分けされるインダストリーグループがあり、前職と同じ業界のインダストリーに転職される方が多いです。
前職の専門的な知見を活かして、インダストリーグループで活躍するのが理想的ですが、中にはスキルセットが合わずに失敗されるケースもあります。

例えば、前職が事業会社の営業部門で働いていた場合、業界知識は確かに豊富な一方で、企業のビジネスプロセスやインフラなど経営を支える機能について知見がない方も多いです。コンサルティングファームでは、前職の職種に関わらず、業務効率化やシステム導入といった案件に参画する場合があり、自分の知見が活かせる場面が少なく、あまりバリューを発揮できないケースがあります。

よくギャップが起きやすいのが、IT関連のプロジェクトについていけないケースでしょうか。例えば、特定企業のシステム導入や、ITを活用した業務効率化などは、一般的にプロジェクトメンバーはそれぞれに対応するインダストリーチームを中心に組まれます。(状況に応じてITの専門メンバーやソリューションチームのメンバーが入る場合もあります)しかし、プロジェクトにおいてキーとなる知見は業界経験よりもIT関連の知見であるケースがしばしばあります。

特に、大手コンサルティングファームへ転職した場合、最初のアサインプロジェクトから実績が求められ、転職していきなり失敗し、降格・減給(懲罰ではなく評価に基づいて)といったケースも少なくありません。

このような失敗を防ぐためには、当初アサインのプロジェクトについてパートナーとよくコミュニケーションを取ることが重要です。コンサルティングファームによっては入社前からプロジェクトに関する相談が可能な場合もあります。当初アサインのプロジェクトでは、少しでも自身の知見が活かせるプロジェクトを厳選して参画することが大切です。

また、入社の際に初めからタイトルや年収を高望みすることも危険です。タイトルによって年収の下限が定められているため、パフォーマンスにそぐわなければタイトルの降格のリスクがあります。最初に貼られたレッテルを剝がすのは容易ではないため、まずは地に足の着いたタイトルで入社し、実力で高いタイトルと年収を勝ち取っていくことが重要です。自分がどのタイトルで入社するべきか、といった条件は各ファームで異なりますので、内情に詳しい知人や、業界に通じたエージェントに聞くことをおすすめします。

自発的かつ積極的な成長が求められる環境についていけないケース

特に外資系コンサルティングファームでは、メンバーそれぞれが「自発的かつ積極的」に成長することを求められるケースが多いです。
一般的な日本企業とはカルチャーが大きく異なるため、この要求についていけず脱落していく方も少なくありません。

企業のカルチャーによって程度は異なるものの、特に大手日本企業の多くは、部署によって「やるべき仕事内容」「求められる役割やレベル」が明確にされています。マニュアルや研修も充実しているため、それらに従いながら徐々に仕事に慣れていけば、自然と相応の結果・評価がついてきます。

一方、コンサルティングファームでは「自分で考え、行動する」姿勢が必要となり、たとえ初めてのプロジェクトでも、議論に積極的に参加できなければ、徐々に評価は下がっていきます。

研修・マニュアルなどは充実していますが、待っていれば案内してもらえる部分は少なく、自力で社内のネットワークを探したり、先輩のスタッフに聞くなどして、自分が仕事をするうえで役に立つ情報を集めていかなければなりません。

このようなカルチャーに適応できず、自分が何をすべきかわからないまま時間が経ち、評価を下げていく方は珍しくありません。コンサルは評価され始めれば昇格・昇給も早いため、時間と共にリカバリーする方がいる一方で、キャッチアップの方法がわからないまま短期間で脱落していく方もいます。

対策としては、自分で情報を取りに行くという意識をコンサルティングファームに入社したその日から持つこと。日本企業のように研修やマニュアルが揃っていることを期待せず、積極的にファーム内で情報収集を行うこと。自分がコンサルタントして生きていくために必要な情報、アサインされたプロジェクトに必要な情報をいち早く集めていくことが重要です。

クライアントとのリレーション構築に失敗するケース

冒頭に紹介した失敗例とは対照的に、IT関連の専門スキルや、企業内で経営企画・財務・組織人事などバックサイドで働かれ、企画系の経験を強みとして転職してきた方が注意したい落とし穴です。

コンサルティングファームではロジカルシンキングや、特定の課題に対する知見など、専門的スキルやナレッジ面が重視されがちです。一方で忘れては行けないのがプロジェクトは顧客とのコミュニケーションで進められていくことです。長期間にわたり顧客側の担当メンバーとコミュニケーションをおこなうケースも多く、実は顧客とのリレーション構築がプロジェクト推進のためにはとても重要です。

特に継続的にプロジェクトを受注している重要顧客の場合、たった一つの小さなプロジェクトの失敗が、顧客との関係悪化や将来のビジネスチャンスの逸失につながるなど、顧客とのリレーション構築は、アサインされたプロジェクト以外の部分にも影響を及ぼします。

課題解決能力はあっても、顧客とのリレーション構築に失敗して、プロジェクトが円滑に進まなかったり、関係が深化していれば避けられたであろう無用なトラブルを呼び込んでしまうケースがあります。人事権を握るシニアメンバーは今後のファームの収益性を意識してクライアントとの関係性を重視するため、顧客とのリレーション悪化がメンバーの評価に大きなマイナスとして働く場合があります。

転職前と異なり、社外の人間に対して提案・交渉などを行うということを念頭に、伝え方・資料の作り方などそれぞれの行動に注意を払う必要があります。特に、自身のスキルセットが長けているが故に、専門家的な言動にならないように気をつけましょう。あくまで相手をするのは「顧客」であることを忘れてはなりません。

また、可能ならばプロジェクトを選ぶ際には、すでに進行中で顧客担当者とのリレーション構築がある程度すんでいるものにアサインした方がよいでしょう。既存メンバーとの関係性が安定していれば、アサインによって多少の齟齬が生じても、致命的なダメージを避けられます。

年収アップを重視した転職で失敗するケース

最後は前職が日本企業の場合にはしばしば陥りがちなケース。選考時に明示的に伝えることはあまりないと思いますが、コンサルティングファームに転職する際には「年収」に魅力を感じて転職するケースも少なくないでしょう。

先ほどもお伝えしましたが、コンサルファームは年収水準が多くの日本企業と比較して魅力的なため、ある程度期待してしまうのも無理はないのですが、年収だけを意識して転職を決めるのは、次の三点の理由から禁物です。

一つはコンサルティングファームにおいては年収と役職、そして役割期待がシビアにリンクしています。つまり年収が高いということは、高い役職に就くことになり、高いバリューを発揮することが求められます。
転職時に交渉によって、無理に高い年収で契約してしまうと、それだけ入社後、即戦力として活躍することが求められます。高年収を求めるあまり、スキルセットが見合っていないがために、評価を下げてしまうというケースは少なくありません。

また、もう一つの理由になりますが、コンサルティングファームでは頻繁に役職や年収の評価がされます。特に日本企業と比較して大きく異なるのは降格・減給が簡単に発生する点です。せっかく希望通りの高年収を獲得しても、実績が伴わず短期間のうちに引き下げられてしまう場合もあります。

最後に、コンサルティングファームの高待遇の一部は、求められるアウトプットの高さに対する対価でもあります。
プロジェクトに入ると、ハイペースでの資料作成や、ミーティングへの準備などにより、日常的に長時間労働となりがちです。
現在では大手コンサルティングファームを中心に、働き方改革が積極的に進められていますが、プロジェクトによっては時間や曜日に関係なくメンバーや顧客から連絡が来るため、オフィシャルな業務時間外でも気が抜けない日々が続きます。このような労働環境について行けず、心身の健康を害してしまう方も少なくありません。

「高待遇だからコンサルファーム」と考えて転職を考えている方は、自身の特性やスキルセットがコンサルに適しているかよく考えてチャレンジをした方が良いでしょう。あくまで中長期的なキャリア形成の観点から、コンサルティングファームへの転職が適切か判断することが大切です。

また、転職時の年収交渉でいたずらに年収を釣り上げるように交渉するのは控えることをおすすめします。ここまで書いたように年収水準と求められる役割のレベルが強く結びついているため、年収を上げることによって転職直後のファームの要求レベルについていけず、転職後に自身の評価を下げてしまうリスクがあるためです。

自身が対応可能な役職・年収水準での転職が、スムーズなキャリア形成を成功させるうえでの鍵となります。

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>コンサル転職の対策記事

未経験からのコンサル転職で失敗しない3つの方法 | ニーズを把握して内定確度を上げることが大切
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/consul/difficulty/0427/.html

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このように、プロジェクトとスキルセットの不一致や顧客とのリレーション構築の失敗、高待遇を背景とした役割期待と実績のミスマッチなどさまざまな要因から評価を下げてしまうケースが多々あります。
コンサルティングファームによってもマッチする人材のスキルセット・マインドは異なるため、事前に内情を詳しく知る必要があります。
キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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