経営企画に向いている人(活躍できる人・マッチする人)の特徴

corporate_planning

今回の記事のテーマは経営企画に向いている人(活躍できる人・マッチする人)の特徴です。日系企業と外資系企業では経営企画の位置づけが少し異なりますので、それぞれの企業で活躍できる人の特徴にも触れたいと思います。

【目次】

  1. 経営企画で活躍できる人とは
  2. 経営企画に向いている人(マインド面)
  3. 外資系企業のFP&Aに向いている人
  4. (参考)経営企画のメイン業務と他部門との違い
  5. (参考)経営企画のハードな側面

経営企画で活躍できる人とは

今回の記事のテーマである「経営企画に向いている(活躍できる・適性がある)人」の特徴について、20年以上にわたり、日系上場企業と外資系企業で、経営企画をされてこられた方に実際にお話をお聞きしました。

まずは、経営企画で求められる経験やスキルセットについて、解説したいと思います。
<経験・スキル>
・論理的思考力
・コミュニケーションスキル
・期日管理スキル
・情報収集スキル

経営企画は、経営課題や事業課題を解決するために、データ収集や定性・定量分析の各種分析を行います。また経営戦略を組み立てるのに用いるビジネスフレームワークなどを駆使するための、高い論理的思考力が求められます。経営陣に対してプレゼンテーションをする機会も多く、多忙な彼らに限られた時間内で納得してもらえるよう、論点を外さず要旨にフォーカスして、端的に説明する必要があります。ストーリーを組み立てる際にも、やはり論理的思考力が必要です。いわゆる、ロジカルシンキングといわれるスキルで、書籍や各種セミナーも多くありますが、経営企画では最もベースとなりうるスキルセットですので、磨き続けることが非常に大切です。

経営陣や各現場部門との会議やプレゼンテーションをする機会が多く、傾聴力や情報を引き出す質問力、また本音を引き出す会話力など高いコミュニケーションスキルが求められます。また、取締役会をはじめとする経営会議体の事務局になるケースも多く、会議のファシリテーションや意見対立時における利害調整など、これらのベースになるスキルもコミュニケーション力といえます。
特命事項や新規プロジェクトの業務が加わると、ルーチン業務以外にパラレルで業務を進めなくてはなりません。その時々で業務の優先順位が変わることも多いのですが、部門横断で全社にまたぐ案件が多いため、当初決められた期日を延ばすことを許されるケースはほとんどありません。従って、常に期日よりも前倒しで業務を進め、かつ急きょ特命案件が入った時にはパラレルで対応できるように、各タスクの高い期日管理力が求められます。情報の秘匿性という観点からも、他部門のスタッフにタスクをアサインすることができない性質の業務も多く、そういった意味合いにおいても時間に関する感度が大切です。

経営企画は、各種戦略策定に際し、自社の経営や事業に関するデータ、ターゲットとなる市場や競合の動向などの分析材料となる情報を取捨選択し、それらの情報にどのようにアクセスするのかといった、適切な情報を収集する高いスキルも求められます。必要に応じてコンサルティング会社をはじめ、外部機関に依頼したり、共同で情報収集したりすることもありますが、戦略の組み立てにはすぐに入手できる情報だけではなく、深い洞察(インサイト)をするために、戦略立案の起点となる経営企画のメンバーは情報感度が高く、情報収集力に優れている必要があるのです。

資格について、経営企画で必ず必要なものはありませんが、「簿記」「中小企業診断士」「MBA」「公認会計士」など、会計や経営学の資格を持っているメンバーも比較的多いのが、経営企画となります。経営企画で実務を積み上げて、体系的に経営学を学ぶ、またはその反対で、先に体系的に経営学を学んで、経営企画で実務を積む。習得と定着には個人差があるため、どちらがよいというものではありませんが、不確実な状況で、あらゆる選択肢を検討し、経営陣に説明する機会もあるため、バックボーンとして、これらの資格を持っていることは経営企画の業務の質を高めることにもつながるのではないでしょうか。

経営企画に向いている人(マインド面)

経営企画は会社の経営を左右する戦略策定や投資計画などに携わる中で、秘匿性の高い情報に触れる機会も多いため、専門的なビジネススキルがあるだけでなく、口がかたいことも求められます。中長期視点の業務が多く、すぐに結果が出ないこともありますが、あきらめずにやり抜く強い責任感のある人が向いています。経営陣と現場部門の板挟みになることも多く、精神的プレッシャーもかかるため、健康な身体・強靭な精神力が必要であり、安定的に成果を出すためのセルフマネジメント力も多く求められます。

また経営企画は計画を成功させるための地道な調整業務に取り組みます。各部署の担当者だけでなく、経営陣、社外のステークホルダーといった、計画に関係するほぼすべての人との調整を担うのが特徴です。高いコミュニケーションスキルに加えて、周囲の人を巻き込む魅力・誠実な人柄といった高い人間力も武器となります。

同時に、論理的思考力についても、経営・事業戦略の立案を任せられるレベルが必須です。数字やデータ分析が苦手な人は作業が苦痛になりやすいため、経営企画を目指す前に、必要な知識・スキルを習得し続けられる向上心と学習意欲があるか自分自身に問いかけてみてください。

レポートラインが社長になるケースも多いのが経営企画です。その社長が変われば、経営企画に求められるミッションも一部変わることがあります。これは社長のキャリアバックグラウンドに強く影響を受けるためです。経理財務畑出身の社長、マーケティング出身の社長、営業出身の社長。いずれも、高い成績を残し、社長になっているわけですが、志向性が異なります。売上に重心を置く戦略をとるのか、利益に重心を置く戦略をとるのかなど、戦略策定や経営に示す管理会計、KPIの指標関連の資料内容も変わってくるのです。

ここで求められるのが、柔軟性や受容力です。今まではこうだったと固執していては、経営企画は経営陣の参謀的役割もあるため、高い成果を示すことが難しくなります。

経営企画に向いていない人はこれらの正反対のマインドの人です。
・責任感に乏しい
・セルフマネジメントが得意ではない
・コミュニケーション力に乏しい
・成長意欲が低い
・柔軟性がなく受容度が低い

ビジネススキルの専門性はあるものの上記のようなマインドタイプを持つ人が経営企画に配属されると、長続きしないケースが多いようです。
続いて、日系企業の経営企画にあたる外資系企業のFP&Aで活躍できる人の特徴について触れたいと思います。先述の通り、経営企画に求められるベースのスキルセットやマインドは変わりませんが、FP&Aだけが持つ、日系企業の経営企画とは異なる側面をみてみましょう。

外資系企業のFP&Aに向いている人

FP&Aは(正式名称Financial Planning and Analysis:ファイナンシャルプランニング&アナリシス)「財務計画と分析」を担う職種です。日系企業の経営企画ではファイナンスは業務の一部ですが、FP&Aはファイナンスに重心を置いている点が大きく異なります。「財務分析・予測・計画の策定などの業務を通じて、経営陣の意思決定プロセスに強く関与し、貢献する」ことが最大のミッション。いわばファイナンスのスペシャリストです。

FP&Aは、経営計画に基づいた業績予測、予算編成、予算実績の差異分析を行う点で日系企業の経営企画と類似していますが、大きく異なる点はそれを経営陣の重要な意思決定に役立たせるために行うことです。M&Aや設備投資など大きな事業投資をする際に、決められた期間内で回収しリターンを得られるのか、緻密にシミュレーションして経営陣に提示する役割も、FP&A部門が担います。日系の大手企業であれば、この役割は財務が担うことが一般的です。

以上のことから、日系企業の経営企画で求められるスキルに加え、下記も必要でしょう。

・数値に関する非常に高い感度と精度、分析結果を経営陣の意思決定に寄与するレベルのレポーティング力
・分析結果から得られたインサイトを経営陣に正確に伝え、意思決定にインパクトを与えられるコミュニケーション力
・グローバルレベルで彼らと協同できる高い英語の運用力

FP&Aは外資系企業をはじめ、日系の大手グローバル企業にある部門です。そのため海外本社へのレポーティングや資料作成だけでなく、MTGで英会話力が求められることもあるのです。グローバル本社とのコミュニケーションにおいては「読む・聞く・話す・書く」の四技能のいずれにおいても、高いスキルが求められます。

FP&Aの最大のミッションは「経営陣の意思決定をサポートする」ことですが、ただ単に、求められた分析結果を経営陣に示すだけではありません。企業価値をさらに高めるために、「自分ならこうする」という主体的な見解が求められます。

その他プレゼンテーション力・対人理解力なども高い水準で求められるのが特徴です。

(参考)経営企画のメイン業務と他部門との違い

経営企画は企業の中で、他部門と違い、特殊な側面もあるため、この点も簡単に説明します。
企業によって経営企画の職務内容は異なりますが、大きく大別すると、メイン業務は下記になります。

・中期経営計画の策定
・全社予算編成と管理
・全社組織編成
・事業開発(M&Aやアライアンス)
・経営会議体(取締役会や経営会議など)や各種プロジェクトの事務局

これらの対応領域を見て、どのように感じるでしょうか。非常に領域が幅広いと感じる方が多いと思います。

経営企画が他部門と異なる少し特殊な側面を考察してみます。

①業務の対応領域が非常に広く、様々なスキルセットが求められる
②全社視点で、かつ、現在を起点に未来に向けた計画づくりが多い
③経営トップである社長をはじめ、経営陣との接点が非常に多い
④経営計画、予算、組織編成を担うため、事業の一部ではなく、事業領域すべての深い理解が求められる
⑤予算や会議体の事務局において、意見のすり合わせなど、高い調整能力が必要

企業の中にフロント、バックオフィスと様々な部門や部署があり、上記のいずれかが必要な部門や部署はありますが、これらすべてが求められるという点において、特殊性があるといえるのではないでしょうか。

企業の中で高い実績をあげたエース級の人材が経営企画に集められ、そこで視野を広げ、スキルを磨き、経営企画の部長や役員を経て、社長になるケースも多いです。経営企画の特殊性に対応するための専門性や広い視野、全社のコントローラーとしての調整力を備えていることが、経営層への登竜門になっているひとつの背景です。

以上のことから、経営企画は花形部門といわれることも多いですが、少し視点を変えてハードな側面にも触れてみたいと思います。

(参考)経営企画のハードな側面

会社の将来を左右するため、幅広い高度な知識と能力が必要

例えば、中長期の経営戦略を策定するためには、簡略化すると大きく3つの工程があります。自社や競合、顧客の「3C分析」、事業を成長させるための手段であるM&Aや事業提携などの「事業開発」。そして、それらを実行した時にどの程度の売上利益になるのかという「財務計画」です。つまり、この経営戦略の策定のケースでも、戦略や計画をつくるにあたり、様々な深い知識と能力が求められ、ひとつの能力を高めるだけでは経営企画の業務をこなすことが難しいのです。

経営陣と現場との板挟みになることが多く、精神的なタフさが求められる

予算策定は経営陣と現場との板挟みになる代表例です。多くの経営陣は会社の企業価値向上の観点から、毎年、より大きな売上利益を志向します。一方、顧客フロントである営業部門は売上に関しては自部門の評価にも直結するため、かなり保守的な計画になりがちです。利益に関しても、人材採用や広告宣伝費など、売上拡大に寄与する経費予算は多く獲得したいという意識が働きますので、結果、利益は減少します。経営陣も現場部門も売上利益を拡大したいという気持ちに変わりはないのですが、そのストレッチの度合いにひらきがあることが多く、経営企画が間に挟まれ、強いプレッシャーを受けることも少なくありません。
経営陣からは「経営視点で動きなさい」と言われ、現場部門からは「経営陣の言いなりで、現場がまったくわかっていない」と言われることも多々あります。

常にあらゆるものへの情報感度を高くし、幅広い知識を習得し続ける必要がある

経営や会計に関する知識はもちろん、M&Aや組織再編など、非常に幅広い知識と最新の情報を自身でアップデートすることが求められます。管理会計や統計学に加え、マーケティングや人事の知識も必要なため、総じてハードワークになりやすいのが経営企画です。週末の土日を使って、書籍やセミナーなどで、新しい情報をインプットしたり、自身の弱い部分を補強したりといった、継続した学びが必要となります。企業によっては中小企業診断士、簿記、MBAなど、資格取得を求めることもあり、経営企画の特にジュニアポジションのメンバーは日々勉強漬けという表現も遠からずあたっていると思います。

業務の優先順位が変わることが多く、高いセルフマネジメント力が求められる

経営企画は経営陣からの「特命事項」を担うことがあります。例えばM&Aです。上場企業であれば、M&Aは自社の株価に大きな影響を与えるため、いわゆる、インサイダー情報となります。M&Aはいろいろな形で最初のご縁ができるのですが、企業のトップ同士が意気投合し、一緒になるケースもあります。こういった場合は正しく、特命事項となります。経営トップから招集がかかり、経営企画の責任者と一部のメンバーだけに情報が開示され、水面下で、相手企業の調査や分析、交渉を進めます。M&Aはある意味、結婚と性質が似ており、タイミングも重要です。お相手がいますので、スケジュールも自社の都合だけでは決めることができません。統合予定日が決まれば、そこから逆算して、経営企画は様々な業務を遅滞なく進める必要があります。このように、定例の業務が進行している中、特命事項が入れば、業務の優先順位が変わったり、本来の業務スケジュールよりも前倒しで、特命事項前の仕掛の業務を仕上げたりしなければなりません。タスクの期日管理能力はもちろん、有限の時間をコントロールし、パラレルで複数業務を遂行する高いセルフマネジメント力が必要となるのです。

=================

>経営企画に関する記事

経営企画部の仕事は本当に「花形」なのか?【生の声】 https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_real

コンサル出身で活躍できる経営企画(業務)、できない経営企画(業務)の違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consultant_to_corporateplanning

経営企画部の業務に役立つ「資格」とは【おすすめの理由と実用方法・事例付き】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanninglicence

=================

今回の記事では、経営企画に向いている人(活躍できる人・マッチする人)の特徴についてお伝えしました。
経営企画やコンサルティングファームへのキャリアをお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×