インフラ系エンジニアとDX領域のエンジニアの違い【転職後に気を付けるべきこと】

直近デジタル領域のアジェンダに対応できる人材のニーズが高まっており、特にSIerのインフラ系エンジニアの方からも「同領域の新しいケイパビリティを身に付けたい」というご相談をいただくケースが増えてきました。

そこで、今回の記事では、インフラ系エンジニアがAI・機械学習などの新技術に携わるDX領域のエンジニア(AI・機械学習やデータサイエンティスト、DX導入コンサルも含む)へキャリアチェンジする際のポイントや、両者の違いなどについて、事例などを参考に解説します。

【目次】

  1. キャリアチェンジ成功のためのヒント:(事例1)AIチャットボットによる社内業務改革のケース
  2. キャリアチェンジ成功のためのヒント:(事例2)RPA導入による社内定型業務改革のケース
  3. (参考)インフラ系エンジニアとDX領域のエンジニアの仕事内容の違い

キャリアチェンジ成功のためのヒント:(事例1)AIチャットボットによる社内業務改革のケース

AIチャットボットを導入し、新しいデジタル技術を活用して、新しいサービスを生み出すと同時に、社内の業務や組織の改革などを行う例を解説します。

<AIチャットボットの仕組み>

AIチャットボットは、コンタクトセンターなどでのAIを活用したチャット上でのロボットによる自動応答システムです。業務改革を可能にするAIツールの代表的なものです。

例えば社内の人事コンタクトセンターなどに導入し、最初の問い合わせで前さばきをすると同時に、24時間365日の対応が可能となり、人員削減の効率化などを含めた業務改革が図れます。具体的には、既にあるFAQなどのデータを使い、データの分析と活用を行い、チャットボットでの自動応答を行います。そのバックエンドで人による対応を行います。

<AIチャットボット適用の仕事の進め方>

AIチャットボット適用では、DX領域のエンジニアは、既存のFAQデータを元に回答パターンなどの分析を行い、AIであるアルゴリズムや機械学習の適用により、AIチャットボットの回答の正答率を上げていきます。しかしAIはもちろん人間と同能力はないため、正答率は100%になりません。またこの答え方ならば、100%の回答ではなくても質問している人間は理解可能、などの判断も必要です。最終的には80%の正答率でよし、とするのか、75%の正答率でよしとするのか、などの判断も必要です。

このようにAIチャットボットの適用の場合、ゴールとしてAIを適用すると正答率が○○%になる、などと最初から分かっているわけではありません。アジャイル的なアプローチで試行錯誤を繰り返しながら、AIを適用していく必要があります。

<キャリアチェンジ成功のポイント>

インフラ系エンジニアの仕事の場合、具体的な仕事の進め方と、この結果に至れば結果はOKという、明確なゴールがありますが、DX領域のエンジニアの仕事の場合、データ分析を行いながら試行錯誤での進め方が必要で、結果の判断についても総合的な判断が必要です。

インフラ系エンジニアからすると結果達成の明確な目標数字がない、など受け入れにくいかもしれません。

しかし、この方法によって、AIチャットボットの導入が実現し、社内業務の改革という、より大きな結果をもたらします。AIチャットボットの導入により、人事コールセンターの人員を減らすことができます。減らした人員を人事の本来の業務である、人事制度改革などに向けることができます。またサービス時間が24時間365日に増えるなど、サービス向上が図れます。さらにAIチャットボットとユーザーとの対話がデジタルログデータとして取得できるようになるため、分析をすることによって、今後のサービスの向上に繋がります。

キャリアチェンジ成功のためのヒント:(事例2)RPA導入による社内定型業務改革のケース

RPAを導入し、新しいデジタル技術を活用して業務の効率化を図ると同時に、社内の業務を変革し、組織の改革などにも至る例を解説します。

<RPAの仕組み>

RPAはRobotic Process Automationの略称です。ロボティクスですがAIとは異なります。RPAは予測や分析などを行うのではなく、決まった定型業務をミスなく的確に自動で行うというところに特徴があります。

例えばサイト上の、あるデータをcsvでダウンロードし、それをエクセル化してマージし、決まったフォルダに格納する、などの定型的な業務で、量が多い場合、RPAの適用対象業務となります。このような複数の定型業務にRPAを導入し、自動化することにより、人手で長時間をかけて行っていた業務が自動化され、コスト削減や、業務の改革に繋がります。

<RPA導入の仕事の進め方>

RPAの導入では、各種業務が、まずRPAの適用対象業務かどうかを判断する必要があります。そのためには業務の流れを詳細まで把握する必要があります。その上で業務ごとにRPA適用の可否を判断し、全体への適用を検討し、導入の効果がでるか否かを判断する必要があります。

この事前の業務の把握と、適用の判断が非常に重要で、またスキルも必要です。この部分はデジタルツールなどで一気に行うことはできず、一つ一つ人分析していく必要があります。

適用対象業務の範囲が決まったら、プロトタイプ的に適用しどの程度の効果が出るか検証していきます。これによりRPAが適している業務、適用できない業務、などが徐々に判明していきます。そしてRPAの適用できる業務範囲を見直しながら、全体への適用判断の可否を行います。

このように、RPAの導入の進め方は、アジャイル型と言われる、トライ&エラーを繰り返しながら進めて行く手法をとります。

最初に適用範囲を確定させて、一気に進めるのではなく、適用対象を逐次見直しながら最適な適用を目指します。

<キャリアチェンジ成功のポイント>

インフラ系エンジニアの仕事の場合、通常工程を戻ることは想定にありません。最初に決められた工程にそって、着実にインフラシステムを構築していきます。

ところがRPA導入は、進め方が全く異なり、工程を戻ることを前提としたものになります。エラーが出たり、性能や効果が出ないことも想定した上で、対象業務に導入してみて、やはり導入効果が出ないようであれば、導入対象を見直し、やり直し、再度進めて行きます。このことによって結果的には全体に大きな効果をもたらします。

インフラ系エンジニアからすると最初から設計をするべきであり、あと戻りをし前提を見直すこと、などは受け入れにくいかもしれません。

しかし、この方法によってRPAの導入が実現し、定型業務の自動化が可能になります。コスト削減に加え、減らした人員を他の主要な業務に向けることができ、社内業務や組織の変革に繋げることができ、企業としてより大きな結果に繋がります。

(参考)インフラ系エンジニアとDX領域のエンジニアの仕事内容の違い

インフラ系エンジニアの仕事内容

インフラ系エンジニアは、通常ハードウェア、OS、ミドルウェアなどのコンピューターシステムの環境と言われるインフラの仕事に携わります。

具体的には、ハードウェアについてはサーバー・ストレージ・ネットワークなどの機器の選定、構成の設計、性能見積もり、運用などを行います。

OSについては構成の設計、インストール、性能のチューニング、運用などを行います。

ミドルウェアは代表的なものとして、近年非常に多くなっている仮想化環境があります。例えばひとつの物理的なサーバー上に複数の仮想サーバと言われるOSなどを実現するものです。システムの負荷に応じて仮想サーバーを増減したり、リソースの調整などを行います。

DX領域のエンジニアの仕事内容

一方で、DX領域のエンジニアの仕事は、代表的なものとして、AI・機械学習エンジニアやデータサイエンティストなどがあげられます。いずれもデータを中心としたエンジニアリングを行います。AI・機械学習エンジニアリングはディープラーニングや機械学習と言われる手法を使います。一般的には大量の画像や業務などのビッグデータを、学習データと呼ばれる教師データで学習し、画像を認識したり、業務データの予測を行ったりします。そのためのアルゴリズムの作成やコーディングを主にPythonと言われる言語を使って行います。

データサイエンティストは、特に企業の業務データの分析などを行い、膨大にあるデータの種類の中からどのようなデータの分析を行えば企業にとって意味のある分析結果になるのか、などのデータ分析を統計学なども使いながら行います。また、その有益な意味のあるデータをAI・機械学習など使ってさらに分析・予測などを行い、企業の利益に結びつけます。

仕事内容の違い

<技術的な違い>

インフラ系エンジニアの仕事では、既存の確立された技術をベースに、新しい技術を加えて、インフラの構築・運用などを行います。

DX領域のエンジニアの仕事では、全くの新しい技術をベースに、適用先も確立されていない中で、フィットする適用先を探索しながら技術を適用していくことが必要になります。

<仕事の進め方、ゴールの違い>

インフラ系エンジニアの仕事は、ゴールが最初から決まっており、進め方として、いかに効率的に、いかに障害が少なく、信頼性が高いITシステムのインフラを作るかが重要です。

DX系エンジニアの仕事は、元々明確なゴールが決まっていません。進め方として、まず解決すべき課題の設定から始まります。課題が仮に最初からあったとしても、解決するための具体的な進め方は決まっていません。AI・機械学習などの技術を使いながらアジャイル型で進め、設定したゴールに近づきます。ゴールについてもそれでよいか再評価を行います。

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今回の記事では、インフラ系エンジニアがAI・機械学習などの新技術に携わるDX領域のエンジニア(AI・機械学習やデータサイエンティスト、DX導入コンサルも含む)へキャリアチェンジする際のポイントや、両者の違いなどについて、事例などを参考にご紹介しました。

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