コンサル未経験のマネージャーがよくぶつかる壁と対処法

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昨今、コンサルティング業界は活況であり、各ファームは積極的に採用を進めています。それに伴い、コンサルティング未経験者の採用も活発化しており、若手クラスの採用が多い一方、マネージャークラスにおいても未経験者の採用が増えています。
しかし、事業会社とコンサルタントとしての仕事の仕方は異なる部分が多く、未経験者は入社当初、困惑するケースが散見されます。特にマネージャークラスは、コンサルタントとして経験を積んできたメンバーをマネジメント・教育する立場となるため、一層の苦労をすることがあります。
それでは、コンサルタント未経験のマネージャーがよくぶつかる壁とその対処法はどのようなものがあるのでしょうか。今回の記事では、その主なポイントをご紹介します。

【目次】

  1. <スピード>プロジェクトデリバリーのスピード感
  2. <スキルアップ>プロジェクト開始前のキャッチアップ
  3. <マインド>自分自身が商品であること
  4. <マインド>成果主義の環境への適応
  5. <仕事の品質>ロジックの緻密さ
  6. <仕事の品質>成果物(資料)に対するこだわり

<スピード>プロジェクトデリバリーのスピード感

多くの未経験者が驚くのは仕事のスピード感です。例えば、事業戦略の見直し/立案のプロジェクトは、一概には言えませんが3か月間で行います。それは初期的な仮説検討から検証までの調査・分析、仮説のブラッシュアップ、収益シミュレーション、資料作成・提案などまでを含みます。そのため、各工程の期間は大変短いのです。加えて、クライアントとの見解相違などが発生すれば修正・やり直しも発生し、よりスケジュールがタイトとなります。

若手クラスが作業レベルで困ることはもちろんですが、マネージャークラスはそれを理解した上で、うまくマネジメントする立場でいなければなりません。スピード感のコントロールが非常に重要であり難しいポイントです。いくら良いものを仕上げようとしてもプロジェクトが遅延してしまっては台無しです。

では、どうすれば良いのでしょうか。まずは事前にプロジェクトで行う作業工程と各工程における成果物のイメージを、詳細に把握しておくことが大切です。プロジェクトを立ち上げる際に、提案に携わったマネージャークラスが誰かを知り、事前にヒアリングすることが有効です。その際、過去の類似プロジェクトの成果物サンプルや調査・分析のワークファイルも見せてもらい、具体的なイメージを掴んでおきましょう。

また、仮説検討や調査については自分で先んじて少しやってみることもおすすめです。何の準備もなく同時にスタートすれば、経験を積んでいる若手クラスと大差ない、もしくは劣ってしまう検討・調査結果になりかねません。そのため、事前に着手しておくことで勘所を把握しておき、その勘所に従って重点的にプロジェクト内で作業・検討することで品質・生産性ともに高めることができます。

<スキルアップ>プロジェクト開始前のキャッチアップ

コンサルタントは様々な業界に対して、多様なソリューション(戦略、組織/業務改革、IT・デジタルなど)を提供します。それは特に総合系コンサルティングファームでは顕著であり、前回までは小売業界のプロジェクトを担当していたとしても、次回は全く別のBtoBのリース業界のプロジェクトを担当することもあります。

それが日常茶飯事であるため、1つの業界・部署・職種に長く携わることになる事業会社出身者などは困惑し、プロジェクトの立ち上がり時に出遅れてしまうことがあります。
では、業界やクライアント企業に対するキャッチアップはどのように行うべきなのでしょうか。まずは体系的な知識を身に着けるために、業界についてまとめられた書籍を数冊読んでみることをおすすめします。1冊のみを読み込むだけでは、著者や情報源が限られ、知識に偏りが出てしまうため数冊を読みましょう。そして、ニュースアプリや新聞などから最新の情報を仕入れていきます。

次に、クライアント企業について深掘りします。IR関連資料は一通り目を通すべきです。特に現在の事業戦略の内容はどうなっているか、それに照らすと直近の結果はどうだったのか、どのような原因があったのかを把握します。そして、IRに留まらず、業界同様にニュースアプリや新聞などからクライアント企業のことを検索し、情報収集をします。どの部署の、誰がカウンターとなるのか、誰がプロジェクトオーナーとなるかもわかっている場合は、その方の名前でも検索をかけます。ビジネス記事に取り上げられ、その方がインタビューを受けていることもしばしばあるためです。

上記の様にインプットすることはとても大切ですが、それを自分の頭で整理してアウトプットすることで効果が増します。仕入れた情報についてメンバーと話してみたり、資料にまとめてみたりすることで知識を自分のものにしていくことができます。

<マインド>自分自身が商品であること

事業会社と大きく異なる点は、会社が提供する商品/サービスは存在せず、自分が顧客を理解し、課題を紐解き、効果的な打ち手を検討・実行することが全てであるということです。
商品の仕様や性能、パッケージ化されたサービスに一切頼ることがありません。プロジェクトのミッションに対して、クライアントの期待値をいかにコントロールし、それを超えていくかが勝負です。そのため、常にプロジェクトの動向を読み、クライアントの思いを汲み取り、正しいと思える解を導き出すことが必要です。正しいかどうかは、そう言える明確なロジックがあるか、それをクライアントが聞いて納得するかがキーとなります。
定められた商品やサービスを提供するビジネスではないため、仕事の品質は誰でもなく自分の責任であることをまずは理解しておくことが大切です。

<マインド>成果主義の環境への適応

例えば、日系事業会社出身の人は、年次が上がるにつれて役職や担当する業務のレベルが高くなる環境であることが多いです。

一方、コンサルティングファームにおいては、年次は関係せず、プロジェクトでのパフォーマンスや自分の売上金額、チームマネジメント実績などで評価されます。
特にマネージャークラスでは、自ら機会を創出して提案し、プロジェクトを受注してきたか、どれだけの規模(人数)のチームをマネジメントしてきたかが評価のポイントとなることが多いです。

そのため「日々のワークをしっかり回していけば評価されるはず」という考えがあると、定期的な評価時期には毎度不満が溜まってしまうことになります。特に、マネージャーにとってはプロジェクトをしっかり回すことは当たり前に求められる価値です。その上で、自分がマネジメントするチームをいかに拡大するかが重要です。

そのため、常にプロジェクトデリバリーの中で提案の種がないか(解決すべき課題がないか)などアンテナを張っておく必要がありますし、アンテナに触れればすぐにアクションを起こし、チャンスをものにしていく必要があります。

<仕事の品質>ロジックの緻密さ

コンサルティングファーム以外の会社における意思決定などに対するロジックが曖昧だと言うつもりは全くありませんが、コンサルティングファームにおけるロジックに対するこだわりはやはり大変強いです。
結論や示唆が明確でありスタンスを取っているか、なぜその結論や示唆を示すことができるのか(根拠)について徹底的に議論します。
少しでも矛盾や曖昧な点があるならば、それを解消するために、もしくは異なる案を提示するために議論・調査・分析を繰り返すことが大切です。
ロジックに対するこだわりの違いが未経験マネージャーと経験者の間で顕著であることが散見されます。そうなると未経験者はロジックが曖昧であることについて詰められ、対処しきれず、自信を失ってしまうかもしれません。

そうならないためには、やはり最初から覚悟を持って臨むこと、自問自答を繰り返すこと、話しやすいメンバーを見つけて壁打ち相手になってもらうことが有効です。自問自答については、ベタではありますが、”Why so?” “So what?”を自分が出した結論や示唆に対して問い、様々な観点(経営層、現場、顧客視点など)から確からしい答えを出せるかを検証します。そして、その検証結果を口に出して誰かに伝えてみます。実際にアウトプットしてみると、曖昧な点に気付いたり、違和感を覚えたりするものです。
それらを繰り返し行うことで自分の思考力を磨いていくことをおすすめします。

<仕事の品質>成果物(資料)に対するこだわり

コンサルタントの成果物は主に資料であることが多いです。もちろん、コスト削減プロジェクトなど、いかにコスト削減がなされたかという定量的な成果で図ることができる場合もありますが、調査・分析・検討した結果を資料にまとめて報告することが多いです。
何をメッセージとして記載するか、端的で解釈が揺らぐことがない表現となっているか。メッセージを裏付ける、もしくは詳細説明ができるボディとなっているか、必要なことを無駄なくわかりやすく書き切れているか。PowerPointであればオブジェクトの統一性・色使い・整形に問題はないか。資料1ページに対して強いこだわりを持って、1つひとつのポイントを確認しながら作成し、クライアントへ納品します。

未経験マネージャーは上記のこだわりを理解した上で、自分が資料を作れること、部下の資料の品質管理ができることを求められますが、これらを高いレベルで実行することができず、上長やクライアント、部下から叱責されるケースがあります。

対策としては、完成度の高い資料を何度も見て、真似てみることが近道です。ただインプットするだけでなく、自分が作りたい資料があるときに、過去に見た完成度の高い類似資料はどうだったかを見直し、それに倣って作ってみる。これを繰り返していくと、完成度の高い資料作成スキルを自分のものとして身に着けることができます。
インプット⇒アウトプットを繰り返すことで資料作成レベルも向上させることが可能です。

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コンサルティングファームは短期間で多くのことを品質高く仕上げていくことが求められるため、一定の対策が必要です。
今回の記事では、その主なポイントをご紹介しました。コンサルのキャリアについてお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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