SAPコンサルタントの将来性|2027年問題以降を見据えたキャリアを解説

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SAPコンサルタントを目指す方は、今後の将来性や業界動向に対し、強い関心をお持ちと思います。

今回はSAPコンサルタントの将来性、特に2027年問題以降を見据えたキャリアを解説します。

【目次】

  1. SAPとは
  2. SAPコンサルタントとは
  3. SAPコンサルタントのキャリア
  4. SAPコンサルタントのメリット/デメリット
  5. SAP未経験者/コンサルタント未経験者がSAPコンサルタントになるには
  6. SAPコンサルタントの将来性

SAPとは

SAPとは、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの一種で、企業のヒト、モノ、カネといった基幹資源を一元的に管理できるため、基幹システムと呼ばれることもあります。
SAPは様々な情報を管理できるシステムですが、モジュールという概念が存在しシステムの一部のみ使用することも可能です。モジュールの代表例としては、FI(財務会計)、CO(管理会計)、SD(販売管理)、MM(在庫購買管理)、PP(生産計画)などがあり、会社の部署と似たような区分となっています。(財務会計、管理会計:経理部、在庫購買管理:購買部など)

SAPは元々会計システムとして作られた背景があるため、会計分野の標準機能が非常に豊富です。会計処理は各社にとって非常に重要であるため、世界中の企業でSAPが使用されています。Forbes Global 2000に選出された企業の9割以上がSAP社の製品を使用しており、日本を含め多くの有名企業でSAPが採用されているといえます。

SAPコンサルタントとは

SAPコンサルタントとは、SAPを基幹システムとして導入するもしくは運用している企業を支援する人材のことを指します。
SAPコンサルタントは大きく分けて、
①開発
②アプリ
③基盤
④PMO
に分類することができます。それぞれの役割は以下の通りです。

①開発:SAPの標準機能では実現できない要件や他システムとのインターフェースを構築する際、クライアントと合意した要件に基づきプログラムを開発する人材(開発するプログラムをアドオンプログラムと呼びます)

②アプリ:カスタマイズと呼ばれるパラメーター設定を理解し、SAPでどのような操作が可能か理解することで、クライアントへSAP標準機能の説明、アドオンプログラムの要件定義、基本設計書の作成、テストを実施する人材
※SAP標準機能およびパラメーター設定は非常に複雑なため、モジュール毎に専門のコンサルタントが存在します。(FIアプリコンサルタント、SDアプリコンサルタントなど)

③基盤:SAPを使用するための環境構築などインフラ関連の設定を担う人材

④PMO:SAPを導入する場合、どのようなスケジュールで何を実施するべきか提案し、クライアントと合意した内容に沿ってスケジュールに遅れが出ないようプロジェクトマネジメントを行う人材

SAPで使用されるABAPという開発言語やカスタマイズと呼ばれるパラメーター設定は非常に複雑です。
システムを導入しようとする会社のIT人材のみで賄うことは難しいため、SAP導入時にはSAPコンサルタントが必要とされます。

SAPコンサルタントのキャリア

SAPコンサルタントは、開発、アプリ、基盤いずれかの領域のタスクを担うところからスタートします。SAPは1モジュール理解するためには、おおよそ3年必要と言われており、どの領域×モジュールを選択した場合でも、1人前のSAPコンサルタントになるには3年程度必要です。複数モジュールに対して知見を獲得することで、SAPコンサルタントとしての市場価値が上昇します。

またコンサルティングファームでは、大手、中小問わず、アナリスト、コンサルタント、マネージャー、シニアマネージャー、ディレクターという職位が存在します。それぞれの職位で求められる役割は、以下の通りです。

アナリスト:マネージャーもしくはコンサルタントから依頼されたタスクを正確かつ素早くこなすことが求められます。SAPプロジェクトでは、アドオン開発した機能が要件通りになっているかのテストや標準機能の仕様確認などを担当します。

コンサルタント:チームリードとして、アナリストのタスク管理をしつつ、マネージャー以上の職位から依頼されたタスクを素早くさばくことが求められます。SAPプロジェクトでは、クライアントとの要件検討、タスクのスケジュール管理、アナリストと同様に開発物のテストなどを担当します。

マネージャー以上:プロジェクトのリードとして、必要なタスクの洗い出し、リスクの予見、クライアントとの折衝等幅広い業務を担当します。SAPプロジェクトにおいては、提案書の作成、デリバリースケジュールの策定、コンサルタントやアナリストの作成物レビューによる品質担保などを担当します。

職位があがるまでの期間はおおよそ3年程度ですが、実力主義のため、1年で昇格するケース、5年昇格しないケースなど様々です。年功序列ではないため、自分の仕事ぶりに応じた責任、タスク、年収を得たいと考えている方には最適の職場といえます。

SAPコンサルタントのメリット/デメリット

SAPコンサルタントのメリットは、案件の多さ、年収の高さです。
SAPには2027年問題と呼ばれる課題が存在します。多くの企業で採用されているSAPですが、いくつかバージョンが存在し、その中でも「SAP ERP 6.0」の保守期限が2027年の年末となっています。そのため、該当バージョンを使用している企業は、S/4HANAと呼ばれる最新バージョンへリプレイスまたは他システムの導入をする必要があります。

SAP導入/リプレイスプロジェクトは1年以上期間を要することが多いため、2027年の保守期限に向け、多数のSAP案件が存在する状態となっています。そのため、多くのコンサルティングファームでは、SAP案件はあるもののSAP人材が不足しており、案件を受注できないケースが散見されます。

コンサルティングファームに転職した場合、案件アサイン時にスキル面談が存在します。SAPのスキルを保持している場合、案件が非常に多いため苦労することなく、自分が所属するプロジェクトを見つけることが可能です。

また年収はおおよそ、アナリスト:500-600万程度、コンサルタント:600-900万程度、マネージャー以上:1,200万以上と非常に高い金額となっています。

SAPコンサルタントのデメリットは、システム稼働前後の負荷の高さおよびSAP以外のシステムに触れる機会が限られてしまう点です。SAPプロジェクトには、要件定義フェーズ、開発/テストフェーズ、データ移行/稼働前準備フェーズ、運用保守フェーズが存在します。
各フェーズの主なタスクは、以下の通りです。

要件定義フェーズ:SAPの標準機能の説明、クライアントの現行業務フローの確認および今後のフロー検討、アドオン機能の要件認識合わせ、クライアントの要件に合わせたパラメーター設定など

開発/テストフェーズ:要件定義フェーズで合意した内容に基づいたアドオン機能の開発、開発した機能の単体テストや結合テストなど

データ移行/稼働前準備フェーズ:システム稼働に向け、現行システムからのデータ移行やリスクの洗い出し、課題対応など

運用保守フェーズ:導入したシステムの障害対応、問い合わせ対応、仕様変更対応など

特に、システム稼働1、2か月前からシステム稼働後1、2か月は、タスクが多くなるため、プロジェクトによっては月80-100時間程度の残業が発生するケースもあります。繁忙期でない時期に代休や有給を取得しやすい環境とはいえ、負荷が非常に高い時期がある点は考慮すべきです。

また前述の通り、SAPプロジェクトの案件が非常に多いため、一度SAPプロジェクトにアサインされた場合、次回以降もSAPプロジェクトにアサインされる可能性が非常に高いです。そのため、SAP以外のシステム導入プロジェクトや経営課題の検討を行う戦略案件へのアサインがされにくい状態となります。

SAP未経験者/コンサルタント未経験者がSAPコンサルタントになるには

SAP未経験者がSAPコンサルタントを目指すためには、現職で得た業務知見の活用および資格取得が有効です。例えば、経理部として勤務している場合、通常の会計処理、月次決算処理、年次決算処理、連結会計など会計の業務フローを把握することができます。

前述した通り、要件定義フェーズでは、業務フローの検討も行うため、FIアプリコンサルタントとして会計の業務知識は必要です。そのため、現職の業務がどういった背景でどのような処理をしているのかを把握することが、コンサルタントへの第一歩となります。また、SAPのFIアプリケーションコンサルタントを目指す場合、簿記3級や簿記2級、SAP公認資格を取得することで、ある程度の会計知識やSAPの仕様を把握することができます。

経理経験やSAP使用経験がない場合でも、これらの資格を取得することで、コンサルティングファームへの転職および転職後のプロジェクトへのアサインのし易さにつながります。

SAP経験あり/コンサルタント未経験者がSAPコンサルタントを目指す場合、自走力およびコミュニケーション能力を高めることが有効です。事業会社での業務であれば、業務フロー、操作マニュアルが存在し、それらに沿って業務を行うことが主なタスクとなります。ただ、コンサルティングファームに転職した場合、クライアントが抱えている課題に対して、どのように解決するかを提案する必要があります。

この作業は定型作業ではないため、チームメンバーと共に対応策を検討した上でクライアントとコミュニケーションを取らなければなりません。またSAPプロジェクトでは、アプリ、開発、基盤など様々な領域のメンバーが参画するのが特徴です。社内のコミュニケーションも多々発生するため、コミュニケーション能力がプロジェクトを遂行するうえで重要な要素となります。

SAPコンサルタントの将来性

2027年問題を背景に、現状SAPプロジェクトが多数ある状況は前述の通りです。2028年以降ですが、
①SAP運用保守人材
②SAP新製品の登場、既存製品のバージョンアップ対応人材
③SAPを新たに導入する企業のサポート人材
が引き続き必要となるため、SAPプロジェクトの案件数が多い状態が続くことが予想されます。

また、SAP導入プロジェクトを経験することで、要件定義-運用保守の一連の流れを把握することができるため、プロジェクトマネジメントの知見を得ることができます。この知見はSAPに限らず生かすことが可能なため、今後のキャリアに非常に有用となります。
基幹システムに興味がある方、コンサルティングファームに興味がある方、自走力やコミュニケーション能力が高い方は、一度SAPコンサルタントという職種を考えてみてはいかがでしょうか。

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>SAPコンサルのキャリアに関する記事

“SAPエンジニア”から”SAPコンサル”に転職して得られる視点・経験
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/sapse_sapconsul

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今回は、SAPコンサルタントの将来性についてお伝えしました。

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