戦略コンサル経験後のキャリアパス【事業会社(企画/経営・M&A)、PE・VC】

今回の記事では、ポスト戦略コンサルティングファームとして、戦略コンサルティングファームを経験された方々がどのようなキャリアパスを歩んでいるのか見ていき、それぞれの道で必要となるスキル/経験、転職するメリット/デメリットについて解説します。

【目次】

  1. 総論:ワークライフを保つなら事業会社、よりキャリアの幅を増やしたいならPR/VC等が選択肢
  2. ケース①:事業会社・ベンチャー(企画部門)への転職
  3. ケース②:事業会社・ベンチャー(経営企画・M&A部門)への転職
  4. ケース③:PE・VC・投資銀行への転職

総論:ワークライフを保つなら事業会社、よりキャリアの幅を増やしたいならPR/VC等が選択肢

ポスト戦略コンサルティングファームのキャリアパスは、起業を除くと大きく三つに分けられます。一つ目は事業会社・ベンチャー(企画部門)に参画するケース、二つ目は事業会社(経営企画・M&A部門)に参画するケース、三つ目はPE・VC・投資銀行に参画するケースです。

基本的に、事業会社へ転籍する場合、比較的ワークライフを維持しながらキャリアステップを図れる一方で、PE/VC等へ転籍する場合はよりキャリアの幅を広げられる/自身のバリューを最大化できる可能性は高まります。

以下から、ケースごとに解説します。

ケース①:事業会社・ベンチャー(企画部門)への転職

戦略コンサルティングファームからの主なキャリアパスの一つとして、事業会社・ベンチャー(企画部門)への転職が挙げられます。

企画部門の中でも、既存事業のグロースを担う事業責任者/事業責任者候補としてキャリアを積む方と、新規事業開発の事業責任者候補としてキャリアを積む方に二分されます。肌感覚で言うと、企画部門に転籍される中で8割程度が前者、2割程度が後者に流れる印象です。

割合が偏る背景としては、もちろん採用枠自体が前者の方が多いこともありますが、それぞれのポジションで求められる経験/スキルも異なることが要因として挙げられます。

まず、前者の既存事業のグロースを担う事業責任者/事業責任者候補のポジションで求められる主要なスキル/経験として、プロジェクトマネジメント能力が挙げられます。

既存事業、もしくは会社の位置付けとしては新規事業であるものの、既に立ち上がっておりこれから短期間で事業をグロースする段階の場合、人的リソースが投下された状態の中で、いかにチームメンバーを巻き込みながら目標に向かって進めるかが問われます。

戦略コンサルティングファームの経験者の場合、進むべき道を論理/理屈を持って示すことが得意です。そのため非常に転職先から重宝されます。
一方で、周囲の非均質的な人材を巻き込むことがチャレンジングな側面となります。事業会社/ベンチャー企業は、様々なバックグラウンドを持つ人材がいる反面、悪い言い方をすれば人材の質がまばらであるため、戦略コンサルティング時代に当たり前に行っていたことが通用しなくなることも往々にしてあるためです。

次に、後者の新規事業開発の事業責任者候補のポジションで求められる主要なスキル/経験として、プロジェクトマネジメント能力に加え、社会人としての総合力が挙げられます。
新規事業を転職先のリソースを主軸に創出する段階の場合、プロジェクトマネジメントの前段階、例えば、社内リソースの把握(現状把握)、新規事業仮説の導出、連携先企業との折衝、仮説検証(PoC等の実施)、経営陣への答申、社内リソースの確保等、様々な業務を1人でこなす必要があります。

そのため、戦略コンサルティングファームの経験者の場合、現状把握や連携先企業との折衝、仮説検証、経営陣への答申等は、非常に転職先から重宝されるスキルです。
一方で、新規事業仮説の導出は、戦略コンサルティングファームでの経験を多少は活かせるものの、使う頭/観点が異なる上に一定以上のビジネスセンスも必要であるため、こちらはチャレンジングな側面です。

事業会社・ベンチャー(企画部門)へ転職するメリットは、事業を自分事化でき分かりやすい成果指標を得られることが挙げられます。ただし戦略コンサルティングは永久的にクライアント先の褌で相撲を取らなければならず、クライアントの成果はダイレクトに戦略コンサルタントの成果には繋がりません。

しかし、事業会社・ベンチャー(企画部門)の場合、自身の褌で相撲を取るため失敗時のリスクはある一方で、事業がグロースした際の成果、売上等の規模感/コスト削減幅等がダイレクトに自分の成果となります。そのため、事業会社で目に見える成果を挙げれば、ステップアップのオポチュニティも期待できる点がメリットの一つです。

事業会社・ベンチャー(企画部門)へ転職するデメリットとしては、対峙する不均質なメンバーとの連携/育成や慢性的なリソース不足に陥ることが挙げられます。戦略コンサルティングは非常に狭き門であるため、参画しているメンバーはプロ意識が高く、指示を受けることなく自走可能な少数精鋭集団です。しかし、事業会社・ベンチャー企業の場合は、戦略コンサルティングファームほどエントリー時に篩をかけているわけではなく、人材の質は不均質と言わざるを得ません。

ケース②:事業会社・ベンチャー(経営企画・M&A部門)への転職

戦略コンサルティングファームからの主流のキャリアパスの一つとして、事業会社・ベンチャー(経営企画・M&A)への転職が挙げられます。

個人的な体感値としては、経営企画よりも事業会社のM&A部隊に転職する人材の方が多い印象があります。前者が少ない背景は、戦略コンサルティングで手掛けていた領域に近いため、好奇心旺盛な戦略コンサルタントからすると若干物足りなさを感じる場合も多いためです。M&A部隊の方がBuyサイドの現場側の論理や事業シナジーを踏まえた投資の観点等を深く新たに学べるため、後者の方に流れる傾向が強い印象を受けます。

事業会社・ベンチャー(経営企画・M&A)のポジションで求められるスキル/経験は、経営企画の場合は基本的に戦略コンサルティングで培ったベーシックスキル/経験を活用して対応できるレベルです。
一方で、M&A部隊への転職の場合、戦略コンサルティングで一通りのデューデリジェンスプレジェクトを経験していることを前提に、チームメンバーの牽引/教育ができるスキル(戦略コンサルティングで経験したこととは違う難しさ)を求められます。

事業会社のM&A部隊の人材の質は、ばらつきが大きいです。特に事業会社の場合、一定の領域に長年身を置いてきたシニアメンバー/短期間しか身を置いたことがないジュニアメンバーという構成が一般的であり、知らず識らずのうちに業界の暗黙知や前提にとらわれやすくなります。

そのため、外部から参画するメンバーへの期待として、客観的な視点で対峙する/手掛ける案件に向き合い、中立的な観点をチームメンバーに提供できるかが問われます。
特に、戦略コンサルタントからの転職者にとってのチャレンジとして、いかに中立的な観点からの示唆を、ハレーションを起こさずに周りのメンバーに提供できるかが挙げられます。戦略コンサルティングファームにいた時代は、年齢に関係なくファクトと論理が絶対的な/平等なツールでしたが、残念ながら事業会社の場合は、ファクトと論理だけでは超えられない壁がいくつも存在するため、その壁を上手くすり抜けるスキル/経験が求められます。

事業会社・ベンチャー(経営企画/M&A)への転職のメリットは、ワークライフバランスを保ちながら、戦略コンサルティングファームで培ったスキル/経験を横移動でこなせる/戦略コンサルティングファームで対峙したプロジェクトに近い案件に携われることが挙げられます。

一方、デメリットとしては、戦略コンサルティングほど年収の上昇カーブが得られないことが挙げられます。過酷な労働環境に身を置かないトレードオフとして、年収面は事業会社のテーブルに準ずるしかありません。ただし、戦略コンサルティングで培った経験/スキルを横移動しやすいため、ワークライフバランスを劇的に改善させながらその組織で良いポジションを取れるメリットの方が大きいのではないでしょうか。

ケース③:PE・VC・投資銀行への転職

戦略コンサルティングファームからの主なキャリアパスの一つとして、PE・VC・投資銀行への転職が挙げられます。

個人的な体感値としては、新卒で戦略コンサルティングに参画した方がこの道を選択されるケースが圧倒的に多い印象を受けます。もちろん、中途で戦略コンサルティングファームに参画してこの道へ転職する方もいらっしゃいますが、元々のバックグラウンドが金融系等の方が多い印象を持っています。

PE・VC・投資銀行のポジションで求められるスキル/経験は、投資プロセスのフェーズによりますが、特に戦略コンサルティングファーム出身者に求められやすいスキル/経験として、企業を客観的に分析するスキルと、投資後の企業の経営支援を行えるスキルが挙げられます。

前者は、戦略コンサルティング時代にデューデリジェンスのプロジェクトを経験していることが必須です。後者は、対峙するテーマは戦略系の案件に近いものの、実際に投資先の経営の梃入れを主体的に行い、成果を挙げることが求められるため、戦略コンサルティングで手掛けるスコープの範囲よりも広くなります。

PE・VC・投資銀行へ転職するメリットは、戦略コンサルティングで培ったスキル/経験を土台にして、さらにアドオンで自身のバリュー/付加価値を高められる点です。戦略コンサルティングのデューデリジェンスでは、企業価値を客観的にクイックに評価することがゴールでしたが、PE/VC/投資銀行の場合は、その先の投資へ繋げるノウハウを吸収できるほか、投資後の企業価値の向上/梃入れに関しても、実際に出向等の形で投資先に出向き投資先の経営を担い、経営の成果を自身の実績として提示できます。

一方で、PE・VC・投資銀行へ転職するデメリットは、戦略コンサルティングファームでの働き方を継続する必要、もしくはより短期的には労働負荷を増す必要があるため、ワーカホリックな方や知的好奇心が強い方でなければ継続が難しい点が挙げられます。

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今回の記事では、ポスト戦略コンサルティングファームとして、戦略コンサルティングファームを経験された方々がどのようなキャリアパスを歩んでいるのか、それぞれの道で必要となるスキル/経験、転職するメリット/デメリットについて紹介しました。

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