「人」を起点とした企業変革を加速すべく、全社人事戦略策定・DX人材戦略策定など、戦略立案フェーズから支援を行うRidgelinez株式会社 People & Organization Transformation (以下、POT)Practice*。DX戦略実現に向けた組織・人材・文化の変革支援など、富士通グループが持つテクノロジーのケイパビリティやリソースを活用したコンサルティングにも強みを持ちます。
今回は、執行役員Partner 石田秀樹様、Director 玉城智史様、Senior Manager 福田竜太様より、同社への入社理由、POT Practiceの特徴や向き合うマーケットの状況、具体的な案件事例などについてお聞きしました。
*Practice:専門領域(業界・ビジネステーマ・技術)ごとに組成されるプロフェッショナルコミュニティー。RidgelinezではPracticeを選択し参加できる。
石田様、玉城様、福田様のご経歴とRidgelinezに入社した理由
田口
まずは皆さんのご経歴とRidgelinezへの入社理由を教えてください。
石田様
私はこれまで20年以上にわたり人材・組織領域のコンサルティングに従事し、前職では組織の統括責任者としてジャパンリーダーを7年間務めました。
これまで「失われた30年」と言われてきた時代の中で、私自身は外資系企業の立場から日本の製造業の変革に取り組んできましたが、次第に外部からのアプローチに限界を感じるようになり、企業の内側から変革を推進することがより本質的で有効なアプローチなのではないかと考えるようになったのです。
Ridgelinezは、富士通グループのトランスフォーメーションを当事者として担いつつ、その経験を活かして外部のクライアントの変革にも貢献できる唯一無二の存在だと感じました。私が求めていたことと、Ridgelinezの目指すべき方向性が一致していたことから入社を決意しました。
現在は、企業の人的資本経営の実現に向けて、クライアント全社レベルでの人材マネジメントの推進に取り組んでおり、私たちは戦略からアプローチすることで、各企業の成長にフォーカスする最適なソリューションをゼロベースから構築しています。
玉城様
私は2001年に外資系IT企業にシステムエンジニアとして新卒で入社後、2年後にはITコンサルタントにキャリアチェンジし、以降20年以上グローバルファームを中心にコンサルタントとしてお客様の変革を支援しています。コンサルタントとしてのキャリアのスタートはITコンサルタントでしたが、システム導入だけでは組織が変わらないという課題感から人材・組織領域のコンサルタントにキャリアチェンジしました。
その後、人事制度設計や教育体系の構築だけでなく、人事コンサルティングとシステム導入のコンサルティングを組み合わせたビジネスモデルの構築に従事し、SuccessFactors導入チームの立ち上げなども行ってきました。
しかし、私は特定の領域よりも「人事とシステムを活用した事業変革全般に広く携わりたい」と考えており、そのタイミングでRidgelinezからオファーをいただいたのです。事業変革に伴う人事改革というテーマと特定のソリューションに依存しないサービス提供ができること、そして富士通という日本の大企業の変革に関与できることに魅力を感じて入社を決意しました。
現在はDirectorとして提案活動のリードを務め、またRidgelinezの組織拡大に向けて採用や育成の強化もリードしています。
福田様
私は、2008年に国内の独立系Slerに新卒入社し、システムエンジニアとして社内システムの仮想化などに取り組みました。しかし、システムの活用が社内浸透しない状況に直面し、必要なソリューションを必要とするところに届けるためにはマーケティングが重要であると感じるようになりました。
そこで、ディストリビューターに転職し、セールスエンジニアとして日々の業務に取り組む中で、クライアントが何を実現させたいのか、それにあたり何が必要とされるのかなど、クライアントとともに取り組むべきことを明確にすることで、IT活用を推し進められるということを学びました。
そこから、ITコンサルタントとしてコンサルティングファームに転職し、クラウド活用の浸透などに取り組む中で、DX人材やDX組織の在り方を考え支援することの重要性を学び、人材・組織コンサルタントにキャリアチェンジ、また直近では、事業会社にて働き方改革や企業理念の再浸透に取り組みました。このようなキャリアを通じて、「単に技術を提供するだけでなく、技術を活用できるよう人や組織にコミットすることが必要である」という気づきを得られました。そして、Ridgelinezの「人」を起点とした変革を成し遂げるという理念を知り、強く共感したため入社を決意しました。
「人」を起点とした企業変革のため、「経営戦略」立案フェーズから支援を行う
田口
RidgelinezおよびPOT(People & Organization Transformation)Practiceの概要を教えていただけますか。
石田様
Ridgelinezは、クライアントの戦略から実行までを支援する変革創出企業として、2020年4月に設立されました。富士通グループが提供するコンサルティングサービスの中でも、富士通のテクノロジーのバックグラウンドや優位性を活かしつつ、ビジネスコンサルティングを中心に企業変革をご支援しています。
Ridgelinezが担う案件の内訳は、富士通グループ向けが3分の1、グループ外の案件が3分の2となっています。現在、親会社である富士通のケイパビリティを活かす機会が増えており、Ridgelinezにとって富士通は協業パートナーであり、クライアントでもあり、親会社であるという非常にユニークなポジションにあります。
その中でPOTは、「人」を起点とした変革の実現を加速すべく、人材・組織変革領域におけるコンサルティングサービスを担当しています。企業価値を高めるためには、生産性向上だけではなく、競争力のある付加価値を生み出す人材に対する投資と活用が欠かせません。企業の持続的成長に関して、事業戦略と人材戦略の緊密な連動が社内外から問われており、人的資本経営の本質的な実践を具現化するための仕組み・仕掛けづくりに取り組んでいます。
田口
現在、クライアント企業が向き合っている課題について教えてください。
石田様
現在、企業には、株主だけでなく、従業員や社会全体を含む多様なステークホルダーに配慮しながら、社会課題の解決と利益追求のバランスを取ることが求められています。「ウェルビーイング」や「サステナビリティ」といった概念が広がりを見せていますが、多くの企業ではスローガンにとどまり、具体的な行動に移せていないことが課題となっています。
それは人的資本経営についても同様の傾向が見られます。「働き方改革」「ジョブ型雇用」「リスキリング」といった各施策が個別にバズワード化し、それらの施策が実際にどのように機能するのか、なぜ必要なのかが従業員に十分に伝わっていないケースが散見されます。
企業が変革を遂げるためには、単に個別の人事施策を導入・展開するのではなく、働き方や価値観を醸成している組織文化=OS(前提として必要なシステム)自体の見直しが必要です。そのうえで、変革によってもたらされる成果を具体的に描き、変革の向こう側であるゴールの状態定義を基軸にシナリオを設計する。そしてそれを企業全体で共有し、人的資本経営の実践につなげていくことが重要だと考えています。
さらに、それを実現するためには人事部自体の変革が不可欠です。一般的には、人事オペレーションに多くの時間が割かれており、変革の経験者が少ないのが実情です。また、事業成長を鑑み、人材戦略・人事戦略を”経営”という視座から長期視点で設計した経験知を保有する人材がほとんど存在しないため、私たちは、人事変革のパートナーとして戦略領域から実行領域までを包括的に支援しています。
田口
Ridgelinezのコンサルティングを活用した、富士通の大規模な変革事例が注目を集めていますが、他社からの問い合わせ状況に変化は見られますか。
石田様
富士通の取り組みがメディアで多く取り上げられるようになり、「富士通ではどのような変革を進めているのか」「自社でも同様の取り組みができないか」といった問い合わせが増えています。
しかし、各社の業種、業態、これまでの歩みが異なるため、富士通の事例をそのまま当てはめるのは適切ではありません。また、多くの企業が興味関心に導かれた情報過多の状態にあり、得た情報から変革へのヒントを見つけ出し、具体的な行動に役立てることができていないのが現状です。
このような状況下において、私たちRidgelinezは、これまでのクライアントの変革支援から得られた示唆を踏まえて、各社の状況に合わせた適切なアドバイスを提供できるため、現在多くの引き合いをいただいているところです。
また、上場企業に対しては、人的資本に関する情報開示において、どのような人材マネジメントや人事変革に取り組んでいるのか開示することを求める声が高まっています。こうした要請に応えられない企業は「未来に投資をしていない」と投資家から厳しい評価を下されるリスクがあります。
このように、人事の問題が企業経営の根幹に関わる重要なテーマとなっている今、人や組織の抜本的な改革に向けた取り組みは待ったなしの状況だと言えます。
富士通の戦略的リスキリングの実行プロジェクトを推進
田口
具体的にどのような案件に取り組んでいますか。
福田様
現在、富士通グループでは、2026年3月までにコンサルティングスキルを持つ人材を1万人に拡充するプロジェクトに取り組んでおり、私たちはそのプロジェクトを推進しています。
その背景としては、多くの企業では社会課題の解決やそのために必要な変革に取り組んでいるものの、成果はまだ十分ではなく、企業が次のステージに進むためにも私たちがその課題に向き合わなければならないということがあります。
そこで富士通グループでは、戦略立案や業務改善、デジタル技術活用などの支援に関するコンサルティングスキルを持つ人材を大規模に育成および採用することで、この課題に対応しようとしています。
ただし、コンサルタントを拡充してもクライアントに付加価値を提供できなければ、富士通としてのビジネス拡大、ひいてはRidgelinezの成長にはつながりません。そのためには、コンサルタント個人の努力も必要ですが、組織としてのサポートも不可欠です。
そこで私たちは次の2つの取り組みを進めています。1つは、適所適材と適時適量の観点から、適切なスキルを持った人材をしかるべき案件に配置するために、タレントマネジメントの仕組みを実装していくこと。
もう1つは、富士通グループが持つ高い専門性を活かし、様々な社会課題に対して業種・業界の垣根を越えてクロスインダストリーで対応できるよう、ナレッジマネジメントの仕組みを構築していくことです。
これらの取り組みを通じて、富士通グループのコンサルティング力を高め、クライアント企業の社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。
田口
福田様自身、実際案件に取り組んでみて、入社前に抱いていたイメージと比べて感じるのはどのようなことでしょうか。
福田様
現在、富士通グループの変革に携わることで、日本全体の変革や挑戦に貢献できていると実感しており、大きなやりがいを感じています。
元々、入社前から「人や組織が変わらなければ変革はうまくいかない」と強く思っており、どうすれば変革を実現できるかということについて、大企業が変革できれば、日本全体の変革につながるだろうと考えていたからです。
そして「人」を変えていくということは、チェンジリーダーや想いのある人の存在が欠かせません。富士通グループにもそのような人たちはたくさんいますが、これまでその想いを施策へとうまく反映できず変革が進みづらいという課題がありました。私たちはRidgelinezの理念である「人」を起点とした変革を実践し、富士通グループの一員としての立場を活かして、このような課題にアプローチします。
現在、私たちが検討しているタレントマネジメントやナレッジマネジメントは、社内にいる専門家や情報・経験をつなぎ、組織としての総合力を高め、答えのない課題解決に取り組んでいくうえで不可欠だと考えています。これらの仕組みが実現できれば「人」の行動を変え、組織全体の総合力を発揮し、それが日本の企業変革へとつながっていくと思います。
田口
Ridgelinezの強みや特徴を教えてください。
福田様
Ridgelinezには、「人を変える」「組織を変える」という共通の想いを持った人たちが集まり、それぞれの異なるバックグラウンドによる知見やスキルを掛け合わせることで強みを発揮している組織だと思います。
というのも、これまで私自身、「人や組織を変えたい」とITコンサルや組織変革に取り組んできましたが、うまくいかないことが多々ありました。やはり1人で考え続けるには限界があると感じています。よく「誰をバスに乗せるのか」と言われますが、まさにその通りで、誰と一緒に取り組むかが非常に重要だと考えています。
POTのメンバーには、過去に様々な変革に取り組み、具体的な課題に直面した経験から、クライアントの課題解決をご支援したいという強い思いを持つ人が多く集まっています。このような共通の課題意識があるからこそ、連携しやすく、結果を出すのに適した環境が整っていると感じます。
田口
単発の支援ではない取り組みに強い「芯」を感じます。
石田様
ありがとうございます。メンバーは、人材マネジメントの専門性を有しており、その専門性を活かして人材・人事変革しています。しかし、専門性だけでは十分ではありません。クライアントの変革を自らの責務と捉え、変革を実現する強い覚悟を持つことが何より大事だと認識しています。
POTは、実践を重視するメンバーが多いことが特徴です。理論的な議論にとどまることなく、「行動変容」に焦点を当て、仕組みを動かすための「仕掛け」を徹底的に考え抜くこだわりがある。つまり、クライアントの変革の成果を上げ、成長を促し、意識改革を進めていく働きかけを富士通グループ内において積極的に展開しているのです。
自分たちが変革の担い手の一員であるという姿勢を持っているからこそ、クライアントの心に響き、変革への共感を得られているのかもしれません。
クライアントの未来を見据え、問題提起できる企業変革のプロが求められている
田口
今後コンサルタントとして、どのような将来像を描いているか教えていただけますか。また、Ridgelinezのメンバーにはどのようなコンサルタントになっていただきたいですか。
玉城様
私は、人事コンサルタントとしてではなく、事業変革パートナーとして、クライアントからバイネームで呼ばれるような存在になりたいと考えています。そして、私たちのメンバーにもそのような存在になってほしいと願っています。
現状、多くの日本企業は改善活動に取り組んでいるものの、まだ本質的な変革には至っていないと感じています。クライアント企業の変革を根本から支援することが何より大切です。クライアント企業の中に深く入り込み、信頼できる壁打ち相手として議論を重ねて解決策を導き出していくような関係性を築いていきたいですね。
田口
石田様はメンバーにどのようなコンサルタントになってほしいとお考えですか。
石田様
私は、コンサルタントに対して経営者目線を持った変革の担い手になってほしいと考えています。コンサルタントというよりは、むしろ企業変革請負人というイメージですね。
その理由は、人や組織の変革には正解がなく、企業ごとにアプローチが異なるため、単純に他社の成功事例をコピーできないからです。AIが目覚ましい進化を遂げている現代ですが、人の行動の背景にある複雑な要因を理解することは現時点では困難です。こうした人間特有の複雑さへの対応が求められる「人」の領域が最も難しい課題の1つと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、私たちコンサルタントは、単なる問題解決ではなく、問題提起ができる姿勢を持つことが重要だと考えています。クライアントが見落としている課題を提起し、機会損失を防げれば私たちの存在価値は高まるはずです。
それは、タレントマネジメントシステムの導入といった個別の施策だけでは実現できません。もっと広い視点で変革全体を捉える必要があります。クライアントに対してこれまでの延長線上ではない新たな視点を提供し、未来を描くための多様なプランを提案できる人材を目指してほしいですね。
日本企業の多くは、トップに変革マインドがなければ、変革が進まない状況にあります。なぜなら、内部の人間が声を上げるのは難しいからです。だからこそ、コンサルタントという第三者の外部の視点から指摘し、変革を促せるような役割を担うことが私たちに求められていることだと感じています。
日本の大企業の変革に携われる、またとないチャンス
田口
どのような人材と一緒に働きたいとお考えですか。
玉城様
富士通をはじめとする日本企業の変革を進めるために、舵取り役を担い、クライアントのチェンジリーダーに伴走できるような方です。
私自身、「日本企業がグローバルの競争で勝つために変革を支援したい」という思いを持ってRidgelinezに入社しました。日本経済が長期的な低迷を経験してきた中で、今、大企業が本気で変革に取り組もうとしています。このタイミングはコンサルタントにとってやりがいのある、またとないチャンスだと感じています。
これまで事業変革や人事変革に挑戦してきた経験を持ちながらも、思うような成果を出せずにもどかしさを感じている方々ともぜひ一緒に働きたいと考えています。
石田様
POTのコンサルタントの大半は、この1年以内に私たちの理念や目指す方向性に共感、共鳴し参加してくれた人たちです。あとはその思いを実践に移すのみ。私たちの組織は非常にフラットで直ちに行動に移せる小回りの良さが強みだと考えています。
また、学びの機会が豊富に用意されており、さらに若いメンバーにとって視座を高められるような機会が数多くあります。そのような環境で成長したいという方にとってRidgelinezは最適な場所だと思います。変革の最前線で活躍したいという方々に、ぜひRidgelinezの門を叩いていただきたいです。