【コンサルと個人事業(副業)の兼業事例】起業に活きるコンサルタントのスキル/足りないスキルとは?

新卒SEから大手外資系コンサルティング会社のテクノロジー部門への転職を果たしたAさん。その後、副業として会社に籍を置いたまま個人事業主として現在はサービスの成功に向けて人との出会いやアイデアのブラッシュアップなど充実した日々を過ごしている。身近な環境に問題意識を持ち、常に自分でできる解決策を模索する“アイデアマン”に、コンサルタントと副業の可能性や個人事業主として今後の展望を中心にお話を伺った。

上流から社会を変えたいと思い、コンサルティングファームへの転職を決意

就職活動はどのように進められましたか。

「第一に内容、次に裁量、そして第三にグローバル」と、この3つの軸に関してできることの幅が広そうな、インパクトのある会社に絞って企業探しをしていました。その当時は起業については全く考えておらず、就職して生きていければそれで十分、という感覚でした。

―最初に就職された会社は、どのような理由で選ばれましたか。

「商品を通じてものの価格差をなくしたい」という理由で通信・情報処理などに関わるPOSシステムやレジシステムなどを扱う会社に、SEとして入社を決めました。 理由に対する思いが強かったので、入社した時は仕事への期待値が高かったと思います。

―仕事を通じて社会的な負を解消したいという思いがあったのでしょうか。

ありました。採用時の話にも繫がるのですが、生産から廃棄への一連の流れにこそ解決すべき問題が隠れているのではないかと考えていました。 ディスカウントストアで数十円で安売りしているポテトチップスを買うと、「何故この店だけこんなに安いのか?」という疑問が浮かび、そういうところから、「廃棄に至るまでの道のりで、適正な販売のプロセスができていないから荷余り品や叩き売りが発生するのではないか」という考えを持っていました。 上記のような販売にまつわる問題をレジで取得したデータを活用し、プロセスを見直すことでどうにか解決できないのか、という問題意識がありました。

―その後、どのようなきっかけで転職を決意されたのでしょうか。

入社した後に、「POSを卸してカスタムする以外のことは現状難しい」と言われ採用時と話が違うと落ち込みました。まずはSEとして頑張るしかないとは思っていましたが、上流から社会を変えたいという思いと、とても尊敬していた上司から「君はコンサルとかもっと上のほうを見たほうがいい」と言われたことでコンサルティングファームを受ける決意をしました。

―その後順調に大手コンサルタント企業の選考を進まれます。選考の内容について少しお話を伺えますか。

MDの方との最終面接時だったと思うのですが、後々聞いた話によると「夢を語ったことが良かった」ということでした。 当時から「ITを用いて誰も働かなくてもすむような世界にしたい」と語っており、最終面接で「入社して何がしたいのか、10年後にどうなっていると思うか」という質問に対してもその夢を熱く語りました。最終的にそれが採用の決め手になったそうです。

ファーム入社後に感じたSEとコンサルタントの違いは「タスクの幅の広さ」

―前職とのギャップで苦労されたことはありましたか。

入社してからは、毎日が刺激的でとても楽しかったです。 ただし、最初は在籍する方とのレベルの違いを目の当たりにして、本当のコンサルタントとはこういうものかと実感しました。

良くも悪くもかなり率直に意見を言う企業文化なので、役職の方に話しかけると、「君は何を言っているのか分からない」と言われてしまい会話にならないこともありました。 でもそういう状況を経験するほどこれがコンサルティングなのかと火がつき、負けてたまるかという思いが芽生えました。

今思えばそこでギブアップせずにやり続けたことが良かったかなと思います。 異業種から転職したからこそのギャップはいい意味でたくさんあり、試金石として自分なりの成長度の目安になったと思っています。

―前職のSEからコンサル業界に入り、特に違うと思われたのはどのような部分でしょうか。

やはりタスクの幅の広さといいますか、種類が違うと感じました。ITコンサルは、「What」に注目するイメージですね。プロジェクトのトラクションというか、「プロジェクトの理由・どう進めるか・何が必要か」と全体図を描く業種です。 対してSEというのは、プログラム言語に関して「React.jsを使いましょう」という提案や、「障害管理にはRedMineを導入しましょう」など、具体的な「How」に注力するようなイメージです。

―担当されたプロジェクトで、印象に残っているものはありますか。

極端に、自分に向いているプロジェクトと向いていないプロジェクトの2つを印象的に覚えています。

一応曲がりなりにもひと通りのプロジェクトを経験した後に、自社が買収した企業とのプロジェクトがありました。なんとなく自社に対するイメージが自分の中に確立した頃にアサインされた案件だったのですが、一部の方には転職もとの会社の保守的な風潮があり、働き方や考えに差異があるように私が感じ、とても苦労しました。 ここで、言われたことを忠実にやるという保守的な働き方は自分には向いていないのだなとはっきり自覚しました。

もうひとつは、関西でのプロジェクトです。 社内で憧れていたテクノロジーコンサルタントの方と、同じく仕事のできるマネージャーの方と同じプロジェクトということでとても楽しみにしていました。業務内容はクライアントが進めるシステム開発に対する開発状況の確認と提案と言ったものでした。 自ら何が問題か定義して、より良い結果に向けてお客様と一体になって進めていくという極めてコンサルらしいプロジェクトであり、自分の方向性も確認できたのでとても良い経験になりました。

コンサルタントとして在籍したまま個人事業主へ

―副業を始められたきっかけは何だったのでしょうか。

仕事を通じて、自分は誰を幸せにしているのだろうと考えるようになりました。 プロジェクトが成功した時はもちろんクライアントも喜んでくれますが、お客様には対価をお支払いいただく訳ですから、極端ですが、いただくお金で最終的に潤うのは自社の株主ではないかという考えが浮かんだのがきっかけでしょうか。 また、いくらコンサルタントとして業務改善をしても、クライアント先の企業が劇的なイノベーションを起こしている実感があまりなかったこともひとつです。

貢献度や変化などあらゆる視点から考えて、これは自分が一生続けるべきことなのだろうかと疑問を持ったことが何か新しいことをしてみようという考えへの後押しになりました。

そこで自分でコンサルタントとして転職した時の理念といいますか、人がAIやITを活用して暮らしていけるような仕組みをつくったらいいじゃないかというのを思い出し、これに人生を賭けて挑戦してみようと起業しました。

―副業はどのように活動をはじめられましたか。

今は企業に属したまま、個人事業主という形をとっています。 今後は資本金の調達がうまくいき、人が集まればNGO団体にしようと考えています。 また、会社員をしながらなので、土日に時間を捻出しています。そもそも自分でも起業したらどうするのか?ということが分からない状態でスタートを切ってしまったので、都が主催している『Startup Hub Tokyo』や民間の支援団体を活用して、事業の基礎づくりから学びました。

クラウドファンディング型NGOとマッチングサービスのリリースを控える

―事業内容や現在の取り組みについて教えてください。

私のビジネスはウェブサイトを通したサービスですので、まず形に起こしてみるところから始めました。 現在はプロトタイプの作成やウェブサイトの作成に注力しています。すでにサイトが完成し、動き始めているサービスもあります。

具体的にサービスは2つ、あとは構想段階のものが1つあります。 1つは、衣食住水に関する無料提供をITを用いた自動化によって目指すNGOの団体です。 単純にウィキペディアのような形にして、みなさまからITを用いた衣食住水の無料提供に関するアイデアとそれを実行する寄付金を集めるシンプルなモデルです。 衣食住水の欠如は企業や国家レベルでも解決できない問題だと思うので、どんな人でも参加できるような形式にして、アイデアが実行できそうなものや価値のありそうなものは、寄付金を用いて投資していくサービスです。

資金の流れとしてはクラウドファンディングプラットフォームに近いと思いますが、寄付金を常に募っておくと同時に、寄付金を財源として各自動化アイデアにプロジェクトとして投資するというルートを考えています。 もちろんVDやファンド経験者の方たちにも、寄付金によってできる財源の運用をお願いしたく、是非とも参加してもらいたいと思っています。

また、『オルトラブ(ALT Love)』という、恵まれない子どもたちに向けた完全無料のマッチングサイト(Webサイト)も構想しています。

依頼者は困っている内容でクリックすると、NPOの方々がアドバイザーとしてリスト化されて、オンラインでいつでも話やチャットができることを最終目標としています。 最近の子どもたちにはスマートフォンがかなり普及しているのかなと感じているので、その年齢ぐらいの子どもを直接救えるようなレベルのものに発展していくと思っています。

―具体的なビジネスモデルですが、苦労されているのはどのような点ですか。

やはりお金でしょうか。資金調達では厳しい現実を思い知らされました。 スタートアップは実績がないので、どれぐらい利益が出るかというのは投資家の目線で見たら未知数すぎて、「アイデアがあっても実行できるのか?」、「実行できる人的リソースは足りているのか?」というところは、しっかり考えているつもりでも四方八方から辛辣なコメントが飛んできます。

―資金調達を含め、事業を成功させるために、何が必要だと考えられていますか。

第一に必要なのは人ですね。自分以外にも、ビジネスプランと将来お客さまに見せるためのワークフローの整合性を見てもらえる人がいればいいなと思っています。正直、ウェブサービスの場合、資金に関しては0円からでも始められます。ビジネスは始められますが、それを大きくしていくためにはなにより人が大切だと思います。

正直なところ、この記事を読んで、ウェブ系のことなら任せろ!という方がいれば是非ご連絡いただきたいです。ほかにもセキュリティ、戦略、ウェブ、バックエンド、フロントエンド・・・と、ここまでくると少しでも何らかのスキルがあれば誰でも来てほしいという状態です。

―もし今後事業が成功して実際に働かなくてもよくなった場合には、仕事を辞めたいと思いますか。

いえ、今はたとえ富豪になっても仕事は辞めないと思っています。 それは自分が残せるものはなんだろうと、いつも後世のことを考えているからです。

高校生活3年間の寮生活の頃から、後輩や自分より若い世代のことが好きなんです。 そこから仕事もそうですが、次世代に対する思い入れがすごく強くあります。 NGOサービスの衣食住もやはり子どもが気になってしまって、この先生まれてくる子どもがずっと働き続けるというのは(目的もよくわからないし)不健康なのではないかと思いますし、今の人間の社会的なサイクルが変わらずに生きていくと、いじめみたいな社会問題もずっとそこにあるままだと思います。 そういう問題を解決する仕組みが21世紀にもなってないというのは自分にとってすごく違和感があるので、問題がある限り挑戦を続けたいという気持ちでしょうか。

コンサルのPMO経験で得た「クライテリアの明確化が0からのサービス立ち上げに役立っている」

―コンサルタントとして会社員と起業の両立についてはどう考えていますか。

今の時点、という意味では、1に会社員で2に起業という感じです。 融資が受けられていない状態なので、キャッシュがないと自分のビジネスが回らなくなるのが理由です。 かつ、オルトにしても、上の衣食住のNGOにしても、恐らく当分マネタイズできないと覚悟しています。 1年間ぐらいはどこの会社を見ていても資金面は厳しいという話を聞いているので、しっかり働かなくてはと思いますが、もし将来的にビジネスが回り始めたら、特に今の会社や職業にこだわらなくても良いかと考えています。

―「コンサルティング業界での経験が活きている」と感じることはありますか。

在籍している企業には今でも学ぶことが多く、報連相の仕方やメールの出し方、作業の速さなど、とても価値があるなと感じています。

また、PMOでのクライテリアの明確化を通して、どこまでを担保するかという線引きをする考え方を学び、全く経験のないウェブサービスをつくろうと思った時にどこから手を付ければいいかわからないという状況にはなりませんでした。 ユーザのフローからニーズ、情報のマッピングなどは、コンサルタントにかぎらずSE時代の外部設計書のスキルがかなり役に立ちましたね。

―反対に、足りないと感じたスキルはありましたか。

実行力と専門性ですね。 ウェブサービスでは基本的なスキルセットにHTMLやCSSが必須になるので、一人でやるとなると不安だなというのがあります。 それでも、IT業界には結局マネージャーになるか、もしくはガチガチのエンジニアになるかの二択しかないので、私はマネジメントのほうを進んだというだけで仕方がないかなと思っています。

転職やサイドビジネスを目指す方へ:メッセージ

―ご自身を振り返って、副業を迷われている方へアドバイスはありますか。

私の個人の意見でいえば、副業にせずとも起業してスパっと仕事も辞めるというのはもちろんいいと思いますし、私も本当はそういう決断をしたいと思っていました。 しかし、現実的な意味で、どれだけ貯金額やキャッシュがあるのかということ次第での決断かなと思っています。 成功するかどうかは別にして、たとえ躓いたとしてもこける前にスタートしなければ意味がないので、キャッシュの確保が出来たら辞めるという方法を取るといいのではないかと思います。

―これから転職や起業を目指す方へメッセージをお願いします。

「後世に残る仕事をしているか」という観点で、一度自分の仕事を見直してみてほしいと思っております。上から降りてくる大きな仕事ももちろん大切ですが、その先の未来を見ることが重要だと私自身問い続けてきました。 自分の子どもたちが社会に出てきた時に、本当に豊かで安全に過ごせる世の中にできるのかということを考えたうえで仕事を見直すと、色んなものが見えてくるのではと思っています。

私は今26歳で、周りの同世代はそれよりもキャリアをどうしていくかということに迷っている人が多い印象です。 私は我が道をいくタイプなので、そういう人を見ると好きにしたらいいと思いますし、 逆に言えば迷ってもいいのではないでしょうか。

―今後のご自身の展望を教えてください。

1年以内にはすべてのサービスをローンチしたいですね。 特に衣食住水のNGOのプラットホームは、実現できたら貧困や飢餓を解決できる仕組みを真剣に考えています。 利用者からは一切お金を取らないので調達面や寄付、その後の資金をしっかり回していかなくてはいけませんが、今はモデルに賛同した方が続々と手を挙げてくださっているので、うまくいくという自信をもって取り組んでいます。ビジネスプランに興味を持ってくださったり、ビジネスモデルを見て何か新しい経験がしたいと思ったりする方がいれば、ぜひ一緒にやりたいと思っております。

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