コンサル・投資銀行・アセマネの”パワーポイント資料”での違い

コンサルティングファーム・アセットマネジメント(以下アセマネ)・投資銀行はどの業種も、頻繁にパワーポイントを使用する職種です。使用頻度は、どの業種も大きく変わりませんが、一方で、パワーポイントで作成する資料には業種それぞれで異なる特徴があり、それぞれに転職後は異なる視点での作成が求められます。

今回の記事では、コンサル・アセマネ・投資銀行それぞれのビジネスの経験者の話を参考に、それぞれのパワーポイントの資料の特色についてご紹介します。

なお、コンサルはコンサルタント職であればパワーポイントは頻繁に使用しますが、アセマネでパワーポイントを頻繁に使用するのはいわゆる営業職であり、投資銀行の場合はカバレッジ・プロダクトの部門です。アセマネ・投資銀行についてはこれらの部門の資料を想定して比較します。

【目次】

  1. コンサルのパワーポイントは「1スライド1メッセージ」「シンプル」
  2. 投資銀行のパワーポイントは「派手で重厚」「ビジュアル面のこだわりが強い」
  3. アセットマネジメントのパワーポイントは「文章量」「内容」ともにコンサルと投資銀行の間
  4. (参考)いずれも「コーポレートカラー」が徹底される

コンサルのパワーポイントは「1スライド1メッセージ」「シンプル」

コンサルティングファームにおけるパワーポイント資料は大きく分けて二つのパターンがあります。一つはアセマネ・投資銀行同様に営業提案の資料、もう一つはプロジェクト進行中に成果物の一貫としてクライアントに提出、もしくはプレゼンする資料を指します。

様々な意見がありますが、基本的にはいずれの場合も、コンサルの資料は「1スライド1メッセージ」というパワーポイントの基本を最も忠実に遵守する傾向にあります。また、必要以上に色は多用しないため、今回紹介するパワーポイントの中では最もシンプルな印象を受けることが多いでしょうか。

その中でもプロジェクトの最中に成果物として出される資料は、パワーポイントが伝えたい内容だけを必要最低限の分量で盛り込むため、特にシンプルな仕上がりになりがちです。グラフなどの視覚的なページは「グラフでしか表現できない時」だけ、必要最低限の範囲で盛り込むイメージで、資料の目的からテキスト・表の方がふさわしい場合にはカラフルなグラフはあまり使用されません。時には、表などが中心で全くグラフやイメージ図などを使用しない場合もあります。

営業用の資料ではない事からこと更に自社のことをアピールしたり際立たせたりする必要がないため、このようなシンプルな仕上がりになる傾向があると言えます。

尚、シンプルだから作るのは楽かという全くそんなことはなく、プロジェクトの進捗やクライアントへの説明の観点からプラスになる内容を、必要最低限の分量で掲載することが求められます。また、資料自体が成果物=いわばコンサルにとっての商品の一部になるので、極めて高い正確性が求められます。

また、作成頻度が比較的頻繁になりがちであるのも特徴です。プロジェクトにもよりますが、プロジェクトが進行しているときは週次、二週間に一度など比較的短いサイクルでプロジェクトの進捗をまとめる場合などがあります。

クライアントの要望に応じて突然翌日までに資料をまとめなければならなくなった、というケースもよくお聞きします。コンサルの若手が激務になりがちな原因は様々ありますが、多頻度の資料を作成するためにタイトなスケジュールが切られることが原因となるケースは多いでしょうか。

一方で、コンサルでも特にシニア層に近づくにつれて、営業用資料の作成が増えます。コンサルファームやクライアントのタイプ、ターゲットとしているプロジェクト内容によって提案資料の内容はさまざまですが、例えばクライアントの現状と課題をまとめ、コンサルとして提案できるプロジェクトの例を提案し、最後に費用面の紹介が入ります。こちらはコンテンツとして複数の内容を含めることも多く、成果物としてのパワーポイントより長尺化する傾向にあります。提案に盛り込む内容を精査していった結果、数十ページに及ぶことも珍しくありません。

営業提案資料では、クライアントの現状に関して必要に応じてグラフが用いられたり、プロジェクトのチーム編成案などでは組織図のようなオブジェクトを使用することもあるので、成果物用の資料と比較すると派手な資料になる傾向があります。しかしそれでも尚、投資銀行やアセマネの資料と比較するとシンプルな印象を持たれるでしょうか。

営業用資料は、プロジェクトの成果物と比較してリードタイムは長い傾向にありますが、その分ページ数が多く作成にも時間をかける傾向にあります。

投資銀行のパワーポイントは「派手で重厚」「ビジュアル面のこだわりが強い」

投資銀行のパワーポイント資料は、今回紹介する業種の中では最も派手で重厚になる傾向があります。投資銀行は多くの手数料がディール一つにつき一回だけ入る仕組み(稀に前金・成功報酬に分かれる場合もある)になっているため、ディール獲得がビジネスにおいて非常に重要であり、ディールを取るための営業活動には多大なリソースが割かれます。
その結果、パワーポイントの資料についても限界までこだわって作成されることが多い印象です。また、一回の提案のために作成される資料なので、特にビジュアル面で強く拘るのが投資銀行の提案資料の特徴です。

カラフルなイメージを組み合わせて作成されるエグゼクティブサマリー(提案内容全体を一枚にまとめたもの)から入り、市場環境を多様なグラフで視覚的に示した後に、ディールのスケジュールに関する提案、発行条件・目標調達額などの紹介、ディールを行うことでクライアントにもたらされる効果などを多くのページにわたって説明していきます。

クライアントやディールタイプによっては提案資料に枚数制限がある場合もありますが、そうでない場合は数十ページ、時には100ページ以上のパワーポイントになることもあります。また、重要なディールの場合は、上質な用紙を使用した上で、単なるホチキス留めではなく、しっかりと製本して納品こともしばしばあります。

資料の分量は多いにもかかわらず、作成のリードタイムは短い傾向にあります。これは最大限ディールを取るチャンスを広げるために、リソースが足りる限り多くの提案活動が行われているためです。

また、ディールの内容によってはクライアント側からは提案要請(ビューコンなどと呼ばれる場合もあります)が来ることもあります。その場合は、期限までに資料を絶対に完成させる必要があるため、期限直前は必然的に重労働を強いられます。投資銀行の若手が極端な長時間労働を強いられる原因の多くは、このパワーポイントでの資料作成にあります。

エクセルを活用してグラフなどのデータや複雑な表などを作成してパワーポイントに貼り付けるという作成手順がしばしば取られるのも特徴です。パワーポイント内でもグラフ描画は可能ですが、投資銀行と、アセマネでは市場データや経済指標を元に、複雑なグラフを作成するため、基本的にエクセル上でグラフを作成します。
近年は情報が出回っているので少なくなりましたが、若手がパワーポイントのグラフ機能でグラフを作成して後で怒られるという話も、以前はよく耳にしました。

アセットマネジメントのパワーポイントは「文章量」「内容」ともにコンサルと投資銀行の間

アセットマネジメント(以下アセマネ)の場合は、営業部隊のパワーポイントの作成頻度が圧倒的に多く、運用部門や資金・ファンド管理などの部門はそもそもパワーポイントを活用する機会があまり多くありません。

営業部隊のパワーポイント資料については、そもそも投資顧問などの機関投資家向けなのか、投資信託など販売会社への営業活動ではあるものの、最終的にはリテール向け商品の営業なのかでスタイルが異なります。

共通して言えるのは、経済環境や市場環境(ここでいう市場とは様々な有価証券の値動きが中心です)、そして提案するファンドや運用ポートフォリオのパフォーマンス(大抵は他のファンドや市場指数との比較)といった内容はしばしば盛り込まれます。

特に重視されるのはファンド・ポートフォリオのパフォーマンスで、単なるリターン・リスクはもとより、過去の市場変動局面での成績や、特定の指数との相関、どのような市場に強いか、などといったように多様な視点からパフォーマンスが紹介されます。営業なので、自社の提案するファンド・ポートフォリオが強みとする状況を中心にアピールポイントを絞って資料が作成されます。

アセマネのパワーポイント資料の分量は投資銀行とコンサルの間くらいでしょうか。そして、要求される正確性も、双方の中間程度という声が多い印象です。投資銀行よりは、内容の質が意識されますが、一文字一文字単位で拘るコンサルほどではありません。

最終的に個人投資家が買い手の中心となる投資信託の営業資料の場合は、パフォーマンスに加え、個人投資家に訴えかけるような投資のテーマや、投資信託の特徴などもまとめられます。一義的には販売会社に提案に行くのが一般的ですが、最終的には個人投資家から多くの資金を集めることが重要であるため、ただ小難しいパフォーマンスが良いということだけではなく、個人投資家が納得するような簡潔かつ目新しいセールスポイントを盛り込む必要があります。

機関投資家などが資金の出し手となる投資顧問の場合は、相手も一定程度の金融知識を持っているので、このようなイメージ戦略的な要素は必要ありません。従ってパフォーマンスを補足する要素としては、アセマネの運用組織の安定性や運用哲学、投資テーマの首尾一貫性や適切な運用ガイドラインなどがパフォーマンスを補完する要素となります。
投資信託と投資顧問を比較すると、投資顧問の方がより難解な内容で、資料の見た目もシンプルなものになる傾向があります。

(参考)いずれも「コーポレートカラー」が徹底される

最後にコンサル・投資銀行・アセマネいずれにもいえることですが、ご存じの通り、いずれの業種でも「コーポレートカラー」というものを重視してパワーポイントをまとめます。

パワーポイント・エクセルについて自社専用のパレットが設定されていて、資料を作成する際はそれぞれが自社のパレットをダウンロードして、そのパレットに含まれている色のみで資料を作成するように徹底されています。

パレットの色味の多さは企業によって異なり、特にシンプルさが重視されるコンサルなどでは色のバリエーションが少ないので、必然的に単調な色味の資料が出来がちです。

資料の統一感は確かに出ますが、目立たせたい箇所に際立つ色を使用できないなどの弊害もあるので、「正直もう少し色を使ったほうがグラフなどはみやすいよな」と思いながらやむを得ずルールに従っていることもあるようです。

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コンサル・投資銀行・アセットマネジメントはいずれもパワーポイントを多用する業種ですが、パワーポイントで作成される資料の特徴はどれも異なります。特に未経験でこの業界に入る方に言えることですが、早いうちからそれぞれの資料の特徴を掴んで、適切なパワーポイント資料を作成できるようになることが、それぞれの業種で活躍していく初めの一歩として重要です。

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