“スタートアップCTO”の「よくある苦労」と「乗り越え方」

とりわけ初期のスタートアップにおいてCTOという職種は、全てものづくりを手がけなければいけないことに加えて、技術に関わる周辺業務の様々に対処していかないといけない苦労があります。

ただし、初期のスタートアップではネットワークの設計・構築、フロントエンド、サーバサイドなど全てのレイヤーができるフルスタックエンジニアがCTOをやりながらプロダクトを開発するケースも多いですが、ものづくりだけでも技術選定や設計、セキュリティやテストなど考慮すべき事案は多く、それだけでCTOのキャパシティのほとんどに達してしまうのです。

さらに、人事・採用・情報システムなどの付帯業務やデザイナーなどのクリエイターの管理なども担当するとなると、自分一人ではコントロールできなくなるケースも多いでしょうか。

そこで、今回の記事では、未経験のCTOやCTO候補の方向けに、スタートアップのCTOが抱える「よくある苦労」の代表的なものを取り上げ、またどのように対処すべきかのヒントについてもご紹介します

【目次】

  1. 予算がない中での採用活動
  2. エンジニアの育成に対する経営者・投資家への理解・信頼獲得
  3. 開発と同時並行で進めないといけない「情シス」業務
  4. 開発チームのビルディング⇒自走できる組織づくり

予算がない中での採用活動

ご存知の通り、IT系スタートアップにおいて、開発を行う人材すなわちエンジニアの採用は非常に重要な要素です。チーム内に最初からエンジニアがいると話はスムーズですが、いなかった場合は採用するか外部の業者に依頼することになります。

まず、チームが出来たばかりで、予算も無い状態であれば、無償でも手伝ってくれるボランティアを探すことになります。ただ、長期に渡って仕事してくれるとは考えにくいため、「可能な限り少額でも」お金を払って開発してくれる人材を探すことが大事です。

また、デットなりエクイティなりで資金調達ができればエンジニアを本格的に採用することが可能です。会社の規模が拡大してステージが上がれば(シリーズA,Bなど)人材紹介会社やWantedly・ビズリーチのようなスカウトなども駆使してより優秀でビジョンマッチする人材採用ができるようになります。

ただし、単純に「開発におけるあらゆるスキルがワンセットで揃っていて費用が安ければOK」という考えは、後から大きなミスマッチを生む原因になります。この時期のミスマッチは経営にも響く可能性が高く先行投資で採用したももの、スキル不足で開発スピードが遅れ、プロダクトのリリースが遅れたことから経営が立ち行かなくなるというケースもよくお聞きします。

そのため、まずは、副業エンジニアもしくは事業のビジョンに共感してくれるフリーランスの人に依頼する方法が考えられます(エンジニアの月額の相場ですが、ネットワークエンジニア、フロントエンドエンジニア、サーバサイドエンジニアなど職種にもよりますが50万以上、100万円を超える方も多くいます)。

この際には、あまり金額が出せないため、ビジョンやゴールイメージへの共感で金額の調整を行うことが重要です。

参考:CTO採用の「方法・ステップ」と「入社前後の注意点」【現役CTOからの生の声】

エンジニアの育成に対する経営者・投資家への理解・信頼獲得

エンジニアの特徴として技術習得は自ら積極的に行わないといけないというものがあります。書籍の購入であったり、勉強会への参加、イベントや講習会、場合によってはパソコンやネットワーク機器、パーツの購入など業務外でスキルアップを行う必要性が出てきます。

最近ではエンジニア向けの福利厚生の一環で書籍代はすべて会社持ちというところも増えてきました。また、LIVESENSEなど大手IT企業では海外カンファレンスへの参加支援制度もあったりします。freeeやGoogle、Amazonではカフェテリアにフリーフード、フリードリンクもあってロケーションフリーで仕事ができる環境が整っています(コロナ禍の状況で現在はそれほど利用されていないと思われますが)。

採用の問題にも直結しますが、こういったサポートが会社から積極的に行われれば、優秀なエンジニアが集まりやすいとも言えます。

多くの企業で起こる問題ですが、経営者やボードメンバーにエンジニアカルチャーへの理解がなく、図書費や勉強会の費用を出してもらえないなど、CTOが板挟みになることがあります。経営者側の言い分としては、「自己研鑽は自己責任だし他のメンバーとの不公平を生み出さないため」など、価値観の違いもありなかなか説得がしにくい部分でもあります。

加えて、こういったことに費用が割きにくいスタートアップの初期の段階でこのような制度を作るのは難しいという事情もあります。一律にこうすべきといった処方箋はありませんが、シード期にエンジニア力で成果を出し続け、経営者や投資家などに「優秀なエンジニアを雇用することでビジネスに違いが生まれる」ことを証明しするといった手段が最適でしょうか。

開発と同時並行で進めないといけない「情シス」業務

スタートアップでも情報管理の観点で情報システムは必要です。そこそこ大きいベンチャーであればCIO(ChiefInformationOfficer)という情報セキュリティの責任者を置いて管理しているところもあります。

具体的な業務としては

・オフィスのネットワークの管理
・PCや携帯端末の管理
・ウィルス駆除ソフト、Officeソフトなどソフトウェアのライセンス管理
・オフィスの入退室管理
・グループウェア・ファイルサーバーの管理(GSUITEなどで代替するケースもあり)
・PC/その他デバイスのセットアップ
・リモートワークのVPN管理
・トラブル対応のサポートデスク

が一般的です。スタートアップベンチャーでエンジニアが少ないと分担ができないため、CTOがこれらの仕事を肩代わりすることがあります。

情シス業務の苦労として

1.疲弊しやすい
2.自分の存在価値に悩む
3.定型業務の多くかかえたまま、定型業務の圧縮や業務効率化、新規サービス導入を行わなければいけない

というのがあります。まともにやると大変な労力がかかり、本来集中すべきプロダクト開発へのコミットが疎かになってしまうという問題を抱えることになります。

解決策としては、どのような仕事が本来あるのかを理解した上で「やらない仕事」を決めていくのが成功のコツでしょうか。
会社が小さいうちはセキュリティに関する部分などはおざなりになりがちですが、CTOとCEOの責任の範囲で「あえてやらないこと」を決めていくべきでしょう。

また、一部の仕事はエンジニアでなくても対応可能なのでうまく説明して他のメンバーにお願いしていく方法も考えられます。

開発チームのビルディング⇒自走できる組織づくり

ご存知ですか通り、開発プロジェクトというのはどのプロジェクトをとっても一つとして同じものはありません。開発するものとツールとメンバーが変われば必ず違うものになります。

エンジニアのプロジェクトのハンドリングで難しいのは、「共通言語はあるけれど現場ごとに使い方が異なる」ケースが有り、実際にプロジェクトを推進する過程で使い方の認識合わせが必要になるという点でしょうか。

また開発チームに誰を入れるかも重要です。顧客側のサポート担当者、プロジェクトマネージャー、ディレクター、デザイナー、エンジニア(フロントエンド、サーバサイド、ネイティブアプリ)、WEBコーダーなど運用開発に必要なメンバーをアサインしていく必要があります。ただ、ここで重要なのは定例ミーティング(アジャイル開発の場合はスプリント会議)に必ずしもすべての人が必要とも限らないので、進捗管理に必要なメンバーだけを招集すると言った工夫も必要です。

細かいところでは、例えばチケット駆動開発を行う組織の場合、チケット記述の粒度や書き方に関する申し合わせ、またプログラムのコーディングルールの厳格化もどこまで行うか、なにかツールを導入するのか、チェックは誰が行うのかといったことも悩みのタネになります。

Githubのようなソース管理システムを使うところでは、どのブランチに対してプルリクエストを行うのか。リリースはどの状況になったら実行するのかなどの決め事も考える必要があります。CTOの役割としては最終決定権者となります。

これらのツールや技術選定に関してはメンバーの意見を聞きつつ最終的にはCTOやアーキテクトが判断することになります。しかし、この際にチーム内に納得感を起こして、プロジェクトをスムーズに進めるためにはCTOとメンバーの間に「信頼関係」を築く必要があります。

信頼関係が出来てない状態で人だけアサインして、トップダウンで全てを押し付けると、考えて行動しないメンバーが出てきたり、経験のあるメンバーがいる場合はハレーションを起こすことがあります。

必要に応じて時間をかけて話し合うのが重要ですが、あらゆる決め事に対して衝突が起きると全員が疲弊するので、まずは開発チームビルディングを優先して信頼関係を築けるようにリーダーが率先して動くようにしましょう。

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>エンジニアのキャリアに関する記事

スタートアップCTOの「やるべきことリスト」
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/startup_cto

「SEとITコンサルが言う『上流工程』の違いと特色」
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/se_cous/02.html

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今回はCTOのよくある苦労と乗り越え方についてお伝えしました。非エンジニアの立場からすると、技術の現場で起きていることはわかりにくく、いつの間にかブラックボックス化されてしまいがちです。しかし、CTOには説明責任があります。ロジカルに物事を考えて説明責任を果たしながら賢くピンチを乗り切っていくというのもスタートアップCTOの醍醐味です。また、解決策を見つけるために、CTOの先輩や横のつながりを作る挙動も大切です。

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