マネジャー以上のコンサルが、事業企画に転職した際に身につけるべきこと

コンサルティングファームのマネジャー以上の役職で、クライアントの戦略立案・新規事業開発などに従事後、次のキャリアとして事業会社の事業企画部門に転職し、自分自身がリーダーシップを発揮し、責任を持って事業推進したいという方によくお会いします。

実際に、深い業界知見や高いマネジメント能力を持ったコンサルタントを事業企画として採用するケースが増えています。一方で、事業企画というキャリアチェンジ後に、環境や仕事に直ちにキャッチアップできない方も一定数いるのが現状です。

そこで、この記事では、実際にコンサルティングファームから事業企画に転職された方々の生の声や、事業企画の募集をする企業のCxOクラスの意見なども参考に、事業企画に転職後にキャッチアップが必要なことについて簡単にご紹介します。事業企画と一口にいえども、企業の内情やフェーズごとに異なりますので、あくまでも一例としてご覧ください。

【目次】

  1. 身につけるべきこと①事業計画立案のために財務三表の作成能力と、それを達成する計画性・実行力
  2. 身につけるべきこと②リアルなマーケティング実行スキル(デジタルマーケティングから営業戦略まで)
  3. 身につけるべきこと③ビジネスパートナーの開拓・交渉力
  4. 身につけるべきこと④価値観・カルチャー・スピード感の違いへの適応力
  5. 身につけるべきこと⑤事業部横断的なプロジェクトの推進と知見
  6. コンサルから事業会社 事業企画への転職に関するインタビュー

身につけるべきこと①事業計画立案のために財務三表の作成能力と、それを達成する計画性・実行力

IT系ベンチャー企業の事業企画部長にふさわしい素養として、「ディレクションにたけている方ではなく、事業の数字を担える方、そのための組織基盤整備や人材育成・スキーム作りができる方」が挙げられているように、事業企画部長にはプロジェクトマネジメント能力はもちろんのこと、そもそも数字に責任を持ち、その責任を果たせるのかが問われていると言えます。

その責任を持つのは当然ですが、根幹となる会社の経営方針に基づいた計画の策定も任務となります。まず、経営状態を正確に理解する財務感覚が必要とされ、策定した事業計画を公開するような場合は、その内容を予算化し、会計報告の形式で作成します。事業企画の対象となる事業分野の会計リポートが社内にない場合、その事業計画の部分だけを取り出した財務三表を自身で作る機会も生まれます。コンサルティングの現場でもファイナンスに触れる機会は多々あるかと思いますが、いざ「財務モデルを組んでください」と言われても、これらはFASが得意な領域であるため、実務に触れる機会はなかなかないかと思います。

また、新しい事業で収益を確保できるようになるまでには時間がかかることが多く、この間の資金を確保するためには、経営陣に納得してもらえるような説明をする必要があります。プレゼンスキルを高めることも大切ですが、前提として事業が黒字になる見通しや、赤字の場合のリスクを正確に評価・想定し、適切に管理できる財務管理能力をキャッチアップする必要があると言えそうです。

身につけるべきこと②リアルなマーケティング実行スキル(デジタルマーケティングから営業戦略まで)

特にベンチャー企業では、マーケティングの専門部隊がない、事業部にマーケティングが内包されているというケースもあり、マーケティング戦略や、実際のデジタルマーケティングのスキル(SNS広告や、オウンドメディアなど)が必要となるケースがあります。外部にマーケティングの実行を任せるとしても、現在行っているマーケティング手法が正しいのかなど、最終的なジャッジや責任は事業部長にかかっています。

当然ながら、事業計画の成功には、市場の需要、規模、トレンドを正確に理解し分析する実践的なマーケティングスキルが不可欠であり、それが転職後に身に着けるべきスキルの1つだと言えるでしょう。担当する事業で収益を出すために、市場調査とその結果の分析を行い、それらを基にした実践的な営業戦略までも策定を求められることがあります。

戦略的に洗練された事業計画を立て、たとえ経営陣から認められても、適切なマーケティングによる下支えがなければ、目標を達成することは難しいでしょうか。

また、収益化の見込みがない事業を早期に見切り、適切な時期に撤退する判断も、マーケティング力だと言えます。

事業内容やタイミングに応じたマーケティング手法を選択し、実践していくには、机上で学んだ理論だけでは対応できません。新規事業・サービスの立ち上げや企画における、実際の経験から得られる知見とノウハウに基づく実務スキルが求められます。マーケティングを含む戦略立案にたけたコンサル経験者も、実行部分はコンサルからクライアントに引き継ぐケースがほとんどのため、実践から得られる知見や実行力は転職後にキャッチアップが必要な場合があるでしょう。

身につけるべきこと③ビジネスパートナーの開拓・交渉力

「市場選定、調査、開拓戦略策定」「顧客開拓戦略策定・実行」「顧客ヒアリング、事業開発、商品・サービス開発への改善案出し」といった要件はコンサルティングファームの一般的な業務に通じる箇所であり、横異動でスキルを発揮できるかもしれませんが、「主要事業者の開拓および関係性・信頼構築」など自分の事業に責任を持ち、ビジネスパートナーを見つけるといった領域まで事業部長クラスの要件として挙げられることが多いです。

従来の営業の定義から異なりますが、担当する事業の魅力を効果的にアピールして広め、さらにはパートナーや支援者を増やしていくための営業・アピール力が、転職後に必要となるでしょう。

ご自身が担当する事業について、ストーリーテリングをしながらアピールし、社内外に協力者を作って巻き込み、他社との協力も視野に入れながら進めるという、「当事者」としての推進・マインドセットも同時に必要になります。顧客経営層を納得させられるレベルのディスカッション経験・スキルがあると理想的でしょうか。

自社の事業をどのように魅力的に見せ、広く伝えていくかは、市場や他社との連携を図る上で極めて重要なスキルであり、事業責任者として転職後に身に着けていく能力だと言えます。

また、企業によっては「0→1」「1→10」を担当する部署が分かれているケースもありますが、いずれにせよ営業的な地道さでユーザーから情報を取得するか、パートナーに営業して、組んで事業を大きくするかという「営業」的な要素は求められるため、さまざまな「営業」に接しておくことは無駄にはならないと言えそうです。

身につけるべきこと④価値観・カルチャー・スピード感の違いへの適応力

事業フェーズにもよりますが、シリーズの浅いスタートアップや、大手企業でも新規事業に取り組む際には、プロダクトが定まっていない・特定の業務が決まっていないことが考えられます。そういった時に事業やメンバーの指針になるのが会社のミッションです。そのため、ミッションへ共感できるか、つまり、企業文化へ適応できるかどうかは、ハードルと言えます。

たとえば、コンサルタントが慣れ親しんだ明確な成果に基づく評価体系と異なり、「ミッションに基づいてどのくらい行動できたか」といった、主観的かつ不明瞭な基準による評価を行う企業文化に違和感を覚えることも考えられます。

また事業の意思決定の際に、コンサルティング業界では、論理的に正しいことは迅速な意思決定を期待できることが多いですが、事業会社では「誰が言ったか」が重視される文化が存在する場合があります。

このような文化的な違いに直面した時、期待していたスピードでの経営判断・実行が難しく、その結果モチベーションが下がるといった経験することもあるでしょう。

新しい企業文化に適応し、望む成果を出すために必要なその環境の中でのロジック・プロセスを身に着けていくことも、転職後に身に付けるべき重要な能力です。

身につけるべきこと⑤事業部横断的なプロジェクトの推進と知見

IT系プラットホームビジネスのベンチャー企業における事業開発部長の要件として「営業チームやマーケティングチームと協同して、営業手法の最適化、標準化・型化、マニュアルの整備など」が要求されたり、大手医療系企業の事業部長では、「事業部横断的なプロジェクトの推進」が要件に挙げられたりしています。

このように、事業開発では、経営からエンジニア、マーケティング、営業までさまざまな部署を横断的にプロジェクトを進める必要があります。折衝部署が事業部に内包されているケースもあり、ゆえに事業部長クラスになると、営業もマーケティングも財務も、システムも全てにおいて一定の知見を持ち、判断を下すことが求められることもあります。

また、大手企業などで明確に部門が分かれている場合でも、事業企画部長クラスは、各部門のトップクラスとの関係性を築く必要があり、やはり各部門の専門性を理解する機会が生まれます。

コンサルティングファームでは、それぞれの分野・領域の専門性が一般的には求められますが(DX支援ならデジタル部門、M&A支援なら経営企画やM&A部門)、事業会社の事業企画にあたっては、複数部門の状況や課題点を一挙に見ながらプロジェクトを進めるため、入社後はコンサルで得た専門性を発揮しつつも、他の領域をキャッチアップする必要性があります。

コンサルから事業会社 事業企画への転職に関するインタビュー

弊社では、コンサルから事業会社の事業企画に転職、活躍されている方々へ多くのインタビューを行ってきましたが、皆様「経営戦略に即した事業目標の作成と進捗管理」や、「分析に基づく戦略策定能力」「あらゆる企業の課題に触れて得たインサイト」など、コンサルタントの経験を生かして活躍されています。ぜひ参考にしてみてください。

参考:

株式会社クーリエ インタビュー/指数関数的な成長で“介護市場の変革”を。元戦略ファーム、GAFAのCxOが率いる介護事業のリーディングカンパニー
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/courier

Ubie株式会社 ポストコンサルメンバー鼎談/元大手ファーム・マネジャーが考える”成長初期”ヘルステックスタートアップの面白さ
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/ubie

株式会社アカツキ 事業企画部門Think@ (シンカ)山村龍太様インタビュー/元戦略コンサルタントから見た「ゲームビジネスの魅力」とは?
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/akatsuki_thinka

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今回の記事では、コンサルのマネジャー以上が事業企画に転職後に身に付けるべきことについてお伝えしました。キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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