監査業務から非監査業務へのキャリアパス~監査法人内におけるキャリアチェンジの仕組について~

監査法人は監査を行うための法人ですが、監査業務だけを行っているわけではなく、非監査業務も同時に行っています。では、公認会計士として監査業務に関わる方が、どのようにすれば非監査業務に関わることができるのでしょうか。

今回は、監査法人内におけるキャリアパスについて説明していきます。監査業務及び非監査業務の違いや非監査業務の躓きやすいポイントやその乗り越え方などについても触れますので、是非ご参考ください。

【目次】

  1. 監査業務、非監査業務の業務内容の違い
  2. 監査法人内で監査業務から非監査業務にキャリアチェンジする方法
  3. 監査出身者が非監査業務で躓きやすいポイント
  4. 非監査業務で成功するための秘訣
  5. 監査業務から非監査業務へのキャリアパスに関するまとめ

監査業務、非監査業務の業務内容の違い

まず、監査業務及び非監査業務とはどのような業務なのか簡単に押さえておきましょう。

監査業務とは会計監査業務及び内部統制監査業務のことです。会計監査業務はクライアントの財務諸表や計算書類などが正しいかどうか客観的立場から保証する業務です。内部統制監査業務は経営者が作成する内部統制に関する報告書(内部統制報告書)が正しいかどうか客観的立場から保証する業務です。

これらは、実務上、同じ監査法人が提供するのが通常ですが、会計監査だけを受け、内部統制監査については義務がないから受けていないというクライアントも少なからずいます。
一方、内部統制監査だけを受け会計監査は受けていないというケースはほぼ無いと言えます。

対して、非監査業務は、監査業務以外の業務を広く差します(監査業務と非監査業務の同時提供は禁止されていますが、監査法人内で監査業務を提供しているメンバーが、他の案件で非監査業務に関わることはよくあります)。具体的には、IPO支援業務、内部統制システム構築支援業務、財務デューデリジェンス業務などのことです。よく、コンサル業務、などと言われたりします。

監査業務については、任意で監査を受けている企業もいますが、基本的には、受けなければならないと法律で決まっている企業・自治体などがメインのクライアントです。一方、非監査業務については、法律で受けなければならないと決まっているようなクライアントはおらず、クライアントは会計などの専門家である公認会計士からの助言や提言を求めて、提供を受けています。

監査法人の監査業務及び非監査業務は、公認会計士が提供するという意味では共通点があるものの、求められる成果や仕事の進め方など様々な違いがあります。

監査法人内で監査業務から非監査業務にキャリアチェンジする方法

監査法人では多くの人が監査業務を自分のメイン業務としています。特に階級がスタッフの人はそういう人がほとんどです。一方、監査法人は上記のような非監査業務も行っており、特に大手と呼ばれる監査法人にとってはこの非監査業務の収入の金額は決して小さくありません。そのため、監査業務だけでなく非監査業務も積極的に引き受けて欲しいという期待を所属する公認会計士にしているというのが監査法人の現状であると言えます。

監査業務をメインで行っている人がどのようにすればコンサルティングなどの非監査業務に関わることができるかについてですが、方法はとてもシンプルです。監査法人では、事あるごとに、今後のキャリアプランについてアンケートが取られますので、そこで非監査業務に関わりたい旨を記載することが一番の近道です。上司面談などで直接上司に伝えてもよいでしょう。そうすれば、クライアントや人員の状況にもよりますが、多くの場合、非監査業務に関わることができます。

一方、上記のように、監査法人にとっては、監査業務だけでなく非監査業務を行える人員が貴重なので、監査だけを行いたいという人でも、人員の状況によっては、非監査業務にアサインされることもありえます。よほどのことがない限り、アサインされた場合はアサインに応じた方が良いと言えるでしょう。

非監査業務を自分のメイン業務にして監査業務への関りを薄くしたいという場合も同じです。今後のキャリアプランについての監査法人からアンケートで、その旨を記載するのがよいです。特に階級がシニアスタッフ以上であれば、その希望は通ることが多いでしょう。

監査業務出身者が非監査業務で躓きやすいポイント

会計業務は定型業務の連続であると聞かれることがあると思います。言い換えると、前期と今期とで同じような業務を行うということです。会計監査はクライアントの財務諸表・計算書類等の正しさを証明するものです。そのため、会計業務が前期と今期で同じような業務なのであれば、会計監査業務もまた、前期と今期で同じような手続きをすることになるのは自然な流れです。そして、会計監査は、監査基準などによって、ある程度は行うべき手続が明文化されていますので、分からないことを自分で調べるといったことも、場合によっては、可能です。

一方、非監査業務は非定型業務の連続です。言い換えると、クライアントの状況が変われば、行わなければならない業務も日々大きく変わりえます。前期行ったことを今期また行えばよいということの方が珍しいのが非監査業務です。そのため、非監査業務においては、今自分がするべきことを把握するために先輩・上司やクライアントと取るコミュニケーションの重要性が、監査業務以上に大きいと言えます。日々クライアントが置かれている状況も変わりますし、クライアント自身も変化します。その中で今自分が何をすべきかについて先輩・上司やクライアントとコミュニケーションを取らないと判断できない面があります。

そのため、コミュニケーションが好きでしかも得意であるという人には、もちろん他の要素にもよりますが、非監査業務が向いている可能性が高いです。一方、そうでない人には、非監査業務は難しい仕事であると言えるでしょう。

これは監査法人で非監査業務を行う場合に限りませんが、人間同士には相性があるため、どうしてもコミュニケーションが取りやすい相手とそうでない相手がいます。仕事で頻繁に直接相談しなければならない先輩・上司や主にコミュニケーションを取るクライアントが自分の苦手なタイプの人である場合は、非監査業務では特に大きな苦労をすることになります。

非監査業務で成功するための秘訣

上記のように、非監査業務で主に苦労するのはコミュニケーションの面だと思います。仕事で頻繁に直接相談しなければならない先輩・上司や主にコミュニケーションを取るクライアントが自分の苦手なタイプである場合など逆境を乗り越えるためのポイントを挙げるとすると以下の通りです。

・ある程度、自分の考えを持つ・・・先輩/上司/クライアントの言いなりになってただ周りに流されてしまうと、質問するたびに言うことが変わるような先輩/上司/クライアントの場合、仕事が全く進まないという可能性があります。そのため、ある程度は、自分なりの考えをもって動くことが、監査業務以上に重要です。

・意固地にならず協調性も発揮する・・・チームで浮いてしまうと、仕事で必要な情報が回ってこなくなる可能性もあります。自分を持つことは大事ですが、バランスが重要です。空気はしっかり読む必要があります。

・コミュニケーションは避けられないと腹を括る・・先輩/上司/クライアントに対する報告・連絡・相談をまめに行いましょう。自分の苦手なタイプの相手の場合、それらを避けようとすると余計に酷いことになってしまう可能性が高いです。

監査業務から非監査業務へのキャリアに関するまとめ

ここまで、監査業務及び非監査業務について見てきましたがいかがでしょうか。監査法人内におけるキャリアパスについて、ある程度イメージできたと思います。

公認会計士である以上、監査業務が重要であるのは言うに及ばずですが、非監査業務には非監査業務ならではの厳しさとやりがいがあり、その中だからこそ公認会計士として成長できるという面があるのもまた事実です。また監査業務とは異なり、クライアントは実績そのものを重視しているケースがほとんどです。

非監査業務においてはクライアントのために精一杯努力しました、ではなく、監査法人が提供した非監査業務のおかげで、〇〇円費用が削減された、など目に見える成果が求められるケースが多いです。その分、求められるものもシビアになりがちです。マインドとして、非監査業務はこういったハードな仕事だからこそ、やりがいがあると感じられる人が非監査業務に向いています。非監査業務に当たる上では、厳しい環境だからこそ得られるものが大きいし成長も可能である、という考え方を根底に持てるとよいでしょう。

非監査業務においては大きく成長する機会があるため、公認会計士だから監査業務だけ、という考え方は非常にもったいないと言えるでしょう。

<監査法人のキャリアに関するコラム>

「ITコンサルから監査法人アドバイザリー」というキャリアパスとその際の注意点

コンサルファームから監査法人アドバイザリーへの転職時によくある質問と回答例

「経理職から監査法人へ転職して驚いたこと」とその違い【実話】

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今回の記事では、監査法人内におけるキャリアチェンジの仕組についてご紹介しました。

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