キャッシュフロー計算書からNTTデータの決算発表を読んでみる

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こんにちは。
キャリアコンサルタントの最上裕司です。

NTTデータの2011年3月期決算短信が出ましたね。
キャッシュフロー計算書の読み方の勉強がてら、3月期決算を読んでみましょう。

本来は財務三表(貸借対照表B/S、損益計算書P/L、キャッシュフロー計算書C/F)を
それぞれ関連させつつ、経年変化も見ながら読むべきではありますが、
ひとまず簡単に、ざっくりと、ということでキャッシュフロー計算書にスポットを当てます。

キャッシュフロー計算書は、
「実際のお金の流れから企業経営の状態を見るための数値」です。


・営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)
・投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)
・財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)


の3要素から成り立ちます。
超ざっくりと3要素を説明します。

営業CF:本業による収益と支出の差額です。これがマイナスだと本業の事業が厳しいってことです。

投資CF:固定資産や株、債権の取得や売却に伴うお金の流れです。
大規模な設備投資なんかをするとマイナスになるため、必ずしもマイナスが悪ではないです。

財務CF:銀行借入や自社債発行、あるいは返済などお金のやりくりに伴うお金の流れです。
お金を借りるとプラス(手元のお金は増えるので)、返済するとマイナスになるので、
マイナスだから悪いわけではなく、借金返済に充てたんだな、と考えれば良いわけです。


さて、本題。

2011年3月期の連結キャッシュフロー計算書によると、
各数値はこんな感じになっています。

営業CF +2291億円
投資CF -2855億円
財務CF +1049億円

投資CFがマイナスということは、積極的に設備投資や固定資産の獲得、
あるいは株式の取得にお金を遣っている(投資CF -2855億円)ということになります。

よく見てみると、子会社株式の取得にかなりキャッシュをまわしているのが分かります。
グローバル展開の一環で、積極的に海外企業の買収などを行いましたので、
その関係でしょうか。
(元々連結子会社だったところの株式を追加購入して完全子会社化、とかね)

そのための財源に、本業で得られた利益(営業CF +2291億円)
社債発行や銀行借入等(財務CF +1049億円)を充てることでまかなっているわけです。

本業が健全であり、なおかつ借入をしてまで投資にお金を充てる。

つまり、次なる成長に向けて意欲的に取り組んでいるんだな、ってことが伺えます。


ちなみに、2010年3月期の数値は下記です。(カッコは今年の数値)

営業CF +2578億円(+2291億円)
投資CF -1741億円(-2855億円)
財務CF  -638億円(+1049億円)

今年と比べると、本業による収益は今年より良かったようです。
投資活動自体は今年よりおとなしめ。
そして、財務CFはマイナスです。
これは社債は発行せず、借金返済にお金をまわした、ということなので、
決してネガティブなものではありません。


あくまでキャッシュフロー計算書だけで見た話ですが、
こうしてみると、去年は十分な利益もあり、それにより投資にも借金返済にも
お金をまわした、という優良企業タイプなキャッシュフロー計算書。

転じて今年は本業での利益も十分にあがっているものの、
さらに社債や借入をしてまで投資活動に資金をまわす、ということで
「攻めに転じている」という印象です。
成長企業やベンチャー企業によくあるキャッシュフローのタイプです。


もっと遡って読んでみるともっと色々わかって楽しいと思いますが、
2年分読むだけでも想像が膨らみますね。

転職先の健康状態がどんな具合なのか。
上場企業であれば、このような情報はすべて開示されています。

是非、読み方をマスターしてみて下さい。


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