皆様こんにちは。
アクシスコンサルティングの福原です。
グローバル化の流れに乗り、現地生産へのシフトを続けてきた
日系メーカーにて、国内生産に軸足を戻す動きが出てきています。
その背景から、日系メーカーの今後の展望を探ります。
【国内生産へシフトする動き】
日系メーカー大手のキャノンは、現在43%にまで低下した
国内生産比率を、50%に引き上げる方針を打ち出しました。
世間の流れと逆行するこの取り組みには、どのような意図があるのでしょうか。
【国内生産強化の背景】
これには、複数の要因が考えられます。
①中国での生産コスト高騰
ボストン・コンサルティング・グル―プによる2015年の日米中の
生産コスト予測では、日中間の生産コスト差の縮小が見られます。
日中間の生産コスト差は16%。米中間の8%差と比べると倍の数値となりますが、
これは為替が1ドル=92円を前提としてるため、1ドル=100円前後であることを
考えると、この差は更に小さくなります。
②定着性
中国の現地工場では、社員の定着率の低さが問題視されています。
新日鉄住金・八幡製鉄所では、親子三代に渡って同製鉄所に勤務している例も少なくないため、
「技術の集積」という点でも、国内生産に力を入れることの価値が伺えます。
また、同製鉄所は110年前に建設された設備に最新技術を融合させ、
生産量の8割を輸出する鉄道レール製造の根幹を担っています。
この歴史的価値から、世界遺産への登録準備が進められているとのこと。
③開発部門と製造部門の連携
一般的に、開発部門の企画に基づき製造部門が製品を作りますが、
この棲み分けを解体したのが、自動車メーカーのマツダ。
工場設備の制約を知っている製造部門の知見を活かすべきと、
開発部門の企画内容に対して製造部門が様々な意見が加えられるよう、
仕組化しています。
この連携には、開発・製造を同一地域内に設置する必要があります。
上記を考慮すると、中国以外の東南アジアへの拠点設置は続く一方で、
製造拠点を日本へ戻す動きが活発化する可能性は高いのではないでしょうか?
モノづくり国家である日本において、
製造業の動向は景気に大きく影響を与えます。
今後も、この動向に注目です!