財務諸表の一つ、キャッシュフロー計算書(CF計算書)を見ると、
何となく企業のとっている戦略が見えてきます。
CF計算書は企業の手元にある現金(キャッシュ)の流れを示したものです。
期首にいくらの現金を持っていて、期末にそれがいくらになったのかを示します。
売上計上したとしても、すぐに手元に現金が入ってくるわけではなく、
売掛金として回収にしばらく時間がかかるのが普通です。
金融機関への返済や従業員への給与など、「待ったなし」で現金が必要になったのに
売上を回収できておらず、現金がなくて、倒産、なんてこともありますので(黒字倒産)、
手元の現金はとっても重要です。
CF計算書を見ると、その企業がどんな成長ステージを迎えて、
どんな戦略をとっているのかがうっすらと見えてきます。
どんな風に見れば良いか、実例を踏まえてざっくりと解説してみましょう。
(ただし、本来企業の健康状態を見る時にはBS、PL、それぞれの経年数値を見るべきです。
CF計算書はあくまで一つの方向からの見方であることをご理解ください)
例えば、業績不振により、先日の株主総会が荒れたシャープさん。
こちらにデータがあります。
「連結キャッシュフロー計算書」を選びましょう。
テーブル表示にすると具体的な数値が見られます。
連結CF計算書 | 2011.3 | 2012.3 | 2013.3 | 2014.3 | 2015.3 | |
営業活動によるCF | 百万円 | 167,443 | -143,302 | -81,075 | 198,984 | 17,339 |
投資活動によるCF | 百万円 | -244,613 | -159,557 | 7,110 | -84,940 | -16,043 |
財務活動によるCF | 百万円 | -6,254 | 256,381 | 51,637 | 32,753 | -136,090 |
こんな感じです。
2011年3月期はCF計算書上は優良企業と言えます。
営業CFが1674億円のプラスで、投資CFと財務CFがマイナス。
これは本業でしっかりとお金を稼げていて、それを設備投資や研究開発費にしっかりまわして
攻めの経営も出来ているということになります。
財務CFがマイナスというのも悪ではなく、借入金の返済を進めているために
手元の現金が減っている、ということです。堅実に見えます。
翌年、営業CFがマイナスに転落。
そして特徴的なのは2013年3月期です。
営業CFが前年に続いてマイナスです。2期連続で本業で稼げてません。
そして投資CFがプラスです。
手元の現金が増えているということは、例えば工場の売却など、
固定資産の売却によりキャッシュが増えた、というか「増やした」ということになります。
さらに、財務CFもプラス。
金融機関からの借入や社債発行など、ようするに借金をして現金を増やしています。
本業で稼げなくなって現金が減ったのを、
固定資産を売却したり借金したりして食いつないだ、と解釈できます。
荒れた2015年3月期は、2011年3月期同様、
営業CF +
投資CF -
財務CF -
ということで、CF計算書上はヘルシーですね。
裏側でリストラやら何やらで余計なコストを下げたんでしょうけど、
その辺はCF計算書からは見えません。その辺がCF計算書の限界かも知れませんね。
CF計算書を経年で読み解くと、その企業のお金の使い方が何となく見えてきます。
投資を増やし攻めているのか、
借金返済がかさんでいるのか、
本業は苦戦しているのか。
自分が興味を持った企業が上場している場合は、必ず財務諸表なども見ておきましょう。
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