マイクロソフト(以下、MS)とアクセンチュアがグローバルで共同出資して設立された
アバナード。マイクロソフト・ソリューション専業型のソリューション・プロバイダーとして、ITコンサルティングからSIまで幅広いサービスをクライアントに提供している。同社の魅力について、アバナード設立時から中心メンバーとして参画している、ディレクターの和田玄氏に話を伺った。
アバナードの設立から今に至るまでの経緯についてお聞かせ下さい。

2000年4月に米国でアバナードが設立された当時、日本でもアバナードを立ち上げる話も出ていました。しかし、日本では企業向けMSソリューションの認知度はまだ低く、アクセンチュアの中の一組織、MSO(マイクロソフト・ソリューション・オーガニゼーション)としての活動に留まっていました。私自身そのチームの一員として活動していました。
それから5年、日本におけるMSソリューションへの需要の高まりを受け、2005年10月に正式にアバナード日本法人を立ち上げ、ビジネスを開始しました。当初は私を含めアクセンチュアから、自主的にアバナードに転籍したエンジニア15名でのスタートでした。立ち上げ間もない頃は、企業としての体力、知名度もなかったため、アバナードとしての仕事というよりは、アクセンチュア、MS両社のプロジェクトへのアサインベースでの参画がメインでした。
しかし、個々の社員が実績を積み重ね、また会社としても規模が大きくなるにつれ、個人⇒チーム⇒プロジェクトとアバナードのメンバーが中心となって回す案件も増加し、MSソリューションならアバナードという認識を持ってもらえるまでに成長しました。それが立ち上げから3年の目標でもあったので、これまでの成長過程は順調すぎるくらい順調と言えるでしょう。
御社の代表的なプロジェクト事例についてお聞かせ下さい。

特定の業界・業種、規模にも特にこだわりはありませんが、当社にしか実現できない案件かどうかということを強く意識しています。アバナード独自の案件で言えば、大規模な案件としてはユーザー規模4万人以上の大手出版社の情報共有基盤構築プロジェクトがありますし、一方では大手食品メーカー向けのマーケティングBIシステム構築のように、スピード感を重視したコンパクトな案件もあります。また当社の強みでもある先進的なMS技術を活かした難易度の高いプロジェクトも多いです。
アクセンチュアとの協業プロジェクトでは、ITにはまだ結びつかない業務コンサルティングのフェーズはアクセンチュアが担当し、そこで浮き彫りになったクライアントの課題をMSソリューションでどのように解決するかということを提案する段階から、私たちアバナードが参画するという形がほとんどですね。
競合他社に対する御社の差別化ポイントについてお聞かせ下さい。

マイクロソフト・ソリューションがカバーする領域は想像以上に広く、MS製品に強いとされる他社も、いずれかの分野や業界に特化しているケースがほとんどですが、アバナードでは.NETのカスタム開発からBI、CRM、ERPパッケージなどの導入まで、「できないものはない」という前提で、クライアントに対して全方位的にサービス提供を行っています。
またアバナードは製品やライセンスを販売する会社ではなく、MSの技術を最大限有効活用し、顧客の問題を解決することがミッション。よって、通常ならば実現が難しい要望や課題をお持ちのクライアントや、MS製品を導入したものの活用に困っているクライアントに対しても、MS製品の性質、特徴を十分理解した上で、真のビジネスパートナーとして最適なソリューション提案をすることができます。これらは他社との決定的な違いと言えると思います。
今後の展望についてお聞かせ下さい。

設立から3年間はアクセンチュア、マイクロソフトの力を借りて、ブランディングやクライアントとの信頼関係の構築を行ってきました。現在、150人体制となり、プロジェクトも常時20以上が進行中であり、前述のとおり、MSソリューションならアバナードという認識が浸透してきたという実感もあります。次の3年間の目標は顧客のビジネスパートナーとしての立ち位置を確立したいと考えています。
顧客と長期的なパートナーシップを構築することで、顧客のビジネスの成長・成功に深くコミットし、最適なビジネスソリューションを提供することによって、常に頼りにしていただける存在になりたいと考えています。そのためにも当社自体、提供するソリューションの品質の維持・向上を第一に考えており、事業規模の拡大のみを追い求めるつもりはありません。
御社のカルチャー、社風についてお聞かせ下さい。

当社にはより高いスキルレベル、チャレンジングな案件を求めて転職してきたメンバーがほとんど。仕事以外でもスキルアップを怠らず、その成果を仕事で実践できることに喜びを感じるといった志向の社員が多いと感じます。彼らの前職は、大手企業の社内SEや、コンサルティングファーム、独立系SIerなど、実に多彩で、アバナードに魅かれたポイントも様々です。アクセンチュアとマイクロソフトという2大企業をバックボーンに持ちその強みを活かせる、上流工程から一貫してプロジェクトに関わることができる、また常に最新技術に触れられる環境に魅かれたという社員もいます。
しかし全員に共通しているのは、『MSソリューションで顧客の課題を解決する』という強い意識です。それが、当社で活躍する人たちの唯一の共通項とも言えるかもしれません。
御社が注力していることについてお聞かせ下さい。

多様化する顧客のニーズに応え続けるには、社員一人ひとりの成長が不可欠であり、人材育成に力を入れています。トレーニング・プログラムは300以上用意されており、内容については社員のフィードバックをもとに、常にグローバルで見直しを図っています。また年間80〜120時間のトレーニング受講を徹底し、スキル向上に社をあげて取り組んでおり、昨年度のトレーニング消化率は98%を達成しました。
この数字は、制度として整っているだけでなく、社員自ら進んで自己研鑽に励んでいる、ということを表していると言えるでしょう。さらに、アバナードでは社員のキャリアアップをサポートする独自の制度としてキャリアマネージャー制度を導入しています。全社員に先輩社員がキャリアマネージャーとして付き、短期・長期的なキャリア形成や、そのための目標設定の仕方、研修計画のプランニングをサポートしています。このように、当社には成長意欲を刺激される環境が整っていると思いますし、スキルアップに向けて努力する社員に対しては、サポートを惜しみません。
御社の求める人物像についてお聞かせ下さい。
当社ではマイクロソフト製品の知識や経験以上に、顧客の現状を把握してその課題解決に向けて全力を尽くすコミットメント(顧客志向)が必須です。つまり、採用のポイントは、顧客の信頼を得て課題解決をコミットできる人物であるかどうか。そのためには、技術に情熱を持ち、マーケットや顧客のニーズに即した技術を習得し、自ら課題を解決しようとする強い気持ちを持ち続けられること。そして『できない』『わからない』と言う前に、『できるためには何をすべきか』を考えて、主体的に行動できる人が望ましいですね。
アバナード日本法人は順調に成長してきたとはいえ、組織としてまだ発展途上の段階です。今後入社される方には、目指すキャリアの実現に向けて積極的に行動を起こしていただき、自分の成長と会社の成長をリンクして捉え、アバナードを一段と成長させる一翼を担って欲しいと思います。