カート・サーモン・ユーエス・インク日本支社(以下カート・サーモン)は、小売・流通・消費財業界に特化した経営コンサルティングファームで、専門性の高い領域に於いて事業戦略、IT戦略策定から実行支援までを一気通貫して提供できる世界で唯一のプロフェッショナルファームです。
今回は渡辺氏・河合氏(2014年参画)両パートナーに語っていただいた。
御社の特徴についてお話いただけますか。

河合氏 私はいくつかのコンサルティングファームを渡り歩いてきた感想から言えば、大きな特徴が3点ほどございます。
まず、何より業界特化型という非常にユニークなバリュープロポジションをもっており、例えば、小売業界で需要が高まっているオムニチャネルなどについての、極めて専門性の高いソリューションの最新事例などが社内に既知のものとしてあるという点。
これは、受注して「いろは」から勉強する他の戦略コンサルティングファームとは全く違うポイントです。
二点目は、これは一点目と関わっているのですが、米国などと非常に密接に情報共有や知見の共有がなされているので、日本でまだ知られていない考え方、米国の先進事例などについても瞬時に提供できる点で、ここも当社の大きな競争優位となっています。三点目に、業務経験があるなしに関わらず、社員全員が小売、流通、消費財業界に対して強いコミットメントをしているため、いわゆる「素人」がいないという点。特に、小売や消費財の領域は,簡単なようで極めて専門性が高く、これは、クライアントから見て非常に頼もしく感じられるポイントだと思っています。実際、私どもがおつきあいしているクライアントは、日本や米国の一流リテーラーばかりです。これほどまでに一流のクライアントとおつきあいをしているのかと驚きました。
渡辺氏 4点目を挙げると、河合氏の述べたこれらの業界専門性があって初めて出来ることになりますが、企業のオペレーション現場に戦略を落とし込む能力が極めて高いことを挙げておきます。
一般的に戦略特化型コンサルティング企業が戦略や計画を策定しても、実行されないケースは少なくないといわれていますが、理由の一つは現場の能力、思い、コミットメントをうまく吸い上げるだけの知見やコミュニケーション能力が足りないことや、現場での課題を一緒に解決しながら実行までサポートできるような能力や人材が不足していることだと耳にします。
この点、当社は相当細かいレベルでの知見や現場勘、関係作りをやっていますので、人材が現場と一体化することが容易です。これがハンズオン能力が高いとされる由縁になっています。
御社の今後の方向性については、どのような考えをお持ちですか?

渡辺氏 当社の小売流通に関する経験値や能力が活かされる領域は多く残されています。当社や欧米のクライアントが過去10年程度かけて変革して来た事が、日本ではごく僅かしか行われていません。
これは、市場戦略、商品戦略、店舗戦略、物流戦略などの個々のオペレーション分野の話もありますが、より根本的なKPI管理、PDCA、組織横連携といったガバナンスの話もしかりです。こういったものを当社の専門知見を織り交ぜながら業界全体に浸透させて行きたいと思っています。
また、日本の小売流通企業の海外進出にもまだまだ余地があります。一時は、進出方法が拙くてうまく行かなかった結果「海外はダメ」というような短絡的な考えに矮小化されていた事もありますが、最近はやり方やタイミングを正しく見極めることで成功する日本企業が増えて来ました。このような分野でも当社の支援余地は沢山残されていると思います。
河合氏 前述の通り、私はカート・サーモンにジョインしたばかりですが、私個人としては、20数年アパレルを中心として小売事業を中心にターンアラウンド、コンサルテーションをしてきたこともあり、私の持っている、主に国内の小売や消費財を対象にした、戦略立案、ブランディング支援、あるいはターンアラウンドのノウハウといったものをカート・サーモンの中に注入し、逆に、カート・サーモンが持つデジタライゼーションやサプライチェーン、マーチャンダイジング支援といった中核能力と化学反応を起こし、日本で最強、最高の小売、流通、消費財の戦略ファームに名実ともになりたいですね。私自身3年ぐらいの期間でこの目標を達成するつもりです。
競合他社との違いについては、どのように捉えておいででしょうか。

渡辺氏 先ほど触れた通り、計画を現場に落とし込み、ボトムラインにインパクトが出せる点です。私自身も結果が求められる事業会社を沢山経験して来ており、とにかく数字につなげなければ価値は無いと考えていますし、そう考える方々に是非来てもらいたいですね。
勿論、それは時間もかかりますし、根気もいるタイプのコンサルティングになりますが、クライアントに本当に感謝されて充実感を得るには、本当に良い環境だと思います。
河合氏 ここは、今までと重複するので詳細は割愛させていただきますが、一つだけ言えることは、コンサルテーションを依頼するクライアントから見れば、我々のような業界特化型ファームは、小売、流通、消費財の領域でいえば、その専門性の高さにおいて他のファームとは全く違うと思います。
私たちは、そもそもの準備をせず、場合によってはDay 1からソリューションの仮説をいくつか直球でぶつけることができます。
また、これだけ専門性が高いと、私たちのファームを卒業し、小売、流通、消費財企業に経営幹部として引き抜かれる事例も増えています。入社をご希望される方にとってみれば、いわゆる「つぶしが利かない」と言われるコンサルティング業界において「即戦力」となれる機会を提供することも可能です。
上記以外に御社の自慢できるものや強みなどをお聞かせください。

渡辺氏 消費者に直接貢献する機会があることです。勿論どのような仕事も最終的には消費者にインパクトがあるケースも多いのですが、当社の仕事はこの点が極めて直接的です。自身の消費者としての直感や嗜好も極めて重要であるし、また、自分と異なる消費価値観の存在に気付かされる機会が多い。一人の個人として主張したり学んだり、という点がとても「地に足のついた仕事」であると感じることが多いですね。
河合氏 私が入社の時に徹底して言われたことは「チームワーク」と「仲間を思いやる気持ち」でした。どこのファームでも似たようなことは言うのですが、いくつかのファームを渡り歩いた経験からいって、カート・サーモンのチームワークスピリットはダントツです。
非常に「大人」が多いというか、全員が全員を思いやり、みんなで助け合って仕事をしてゆこうという気持ちが完全に共有されています。外資コンサルというと、Up or Outや出世レースによる、いわゆる「足の引っ張り合い」を想像しがちですが、そんなところは全くないですね。
もちろんハードな再生の仕事や戦略立案の仕事などはハードワークになりがちですが、精神状態が全く違う。仲間で乗り越えようという気持ちになれるファームです。これは、私が一番驚いたところであり、当社の文化を最も端的に表しているポイントです。
御社を志望される方にメッセージをお願いします。
渡辺氏 消費者に直接何かを訴えかけるという醍醐味に興味がある方に是非門戸をたたいてもらいたいですね。それは複雑怪奇で、しかも実行の難易度も高い事だらけですが、達成感は極めて高いと保証します。
また、専門性というものについて一度しっかり踏み込んで欲しい。ジェネラリストの存在は常に重要ですが、専門性や即効性の重要性はそれ以上のペースで増す一方です。テクノロジーや市場の複雑性が増す中、情報や選択肢が余りに多くなっており、ボトムアップ・網羅的にコツコツ分析するだけでは残念ながら日が暮れてしまう。初期に出来るだけ筋の良い仮説を立て、それらを検証しながら軌道修正をかけて行く、これが重要です。そのためには分野を絞って掘り込むしか無いというのが私の謙虚な結論です。是非、日本そして世界の業界ナンバーワンを目指して一緒に働いて欲しいと思います。
河合氏 当社はこれから大きく日本のみならずグローバルに拡大してゆきます。また、当社で働くことで「一般論」でない極めて具体的な、かつ専門性の高い問題解決の事例やフレームワークを習得することができます。
意外と知られていないのですが、世界ではじめてQR(アパレル業界の用語)やECR(食品業界の用語)の概念、あるいはサプライチェーンの発展型であるCPFRなどのコンセプトを生みだし、米国で、そして世界の流通産業に大きなインパクトを与えたのは当社です。私も20年前からカート・サーモンの名前を知っていました。この歴史と伝統のあるファームの拡大を一緒に志向していただける方とご一緒したいと思います。