戦略とファイナンスの融合を通じて、クライアントの成長を加速させるプライスウォーターハウスクーパース マーバルパートナーズ。 今回は、同社でシニアアソシエイトとして活躍中の榎戸貴史様に、アクシスコンサルティングの山尾康久と坂本健太がインタビューしました。 文中の情報及びデータ等は2015年11月現在のものです。
より多くの経営者に価値を提供したいと考え転職
山尾
榎戸様は学生時代からコンサルティング業界を目指していらっしゃったのですか?
榎戸様
目指していたわけではありませんが興味は持っていました。元経営コンサルタントの方が大学の講師としており、その授業がとても楽しかったのです。
マーバルパートナーズの前はマザーズ上場のITベンチャー企業で3年ほど働いていました。社長は大学の大先輩です。私の学部から会社を創業し上場まで企業を成長させた社長は当時数えるほどしかおらず、彼の元で働くことに魅力を感じました。
経営に近いところで働きたいという想いがあったのですが、社長室に配属され、3年間一貫して社長直下のプロジェクトで新規事業の立ち上げなどに携わることができました。
行政と一緒にICTを使った街づくりの実証実験をしたこともあります。そのとき、プロジェクトマネージャーとして業務を遂行したのですが、様々なステークホルダーとの折衝を経験し、大きな学びがありました。
坂本
充実した経験を経て、新天地へ。どのようなことをお考えだったのでしょうか?
榎戸様
3年間、経営者の意思決定に資する業務を遂行していく中で、経営の目線といったものを学び、より多くの経営者に自分の価値を提供したいと考えるようになりました。
また前職で買収した子会社と共同のプロジェクトを担当していたことがあるのですが、そのとき、関係構築をもっと上手にできたのではないか、という思いがありました。マーバルパートナーズではM&Aを主要な事業の一つにしていますが、買収の局面だけではなく、その前後まで含めて一気通貫で関わることができます。買収する側・される側双方がハッピーになるようなM&Aができると思い、入社を決めたのです。

若くてアットホームな社風
山尾
では、御社の雰囲気について教えてください。
榎戸様
2つキーワードがあります。ひとつは若いこと。ディレクターでも40歳手前です。離れていても15歳程度。エネルギッシュで自由闊達です。
2つ目はアットホーム。ノリがよくて、仲がいいです。土日に出社して飲みに行くこともあります。
また、ナレッジの共有に非常に積極的なのも弊社の特徴ですね。様々な業界から集まってきたメンバーが互いの強みを共有するので大きな刺激を得られます。
40名ぐらいのファームなので全員が顔なじみです。PwCの他のファームからの出向者も来て多様性がさらに増し、より魅力的になってきました。
教材はすべて手作り。約1ヵ月の研修でスタートラインに立てる
山尾
若手が多いとなると、教育体制も必要ですね。
榎戸様
非常に力を入れている印象です。基本的に入社後1ヵ月は毎日研修です。実務を担うコンサルタントが講師で、研修用の教材もすべて手作り。教える側もかなり真剣で、実務的で身になるものでした。きちんとスタートラインに立てるようにカスタマイズされていると感じました。
内容は、コンサルタントの基礎スキルとファイナンスの基礎スキルの2つ。弊社は戦略とファイナンスの融合をファームのビジョンとして掲げていますから、この2つが軸です。
問題解決の考え方、ドキュメンテーション、情報収集、調査設計、ファイナンス、デューデリジェンス等で使う事業計画のモデリングなど多岐に渡ります。
各回に自分で手を動かす時間が用意されますし、宿題も出ます。50%の時間で講義をして、50%の時間で自分で手を動かす、といった形式です。
坂本
研修後、初めてのプロジェクトはどのようなものでしたか?
榎戸様
M&A戦略の策定と、買収を検討している対象企業のフィージビリティスタディ(実行可能性調査)でした。どのようにアプローチすべきか。どのようなアライアンスが望ましいか。買収対象企業の企業価値などを元にクライアントに提案する仕事でした。
私は主に対象企業の調査、企業価値の算定を担当しました。買収後の体制についても意見することができ、非常にやりがいがありましたね。

楽しめなければ、働く場としてふさわしくない
坂本
榎戸様が仕事をするうえで大切にしているポイント、またご自身のこれからのキャリアをどのようにお考えなのか教えていただけないでしょうか。
榎戸様
大切にしていることは2つあります。ひとつは楽しむこと。それができなかったら働く場としてふさわしくありません。もう一つは逃げないこと。この仕事は高い視座を求められる機会が多いので、その分ハードルも高い。そこから逃げないという意思が大事だと考えています。
自分のキャリアに関しては、中長期的にはコンサルティングであれ別の業界であれ、会社を経営する立場に立ちたいと考えています。私の両親は共に独立して自分の会社を経営しているのですが、腕一本で食べていけているという点で尊敬していますし、自分もそうなりたい。
短期的な目標はお客様から名指しで信頼してもらえるようなコンサルタントになることです。それが将来腕一本で食べていくということにも繋がるとも思います。コンサルティングやアドバイザリーという幅広い領域の中で、自分の強みや提供できる価値を養っていきたいと考えています。
コンサルティング業界の変化は感じていますか?
山尾
コンサルティング業界の変化は感じていますか?
榎戸様
テクノロジーの進化によって、マーケット環境やゲームのルールが非連続的に変化しています。そのような変化の中で、クライアントからは、従来のフレームワークに基づいた帰納法的アプローチだけでは解決できない「問い」を投げかけられるようになってきていると思います。それらに対応していくために、コンサルティングファームは新しい武器によってクライアントに価値を提供していくことが求められています。
ビッグデータを使って解を抽出していくのも一つのアプローチですし、デザイン思考で新規事業をプロトタイピングとして市場に出し、PDCAを回しながら検証・進化させていくというアプローチが有効であることもあります。このように問題を解決するための思考プロセスや情報量も多彩になってきたというのが、今起きている変化だと思います。
PwCを含め、大手のコンサルティングファームがデジタルという切り口で新しいコンサルティングサービス領域を探索したり、デザインファームを買収したりという動きも出てきています。
このような取り組みを実践してきた経験を持つ人材が、コンサルティングファームの中でもより求められるようになると考えていますので、スピード感ある企業で新規事業を担当してきた自分のような人間が、大企業に勤務されていた方や元々コンサルティングに携わっていた方とは別の価値を出していける土壌ができつつあると感じています。
休日を利用して論点を整理
坂本
大変お忙しいと思いますが、お仕事とのバランスはどのように取っていらっしゃいますか?
榎戸様
休日も自主的に会社に行くことがありますが、それはむしろ精神的安定を求めてですね。平日はどうしても忙しくなるので休日を利用して落ち着いた気持ちで論点を整理しています。
コンサルティングファームなので、プロジェクトとプロジェクトの間に長期で休みを取るメンバーが多く、私もそうしています。私はデジタルガジェットが大好きで、暇さえあれば触っているような人間ですが(笑)、通信機器に触れずに過ごす「デジタル・デトックス」を今度してみたいですね。
前職がコンサルティングファームに負けず劣らず忙しかったこともあり、まず量があってこその質という考え方は持っています。大前提として人に負けない量をこなす中で、それをどのように質に転化させていくか。だから今はあまりワークライフバランスを気にしていないかもしれません。
ただ、家族を持つとまた違う考え方になるようにも思います。社内でも家族がいる方は早く帰って、リモートで仕事をしている方もいますね。

〝考えに考え抜いて疲れる〟経験を
山尾
最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
榎戸様
コンサルタントの重要な仕事の1つは、正しいと思ったことをゼロベースできちんと検証して、クライアントにとっての示唆を出すことと認識しています。
一方、事業会社で働いていると、組織の中で動くため、与えられた条件や権限の範囲を盾に思考停止に陥ってしまうことがあります。そうなってしまいがちだということに気づいている若手社会人の方も多いのではないでしょうか。
また先ほどお話したように、コンサルティング業界にも新しい潮流が生まれ、これまではあまり縁のなかった業界の人間が求められるようになっています。
もし、自分は今考え尽くしていないのではないか、と危機感と覚えている方がいたら弊社に来てください。頭脳をフル稼働して、〝考えに考え抜いて疲れる〟経験を、ぜひ一緒にやりましょう。