【AXIS女性キャリアアドバイザー鼎談】
「女性コンサルタント」の活躍事例とその背景、ファーム内の取り組みについて

今回は、直近のコンサル業界における「女性コンサルタント」の活躍事例とその背景、さらにファーム内の取り組みについて注目したアクシスの女性キャリアアドバイザー対談記事。2019年にはアクセンチュアのCEOにJulie Sweetが就任するなど、業界における女性コンサルタントの活躍が目覚ましい中、その現状や事例等について詳しくご紹介します。

目次
    1. 国内外のコンサルティングファームで女性CEOが活躍中
    2. コンサルの評価方法は第一に「アウトプットの質」、よりフェアかつ実力主義の環境を求める方には最適な環境
    3. 「ワーパパ・ワーママMTG」「プロジェクトのシェア」など各ファームで柔軟な働き方への制度や取り組みが進行中
    4. ファーム選びの際には「ロールモデルの有無」の確認も重要
    5. 直近では「ワークライフバランス」よりも「キャリア」志向のご相談が増えている
    6. ライフイベントや事業会社を経て数年のギャップがあっても、いきなり戻りやすいのがコンサルの強み

国内外のコンサルティングファームで女性CEOが活躍中

―今回は、「女性コンサルタントとしてキャリアを積む魅力とは何か」というテーマで、キャリアアドバイザーの皆さんに語っていただきます。今では国内外で女性がコンサルティングファームのトップに就任されるニュースを聞くことも珍しくなくなってきました。業界全体で女性の活躍が目覚ましいですが、実際にはいかがでしょうか?

齊藤
そうですね。特にJulie Sweetが2019年9月1日付でアクセンチュアのCEOになったのは、大きな話題となりました。彼女は全世界で48万人以上いるアクセンチュア社員のトップに立ったわけです。

佐藤
それよりも少し前になりますが、2015年にUS KPMGのCEOにLynne Doughtie氏、USデロイトのCEOにCathy Engelbert氏がそれぞれ就任しました。女性がファームのトップに立つ事例は、今後も増えていきそうですね。

―国内ではいかがでしょうか?

長原
国内の事例も増えていますね。2019年6月にPwCアドバイザリー合同会社の代表執行役として吉田あかね氏が選任されました。また、フューチャーアーキテクト社の代表取締役も、神宮由紀氏が就任しています。さらにEY新日本有限責任監査法人でも、2019年7月、片倉正美氏が大手監査法人初の理事長に就任しています。

―CEO以外の管理職についても、ファームにおける女性の登用は増えているのでしょうか?

齊藤
大手外資コンサルティングファームには女性管理職が約20%を超えるケースも出始めてきました。文部科学省の調査によれば、2019年時点で女性の管理職の割合は約17%ですので、一般企業よりも高めの割合だと言えます。

佐藤
コンサルタントは、「ハードワーク」「女性が長く続けられる仕事ではない」など、まだまだ男性社会のイメージを持たれる方も多いです。ただ、実際には一般企業と同水準、あるいはそれ以上に女性が活躍しています。

齊藤
例えば、アクセンチュアでは取締役の36%、グローバル経営委員会の27.5%が女性です。また、アクセンチュアは2025年までに社員数の男女比率を50%にするという目標を掲げています。

長原
最近は、どのファームも女性コンサルタントの育成と継続的なキャリアアップに本気で取り組んでいます。就労環境は5年前と比べて大きく変化していますね。

コンサルの評価方法は第一に「アウトプットの質」、よりフェアかつ実力主義の環境を求める方には最適な環境

―一般企業との比較の話がありましたが、実際にコンサルタントとして事業会社とコンサルティングファーム両方を経験された女性の方からは、両者の違いについてどのような意見が多いのでしょうか。

齊藤
やはり「評価方法」ではないでしょうか。一般企業ではまだまだ年功序列で評価される文化が残っているところも多いという意見も多いです、一方でコンサルティングファームの評価方法として共通しているのは、基本的に「アウトプットの質」で決まるという点です。また、「プロジェクト形式で仕事を進める点」も、一般企業とは異なります。

佐藤
そうですね。例えば、事業会社から日系ファームに転職された女性の方にお話を伺ったところ、「前職の事業会社では女性が全社で1割程度と少なく、雑務的な事務要素の強い仕事がメインで割り振られるといったことも多かった」とのことでした。一方で、転職したファームでは「女性だから」という扱いは受けずに、男女関係なく仕事が割り振られる。「よくも悪くも男女差が無い」ということを仰っていました。

勿論ファームそれぞれジェンダーやダイバーシティへの取り組みについての対策やその背景は様々ですが、性別だけではなく、国籍や宗教などあらゆる背景に関係なく、仕事に対してパフォーマンスをどれだけ上げられるかが重視される、シビアかつフェアな環境であることは多くのファームに共通していると感じます。

長原
「周囲の男性コンサルタントと同じ土俵で競っていけるだけの、体力的・精神的なタフネスが一般企業以上に、求められる」という声もよくお聞きしますね。ただ、「一般企業のように常に固定されたメンバー・時間で仕事するわけではないので、個人レベルのタイムマネジメントは容易に組める」という働き方上のメリットに関する声も多いですね。

佐藤
時短勤務や育児休暇はどのファームでも制度が確立されており、実際に利用されている方も男女ともに多くいらっしゃいます。グローバルの方針で徹底されていたり、外国籍の方が多くワークライフバランスの文化が定着していたりと、一般企業より取りやすいという意見も多いですね。

「ワーパパ・ワーママMTG」「プロジェクトのシェア」など各ファームで柔軟な働き方への制度や取り組みが進行中

―ファームが実際に取り組んでいるワークライフバランスの中でも印象的な施策についていくつか教えてください。

齊藤
例えば、先日外資系ITファームのパートナーにお聞きしたところ、ワーママ・ワーパパでランチミーティングをして、悩みを共有する、また出産や育児を経験した先輩がメンターとしてついて、一緒に悩みを共有しながら仕事を進める、幼稚園に近いところにアサインするなど、チームごとに工夫してプロジェクトを進めているという話を聞きました。

また、結婚して地方に行かなければならない方がいました。仕事を辞めなければいけないのではと悩まれたのですが、会社に相談したら「全部リモートでいいよ」と言ってもらえたそうです。その方はずっと家で仕事しているそうです。融通が効きやすいですね。

―柔軟に対応してもらえそうですね。他にはありますか?

佐藤
私が良いなと思ったのは、日系ITファームで実践されている取り組みですね。1人が1社にフルタイムでサービスを提供するのではなく、週に1日ずつ、短時間で5プロジェクトをカバーする形で、突発的な事象があっても調整しやすい。短時間勤務や産休明けの女性を、優先的にそちらにアサインしているそうです。

―アクシスのご人材で、コンサルティングファームに転職することで、働き方が改善された、前職よりも良くなったという事例があれば教えていただけますか?

齊藤
「限られた24時間の中での調整がしやすくなった」という話はお聞きしますね。例えばお子さんを17時に迎えに行かなければいけなくて、その後の時間をお子さんと一緒に過ごしたいという場合に、一旦仕事を抜けて、お子さんを迎えに行って、お子さんを寝かしつけてから一気に仕事するとか。プロジェクトベースの仕事だからこそできることですね。

長原
事業会社だと、中には定常業務があることも多いでしょうか。例えば「急な発熱で早退しなければならなくなった場合、その定常業務の押し付け合いみたいになってしまう。そのため、どうしても時短を取りづらかったり、迷惑をかけるのではと心配になる」という悩みもお聞きします。

一方で、コンサルティングファームの場合は、タイトルにもよりますが定常業務という決まったルーティンワークは基本的になく、業務の押し付け合いにはなりにくいようです。さらに、先日お会いしたマネージャーの方曰く「業務を回すことはメンバーにとってもストレッチ、良い経験になるため、むしろ喜ばれることも多い」という意見もあります。その他、プロジェクト自体もあらかじめ突発的な事態が起こることを想定して設計しているから、時短を取りやすいという話もお聞きました。

佐藤
ある子育て中のマネージャークラスの女性は、メンバークラスの女性を1人ないし2人つけてもらって、フォローできる体制を整えているそうです。メンバーも良い経験を積めるメリットがあります。このような働き方ができるのもコンサルならではですね。

ファーム選びの際には「ロールモデルの有無」の確認も重要

―ただ、すべてのファームが支援体制を整えているとは言い切れないと思います。だからこそ、内情を知っているエージェントの存在が重要になるわけですよね。このファームは子育て中の女性に向いている・向いていないというのを見分けるポイントはありますか?

佐藤
そのファームに、ロールモデルとなる女性がいるかどうかでしょうか。マネジメント層に子育て真っ最中、あるいは子育てをしてきた女性がどれだけいるか。実際に経験し、苦労してきたからこそできるフォローもありますから。

長原
ロールモデルは大事ですね。まさにその理由で転職し、成功した方がいます。前職ではマネジメント層に女性がおらず、キャリア指導を受ける機会も少なかったそうです。また、働き方も1パターンしかありませんでした。

しかし、転職先である大手ファームには、ロールモデルとなる女性マネージャーがいたそうです。彼女はお子さんが二人おり、2回産休を取って、時短で働いています。プライベートの相談もしやすく、「自分もやっていけそう」と将来のキャリアをイメージできたそうです。

また同社では、「9時半までは連絡が取れないが、夜は連絡が取れる人」「朝早くから連絡が取れるが、16時以降は絶対に仕事しない人」など、プロジェクトが始まる前にメンバーの事情を共有して、コンセンサスを取っているそうです。業務のカレンダーをお子さんの予定でブロックしている人もいます。共働きの家庭が多く、男性社員の理解があるのもポイントでしょうか。

直近では「ワークライフバランス」よりも「キャリア」志向のご相談が増えている

―女性の方の場合、どのような経緯でコンサルを目指すケースが多いのでしょうか?直近ではどのような相談を受けることが多いですか?

長原
最近は、ワークライフバランス志向よりもキャリア志向の方の相談が増えていると感じますね

―具体的に、どのような相談を受けらたのですか?

長原
20代後半の女性インフラエンジニアで、上流工程に関わりたいと考える方が相談に来られました。他には、30代前半でSIerに勤務しているけど、今の会社は年功序列で上昇志向を感じられない、自社システムにとどまらず幅広く提案したいと考えるシステムエンジニアの女性もいらっしゃいました。

齊藤
3年だけ働いて……という「腰掛け」志向の方もたまにいらっしゃいますが、全体的に減ってきていますね。長く働いていきたいという志向をお持ちの方が多く、では長く働くには何が必要かというと、専門的なスキルが必要。長く働くために、より企業に求められるスキルセットを身につけられる場所はどこかと考えたときに業務に一定の負荷があり、優秀な人と一緒に働けるコンサルティングファームを考える方が増えています。

長原
そこから起業したいとか、独立したいわけではないけど企業で長く働くためのスキルアップとして、コンサルティングファームを経験しておこうという考えの方は、一定数いらっしゃいますね。

佐藤
事業会社で経営企画や事業企画に携わりたいと考えても、年功序列でなかなか自分の意見が届かない、携われるとしても10年後……という状況で、早く経験を積みたいからとコンサルを目指す事業会社出身の方も多いですね。

ライフイベントや事業会社を経て数年のギャップがあっても、いきなり戻りやすいのがコンサルの強み

―コンサルを経験した後のキャリアパスについていくつか教えていただけますか?

長原
やはり、王道なのは事業会社への転職ですね。働き方を落ち着かせたい、ファームでの経験を事業会社で活かしたいといった理由が挙げられます。

―なるほど。コンサルから事業会社へのキャリアパスについて、事例があれば教えていただけますか?

齊藤
私の知っている事例で、コンサルティングファームからベンチャーに行った女性がいらっしゃいます。その方は、年収が1,000万から500万にダウンしました。経験を活かせて社会貢献を実感できる会社を探して、いろいろ受験して選んだのがそのベンチャーです。決め手になったのはロールモデルですね。そのベンチャーは、社長が女性なんです。

―思い切ったキャリア転換ですね。

齊藤
ただ、コンサルで培ったスキルセットがあるので、かりにそのベンチャーで「ちょっと違うな」と感じたとしても、いつでも元のコンサルに戻れるんですよね。ですから、ビビッと来たご縁に対して、思い切ってチャレンジできるというのはあります。

佐藤
私の知っている女性も、コンサル6年目の女性が外資系の製薬会社に年収アップで転職しましたが、たしかにコンサルにも戻れるからチャレンジできたというのはありましたね。

―戻れる場所とスキルセットがあるのは、強いですよね。事業会社ではなく、フリーランスや起業を志向する方もいるのでしょうか?

佐藤
もちろん、そういう方もいらっしゃいます。たとえば、実家が自営業で、それを立て直したいからとコンサルティングファームに入社した方がいました。

齊藤
ただ、弊社にフリーランスコンサルタントとして登録されている方の8~9割が男性でしょうか。この割合って、今から5年、10年前のコンサルティングファームにおける男女比の割合に近いんですよね。これから5年、10年すれば、フリーランスを志向する女性の比率も上がってくるのではないでしょうか。

長原
一定のスキルセットがある女性なら、たとえば夫の出張・転勤先についていって、リモートで空き時間にコンサルをするなど、今後はフリーランスや起業を視野に入れたキャリア形成は充分可能だと思います。

佐藤
柔軟なキャリア形成ができるのがコンサルの魅力ですね。長く働き続けるためにスキルを得たい人と、経営・独立を目指す上昇志向の人、相談者パターンは大きく2つに分かれている印象がありますね。

―最後に、転職を考えている女性に向けて、お一人ずつメッセージをお願いします。

齊藤
未経験の方を採用しているファームも、数は限られますがいくつかあります。いろいろと具体的なお話もできますし、カジュアル面談もあります。ご自身のキャリアについて迷いがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

佐藤
相談に来られた方に対し、TO事業会社、TOフリーランスなどといったキャリアの提示ができるのは、アクシスだからこその強みです。ぜひお気軽にご相談ください。

長原
コンサル経験者の方は、「次は事業会社で落ち着いて働きたい」と考えて相談に来られる方もいますが、「ワークライフバランスを考えるなら、意外とコンサルもありですよ?」ファームを提案したりとか、フリーランスの選択肢を提案することもあります。お話をしっかりお聞きした上で、その方に一番合ったキャリアプランを提案いたします。

齊藤
キャリアアドバイザー 齊藤有映

ファッションによって女性の社会進出を切り開いたココ・シャネルに憧れを抱いていた幼少期を経て、女性を輝かせる仕事に魅力を感じ、大手化粧品・健康食品メーカーに新卒として入社。
一貫して新卒採用業務や若年層向けのブランド浸透活動を担当。「就職活動を行う学生が企業の事を理解/実体験する事で、各々が考える最適な企業選びをして欲しい」という思いで、全社を巻き込んだ夏季・冬季インターンシップの企画~運営まで一貫して携わり、新卒採用業務に貢献。
1人1人の「働く価値観」に触れる中で、より中立的な立場でありながら、的確なキャリアの棚卸しやアドバイスをする事の出来る仕事について真剣に考えるきっかけがあり、転職活動を決意。
「本気で相手のキャリアに寄り添う仕事とは」と考えた時に、転職ありきではなく中長期かつ生涯のキャリアパートナーとして伴走するアクシスコンサルティングに心を動かされ、中途として入社。
自分自身の転職活動の経験を活かした支援で、未経験からコンサルティングファーム、コンサルから事業会社などキャリアチェンジに挑戦する方々をサポート。

佐藤
キャリアアドバイザー 佐藤葉名香

大阪大学大学院卒業後、「人が活きる、人を活かす」という理念に共感し、新卒でアクシスコンサルティングへ入社。
キャリアアドバイザーとして、主に20代後半~30代の方を中心にキャリアを支援。

長原
キャリアアドバイザー 長原麻衣

大学卒業後、大手人材会社へ入社。クライアントの採用課題を解決するために、採用ターゲットの特定~適切な採用計画の構想策定~実行支援等に従事。
各企業が優秀な人材確保に向かう中、企業の求人ニーズの動向を適切に把握し、若手優秀層やマネージャー層と企業のマッチングを行ってきた。
一方、企業の魅力を過大にアピールしてでも人材を確保するべきという会社の方針では、実態との乖離により、結果的にミスマッチを生むという課題感から、”生涯のキャリアパートナー”を信念に、転職のその次までをスコープに入れたキャリアパスを提案出来るアクシスへ参画。
日々更新される転職市場の動向や企業情報を”適切に”お伝えし、将来どんな会社・環境で、何のスキルを身につけ、どのような仕事をしていきたいかを”長期的な視点”で考え、サポートすることをモットーにしている。

アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティングは、コンサル業界に精通した転職エージェント。戦略コンサルやITコンサル。コンサルタントになりたい人や卒業したい人。多数サポートしてきました。信念は、”生涯のキャリアパートナー”。転職のその次まで見据えたキャリアプランをご提案します。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×