新規事業開発に必要な「スキル」と「既存事業企画との違い」

企業活動を拡大するための活動として重要な業務に新規事業の開発があります。社内の機能としては営業側における開発型業務として理解されていますが、通常の事業開発に比べて難易度が高い職務といえます。

事業計画上のテーマとして将来の事業拡大に向けての有望な市場へのアプローチであり、企画上は事業ポートフォリオの構成を変える大きなテーマになります。このため活動項目として新規顧客へのコンタクト、新製品の開発・投入、セールスチャネルの開拓などを含むこととなり、これまでの事業で培ってきた経験が通用しない部分があります。

この記事では新規事業開発が既存事業の開発と異なる点を明かにし、新規事業開発に必要なスキルについて説明していきます。

【目次】

  1. 新規事業開発に必要なスキル①~情報収集力
  2. 新規事業開発に必要なスキル②~論理的思考力
  3. 新規事業開発に必要なスキル③~ドキュメンテーション、プレゼンテーション
  4. 新規事業開発に必要なスキル④~プロジェクト・マネジメントスキル
  5. 新規事業開発に必要なスキル⑤~実践的イニシアティブ
  6. まとめ

新規事業開発に必要なスキル①~情報収集力

新規の開発活動を行う場合、その事業のターゲットとなる市場の範囲を何らかの形で特定する必要があります。市場の構造を理解して自社が参入する分野を絞り込み、すでに世の中に存在している類似の製品や競合品についても知らなければなりません。こういった情報は参入後の新市場での自社のポジションを決定する主要な環境要因となりますので精密な調査が必要になります。

この調査のためにはマーケティング会社による市場調査の報告書や産業レポートだけでは不十分です。実際に見込み客と合って話を聞いたり、オープンセッションで意見交換をしたりすることが望ましいのですが、通常のマーケティング活動における調査に比べて難しい点があります。新事業の対象となる事業領域はこれまでに参入していない領域であるため、自社内に基礎的な知識がないことが多いです。

ある事業が20%のマーケットシェアを持っていれば、その市場ではかなり強いプレイヤーといえますが、この状況は逆に言えば80%の市場には手が届いていないことを示しています。新たな事業を開発することは、この見えていない80%の部分において優位性のある事業を構築することになるのです。この部分の情報を入手するには自社の製品を使っていない顧客、自社が提供できる製品を持たない用途、セグメントに入っていく必要があります。

技術的な用語が共通でなかったり、同じ言葉が違うニュアンスで用いられていたりといったことが大きな障害になります。その業界の歴史が背景となっていたり、必要とされるソフトが全く違っていたりする場合、どんな情報を集める必要があるのかということ自体が課題になることもあるでしょう。こういった壁を乗り越えて、新規事業の戦略構築に必要な情報を収集しなければなりません。通常は何度かの試行錯誤を繰り返して有効な戦略仮説の切り口を探し出す、方向性のある情報収集力が求められます。

新規事業開発に必要なスキル②~論理的思考力

情報収集力のところでも触れましたが、新規事業の対象となる領域は自社にとって未経験のフィールドであり、これまでの事業経験から類推できることばかりではありません。そのため、集めた情報から実際に何が起こっているのかを読み取ることが難しくなります。このような状況で有効な行動計画を立てるためには、先入観や自分の嗜好にとらわれないで客観的に状況を捉える理論的思考力が求められます。

これは外部環境の分析に関してだけではなく、社内での取り組み方についても同じこと。新規事業開発にあたっては直接の担当者一人ではなく、関係する他部門の協力が必要になります。この新規事業をどうやって実施するのかを合理的に説明できなければ、こういった方々の協力を取り付けることは難しくなります。

自社の中で通用する慣例的な常識や誰も疑わずにそうであると信じられているような思い込みについて、あらためて事実を知るための作業が必要になるかもしれません。誰にとっても自分が「知らないということ」が明らかにされるのは楽しいことではありません。社内で採用されない業務プロセスや新規開発は、実は過去にやろうとして失敗したことがあるかもしれません。

現状を変えたくないという心理的なバリアが新規事業開発を難しくする最大の要因です。この壁を破るためには、その事業開発について理論的な整合性があるという理性的な合意が必要になるのです。事業開発担当者の意欲だけでは、単なる個人的な思い込みと受け止められてしまう可能性があります。熱い思いを裏付ける合理的な筋道を描きだすことが新規事業開発を成功させる第一歩になります。

新規事業開発に必要なスキル③~ドキュメンテーション、プレゼンテーション

新規事業開発の戦略や活動計画は関係部門と共有されなければなりません。このためにはその戦略や計画を言語化する能力が必要になります。ドキュメント作成および、プレゼンテーションのスキルは社内での業務の方向性を揃えるためのキーとなるスキルです。一般的な事業企画の場合と異なるのは、文書化された企画が後に修正される可能性が非常に高いことです。

新しい分野に参入するのですから、全てが分かった上で事業開発に着手するということはありません。ある程度の情報が手に入ったところで仮説を立て、事業開発に着手することになります。活動を始めた後で、事前に知ることの出来なかった重要な情報が明らかになることがあります。全く知らなかった業界の慣行があったり、すでに競合他社が全く違う方法で解決策を準備していたりする場合には、事業開発の進め方を一から考え直さなければならなくなります。

このため、新規事業企画のドキュメントには深さのあるフレキシビリティが求められます。自分が作った文書、プレゼンの背景となっていた戦略仮説やさらにその基となった情報をどう分析したかという思考の経路について、自身でしっかりと批判的に理解する必要があります。軌道を修正することになった場合には、素直にそのことを認めて次へ進む。新しい知見に基づいて作成される文書は以前のものよりも一層説得力の高いものでなければなりません。

新規事業開発に必要なスキル④~プロジェクト・マネジメントスキル

新規事業開発に直接関与するのは限定されたチームメンバーですが、実際に事業開発の作業に関与する人の数はその数倍になります。このため、事業グループ全体で新規事業開発を円滑に進めていくためのプロジェクトマネジメントが重要なスキルになります。関係する機能の部門が相互に連携してプロセスを進めていくように調整する役割が必要なのです。

ここで言うプロジェクトマネジメントは各担当部門での作業進捗を管理するだけでは不十分です。これまでにやっていない業務を伴うため、誰がどこまでやるのか、意志決定者が作業の内容と意味を理解しているのか、誰も答えられないようなタスクを束ねてとりまとめ、全体の方向性を整えていくオーガナイザーとしての役割が求められます。

システム開発部門に連絡が行っていなかったため、必要なソフトを開発する人員がアサインされていない。新製品に必要なスペックが周知されていなかったため、資材部門の購入計画の中に必要な部材の戦略発注計画が含まれていない。営業の末端まで計画を説明していなかったため、キーとなる販売チャネルとの関係を知らずに悪化させてしまった。

こういったトラブルは課題が目の前に突きつけられるまで見えていないことが多く、発生してしまうと事業開発全体の流れをせき止めてしまう大きな要因になります。一旦発生すると修正に数ヶ月を要することもあります。見直すために期をまたがなければならなかったり、他の部署との別の形の調整が必要だったりすると、状況を解決するだけで一年以上を費やしてしまうことになりかねません。

このような状況を生じさせないためには、事業開発に関連する全分野にわたってお互いの業務の間を取り持って事業計画を進める役割が必要になります。様々な部署の担当者と話をすることができ、誰も担当者がいない作業は自分で済ませてしまう。新しい事業全体の流れをイメージし、部門間のネットワークに目詰まりが起こらないようにします。部署と部署の間というポジションに立って事業計画全体を方向付けていく、極めて重要なスキルです。

新規事業開発に必要なスキル⑤~実践的イニシアティブ

情報収集をして仮説を立て、戦略に基づいて事業開発を実行していきますが、事業戦略を成り立たせている仮説が十分な根拠のあるものでない場合などでは、情報→仮説→戦略のサイクルを繰り返してしまうことがあります。このような状態に陥ってしまうのは事業開発の新規性が、シミュレーションといういわば知的なゲームをしているような感覚を与えることが要因です。

事業開発は企業活動ですので、その活動は基本的にアウトプットベースでなければなりません。マーケットや顧客の需要、戦略的イニシアティブといった観念は事業戦略立案上の思考ツールとして極めて有効ですが、こういった道具立ての前提として存在している世の中の現実の姿を変えることが目的であることを見失ってはいけません。

分からないことがあれば、知っている人を探して聞くこと。社内で最も詳しい人の知識ではおそらく不十分でしょう。お客さんに会って見る、代理店やパートナーと話をする。自社の製品を買ってくれない会社のマネジメントと会って見ることはできませんか。アイデアが出来たら、その欠点を考える前にその良い点を買ってくれるお客様を探してみます。新規事業の対象領域のことを自分はよく知らないのですから、自分が不適当と思っていることもその考え自体が間違っているかもしれないのです。

ゴールを見失った堂々巡りを避けるためには、事業開発活動が常に現実の世界の中で進められている必要があります。社外に向けての積極的な活動の形にならないのであれば、それは事業開発ではありません。現実を変えることができるのは実践的な活動だけであるということ。新規事業開発はこの実践的活動のレベルにおいて方向性とドライブを与えるものでなければなりません。

まとめ

新たな参入のターゲットとなる新規事業は多くの場合、自社にとっては新規ですが世の中においては既存の分野です。自分達はその分野で事業を行っていないので参入余地があるように見えるのですが、実際にはその分野の中にはすでに複数の企業が事業を営み、競合関係や価値連鎖が成立しています。

その事業分野は自社が存在しなくても回っているのですから、こういった分野に参入するためには自社が参入することでお客様に与えることの出来る新しいメリットが必要です。そのためには参入する企業は自社が今まで出来ていなかった何かを新たに達成して、そのフィールドでの自社の価値として提供すること。これが事業開発の骨子となります。

新規事業開発が成功した後の参入市場では、自社はいくらかのシェアを奪った新しい競合企業ではなく、新しい価値を導入してマーケットの構造を変えた新しいプレイヤーとして存在しているはずです。新規事業開発とは新しい価値を生み出し、導入するためのリーダーシップとフットワークであり、そのための戦略とその実践に他ならないのです。

=================

今回の記事では、新規事業開発が既存事業の開発と異なる点を明かにし、新規事業開発に必要なスキルについて説明しました。

新規事業開発の求人紹介や、新規事業開発のキャリアについてさらに詳細を知りたい方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×