【実録】「上場を目指している」ベンチャーの実情と転職時の注意事項

ベンチャー企業へ転職したいというご相談をよくいただきますが、その際に、「メガベンチャーや大手に行くよりはもう少し挑戦したい。とはいえ、どベンチャーはフェーズ的にも条件的にもフィットしない」となり、「プレIPO」すなわち「上場を目指している」ベンチャーが転職先候補になることも多くあります。

実際に、成長真っ盛りのこのフェーズの企業は採用も活発で、調達した後などであれば、それなりに年収も出やすいと言えるでしょうか。

しかし、キラキラして見える「プレIPOフェーズ」にも特有の問題が数多く潜んでいます。今回は、「上場を目指している」ベンチャーの実情と注意点をお伝えします。

【目次】

            1. あまねくベンチャー企業は「上場を目指している」
            2. 直前々々(N-3)期以前なら、比較的自由度は高い
            3. 直前々(N-2)期で、会社があらゆる面で整備される。一気にホワイト化することも
            4. ただし、外部の目のプレッシャーは、ボディブローのように効いてくる
            5. 「永遠のN-2期」に苦しみ、既存事業担当vs.IPO準備担当vs.新規事業担当の三国志状態になることも
            6. むしろチャンス満載。じゃあやめておこうではなく、備えあれば憂いなし

あまねくベンチャー企業は「上場を目指している」

一口に「プレIPO」「上場を目指している」と言ってもその実態はさまざまです。基本的に、あまねくベンチャー企業は全て「上場を目指している」「上場を視野に入れて」います。

極端なことを言えば、今日設立・登記したばかりの企業でも、「1年目で事業を仕込んで、2年目で黒字化、3年目に申請して、4年目には上場を目指す!」のように「上場を目指している」と言えてしまうのです。

2016~2017年ごろによく聞いたのは「2020年のオリンピックイヤーまでに上場を目指す」というフレーズでしょうか。ほとんどすべてのベンチャー企業の経営者が一度は口にしたのではないかと思います。

上記のように「上場を目指している」というのは、指し示す範囲が非常に広い言葉なので、まずはそれに惑わされないようご注意ください。

直前々々(N-3)期以前なら、比較的自由度は高い

ご存知の通り、上場までの道のりは険しく、厳しい上場審査が待ち受けています。上場を目指すとなると、その準備のため、外部からの監査法人や証券会社との付き合い、各種膨大な書類作成が発生します。

ただし、多くの場合、それらの準備は直前々(N-2)期から始まることが多く、直前々々(N-3)期以前の場合には、「上場を目指している」と言っても、具体的な準備はそこまで始まっておらず、それに伴って比較的自由度は高いケースが多くなります。

また、このフェーズでは、外部株主もそこまで多くなく、創業者と昔からの付き合いがある株主であることも多いでしょうか。そのため、「株主への報告も緩めで、企業の独立性を保ちやすい」「事業計画なども柔軟に変えやすく、新たなチャレンジもしやすい」などの利点があります。もちろん、その一方で、会社が方向性が大きく変動するなどのリスクは一定数存在します。

直前々(N-2)期で、会社があらゆる面で整備される。一気にホワイト化することも

直前々(N-2)期ともなると、いよいよ監査法人や、主幹事証券会社、外部株主とのコミュニケーションも本格化します。いわゆる外部の目が入ることで、パブリック企業になるのに向けて、会社のあらゆる面が整備されていきます。

労働規則、残業管理、人事評価制度、事業計画、予算管理、決済承認フローなど、今まであいまいだった部分も見直され、一気に会社らしくなるのもこの頃でしょうか。

今までブラックだったのが、このタイミングで一気にホワイト化してワークライフバランスも取りやすくなったというケースも多くあります。整備が大変な一方で、今までの経営層の弱かった部分や「負の遺産」もこのタイミングでキレイになることが多く、多くの場合で働きやすさが増します。

また、一つの大きな目標に向かって、監査法人や主幹事証券会社、外部株主に説明できるレベルで経営方針が改めて言語化されたり、数字での会話が増えることで、それが共通の経営指標となり、経営層から現場まで社内の共通言語が生まれて会話がしやすくなるという効果もあります。

ただし、外部の目のプレッシャーは、ボディブローのように効いてくる

それまでの3ヵ年計画や事業計画は、いわば内輪の決めごとだったのが、直前々(N-2)期ともなると、社外のステークホルダー含めた約束事となります。そのため、計画達成へのプレッシャーは今までの比になりません。

また、一度計画を出してしまうと、それを変更することは非常に難しくなり、新しいチャレンジなどは残弾が限られるようになります。

同時に、その計画自体も、IPOから逆算して何の根拠や施策案も無いままに、130%成長が続く計画を引いてしまい、経営層と現場との乖離が起きる、というのもよく聞くケースです。
(そんなタイミングでよく出てくるのが「経営と執行の分離」というワードで、それが現場の不信感をさらに募らせるというシーンも、、、)

社外への報告としてよくあるのは、月に1度、株主への業績報告会が始まるという形式でしょうか。毎月売上などの経営数字を報告し、直近のアクションの共有をするというものです。

もちろん、株主はその会社にお金を投じてくれている、一番の味方なのですが、その分厳しさも兼ね備えています。
報告会も計画通りの右肩上がりグラフを作っているうちは、非常にスムーズに行くことが多いですが、一旦それが崩れると膨大な説明工数が発生します。

「なぜ下がったのか?」「いつリカバーするのか?」「そのリカバー計画は妥当なのか?」「そのための施策は?」「その施策の実行可能性は担保されているのか?」「この数字はもっと上がらないのか?」

この辺りは、規模などは異なりますが、通常の上場企業の決算発表会とイメージが近いでしょうか。
ステークホルダーに応じてかなり濃淡はあり、そこまで短期的な成果を求められないケースも多いですが、相手側にそのつもりがなくとも、「社外に月に一度報告が必要」というのがボディブローのように効いてくることが多く、経営層には意識的にしろ無意識的にしろ、「とにかく毎月右肩上がりのグラフを作りたい」というインセンティブが働きます。

場合によっては、そのプレッシャーがそのまま現場に下りてきたり、中長期的な仕込みよりも、右肩上がりのグラフを維持するための短期に効く施策を無意識的に選択してしまい、いつの間にかビジョンがおざなりになる、というケースもあります。

経験豊富な経営層だと、この辺の体制や人員をしっかり組めていたり、しっかり社外のステークホルダーと”にぎれていたり”、資金調達の際に上手に交渉して報告義務を盛り込まず、そもそも報告の必要がほとんどない、という隠れたファインプレーをしてるケースもあります。

企業毎に、この辺りの外部ステークホルダーとの関係値や、内部の体制などの事情はまちまちのため、事前に確認した方がいいでしょう。

「永遠のN-2期」に苦しみ、既存事業担当vs.IPO準備担当vs.新規事業担当の三国志状態になることも

上記のように、N-2期は会社の課題が多く顕在化することもあり、非常に乗り越えるのが難しく、かなりの確率で計画が後ろ倒しになります。「”3年後に上場する”と3年前も言っていた」など、N-2期が何年も繰り返されるというケースも多く存在します。

また、上記のように、監査法人との契約、主幹事証券会社との契約、IPOコンサルとの契約、IPO準備室の設置によるバックオフィス拡大…などが行われ、販管費が大きく上がります。そのため、上場準備期間が延長されると、その分費用がどんどん出ていくことになり、

「俺たちが稼いだお金を無駄に使わないでくれ」既存事業担当 
vs.
「ちゃんと3ヵ年計画を達成してくれ」IPO準備担当 
vs.
「そんなに毎月計画通りに行くわけない」新規事業担当、の三国志状態になることも。。

また、N-2期になると、今までトップ営業や事業のエースだった社長や取締役陣が、上記のような「経営」で忙しくなり、事業力がパワーダウンするということもあります。いわゆる、権限委譲やミドルマネジメント育成不足が顕在化するのもこのタイミングでしょうか。

むしろチャンス満載。じゃあやめておこうではなく、備えあれば憂いなし

「こんな感じななのか…じゃあ本当にしっかり体制が整っている企業を探そう」と考えたくなりますが、逆にそのように整っている企業にはスキマがなく、個人のキャリアとしてはチャンスが少なくなります。

むしろ、「なるほどこのフェーズではこのような課題に次々ぶち当たる可能性があるのか、ならばそのつもりで備えて自分が解決するぞ」という心持ちで望むと大きなチャンスが待っているでしょう。

ぜひ、言葉の響きに惑わされず、備えあれば憂いなしで「上場を目指している」ベンチャーに飛び込んでみてください。

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今回の記事では、「上場を目指している」ベンチャーの実情と転職時の注意事項についてお伝えしました。

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