【SIer SE・PM向け】情シスやDX推進部へ転職後、実際に求められる『スキル・知識』とは

事業会社への転身を希望していたSIer出身者が、実際に事業会社に入ってから、「想定していた役割・期待」と、「実際に求められている役割・期待」が違うため、戸惑ったというケースをよくお聞きします。

配属部門がいくら情シスや業務推進部といったDXを担う部署であったとしても、事業会社ではごく普通な常識や感覚、基本的なスキルといったものは多かれ少なかれ存在します。SEやPM経験の中では出会う機会がなかったために、習得していないことも案外多いかもしれません。

しかし、あまりにも常識過ぎて唖然とされたり、鳴りもの入りで入ってきたんじゃないの?と恥ずかしい思いをする前に、未然にそんな悲劇を避けるためにも、ここでは情シスや業務推進系の組織にSIerのSE or PM経験者が事業会社に入社する前に身につけておく、習得しておくべき知識やスキルなどをご紹介していきたいと思います。基本レベルとしての担当者(メンバークラス)向けとして今回まとめています。

お固いビジネス知識や用語だけではなく、SIer出身者だからこそ必要、の側面も加味して知っておくべき知識や身につけておくスキル、キャッチアップしておくべきトレンドについてもお示ししておきます。若干、理不尽にも意外にも感じられる部分があるかもしれませんが、本当のところをご紹介いたします。

【目次】

  1. SIer出身者は「あらゆる”IT”のプロ」として見られる
  2. PowerPointの技術やExcelのテク、グループウェアのTipsは要チェック
  3. 「パワポできる人」=「要件整理できる人」
  4. 番外編:ガジェット
  5. PLは基本
  6. 数値に強くなろう:売上は天気
  7. 決算資料読めますか?
  8. 利益の種類はたくさん:コア営業利益~経常利益

SIer出身者は「あらゆる”IT”のプロ」として見られる

前向きな意味ですが、事業会社でのSIer出身者はどのように見られているでしょうか。IT業界から移籍してきた元SEやPM経験者はその職種経験問わず、ITのプロと見なされることが大半です。事業会社で育ってきたメンバーにとっては、IT業界からヘッドハンティングされてきた「ITのスペシャリスト」そのものでしょうか。

当然ながら、ITを使いこなし華麗に仕事をテキパキと進めて行くという高い期待値があります。さて、ここまでは良いのですが、華麗にITを使いこなすとは何でしょうか。事業会社育ちのメンバーにとっての身近なITは、そうです、オフィス系アプリケーションやグループウェア、また自社で使っているスクラッチのシステムやERP等々のパッケージのことを指すケースが多いです。

または、スマホに入っているアプリの使いこなしだったり、ちょっとしたガジェットの知識だったりもします。また事業会社の彼らが使う”システム”には当たり前のように精通しているだろう、という自然な期待です。え、と思われるかもしれませんが、ITを華麗に使いこなしてこそ、ITのプロとしての期待に答えられるというところです。一定レベルまでは何の問題もないと思われますが、脇を閉めて臨みたいものです。

PowerPointの技術やExcelのテク、グループウェアのTipsは要チェック

事業会社育ちの彼らはある意味、IT業界からやってきたメンバーをリスペクトしています。自分たちの知らないデジタル業界人というスペシャルティを感じ取っています。彼らのイメージするデジタル業界人にとっては、PowerPointやExcelなんて初歩の初歩のものであり、当然のように何でも知っていると思っています。

情シス部門のメンバーとのやりとりであれば、ある程度同業種同職種でもありそのような盛ったイメージは特にないですが、事業会社の現場部門へ赴く時は、そのような期待があることを忘れてはいけません。

また最近ではGoogleのオフィス系アプリケーションが事業会社の現場でも幅をきかせ始めています。スプレッドシートやドキュメントなども要注意です。当然のごとく、IT業界出身者は精通して当たり前、と見なされていますし、それなりの使い手であることが期待されています。

おおよそ見当がついて来たと思います。まずSIer出身者として身につけておくべき最低のスキルとしては、業務の現場で使われる有名なアプリケーションについては一通り通じておくことが肝要です。出来ることであれば、使えば便利だけどマイナーな機能やショートカットなどTipsや豆知識を身につけておくことが案外重要だったりします。

「パワポできる人」=「要件整理できる人」

事業会社の業務現場では「パワポ」が出来る人が重宝されます。オールドファッションな都市伝説のようにSIer出身者には聞こえるかもしれませんが、彼らにとっては死活問題であることも多いのが実情です。「パワポ」に秀でた若手や使いやすい部下をメンバーとして囲っている事業部長も実際まだまだいたりします。

そんな時に業務フローやシステム構成図、スケジュールを引くことが日常茶飯事のSIer出身者にはアドバンテージがあります。特に業務システムなどを説明するパワポお絵かきが得意な人や、概念をカッコよく図示出来る人は特に有利です。

社内プレゼンの時期が回ってくると本当に彼らにとっては憂鬱であり、社内での自身の今後のキャリアパスもかかっていることから、ここを助けてくれたメンバーには大変恩義を感じてくれます。SIerから転職してきたばかりで社内の人脈がない際には、大変使い勝手の良い武器となることでしょう。期待通りに「パワポ」が出来る情シスのアイツ、を上手く負担にならない範囲で演じることがが重要です。

まれにSEの方の会議資料でも、オールExcelメイドの方が老若男女問わずお見かけすることがあります。PowerPointに価値を感じないのかもしれませんが、PowerPointの機能や小技に通じておくことをお勧めします。スライドをセクションでまとめるなど、おや?と思わせるなどのギミックなども有効です。

番外編:ガジェット

SIer出身のメンバーにはその持ち物にも気を配りましょう。ガジェットのマニアックさは必要ない、というか過剰な傾倒はドン引きされますが、バランスよくデジタル化されている自分演出はポイントが高いです。全体のバランスが重要ですが、それなりにエッジの効いたスマホやウェアラブル、PC周りの小物なども重要です。この辺りの知識やトレンドに精通していることも案外重要です。

あるあるの話ですが、せっかくの軽いノートPCに同量くらいかと思われる、しかも武骨な形の電源アダプタが付属していることがよくあります。そんな時に、W数が小さ過ぎずかつ移動の持ち歩きに軽いベストバランスのUSB-CのPD電源アダプタなど勧めてあげるだけで期待通りのSIer出身者となれるでしょう。それ、軽くていいね、と別の人から褒められたその人がどんどん人脈を広げてくれることでしょう。

PLは基本

少し軽めの話から入ってしまいましたが、ここからは真面目な習得すべきPLについて述べていきましょう。

事業会社の現場では、日々の売上と粗利を稼ぐことが非常に重要であり、プロフィットセンターであることの源泉です。そこに月締めでの販管費の着地を想定し、毎月毎月の事業計画の営業利益を予想します。事業計画の利益目標を達成クリアしていくことが全てに優先します。そして四半期、半期そして通期の営業利益計画を達成させる為に、常に着地予想を繰り返す毎日が過ぎていきます。

営業が受注してきたプロジェクトを要件通りにQCDを守ってマネジメントしていく、というSIer時代の実務活動とは少し趣きが違うとは思います。営業セクションをマネジメントする立場を経験されていたSIer出身者には少し理解があるかもしれませんが、事業会社の現場では、そう複雑ではないですが、SIerとは違う収益構造のビジネスをハンドリングし、PLを意思を持って作ることに邁進しています。

毎日の売上から月末の売上着地予測を行い、出来るだけの精度で粗利の上振れ下振れを見積って、コントロールできる固定費は徹底的にカットして、売上変動費から販管費全体の着地を予想し、当月の営業利益を保全する。その先行き次第で会社のムードが大きく上下に振られるというのが事業会社の特徴と言えるでしょう。

そんな事業会社の情シス部門であっても、業務推進部であれば尚更、売上趨勢に関しての感度がSIer時代とは似ても似付かないくらい求められます。また業務推進部であれば、各事業部門の売上趨勢からそれぞれの部門の利益の達成状況、直近の各事業のコンディションの把握は日課となります。該当する事業部長とのミーティング前には、直近の計画の達成状況を確認してから臨むことも常識ですし、社長や経営層との週次会などに部署が関係している場合も多いでしょう。
そんな時にSIer出身でDX推進を担う為に入社したとしても、最低限のPL知識はもちろんのことある程度、PLをコントロールしたり作りに行くといったことを理解しておく必要があります。

財務三表(PL・BS・CF)という全体感理解も大切ですが、事業の現場ではまずPLです。売上、粗利、経費、利益といったこと、財務会計、税会計と管理会計の違いも重要です。

まずはPLを肌身で感じることが出来るように、ビジネスパーソンとしての準備が必要でしょう。ここがひとつの関門となりますが、PLのコントロールが現実的に出来るようになるとならないとではキャリアパスが大きく異なってくることでしょう。それくらい重要ですし、経営そのものという側面に他ならないです。PLを意思を持って作りに行き、BSを良化させ健全に保ち、潤沢なCFを確保して効果的に投資し次の利益成長へ備えることが社長や経営陣の第一ミッションです。その投影を事業会社ではよりダイレクトに感じることが出来ると思います。またそれが事業会社へ身を投じることの魅力でもあると思います。

数値に強くなろう:売上は天気

繰り返しになりますが、事業現場の最大の関心事は売上です。日々の売上に一喜一憂して部署や会社のムードが左右されます。売上達成に執心する高いSIer出身者やそういったファームもあるかとは思いますが、SEやPMの方にとっては個人売上以外はそれほど意識は強くはなかったのではないでしょうか。事業会社では、相手部門や自身の売上状況に対しての会話は日々のあいさつのようなものですし、同業他社の売上状況などもまさに日々の会話のネタです。そのような感覚を身に付けておくことが大切です。

それには、数字に強くなることが大切です。数学が出来る、とはまた違うこの数字に強いという感覚ですが、重要な数値に対して肌感覚を持つということです。例えば上場企業の売上規模で1000億円とはどれくらいなのか、業界によっても違いますがイメージできることが大切です。

よく教え継がれるノウハウですが、数字の頭2つと桁数、億円なのか百万円なのかということを意識して記憶しておこうというものです。企業の事業規模を語るのに、数千億円規模なのか、兆円に迫る勢いなのか、数百億円なのかということを取り違えて話をすると若干トンチンカンなことになってしまうのは理解いただけると思います。

数字に強い、とは規模をある程度正確にとらえてモノゴトを評価できるというスキルです。なかなか一朝一夕で身につくものではないので日々日々数字を感じ取っていくクセをつけることが重要です。

決算資料読めますか?

そんな訓練や修行にピッタリなのは、企業の決算発表を興味を持って見ることでしょうか。検討している事業会社の業界でもいいですし、今勤めている会社の決算でも業界の同業他社でも構いません。
株式投資をされる方でチェックされている方も多いと思いますが、何か関心を持って決算を読む、ニュースを見るということが、数字に強くなる、PLのイメージを持つということに繋がると思います。

決算短信というよりも会社の決算発表資料、決算説明会補足資料はリアルにビジネスを学ぶには格好の教材です。決算説明会の資料がパワポのノート形式になっていて、社長やCFOが話すト書きが書かれている場合もよく見かけられます。
必ずといってPLの結果説明に多く割かれています。これがスッと頭に入ってくるレベルであれば十分PLについて理解できているのではないでしょうか。

利益の種類はたくさん:コア営業利益~経常利益

決算発表に目を通しているといろんな利益があることに気がつくと思います。営業利益や税引前利益、当期利益/純利益、親会社の・・などなど売上や粗利/売上総利益といったものより断然種類が多いと思いますが、ここの利益はどんな利益なのか、ここでは誌面の都合もありそれぞれの解説を避けますが、意味をわかって理解したり試算で使い分けられたり出来るとかなりのPL通と言えるのではないでしょうか。

なかなかちゃんと理解できている人ばかりでないことも確かですが。。

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いかがでしたでしょうか。担当者編としましたが、基本知識としてアプリケーションの知識と技も奥深いですが、PLについての知識やスキルも奥深いものがあります。どちらも基本の事項ではありますが、基本だからこそ深淵な世界がそこには待ち受けています。

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