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会計事務所系ファームがなくなった理由
すべてはエンロン事件から始まりました。エンロン社は総合エネルギー取引を行う企業で2000年度は売上高1,110億ドル(全米第7位)の有数の大企業でした。しかし巨額の不正経理・不正取引が明るみに出て2001年12月に破綻に追い込まれたのです。
そのエンロン社の会計監査を担当していたのがアーサー・アンダーセン。会計粉飾、証拠隠避などに関与していたため信用失墜、解散に追い込まれました。当時アーサー・アンダーセンは会計・税務・ビジネスコンサルティングを3つの柱をとして業務を展開しており、エンロン社からもビジネスコンサルティングの報酬をもらっていました。
米証券取引委員会は、株主保護の観点から、会計事務所の監査業務とコンサルティングなど監査以外の業務を分離する規制を導入しました。
悪意があれば、コンサルティングの成果を過大に見せるために、会計監査結果を操作するかも知れないからです。そして、当時会計事務所系と言われていた各ファームは会計事務所から離れる選択をするのです。
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各々の道へ
2002年、アーサー・アンダーセンはべリングポイントと事業統合、PwCコンサルティングはIBMに買収されIBMビジネスコンサルティングサービスになりました。
2003年、デロイトトーマツコンサルティングは監査法人トーマツと資本関係を解消し独立。
現在はNEC傘下に入りアビームコンサルティングとなっています。アクセンチュアは元々アーサー・アンダーセンのコンサルティング部門でしたが1989年にすでにアンダーセン・コンサルティングとして分社独立。
2001年に現在の社名に変更されており、エンロン事件やアーサー・アンダーセン解散の影響は全く受けていません。業界ではこの流れを受け、会計事務所系ファームを、総合ファームと呼ぶようになったのです。
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