アクセンチュア・ベンチャーズ(ACV)とは?その特徴や取り組み事例について

未来を読むことが難しい現代のビジネスにおいては、前例にとらわれないフレキシブルな発想・開発が重要です。大企業でも同様であり、多くの企業においてオープンイノベーションの重要性・必要性が叫ばれるようになっています。

そこで注目すべき組織が、アクセンチュア・ベンチャーズです。アクセンチュア・ベンチャーズはアクセンチュアが持つノウハウを最大限まで活かし、共創的イノベーションの火付け役としてクライアントのサポートを行います。今回は、アクセンチュア・ベンチャーズの概要や特徴、魅力、取り組み事例について解説します。

【目次】

  1. アクセンチュア・ベンチャーズとは?特徴と利点
  2. アクセンチュア・ベンチャーズの規模を示すデータ
  3. アクセンチュア・ベンチャーズの事業内容
  4. アクセンチュア・ベンチャーズの事例・取り組み例

アクセンチュア・ベンチャーズとは?特徴と利点

アクセンチュア・ベンチャーズ(AVC)は、スタートアップエコシステムと大企業とのマッチングおよびイノベーションにつながるサポートを行う、アクセンチュア株式会社の社内横断的組織です。国内外におけるスタートアップが持つテクノロジーやサービスを「目利き」し、クライアントの変革や新規事業開発に活用できるよう橋渡し役を務めます。

アクセンチュア・ベンチャーズは、アクセンチュア・イノベーション・アーキテクチャを構成する機能の1つです。アクセンチュアが培ってきたノウハウをスタートアップにも活かし、まだ小さくても輝きを放つイノベーションの種を大きなものへと成長させていきます。

アクセンチュア・ベンチャーズの強みは、単なる「大企業とスタートアップのマッチング」に留まらないことです。イノベーションを求める大企業と画期的アイデアを持つスタートアップを引き合わせるだけでなく、その後の成果までを伴走するのが組織のカラーとなっています。そのため大企業とスタートアップ双方にとって、サポートを受ける利点が大きくなっているのです。

大企業目線からの利点

大企業からすると、コンサルティングファームへは自社だけでは実現できないオープンイノベーションによる事業シナジーの創出や、ビジネスアウトカムの創出までの伴走を求めます。

コーポレート・ベンチャー・キャピタルによって、自前でスタートアップへの出資・支援を行うケースも多いです。しかし、1つの企業が自分たちの力だけで有力なスタートアップを見つけ出し、事業シナジーの創出までを実現することにはどうしても限界があります。スタートアップを正確に評価するためには幅広い視点が必要であるためです。

アクセンチュア・ベンチャーズでは、さまざまな分野の専門家が、スタートアップを「目利き」し、データベース化しています。スタートアップの持つテクノロジーやサービスだけでなく、働く「ヒト」にまで注目し、評価を行っています。そのため、クライアントのイノベーションに最もマッチするスタートアップを的確に判断し、成長を実現させることが可能です。この「スタートアップを評価する目」こそが、アクセンチュア・ベンチャーズが既存のベンチャーキャピタルとは決定的に異なるポイントと言えます。

また、新たな事業の共創だけでなく、ビジネスアウトカムの創出までの伴走を行う点も、アクセンチュア・ベンチャーズの大きな強みです。投資判断や協業スキームの構築、事業化までをサポートしています。

スタートアップ目線からの利点

スタートアップ目線からすると、やはり単なる引き合わせだけでなく自社の成長に必要な支援を受けられる点が、大きな魅力でしょう。アクセンチュア・ベンチャーズが擁する専門家によるメンタリングをはじめとして、多岐にわたるサポートを受けることが可能です。

また、近年では対象とするスタートアップやその支援方法のバリエーションが増えてきており、先進的なテクノロジーを持つスタートアップには少額投資も実施しています。スタートアップは革新的なテクノロジーを持っていても体力がなく、常にある種の焦りを抱えているものです。そのため、マッチングに加えてさまざまな方法でスピーディー・効率的な大企業との協業が期待できるアクセンチュア・ベンチャーズのサービスは魅力的なのです。

アクセンチュア・ベンチャーズの規模を示すデータ

アクセンチュア・ベンチャーズのサポートは、国内外を問わずさまざまな場所で行われています。それを指し示すのが、以下のデータです。

出典:アクセンチュアHP

アクセンチュア・ベンチャーズは、既にグローバルな支援を展開しています。国ごとに存在する事業の特色にフォーカスさせた戦略支援を継続中です。日本でも2000年代初めに支援事業を開始済みであり、幅広い形での活動を行っています。既に世界中でネットワークを形成しているため、クライアント・スタートアップの利点は多大です。

日本ではさまざまな分野でのニーズがあります。アフターコロナ時代を迎える今後においては、幅広い事業におけるサプライチェーンの最適化やコロナ禍によって変化した消費者ニーズへの対応などが焦点として考えられるでしょう。

アクセンチュア・ベンチャーズの事業内容

アクセンチュア・ベンチャーズの事業内容を整理すると、以下の2つに大別可能です。

  • オープンイノベーション
  • 戦略的マイノリティ出資

オープンイノベーション

独自に構築したスタートアップデータベースを土台として、大企業との共創を後押しします。サポートは単なるマッチングに留まらず、全体像は以下の4つのフェーズに整理可能です。

①スタートアップに関する情報の集約

まず大切なアクセンチュア・ベンチャーズの取り組みが、スタートアップに関する情報の集約です。スタートアップとのイベント運営や人的ネットワークの開発により、スタートアップとの接点を多く創出します。そうすることで多くの情報を得られる環境を作り、幅広いマッチングの提案につなげることが可能です。

また、アクセンチュアという巨大な母体を持つアドバンテージを活かし、アクセンチュア内のスタートアップ関連の案件情報トラックや、スタートアップの情報を集約させます。つまりアクセンチュア・ベンチャーズが主体となって形成する外部とのネットワークだけでなく、アクセンチュアの社内のリレーションを活かしたスタートアップ情報の収集が可能です。

アクセンチュアには将来的に起業や新たな事業への参加などを考えているメンバーも多く、OBやOGの中にはスタートアップのビジネスに関わっている方も一定数います。そうした人脈とアクセンチュア・ベンチャーズの組織メンバーとの接点を構築できることは、大きなアドバンテージでしょう。

②スタートアップの目利き

アクセンチュア・ベンチャーズの取り組みにおいて非常に重要なのが、集約した情報によるスタートアップの目利き、つまり評価です。組織が有するさまざまな専門家の目を動員して行います。

スタートアップの持つテクノロジーや導入にあたってのコーションなどを客観的に目利きし、多種多様な切り口でデータべースにまとめることによって一元管理することが可能です。デリバリーセンターへの先行導入などを実証しながら、アクセンチュアとの連携の仕方を検証していきます。

③案件開拓

クライアントのニーズや課題に合わせた案件開拓は、オープンイノベーションにおける重要な取り組みの1つです。クライアントのニーズ・課題を解消するための最適なテクノロジー・サービスを持つスタートアップを提案し、マッチングします。

大企業の課題に合わせて、スタートアップが持つテクノロジーだけでなく、そこで働くヒトにも着目したマッチングを行う点が、アクセンチュア・ベンチャーズの特徴です。案件開拓の中で戦略的に投資すべきと判断されるポイントにおいては、スタートアップと共同でオファリング開発を行います。

④PoCやソリューションの提供

単なるマッチングでは終わらず、その先の成長支援についても行うのがアクセンチュア・ベンチャーズです。個別のプロジェクトに対して必要な情報や専門家によるサポートを提供します。必要に合わせてPoCや開発支援など、万全のサポートを行える点が大きな強みです。

クライアントからヒアリングした具体的なニーズを基に、スタートアップが持つテクノロジーをうまく活かしたPoC、ソリューションを提供します。これまでに蓄積してきた膨大な量の情報を活かし、クライアントを支援することが可能です。投資判断や協業スキームの提供など、事業化までのサポートは決して惜しみません。

戦略的マイノリティ出資

アクセンチュア・ベンチャーズでは、大企業との通常の共創において登場するスタートアップよりもまだ成長ステージが若い企業を対象として、発掘や戦略的マイノリティ出資(SMI)を行っています。

既に30社以上のスタートアップに投資を実施していますが、少し前までは事業が軌道に乗った段階のスタートアップ、いわゆる「シリーズB」の企業との協業が中心でした。しかし近年では、より早い段階のスタートアップへと、対象を拡大しています。

その取り組みとして挙げられるのが、テクノロジーとソフトウェア開発の領域における新興スタートアップ企業群と連携した投資プログラム「プロジェクト・スポットライト」です。アクセンチュア・ベンチャーズが中心となって、世界中のソフトウェアスタートアップコミュニティとクライアントとなる大企業の連携を促進することを目指しています。

プロジェクトに参画することで、スタートアップは投資面でのサポートだけでなく、アクセンチュアが持つ幅広いテクノロジー関連の専門知識を活用できるようになります。また、アクセンチュアが持つ多種多様な顧客企業とのつながりを活かせる点は、他にはない大きなアドバンテージでしょう。

アクセンチュアは各地にイノベーション・ハブやラボ、リキッド・スタジオなどの拠点を持っています。スタートアップはこれらを利用して、さまざまな分野における専門家との協業をしながら共創型のイノベーションを推進可能です。

アクセンチュア・ベンチャーズの事例・取り組み例

アクセンチュア・ベンチャーズは既に世界単位で取り組みを継続しており、その事例も数えればキリがありません。以下で、その一部を紹介します。

大手航空機メーカー・エアバスとのウェアラブルデバイス開発

アクセンチュア・ベンチャーズの取り組みの事例としてまず挙げられるのが、世界的航空機メーカーであるエアバスの支援です。ウェアラブルテクノロジーを活用した機体組立業務の最適化や将来に向けた共創有意性の強化を支援しました。

航空機の機体に関わる部品の数は、数千個にもなります。当然ながら製造プロセスも複雑であり、その中でトレードオフの関係になりがちなスピードと精度の追求を両立させることは、事業に大きな影響を及ぼす重要なポイントです。

そこでアクセンチュア・ベンチャーズは、ハンズフリーのウェアラブルデバイスの有効活用を製造工程に持ち込むことを提案しました。そしてエアバスとの協業によって、航空・防衛業界向けの最新ウェアラブルテクノロジーの開発を進めたのです。

成果として研修の必要性軽減や作業員の満足度アップ、エラー率0の達成などを果たしました。1機あたりに必要な座席位置マーキング作業の生産性は500%向上し、業界に対して画期的なイノベーションをもたらすことに成功したのです。

アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京への参画

アクセンチュア・ベンチャーズが参画しているアクセンチュア・イノベーション・アーキテクチャとして、「アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京」をご紹介します。

これは「イノベーション・センター」「ベンチャー」「ラボ」「スタジオ」の4つを集めたコンテンツであり、各分野における専門家と設備が集まります。そのため、クライアントのニーズに対して的確な機能と人材を提供でき、実現まで伴走可能です。構想から実現までのフェーズを全てこの拠点で完結できるため、圧倒的なスピード感が期待されています。

より具体的な内容は、アクセンチュア単独、もしくはパートナー・クライアントとともに創出したソリューションのデモ展示で確認が可能です。

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>コンサルタントへのキャリアに関する記事

コンサルタントへ転職するための「志望動機書」の作り方【未経験~ファームtoファームまで】
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/0713/264.html

ディレクターやシニアマネージャーが他ファームへ転職するときの注意点
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/directorsmgrcareer

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今回は、アクセンチュア・ベンチャーズの概要や特徴、魅力、取り組み事例について解説しました。アクセンチュアへの転職をお考えの方、採用情報を知りたい方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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