現代ビジネスにおける「戦略コンサルティング」の源流をたどる時、必ずその名が挙がるファーム「アーサー・D・リトル(Arthur D. Little)」。1886年の創業以来、「イノベーション」と「テクノロジー」を核に、政府、産業界、そして社会の変革を支え続けてきた世界最古のコンサルティングファームです。
アーサー・D・リトルの特徴を深く探ると、その根幹にあるのは、単なる戦略策定に留まらない「実践的なイノベーションの実現」への強いこだわりです。他ファームが経営課題の解決に特化する中、アーサー・D・リトルは、創業者が化学者であったという背景から、科学的知見と技術革新を土台に、クライアントのビジネスモデルそのものを再発明するアプローチを採り続けています。今回の記事では、この知の巨人の会社概要から、その独自のビジネスモデル、そして時代を超えて受け継がれる「発明のDNA」に迫ります。
アーサー・D・リトルの特徴:会社概要・社員数・ビジネスモデル
アーサー・D・リトル(Arthur D. Little、略称ADL)は、1886年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者アーサー・デホン・リトル博士によって設立された、世界最古の経営コンサルティングファームです。約140年の歴史を持ち、技術と経営戦略を融合した独自のコンサルティングスタイルを貫いています。日本法人であるアーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社は1978年に設立され、東京都港区東新橋にオフィスを構えています。
日本法人の社員数は約200名で、グローバル全体では約1,400名のコンサルタントが在籍し、20~40代の従業員が中心となり、少数精鋭の組織体制を維持。プロジェクトごとに個別対応を行い、クライアントニーズにきめ細かく応える体制が特徴です。
アーサー・D・リトルの沿革
1886年にアーサー・デホン・リトル博士と化学者ロジャー・グリフィンが共同で「グリフィン&リトル」を設立しました。1893年にパートナーのグリフィンが事故で亡くなり、社名を「アーサー・D・リトル」と改め、技術を活用したコンサルティング活動に専念。1960年代にはNASAのアポロ計画にも参加し、技術面での貢献を果たしました。
1978年に日本法人が設立され、以後日本市場向けに事業を拡大。1980年代後半の経済悪化により2002年に民事再生法の適用を受けたものの、フランスのコンサルティングファーム「アルトラン」に買収され、2011年にMBO(経営陣による買収)で再独立しました。
アーサー・D・リトルの創立者・CEO経歴
創立者アーサー・デホン・リトル博士はMIT出身の化学者で、工学的・科学的知見を駆使して企業の技術課題を解決してきました。この学術的背景が同社の「技術と経営の融合」というコンサルティングの核となっています。
現日本法人の代表・マネージングパートナーは原田裕介氏で、技術経営に基づいたコンサルティングの拡充と、自動車・化学・経営戦略など多様な深い専門知識を活用し、プロジェクト推進をリードしています。
アーサー・D・リトルのサービス事例
アーサー・D・リトルは、多岐にわたる業界に対し技術力を活かした高度なコンサルティングサービスを展開しています。以下、代表的な事例の一部をご紹介します。
- 経済産業省、内閣府などに対する提言
- ヘルスケア・ライフサイエンス分野でのクライアント支援
アーサー・D・リトルは、技術を中核に据えたマネジメントコンサルティングを強みとし、「技術をいかにビジネスや社会に応用するか」というMOT(Management of Technology)のコンセプトを先駆的に提唱してきました。技術力を背景に、全社戦略、事業戦略、技術経営、知的財産マネジメントに特化したサービスを提供しています。
参考:アーサー・ディ・リトル・ジャパン ヘルスケアチーム パートナー花村遼 様、プリンシパル山本洪太 様 インタビュー/10年後、100年後の新産業創出を追求する少数精鋭組織
また「Side-By-Side」(常にクライアントとともにあること)をモットーに、チャレンジングかつ実行可能な解決策をクライアントとともに追求する文化が根付いています。
特に創業者が化学者であったため、単なる経営分析に留まらず、科学的・技術的な知見を基盤とした戦略を策定してきました。具体的には、技術ロードマップの作成、R&Dマネジメント、新技術の事業化支援など、イノベーションの「種」の段階から関与する点が、他の戦略ファームとの決定的な違いです。クライアントが保有する技術や知識を、いかに市場で価値のあるイノベーションへと昇華させるかに焦点を当てています。
さらにアーサー・D・リトルは、コンサルタントが内部の知見だけでなく、外部の専門家や研究機関とのネットワークを活用する「オープン・コンサルティング」を推進しています。特に、アーサー・D・リトルのグローバルなテクノロジー&イノベーションネットワークは、世界中の最先端の技術動向をリアルタイムで把握し、戦略策定に活かすための強力なツールとなっています。このオープンな姿勢が、アーサー・D・リトルの提供するソリューションの先進性と実効性を保証しているのでしょう。
加えて、化学・素材、自動車・製造業、エネルギー、通信・メディアなど、技術革新のスピードが速い産業に、深い専門知識を持つのが強みです。特定の産業における深い技術的な知見と、グローバルなベストプラクティスを融合させることで、クライアントに具体的な競争優位性をもたらす戦略を提供しています。
アーサー・D・リトルの年収
アーサー・D・リトル・ジャパンの平均年収は約1,057万円と、コンサルティング業界内でも高水準です。(参考:OpenWork)年収幅は600万~2,000万円ほどのため、新卒の初任給は約500万~600万円と推定され、マネージャー昇格時には年収が大幅に上昇し1,500万円以上に達します。プリンシパルやパートナーとなれば、さらに高い報酬が期待できるでしょう。近年は業績好調により年収のベースアップも断続的に行われている可能性が高く、年収アップを狙うハイクラス人材にとって将来性ある選択肢となり得ます。
まとめ:アーサー・D・リトルが受け継ぐ知の巨人のDNA
アーサー・D・リトルは、経営コンサルティングファームとして135年を超える歴史をもち、技術力を核に経営戦略とイノベーションを融合した独自のアプローチが最大の特徴です。日本市場においても少数精鋭で高度専門の組織体制を維持し、クライアントと密接に歩みながら成果を追求しています。年収面でも高水準であり、技術系出身者が経営分野で活躍する理想的なキャリアパスを提供していると言えるでしょう。
創立者アーサー・D・リトル博士の哲学は、約140年の時を経た今も、同社のプロジェクトに息づいています。クライアントの「Inventing the Future(未来を発明する)」という使命を共有し、単なる成長戦略ではなく、「あるべき未来の姿」を科学的・技術的な根拠に基づいて設計し、実現にコミットする姿勢こそが、「アーサー・D・リトルの特徴」の最も深い本質です。
戦略コンサルティングの力を信じ、テクノロジーの力で世界を変えたいと願う者にとって、アーサー・D・リトルは、知の巨人のDNAを受け継ぎ、未来を共に発明する、最高の舞台でしょう。
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関連記事:
アーサー・D・リトル(ADL)の働き方:世界最古の戦略ファームが切り拓く、個と組織が成長する環境
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/adl/workstyle
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今回は、アーサー・D・リトルの特徴について解説しました。
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