クラウドインフラエンジニアの基礎知識【なりたい人が知っておいた方が良いこと】

システムを構築する際に、クラウドを念頭に検討する「クラウドファースト」は近年当たり前のものになりつつあります。従来のように、自社のデータセンタにサーバを導入し、システムを構築・運用していくオンプレミス型に対して、初期投資費用が抑えられるクラウド型は非常に人気があります。

アプリケーション開発に関しては、クラウドであってもオンプレミスであっても手法に大きな違いはありません。しかし、インフラ部分に関しては、クラウドならではの特徴や注意点などがあります。

今回の記事では、クラウドの構築・運用のために必須となる知識やスキルなど、クラウドインフラエンジニアとして活躍するために知っておいた方が良いことについてお伝えします。

【目次】

  1. クラウドサービスの種類(SaaS、PaaS、IaaS)
  2. クラウドサービスを利用するメリット
  3. クラウドサービスの構築・運用時の注意点
  4. クラウドインフラエンジニアに必要な知識やスキルと学び方

クラウドサービスの種類(SaaS、PaaS、IaaS)

SaaS(Software as a Service)

SaaSは、クラウドサービス企業が何らかのパッケージ製品をサービスとして提供している形態で、利用者はインターネットからサービスに接続します。社内ネットワークからVPNや専用線を介してサービスに接続する場合もあります。

パッケージとしての基本機能は揃った形で提供されているため、利用者はサーバやミドルウェアの構成を意識する必要はありません。例えば、Salesforce社の営業支援・顧客管理ツールやGoogle社のGoogle Workspace(旧G-Suite)、Microsoft社のMicrosoft365(旧Office365)などが代表的なSaaSとして挙げられます。

申し込めばすぐに利用開始できる反面、画面や機能をカスタマイズできる余地は少なく、自社の業務とマッチするかどうかが導入するポイントとなります。

PaaS(Platform as a Service)

標準的なシステムでは、サーバを構築した後にHTTPサーバやアプリケーションサーバ、データベースなどのミドルウェア製品をインストールし、その上で開発したプログラムを動かすことで稼働できます。

PaaSは、プログラムを動かすことのできるプラットフォーム(ミドルウェア)までをサービスとして提供する形態です。

代表的なサービスとしては、AWS(Amazon Web Service)のLambdaやElastic Beanstalk、Microsoft AzureのWeb Apps、GCP(Google Cloud Platform)のAppEngineなどが挙げられます。

利用者にとって、サーバ管理は不要なこと、自分で作成したプログラムを稼働させることができることから、運用負荷の削減とカスタマイズの柔軟性の両方の面から恩恵を受けることができます。

IaaS(Infrastructure as a Service)

仮想サーバやストレージ、仮想ネットワークなどのシステムインフラを提供するサービスです。利用者はスペックを指定してサーバなどを作成し、そこに必要なミドルウェアやソフトウェアをインストールすることで利用します。

SaaSやPaaSで提供されているサービスではシステム要件を満たせない場合に、より自由にシステム構築ができる形態として提供されています。代表的なサービスとしては、AWS EC2、Microsoft Azure、Google Cloudなどがあります。

利用者はハードウェア管理を意識する必要はありませんが、サーバのOSパッチ当てなどのメンテナンスや運用管理は行う必要があります。SaaSやPaaSと比較し、一番高い柔軟性はあるものの、利用者に構築の手間や運用負荷がかかることを意識しておきましょう。

クラウドサービスを利用するメリット

クラウドサービスがない時代は、自社でサーバを導入・設置し、設置したサーバに開発したアプリケーションを搭載し、社内に業務システムを公開したり、外部(インターネット)にサービスを提供する、オンプレミス型と呼ばれる方法が取られていました。

オンプレミス型は長年システム構築の標準的な形でしたが、初期構築費用が高額になってしまうという大きな欠点がありました。高額なサーバを購入し、設定・構築を行いますので当然と言えば当然です。

さらに、データセンタのようにサーバを設置する場所も必要になりますし、物理的な機器を設置すればハードウェア故障も発生します。そのため、保守費用も一定の金額がかかることとなり、システムの導入と維持には高額な費用がかかるもの、というのが通説となっていました。

そのデメリットを解消すべく生み出されたのがクラウドサービスです。大きな特徴としては、ハードウェア機器の導入は必要なく、毎月利用した分の金額を支払う課金体系となっていることです。クラウドサービス企業に設置されたハードウェア機器を間借りするという形で利用するため、ハードウェア故障からも解放され、運用の手間も削減されるというのも大きな特徴となっています。

導入に際しては、クラウドサービス企業が提供しているサービス内容によって、自社の業務やシステム要件に適用するものがあるかどうか、SaaS→PaaS→IaaSの順に検討していくのがセオリーとなります。

SaaSであればプログラムの開発も不要ですし、PaaSはプログラムの開発は必要であるものの、サーバ構築・ミドルウェア設定作業が不要になります。IaaSはOSの条件が適合すれば大抵の製品をインストールすることができますので、システム構築に対する柔軟性はあるものの、構築や運用保守の手間は発生してきます。

初期構築作業や運用負荷の削減というメリットを享受するためには、まずはSaaS、PaaSでシステム構築を完結できないか検討するのが良いでしょう。

また、概ねIaaSの話になりますが、クラウドサービスには性能や容量の拡張が柔軟に対応できるというメリットもあります。従来のシステム導入方式の場合は、システム要件から予想される最大の利用量に耐えられる機器を導入する必要がありました。

そのため、多少のオーバースペックは承知の上で見積もりを行うため、多額のハードウェア費用が必要になるということもありましたし、逆にシステム運用開始後にユーザが増加し、CPUやメモリ、ディスクなどのリソース増強が必要となるケースも珍しくありませんでした。リソース増強の場合は、追加ハードウェアの費用が必要になりますし、作業実施の際はシステム停止も必要になります。

クラウドサービスの場合、リソースの増強は大抵無停止で完結できるため、例えばシステム導入当初は最低限のスペックで構築を行い、利用状況を見ながら適宜リソースを拡張していく、ということが可能です。

クラウドサービスの構築・運用時の注意点

クラウドサービスでは、高額な初期費用が不要な代わりに、毎月使った分だけ利用料を支払うという従量課金体系となっています。クラウドサービスでは設定ベースで簡単にサービスやリソースの追加ができてしまうことから、インフラエンジニアは不要なサービスやオーバースペックなリソースが利用料を高騰させていないか注意しておく必要があります。

SaaSの場合は大抵はユーザ数による課金となりますが、PaaS、IaaSの場合は構築するシステムによっては料金計算方法が複雑になるケースもあります。単純にサーバの数やスペック(IaaSの場合)、データベースなどのスペック(PaaSの場合)だけではなく、仮想ネットワークやストレージなどを含めたシステム全体の構成によって費用が決まってきます。

どのクラウドサービスであっても、想定される月額費用を表示する機能がありますので、まめに確認を行い、不要なサーバやリソースがある場合は速やかに停止・削除をするなどして費用の増大を防ぎましょう。

他に注意しなければならないのは、ネットワークの観点です。企業によっては、一部のシステムをクラウドサービスに移行したものの、オンプレミス環境に他システムが残っており、クラウドとオンプレミスでシステム連携を行わなければならないケースがあります(ハイブリッドクラウド型)。

クラウドサービスによっては、外から中(オンプレミスからクラウド内)への通信は無料ですが、中から外(クラウドからオンプレミス)への通信は、データ量に応じた課金が発生する場合があります。例えば、大量のバックアップデータを日次でクラウド環境外に送信するシステムを構築してしまうと、想定外に運営費が高額になってしまうというケースもありますので注意が必要です。

また、PaaSやIaaSのクラウドサービスでは、日本国内や海外各国どこのサイトにサーバやサービスを構築するのか選択できます。クラウドサービスは海外の企業が提供しているケースが多いため、海外サイトで先行してサービス開始しているものの、日本サイトではまだサービス展開されていない、というケースもあります。目当てのサービスが提供されているからといって簡単に海外サイトに構築しないよう注意が必要です。海外とのネットワーク通信時間が要求を満たせず性能面で問題が発生することがありますし、企業によっては海外サイトにデータを保存することをシステム監査の面から許可していないこともあります。

日本国内でも東日本、西日本など複数のサイトが選択できるケースもあります。しかし、東日本で対応しているが、西日本では対応していない機能やサービスがあるケースもあります。大規模なシステムでは、東日本サイトを本番環境として運用し、災害対策環境として西日本サイトを準備する場合があります。西日本サイトに切り替えた時に機能が足りていない…ということにならぬよう、サイトによるサービス・機能の提供状況というのは事前によく確認しておく必要があるでしょう。

クラウドインフラエンジニアに必要な知識やスキルと学び方

クラウドであっても、オンプレミスであっても、インフラエンジニアに必要な知識やスキルは基本的には変わりません。IaaSでサーバを構築する際に必要な知識は、オンプレミスでサーバを構築する際に必要な知識と同じですし、PaaSでデータベースを構築する際にも、従来のオンプレミスのデータベースが構築できるスキルがあれば十分対応が可能です。

ただし、どのクラウドサービスを利用するかによって、設定画面や設定方法に違いがあります。IaaSでサーバを構築するのであっても、例えばAWSとMicrosoft Azureでは設定画面や項目名は異なってきます。

PaaSやSaaSでは、クラウドサービス企業によって提供されるサービスが異なっていたり、同じようなサービスに見えても特性が異なっていたりします。

インフラエンジニアにとって、クラウドを利用する場合も従来のオンプレミス環境の知識やスキルは流用可能ですが、クラウドサービスによって利用方法や特性が異なるため、どのクラウドサービスを使うかによって異なる知識を身につける必要があるということになります。

クラウドサービス企業側も自社のサービスを使いこなせるエンジニアが増えれば、サービス利用者(顧客)も増やせると考えているからでしょうか、どこも学習サイトを充実させています。

AWS ラーニングサイト:https://aws.amazon.com/jp/getting-started/

Microsoft Learn:https://docs.microsoft.com/ja-jp/learn/

Google Cloudトレーニング:https://cloud.google.com/training?hl=ja

Salesforce Trailhead:https://trailhead.salesforce.com/ja

いずれも無料とは思えないほどコンテンツが充実しており、カリキュラムによってはブラウザからハンズオンも可能となっています。また、どのクラウドサービスも無料利用枠があり、登録により一定の期間(もしくは一定の課金額に達するまで)、試しに使ってみることができます。学習サイトで学びながら、実際サービスを使ってみることもできますので、各クラウドサービス企業の特性を比較してみるのも面白いかもしれません。

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AWSソリューションアーキテクト資格を取得したエンジニアのキャリアパス【転職事例含む】
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「DX推進」人材とは?【フェーズ毎に求められるスキル・経験】
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ビジネス環境の変化にITを駆使して素早く対応する必要がある時代には、柔軟なシステム構築が可能なクラウドサービスは非常にマッチしています。DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる中、今後もクラウド優勢の流れは変わらないでしょう。

そのため、IT業界においては、クラウドインフラのスキルを持ったエンジニアの慢性的な人手不足が続いています。

IT環境の変化に伴い、エンジニアに必要とされるスキルも変化していきます。希少性が高いうちに、クラウドサービスのスキルを手に入れておくことは、インフラエンジニアとして今後活躍していくためにも必要なことではないでしょうか。

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