女性視点で経営企画の仕事は大変か?1日のスケジュールとともに働きやすさ・待遇などを解説

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経営企画は、企業の戦略や経営を担う花形の部門であり、「経営企画の経験を重ねれば、キャリアアップにつながる」と考える人も多いかもしれません。
一方で、「男性が多い」「ハードワーク」などというイメージを持つ人も多いのが実情です。

そのため、経営企画の仕事やキャリアに関心を持っても、ライフワークバランスやライフイベントと働き方の両立について、不安に思う女性の方は多いのではないでしょうか。

今回は、
「女性目線での経営企画の働きやすさと難しさは?」
「具体的な1日のスケジュールは?」
「年収や待遇はどのようなものか?」
といった疑問に、詳細にお答えしていきます。

転職を支援するエージェントで勤務し、自らもコンサルティングファームで育休・産休を取得して時短勤務で復職した経験を持つ筆者が、経営企画の働きやすさ・スケジュール・待遇などについて、具体例を交えて解説します。

【目次】

  1. 経営企画の役割・業務内容と特徴
  2. 経営企画における働き方と女性目線での働きやすさ
  3. 子育て中の経営企画女性社員の1日のモデルスケジュール
  4. 経営企画の女性が今後のキャリアで直面し得る困難・ハードル
  5. 女性が経営企画に転職する場合に注意すべきこと
  6. 経営企画求人における年収などの待遇の具体的な事例

経営企画の役割・業務内容と特徴

経営企画の役割や業務内容

経営企画の役割とは、経営方針から成長にむけた戦略・計画を導き、実務まで落とし込み、その実現のために企画や管理を行うことです。

具体的には、以下が主な業務です。

①ビジョン・経営方針や中期経営計画の策定と進捗管理
②短期での予算策定と進捗管理や予実分析
③業績報告のための資料作成と報告業務
④収益増加・業務改善に向けた企画業務

詳しく見ていくと、経営方針などを基盤に、具体的な数値目標や目標達成のための方法を検討し、各部署の単年の計画・予算に落とし込み、その実行の進捗を取りながら調整を行うのが①と②です。
③は、株主などを含む各ステークホルダー向けに行う業績報告の資料作成から実施までのことをさします。
④企画業務は、ビジネスモデルの再考・新規事業に関する戦略立案・企業買収や、コスト削減・業務効率化のための取り組みなどのことをさします。

経営企画の特徴とは?

経営企画でのやりがい・メリット
文字通り、企業の経営を担う業務のため、ご自身が考えた戦略や企画が実施されて成果が出た場合や、企業の成長に貢献できていると感じた時は、やりがいを感じられるはずです。
所属企業の社長を含む経営者の近くで仕事をし、その期待に応えることができれば、成長や達成感にもつながります。
また経営企画を経験することで、企業経営に関する知識・クリティカルシンキング・プレゼンテーションsといった能力の成長につながります。
そのため、企業内で経営幹部候補になれたり、独立を実現したりする人もいるでしょう。転職する場合も、企業経営に関する知識を活かしてマネジメント・経営幹部として採用されたり、コンサルティングファームでコンサルタントになるというキャリアパスも可能です。
数年経営企画を経験することで、その後のキャリア形成において選択肢が増えるのは、経営企画の大きなメリットだと言えます。

経営企画の難しさ
やりがいが大きい一方で、企業経営を担う業務には責任とプレッシャーが伴います。
加えて取り組みを行ってから成果が出るまで長期間かかる場合が多く、すぐに結果がわからないもどかしさもあります。
また自部署のみで完結する仕事は少なく、他部署、特に現場の人々を巻き込み、異なる考えを持つ人々の間に立って調整する大変さがあります。
様々な立場の人々を巻き込む人間力が鍛えられる分、難しさを感じることもあるでしょう。

経営企画における働き方と女性目線での働きやすさ

一般的な経営企画における働き方

経営企画における働き方は、経営方針・中期経営計画・単年の予算管理などの戦略策定・管理を行う業務と、新規事業や企業買収といったプロジェクト推進・管理を行う業務で大きく異なります。
戦略策定・管理を行う業務は、例えば将来予測を行うためのリサーチをして、方針を経営層と決定し、実施のための計画を作成して進捗を取ります。
プロジェクト推進・管理を行う業務では、ゼロから企画を行ったり、他部門・他拠点にまたがる場合はそのまとめ役になったりと、かなり柔軟・不定期な働き方が求められます。

子育て中など家族との時間を取りたい女性目線で、経営企画は働きやすいか?

戦略策定・管理を行う業務を担当する経営企画の場合は、時期によって忙しいことはあるものの、例えば複数の拠点の調整で突発的に発生するトラブルなどはないため、ワークライフバランスを取りやすいと言えます。
実際に女性の採用も増えており、子育て中の女性が採用されているケースも見かけます。
一方で、プロジェクト推進・管理を行う経営企画においては、突発的な業務が発生したり、タイトなスケジュールでまとめ役を担わなければならなかったりと、労働時間に制約がある場合には難しさを感じる可能性が高いです。
実際に子育て中の女性が採用されるケースは少ないのが現状と言えます。

子育て中の経営企画女性社員の1日のモデルスケジュール

ライフイベントを迎えた、特に子育て中の女性でもライフワークバランスを保ちながら働くことができる可能性が高い、戦略策定・管理業務における、1日のモデルスケジュールを見ていきましょう。

経営戦略・中期経営計画策定業務のモデルスケジュール

8:30~9:00 子どもの保育園登園・出社
9:00~9:30 メール・スケジュールなどの確認
9:30~10:00 社内会議の準備
10:00~11:00 経営会議(プレゼンテーションとファシリテーション)
11:00~12:00 経営会議の議事録作成、関係者への共有
12:00~13:00 ランチ休憩
13:00~14:00 部内会議(経営会議を受けたアクションの確認など)
14:00~17:00 関連業務のリサーチ、資料の作成
17:00~18:00 社内会議
18:00~18:30 退勤・子どものお迎え

単年度の予算管理業務のモデルスケジュール

8:30~9:00 子どもの保育園登園・出社
9:00~9:30 メール・スケジュールなどの確認
9:30~10:00 社内会議の準備
10:00~11:00 担当部門の予算進捗確認会議
11:00~12:00 予算進捗を受けた確認点・懸念点などの洗い出し
12:00~13:00 ランチ休憩
13:00~14:00 部内会議(他部門を含めた予算進捗状況の共有・確認・対応相談)
14:00~16:00 担当部門の担当者への個別ヒアリング 
16:00~18:00 予算進捗を受けた修正案、リカバリー方法などの検討
18:00~18:30 退勤・子どものお迎え

経営企画の女性が今後のキャリアで直面し得る困難・ハードル

ロールモデルが身近に見つけにくい

経営企画は経営を担う花形かつ、多くの男性社員が目指す部門であり、中途入社でコンサルティングファーム出身者や経営経験者が入社することも多くあります。
時間に制約がある状態、特に子育て中の方の割合が、他の人事・経理などの管理部門と比較すると少なく、なかなか身近に子育てをしながら活躍している女性リーダーなどが見つかりません。そのため、ロールモデルを見つけることが難しい状況の中で仕事をする可能性が高いです。
前向きに考えると、育児をしながら業務に携わった女性が多い部門の中で「私はこんなに無理したのに」という武勇伝や嫌味を聞かされながら働くよりも、「男性が多い中ではありますが、自分自身でコントロール・試行錯誤しながら働くほうが気楽」という方もいます。

帳尻合わせや他部門とのコミュニケーション調整に時間と労力を使う

経営企画の難しさでも言及しましたが、経営企画は経営方針実現に向け計画通りに事業を進めたい経営層と、現場で困難に直面している事業部の調整を行うことが頻繁にあります。
各部門に割り当てられた目標数値と採用や設備投資などの予算に関して、様々な要因を加味して策定し、その後は実績との帳尻合わせを行うことも経営企画の業務です。
そのため、なかなか計画通りには進まない現場からの声・不満・課題に対応しながら、企業として採算があうように調整する業務は、精神的に負担があることに加え自分自身でコントロールできないことが多く、時間がかかります。
労働できる時間が限られており、効率的に仕事を終わらせたい子育て中の女性は特に、歯がゆく感じるかもしれません。

繁忙期やプロジェクトにアサインされた場合は、ある程度の残業が発生する

経営企画では、閑散期と繁忙期があり、業務量や労働時間の波が激しいことが多くあります。
具体的には、中期経営計画立案の際、単年度の予算策定時や予実報告を行う期末、株主などに業績報告を行う準備期間、プロジェクトの立ち上げ期や繁忙期などは、かなり忙しくなるため、全く残業がないという企業はごく少数と言えます。
子どもの送り迎えを家族と分担したり、遅めの時間まで保育をしてくれる保育園に入園させたり、ベビーシッターを活用したりといった工夫をして、ある程度の残業に対応できる体制を整えておくと、繁忙期もバランスを取りながら勤務することができると思います。

女性が経営企画に転職する場合に注意すべきこと

制度・カルチャー的に女性が働きやすい企業かに注意する

経営企画の働き方以前に、転職する企業が女性にとって働きやすい制度・カルチャー(風土)や価値観がある企業かを確認しましょう。
転職を検討している企業全体が、ワークライフバランスを重視したい女性にとって働きにくい環境である場合、経営企画部門もほぼ確実に働きやすいとは言えない環境になります。

具体的には、在宅勤務制度・フレックス制度があるか、子育て中の従業員を支援する制度(例えば支援金やベビーシッター補助)があるか、社内の他部門とのミーティングにリモートで参加することができるか、育児中の女性管理職がいるかなどを確認しましょう。
制度の使用実績がなくても、企業として子育て中の従業員を支援しようとしていることが伺えることが重要です。
最近ではインターネットで検索して、企業ごとに女性にとって働きやすい環境であるか、特にカルチャーや労働時間などについて、口コミを調べることができます。
また転職を希望する企業からの内定が出た後に人事に依頼をして、採用に利害のない子育て中の女性との面談を設定し、「実際どのような働き方をしているか? 1日のスケジュールは?」などを直接聞くこともおすすめです。

経営企画部の人数・役割分担を確認する

次に経営企画部門内における労働環境の確認です。
経営企画に多くの人員がおり、業務がきちんと分業されていて、一人一人の業務範囲が明確であるほうが、子育て中の女性にとっては働きやすいと言えます。
逆に経営企画を少人数で運営している・少数精鋭を謳っている場合は要注意です。
一人当たりの業務範囲や業務量が必然的に多くなり、かつ通常業務に加えて、突発的に発生したプロジェクトや業務に対応せざるを得ない確率も上がるからです。
様々な業務・プロジェクトに携わり、経験の幅を広げたい場合には、上記のような環境は成長機会がたくさんありありがたいものですが、労働時間に制約があり、なかなか仕事最優先で生活することができない状況下では、避けたほうが無難と言えます。

どのような組織・業務内容にアサインされる想定かを確認する

上記労働環境の確認に併せて、選考の過程で、どのようなチーム・業務内容にアサインされる予定か見て、ライフワークバランスが保てる業務かどうか確認しましょう。
例えば組織が、戦略・予算の策定・管理を行うチームと、企画系のプロジェクト推進・管理を行うチームに分かれているとします。ご自身が企画系のチームに配属予定であれば、事情を説明して戦略・予算の策定・管理を行うチームに変えてもらうか、残業や突発的な対応が少ない業務へのアサインが可能か確認する必要があります。

チームの変更が難しく、プロジェクト推進のチームに入社するしかない場合は、どのような働き方が可能で、子育てをしながら遂行できるような状況かを確認し、入社するかどうかを判断する必要があります。
また採用予定のチームに関する交渉は選考の序盤ですることが望ましいですが、このような働き方に関する懸念について対話する場合は、選考結果に影響を与えない内定後の面談で話すことをおすすめします。

経営企画求人における年収などの待遇の具体的な事例

経営企画部での経験は今後のキャリアアップにつながると述べましたが、経営企画担当者として働いている期間の年収などの待遇はどのようなものか、具体的な事例を説明していきます。

一般的な経営企画部の平均年収と待遇例

上場企業(医療機器メーカー)の例

東証プライムに上場しており、海外売上比率は80%以上を達成している、日系企業の医療機器メーカーの事例を紹介します。

【年収】

・600万~900万円

【業務内容】

・日本と海外拠点における事業計画の策定・管理

・関連部門や事業責任者とのコミュニケーションを通じた指標の作成や事業構造の分析・企画立案・実行支援

・事業課題設定と施策検討のための分析・実行支援

・関連する会議体運営

【労働環境】

・勤務地:東京都

・男女の割合は6:4

・リモートワーク可能・フルフレックス制度あり

・リフレッシュ休暇や夏季休暇あり

・退職金あり

リーダー候補のポジションであるため高めの年収設定です。

上記で説明した戦略・予算の策定・管理が中心ですが、一部経営課題解決のためのプロジェクトがあり、海外拠点とのコミュニケーションもありますので、アサイン予定業務の確認が必要です。

時差がある地域を担当すると早朝・深夜の対応が発生する可能性があるため、海外拠点に関する業務分担についても確認が必要です。

一方で大企業らしく働きやすい制度がそろっており、女性社員も4割います。

中小企業(建設機器メーカー)の例

経営企画業務未経験でも挑戦できる、日系建設機器メーカーの中小企業の事例を紹介します。

【年収】

・400万~650万円

【業務内容】

・財務計画、経営企画、事業計画の立案

・各営業所の数値管理、事業分析

・資金調達および予実管理

・経営に関する企画の立案・実施

【労働環境】

・夏季休暇あり

・退職金あり

・家族手当・養育手当・住宅手当あり

経営企画関連の業務未経験者を想定していることもあり、大企業と比較すると年収に差がありますが、各種手当や賞与などの補助があります。

同様に経営課題解決のためのプロジェクトが業務範囲であり、部員の数も少ないことが想定されるため、志望する際にはアサイン予定の業務を確認したほうがいいでしょう。

またフレックス制度などの制度が未整備の可能性があるため、子育て中の方の1日のスケジュールなどを事前に確認すると安心して入社できそうです。

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>経営企画へのキャリアに関する記事

経営企画部の仕事は本当に「花形」なのか?【生の声】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/corporateplanning_real

「18時退社」でコンサルファームへ転職。限られた時間内でもパフォーマンスする女性のキャリア事例
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/womenscareerasconsultants

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今回の記事では、経営企画に勤めていた筆者の友人の証言も参考に、経営企画の働き方についてポイントをお伝えしました。

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