コンサルが使うフレームワーク(分析手法)・思考法【10選】

コンサルは課題解決の際にさまざまな思考法やフレームワークを活用します。これらは実際に転職後はたらくうえでもちろん重要ですが、コンサルの転職選考や、もっといえば非コンサルでも論理的思考をおこなううえで役立ちます。

今回の記事では、コンサルへの転職やキャリアの成功に欠かせない10の思考法やフレームワークの概要を紹介します。

【目次】

  1. フレームワーク① 3C分析
  2. フレームワーク② 4P分析
  3. フレームワーク③ 4C分析
  4. フレームワーク④ SWOT分析
  5. フレームワーク⑤ 5forces分析
  6. フレームワーク⑥ PEST分析
  7. フレームワーク⑦ マッキンゼーの7S
  8. フレームワーク⑧ PDCAサイクル
  9. フレームワーク⑨ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
  10. フレームワーク⑩ MECE

フレームワーク① 3C分析

まず3C分析は、マーケティングや経営戦略策定における環境分析をおこなうための代表的なフレームワークの一種です。

次の3つの「C」を頭文字とした要素を切り分けて分析します。

  • Customer(市場・顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

マーケティングや経営戦略の策定においては、まずCustomer(市場・顧客)から分析します。分析対象となるのは市場の状態や顧客の特性などで、これらの要素から収益の源泉となる要素を探ります。その次にCompetitor(競合)を分析し、市場・顧客が同じである他社を把握します。

外部環境を分析したうえで、Company(自社)を分析します。分析対象は自社の経営資源や市場シェア、売上高、財務状況、技術力、組織力など多面的な要素です。

市場や競合といった外部環境を踏まえて、自社の分析内容から、マーケティングにおける差別化要因を見出します。また、市場において活かすべき自社の強み、改善すべき弱みを明らかにすることで、今後の戦略策定に役立てることもできます。

3C分析では、単にCを3つ分析するのではなく必ずCustomer(市場・顧客)→Competitor(競合)→Company(自社)の順序で分析することが大切です。あらかじめ市場や競合を分析して情報をつかめば、外部環境を踏まえた自社の特徴を見出せて、より有効な3C分析が可能となります。

また市場規模や競合シェア、自社の財務状況など、3Cでは少なからず実数値(ハードデータ)を活用します。こうしたデータに誤りがあると、正しい分析をおこなうのは難しいため、ハードデータを用いる局面では、その正確性にも注意する必要があります。

この分析フレームワークの長所は、マクロ分析とよばれる外部環境分析とミクロ分析とよばれる自社の分析を統合できる点。両者を重ね合わせることで、効果的かつ実効性のある戦略策定に役立てられます。また、マーケティング、経営戦略策定と、コンサルにおいてかかわることの多い代表的なテーマに取り組むうえで有効な点も特徴です。

一方で代表的な短所は「市場」と「競合」が明確に成立していないと活用できない点。例えば、まだ未開拓の市場に乗り出していくためのマーケティング戦略に向けた分析は、このフレームワークでは進められません。

逆に競合が多すぎる場合も厄介です。競争の激しい市場で複数の競合がいるときに複数のライバルがそれぞれ特徴を持っていると「競合」とひとくくりにして分析するのは難しくなります。

フレームワーク② 4P分析

4P分析は伝統的な製造業のマーケティングミックスの策定に役立つフレームワーク。マーケティングミックスとは、マーケティングの目標やターゲティングなどを明確にしたのちに、具体的なマーケティング手法の組み合わせ(もしくは組み合わせを考えること)をさします。

4Pとは次の分析軸の頭文字を取ったもので、伝統的な製造業ではマーケティングに必要な要素が網羅されていると考えられています。

  • Product(製品)
  • Price(価格)
  • Place(販売場所や販売チャネル)
  • Promotion(販促の方法)

Product(製品)は自社の製品が顧客に提供する価値、競合との差別化具合などを確認します。まずは既存の製品を分析することになりますが、分析の結果、既存製品では顧客ニーズを充足できないとなれば、新製品開発の検討も範疇となります。

Price(価格)は自社の利益に加えて、需要と供給のバランスなどを検討します。シンプルにいえば製品価格の決定に影響しますが、定額制の導入、割引システム、お試しキャンペーンなど価格に関するマーケティング手法の検討もここに含まれます。

Place(場所・販売チャネル)は、もともとは店舗などの販売「場所」のみがフォーカスされていましたが、現在は物流などを含めたバリューチェーン全体を検討することが重視されています。実店舗の他、ECなどの販売チャネルについてもわすれてはいけません。

Promotion(販促の方法)は、3つのPで見出されたミックスが最大限効果を発揮するように、自社製品の差別化ポイントが伝わり、販売の段階から利益の最大化へとつながる販促方法を検討します。広告や営業手法、集客や顧客の口コミ拡散によるさらなる販売促進など、多面的な方法から自社にとってベストなPromotionを検討します。

4P分析の長所は、製造業における基本的なマーケティングミックスを網羅的に検討できるところです。漫然とマーケティングを考えると、広告や価格戦略など特定の手法にフォーカスしがちですが、その実マーケティングはさまざまな施策を組み合わせることで、高い効果を発揮します。そのベストミックスを見出すために4P分析は有効です。

短所は4P分析が提唱された当時、まだサービス業があまり一般的ではなかったため、製造業でなければそのまま活用するのは難しいところ。サービス業のマーケティングミックスを策定するうえでは分析の軸が足りないため、精緻なミックス策定が困難なのです。

サービス業においては4P分析を拡張し、People(人)という重要な軸に加え、Process(販売プロセス)とPhysical Evidence(物的証拠)を対象に加えた「7P分析」が有効です。

フレームワーク③ 4C分析

4C分析は、4P分析の考え方を顧客目線で再構成したものです。「顧客目線で企業価値を高めるにはどうしたらよいか」という観点からマーケティングや経営戦略を考えるために活用されます。

以下で4Cの要素を4P分析の対となる軸とともに確認しましょう。

  • Customer Value(顧客価値)⇔Product(製品)
  • Cost(コスト)⇔Price(価格)
  • Convenience(利便性)⇔Place(場所、販売チャネル)
  • Communication(コミュニケーション)⇔Promotion(販促方法)

Customer Value(顧客価値)は、自社の商品・サービスを購入したときに顧客が得られる価値。物理的なものだけでなく、感情や経験なども含めて分析することが大切です。企業サイドから見れば、価値をもたらす源泉はProduct(製品)のため、Productと対にして分析することになります。

Cost(コスト)は消費者が商品やサービスを購入するために負担するもので、単に商品の価格だけでなく、使用するために必要なものの総額で分析します。とはいえコストの中心は企業から見ればPrice(価格)であり、Priceと対にして分析します。

Convenience(顧客利便性)は消費者にとって、商品やサービスを入手、利用するうえでの利便性。購入チャネル、決済手段、サービスの利用場所などを勘案し、顧客の商品やサービス利用のしやすさを分析します。企業サイドから見ればPlace(販売チャネル)の工夫がConvenienceに大きな影響を与えます。

Communication(コミュニケーション)は顧客に対してどのようなアプローチを提供するか。広告・宣伝や営業はもとより、アフターサービス、レビューの収集など、顧客との接点をすべて分析範囲に含めます。これはPromotion(販促方法)と対になるわけです。

このように4P分析をしながら、顧客目線で4C分析をおこなうことで、よりCXや顧客に与える付加価値を高める手法を把握できます。まさにこの点が長所で、顧客目線に立ったマーケティング戦略や経営戦略を構築するうえで役立ちます。

一方で、4C分析は「経営者の目線」が入っていない点がデメリット。それを4P分析で補うわけですが、ここで気をつけたいのが、4Cと4Pの対になる要素同士で検討範囲に若干ずれがあることです。

例えばPriceはもっぱら商品・サービスの価格戦略に視点がおかれますが、Costは商品・サービスを利用するまでにかかる金銭的な負担を総合的に分析します。基本的に4Cの方が4Pより分析範囲が広くなりがちであるため、両者のずれを理解して分析を進めることも大切です。

フレームワーク④ SWOT分析

SWOT分析もまた、外部環境と自社の状況を組み合わせて、経営戦略を見出す分析手法。数あるフレームワークの中でも非常に知名度が高く、コンサル以外でも盛んに活用されています。具体的には、次のような分析軸に分類して、分析をおこないます。

内部要因については、自社の特性を分析します。経営リソース(ヒト・モノ・カネ)、知的財産、商品の特性、ブランド力、財務、知名度や立地など、広い視点で分析することが大切です。

また、外部要因についてはマクロ要因(デモグラフィック・経済的、技術的、政治・法律、社会・文化)およびミクロ環境要因(顧客、競合他社、流通業者、供給業者)の双方を分析することになります。

SWOT分析は要素を書き出した後、追加の分析をおこなうのが有効。特に頻繁におこなわれるのが「クロスSWOT分析」で、次のように、分析軸を組み合わせることで、経営戦略の策定に活用します。

  • 強み×機会:自社の強みを活かして市場の機会を最大限とらえる
  • 弱み×機会:市場の機会をとらえるために克服すべき自社の弱み
  • 強み×脅威:強みを活かして脅威に対抗したり、衰退する競合に対して優位に立つ
  • 弱み×脅威:弱みを克服して環境に打ち勝てるか検討。無理なら撤退戦略も

SWOT分析の長所は比較的容易に外部環境と内部環境を組み合わせて分析できることです。また、弱みや脅威といったネガティブな要素も分析範囲に含めるため、ネガティブな部分の対策や克服余地も分析できます。応用性が広いことから、コンサルだけでなく通常の企業経営や営業現場などでもさかんに活用されます。

一方の短所は、分析軸自体は状況を整理するだけで、そこから戦略や解決策を導き出すには、さらなる分析が必要になる点。そのため分析の目的をあらかじめ明確にしておかなければ、期待通りに自社の課題解決策を導き出すことが難しくなります。

フレームワーク⑤ 5forces分析

5forces分析は、その企業における競争環境を分析するための、外部環境分析の手法です。戦略系のコンサルでは基本的な考え方であり、また、一般企業での経営環境や今後の戦略を検討するうえでしばしば活用されるフレームワークです。

具体的には競争環境を、次の5つの要素に分けて分析します。

  • 既存の競合他社
  • 新規参入者
  • 代替品
  • 買い手(顧客)の交渉力
  • 売り手(サプライヤー)の交渉

※5forcesのイメージ

既存の競合他社
通常経営における競争は、同業他社ともいわれる既存の競合をさします。製品の差別化がしやすい、市場における有力な企業数が少ないなどの要素があれば競合は抑制されます。逆に製品差別化がしにくく、競合企業が多ければ、厳しい競合環境といえるでしょう。

新規参入者
ビジネスをはじめるうえでの初期投資額が小さく、また実際に新規参入を検討する企業が多ければ、その業界は新規参入者との潜在的な競合にさらされていることになります。逆に初期投資額、厳しい規制などの要素があれば、新規参入が起こりにくい市場といえます。

代替品
代替品とは、その市場の製品のニーズを満たす他の製品をさします。代替品の開発が容易であったり、具体的な代替品が存在したりする場合は、代替品との競合の脅威にさらされていることになります。例えば、動画視聴の機能が進化したスマートフォンは、テレビの潜在的な代替品となりえます。

買い手(顧客)の交渉力
買い手は企業にとっての収益の源泉ですが、実は競争の要因にもなります。企業にとって特定の重要な顧客が収益ドライバーとなっている場合は買い手の交渉力が強くなります。逆に買い手から見て、その製品を入手できる相手が限られていたり、その製品が買い手にとって重要であれば、自社の交渉力が強くなります。

売り手(サプライヤー)の交渉
売り手とは原料や製品の仕入れ先をさします。力関係は買い手との裏返しで、自社にとって欠かせない原料、仕入れ先が限られる原料は売り手の交渉力が強くなります。

5forcesの長所であり画期的なところは、通常競合というと同じ市場に属する競合他社のみをさすケースが多いですが、このフレームワークを活用すると潜在的な競合を包括的に分析したうえで、戦略の策定に役立てられる点です。

短所は、このフレームワーク自体は環境分析しかおこなえないため、分析結果を踏まえて、戦略構築を別途議論する必要があること。場合によっては別のフレームワークとの併用が必要なケースもあります。

フレームワーク⑥ PEST分析

PEST分析はマーケティングの権威であるフィリップ・コトラーが編み出したフレームワークで、マクロ外部環境の分析に活用されるものです。マクロは広い視点の分析、ミクロはより狭い視点の分析をさしますが、市場環境の分析の場合は、以下のように分類されます。

  • マクロ分析:市場を取り巻く社会や経済環境などの分析
  • ミクロ分析:自社が属する市場や競合の分析

PEST分析では、その名の通りマクロ環境をP(Politics:政治)、E(Economy:経済)、S(Society:社会)、T(Technology:テクノロジー)に分類するフレームワークです。いわゆるMECE(もれなくダブりなく)の発想で提唱されたフレームワークで、市場を取り巻く外部環境はこの4つの要素を分析すれば、包括的に見られるとされています。

それぞれの要素に含まれるトピックの一例

  • P(政治):法律や法改正、税制、政権や政党のマニフェスト
  • E(経済):経済成長率、物価、消費動向、為替
  • S(社会):人口動態、流行や世論、宗教、倫理観
  • T(テクノロジー):インフラ、イノベーション、技術開発や実用化

ここまで包括的にマクロの外部環境分析に必要な要素を的確に切り分けたフレームワークはなかなかありません。また政治・経済・社会・テクノロジーとコンサルに精通していなくともイメージしやすい項目で切り分けられているのも特徴で、応用しやすくかつ包括的な外部環境の把握が可能な点が、PEST分析の唯一無二ともいえる長所です。

短所としては、現状分析における一部分であるマクロ環境分析しか担えない点があります。現状分析は、自社の分析(内部分析)と外部分析としてマクロ環境分析とミクロ環境分析をおこなわなければなりません。そのため現状分析を完遂させるだけでも、他のフレームワークと組み合わせることが不可欠です。

他のフレームワークとの組み合わせという意味では、冒頭紹介した3C分析との相性がよいといえます。このフレームワークも市場、競合、自社と分けて分析をおこないますが、市場を取り巻く要素の分析の多くを、PEST分析で精度高くおこなえます。

フレームワーク⑦ マッキンゼーの7S

かつてマッキンゼーに所属していたウォーターマン氏とピーターズ氏が提唱した組織変革に必要な要素をまとめたものが「マッキンゼーの7S」です。

マッキンゼーの7Sの考え方に基づくと、組織改革はやみくもに構造などを変えても、満足できる効果は得られず、次の7つのSを基準に課題を洗い出し、改革に取り組むことが大切であるといえます。

7つのSは次の通りで、さらに4つのハード面、3つのソフト面に改革の軸が分けられます。ソフト・ハードの両面から改革に取り組むべき、というのもマッキンゼーの7Sの重要な着眼点です。

具体的には7つのSは次の通りとなります。

マッキンゼーの7Sは分析軸が多いことから、組織改革に取り入れる際には、しっかりとプロセスを踏みながら進めることが大切です。

自社を分析する
7Sを軸として、まずは現状分析をおこないます。現状の組織の良い点と改善すべき点が明確になるように分析を進めましょう。

重要課題の明確化
7つの軸をすべて分析すると、多くの企業では課題が多数上がってくると考えられます。すべてを同時進行させるのは困難なため、優先順位をつけて特に効果が高く、必要性の高い課題に取り組むことが大切です。

改革計画の作成
重要性の高い課題を解決する策を考案します。次に実行に移していけるようにできるだけ具体的な対策を組み立てていきましょう。改革には一定の費用がかかるため、費用対効果を見ながら適切な計画を立てます。

計画を実行に移し効果を確認
計画に沿って組織改革を進めていきます。改革実施後は効果を確認して、さらに追加の対策をおこなうかどうか検討します。

マッキンゼーの7Sの長所と短所は表裏一体のようなところがあり、長所は組織経営にかかわる要素を包括的に含むことで、実効性のある改革を推進することが可能な点。

裏を返すと着目要素が多いため、計画的におこなわなければ、課題が多く見つかり、意見がまとまらなくなる点が短所です。またシステム導入やDXなどのように、ハード面への改革に目が行きやすいため、運用するうえでは注意が必要です。

フレームワーク⑧ PDCAサイクル

PDCAサイクルというのは、作業プロセスに仮説・検証の循環を取り入れることで、精度を高めていこうという考え方です。もともとは製造業の工場などにおける品質管理や作業リードタイムの改善に取り入れられた考え方ですが、今では、あらゆる業務効率の改善やミスの低減などに向けて応用されています。

  • Plan(計画):目標・目的を設定し、実行計画(アクションプラン)を立案。過去の実績や現状を踏まえて、仮説に基づいたプランを作ります。
  • Do(実行):Planを実行に移してみます。実行する期間はそのプロジェクトによりさまざまですが、月次、四半期、半期など一定期間をおいて次の評価プロセスをおこないます。
  • Check(評価):実行した内容の検証をおこないます。仮説に対する達成度合いや、成果が思わしくない場合の要因を洗い出します。定量的なデータをもとに定性的な情報を組み合わせることで、今後につながる情報集約が可能です。
  • Action(改善):検証結果を受けて改善策を検討します。この改善策をもとに、次期のPlanを策定して、PDCAサイクルを循環させます。

PDCAサイクルにおいて重要なのは、このプロセスを循環させ、徐々に改善させていくことです。KPIなどを定めて、それを達成するまでサイクルを継続する場合もありますが、そもそも製造業の現場などでは、競争優位に立つために、継続的に作業プロセスや作業方法の改善策を検討しています。

PDCAサイクルの長所は、現状や過去の実績+仮説に立脚した改善策をトライすることで、より実効性のある方策を採用できること、そして循環型のプロセスとすることで、継続的に改善を進められるところです。

一方で短所は、刻一刻と状況が変わる中で、4つのプロセスを意識づけることが逆に機動力の低下につながる恐れもあること。改善点を検証するうちにシームレスに次の作業の計画が見いだせる場合もあるため、PDCAサイクルをしゃくし定規にとらえすぎると改善と計画を別プロセスで進めることにより、循環のリードタイムが長くなるリスクがあります。

フレームワーク⑨ プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)

本来、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(以下PPM)とは、多角化企業の事業や販売商品の組み合わせを管理することそれ自体をさします。一般的には企業内に属する事業を次の「市場成長率」の高低と「相対的シェア」の大小の4象限の図でプロットしたうえでそれぞれの事業の方向性を定めます。

「花形」(市場成長率:高、市場シェア率:高)
この環境では売上を伸ばしやすいのが特徴ですが、通常競合も積極的に投資をおこなう部分で、競争で力負けしないよう積極的に経営資源を投下する必要があります。従って売上も費用も高いため、利益率は低くなりがちな事業でもあります。

「金のなる木」(市場成長率:低、市場シェア率:高)
市場シェア率が高いため、高い売上を確保できます。一方で、市場成長率が低い=市場は今後頭打ちか縮小につながっていく可能性があるため、この分野に多くの資源を投資する必要はありません。いわゆる「成熟期」に属する市場であるため、ここで得た利益は花形や問題児に投資するのがセオリーです。

「問題児」(市場成長率:高、市場シェア率:低)
問題児に分類される事業は、市場成長率は高いものの、市場シェアを獲得できていないことから、そのままでは売上が伸びにくい事業です。

市場成長率を上昇させられれば、花形へ昇華できる一方、改善にしっぱい市場の成長率が低下すれば負け犬へと転落していきます。経営資源を積極投入して花形を目指すのがセオリーですが、資源投入によるシェアの改善度合いを見ながら適切な判断が求められます。

「負け犬」(市場成長率:低、市場シェア率:低)
市場成長率、市場シェア率がともに低いため、売上向上、利益における企業への貢献は期待しにくい事業です。市場の再成長の余地が見込めないならば、撤退を検討するのが一般的です。

PPMの長所は、さまざまな事業間での経営資源の選択と集中や自社の事業ポートフォリオの最適化を進めるうえで、役立つ示唆が得られる点にあります。特に多くの事業を経営している企業には重要なフレームワークです。

一方で短所は個々の事業の市場成長率と市場シェアのみで判断するため、事業間のシナジーが考慮されていない点。例えば特定の事業単体では負け犬に見えても、そこでの投資が別の事業の拡大につながるケースなども考えられます。PPMだけで判断すると、こうした事業からは撤退するという判断をしてしまうリスクがあります。

フレームワーク⑩ MECE

ここまで紹介したフレームワークの根底には、MECE(もれなく、ダブりなく)という考え方があります。コンサルにおいて現状を分析して的確な課題解決策を提示するためには、物事の見落としやダブりなく構造化するMECEの考え方を取り入れるのが重要です。

優れたフレームワークはそれを取り入れる時点でMECEが成立するため、コンサルにおいて好んで取り入れられているともいえます。

一方で、いつでも既存のフレームワークを活用できるとは限らず、場合によっては自ら状況を切り分けてMECEな状態にして分析を進めていかなければならないケースもあります。

そのようなときには、例えば次のような切り口で課題や現状を切り分けるのが一般的です。

要素分解
全体像を構成する各要素へと分解して部分集合を形成していきます。基本的には部分集合をすべて合わせれば全体像を形成するように切り分けていきます。5frocesやPEST分析など、複数のフレームワークは要素分解によって形成されています。

因数分解
要素分解を数式に表現できる形式に応用したものが因数分解です。例えば「売上高=顧客数×顧客単価」のように、主に四則演算の数式で表現できる形式にします。定量的な数値に落とし込む際に有効であるのが特徴です。

時系列・ステップ分け
その名の通り時系列やステップによって分解します。各ステップを一通り通過すれば、プロセス全体を表現することになります。後半で紹介したPDCAサイクルはこの考え方で形成されたフレームワークです。

対称概念
相反する概念を活用して切り分ける手法。例えば、「メリット⇔デメリット」「固定⇔変動」などが考えられます。二律背反に分けることが多いためMECEを形成しやすいのが特徴です。SWOT分析は「強み」「弱み」と「機会」「脅威」という2つの対称概念の組み合わせにより形成されています。

MECEは物事を的確にとらえて、見落としや不要な分析に工数をかける事態を避けるためには欠かせません。物事を的確にとらえられるのが最大の長所です。

短所は、自前で完全なMECEを充足するのは難しいこと。どうしても完全な切り分けが困難な場合には「その他」などの項目を設けて無理やり漏れをなくす場合もあります。またそれでも難しいときには、最低限「要素の見落としを防ぐ」「漏れだけは防ぐ」ことを意識して分析を進めます。

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>コンサルタントに必要なスキルに関する記事

MECEを具体例で学ぶ!コンサルでの仕事に欠かせないMECEとは?
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/mece_consul

【ケース面接対策】代表的な4パターンと例題・解答まで【戦略コンサル転職希望者の方向け】
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2009/1110/843.html

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コンサルでは効率的かつ的確に分析を進めるためにフレームワークをさかんに活用します。熟練してくるとMECEに従って自らフレームワークを構築していく場合もありますが、それらも今回紹介したような代表的なフレームワークを起点として応用していきます。

コンサルへチャレンジするうえでは今回紹介した代表的なフレームワークの理解は必須です。ケース面接などで応用する場合もあるため、コンサルへチャレンジする方は、今回紹介したフレームワークを押さえておいてください。


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