マーケティング戦略の立て方(プロセス)とは【有効な戦略を立てるための4つのステップと具体的な手法】

社会情勢や経済環境が大きく変わる中、消費者動向も常に変化していきます。ターゲットとする顧客、サービス/商品の価値提供、価値を伝えるチャネルも、それに合わせてアップデートしていくことが求められます。マーケティング戦略を立案して、事業拡大/立て直しを図るというお話もよく耳にしますが、実際にはどのようなステップや方法が有効なのでしょうか。
今回の記事では、B2C企業が、例えば、新規事業を立ち上げる際、もしくは既存事業のターゲット顧客から見直したい際のマーケティング戦略の立て方(プロセス)をご紹介します。

【目次】

  1. 1st STEP:ターゲット顧客の選定/見直し
  2. 2nd STEP:サービス/商品の設計/見直し
  3. 3rd STEP:チャネルの設計/見直し
  4. 4th STEP:CRMの設計/見直し

1st STEP:ターゲット顧客の選定/見直し

今後、市場展開していきたい、または、見直しを図っていきたい商品/サービスのターゲット顧客は誰とすべきかを特定します。ターゲット顧客の選定はこれからのステップを進める上での土台となる非常に重要なポイントです。ターゲット顧客選定に向けた調査・分析結果がサービス/商品やチャネルの設計/見直しへのインプットとなります。

<仮説構築>

まずは、顧客の属性情報(年齢、性別、居住地、家族構成、職業、収入 等)等の粒度で大枠の仮説を構築します。市場展開/見直しを図っていきたいサービス/商品の提供価値、価格、展開エリア等から、有望だと考えられる顧客層をイメージします。例えば、不動産投資で言うと、年収500万円以上、男性、主要都市在住、比較的に高年収となる職業、上場企業勤務などが挙げられると思います。
大枠を定めた後には、より顧客像をシャープに描くためにニーズがありそうな顧客の詳細情報までイメージし、ペルソナを設計します。例えば、ライフスタイル(価値観、購買行動タイプ、普段利用するメディア 等)、当該サービス/商品に対する考え方(それを始めたきっかけ、保有商品、魅力に感じている商品のポイント 等)、嗜好性(主要購買要因、目的/期待 等)が挙げられます。
ここまで詳細にイメージすることでマーケティング戦略/施策も具体化しやすくなります。

<仮説検証>

次に、構築した仮説を検証するための事実やデータを収集します。情報収集の主な方法としては、消費者アンケート・調査、有識者インタビュー(社外専門家や現場に近い社内部署(営業担当者 等))が例として挙げられます。
その際、よく用いられるのが消費者アンケートです。ここで重要なのがアンケートの設問設計です。ターゲット顧客像の具体化、サービス/商品の設計やプロモーション等へ繋がる情報がいかに得られるかが勝負の分かれ道となります。アンケート実施時には調査会社を利用することがありますが、設問設計から委託することはおすすめできません。最終的にどんな分析をして、どんな示唆を出したいかを考えながら、それらに繋がる設問を設計する必要があるためです。そのため設問設計には、今回の取り組みの背景や目的等を詳細まで理解している必要があるので、社員または検討の初期段階から入っているコンサルタント等が担当することがおすすめです。

アンケートの対象者は、仮説が外れた場合の対処を可能とするため、幅広い層を対象にしますが(例えば、20代~60代、低年収層~高年収層を人口動態に基づいてバランス良く対象数を設定)、ターゲット顧客と想定している層は対象者数を多めに設定しておくと、より精緻にデータを取れるのでおすすめです。

アンケート結果を得た後は、仮説が正しかったか、実際にはどの層がターゲット顧客となり得るのか、様々な分析を重ねます。この際、例としては、「サービス/商品に興味がある」と答えた層を炙り出すために、散布図等を用いて相関分析を実施することが挙げられます。相関分析を実施することによって、様々な軸でデータ間の相関を見ることができます。この際、総当たり戦の様に全てのデータのかけ合わせを見ていくと、いくら時間があっても足りないため、ここでも仮説を立てながら効率的に進めていくことをおすすめします。
このプロセスを経て、有望なターゲット顧客層が明確になっていきます。

しかし、アンケートは数値データや事実を把握することに長けていますが、なぜそのような結果となったのか(アンケート回答者はなぜその回答をしたのか)までは把握することは難しいです。しかし、有効なマーケティング戦略立案には、「なぜ」まで理解することが非常に重要なポイントとなります。
そこで、アンケートの次工程として実施することが多いのがインタビューです。
インタビューでは、アンケート結果を基に精緻化したターゲット顧客層を基に対象者を選定します。可能な限り、アンケート回答者からインタビュー対象者も選びたいところです。そうすることで、そのペルソナは「なぜ」その回答を選択したのかを深掘りできます。
それらのプロセスを経て、ようやくターゲット顧客(ペルソナ)が見えてきます。
このステップでのターゲット顧客(ペルソナ)、ターゲット顧客のアンケートやインタビュー結果は、この後のプロセスの大切なインプットとなります。

2nd STEP:サービス/商品の設計/見直し

今後、市場展開していきたいサービス/商品のコンセプトや設計をターゲット顧客に合わせて設計/見直しを図ります。
1st STEPで実施したアンケートや調査、インタビュー結果を踏まえて、様々な観点で検討を重ねますが、重要なポイントは①主要購買要因、②主要購買要因の設定(値)です。

<①主要購買要因>

ターゲット顧客は何を重視して、サービス/商品を選定するのかをアンケートやインタビュー結果から導き出します
例えば、対象商品がハンバーガーだとして、ターゲット顧客がハンバーガーを食べるお店を選ぶときには何を重視して選ぶのでしょうか。
価格、味、栄養バランス、レビュー点数、店の立地、店の雰囲気 等の主要な観点を並べ、どの観点を重視するのか、ターゲット顧客の回答結果を参照します。例えば、価格と栄養バランスが上位だとした場合、低価格でもいかにヘルシーにハンバーガーを食べられるかを重視したハンバーガーを考案すべきですし、ターゲット顧客へ訴求する時には、「低価格」と「ヘルシーさ」が大きな訴求ポイントになります。

<②主要購買要因の設定値>

次に、主要購買要因の設定(値)が実際にどれくらいであれば選ばれるのかを分析して、サービス/商品設計に反映させます。その結果に応じた商品設計を行っていきます。例として、ハンバーガーがいくらであれば安いと感じて選ぶのか、どんな材料が使われていれば/組み合わせられていればヘルシーだと感じるのか、を具体化します。これはアンケート結果ももちろん活用できますが、それが本当の答えなのかというと判断が難しいです。例えば、300円が安いと感じても、この材料であれば350円でも安いと感じる、など様々なシチュエーションによって回答が変わり得るからです。
そのため、ここでは本当の答えに近づけるために、実際の商品イメージをいくつか見せて比較検討した上で、一番良いと思った商品を選んでもらうというコンジョイント分析をインタビュー等の中で活用することもおすすめです。そうすることで、ターゲット顧客が求める商品に近づけることができます。
こうした検討・分析を経て見えてきた①主要購買要因、②各主要購買要因の設定(値)を基にサービス/商品の設計/見直しを実施していきます。

3rd STEP:チャネルの設計/見直し

サービス/商品の設計/見直しを実施して、ターゲット顧客に対して何を訴求すべきかが見えたら、次はそれをどのようにして伝えるかを検討します。
消費者が現在どのような状態にあるかによって、伝える方法も変わってきます。例えば、①商品認知、②情報収集、③相談、④購入の意思決定という大まかなフロー毎に利用するチャネルが異なることが多いため、各段階に合わせて利用するチャネルと提供する情報を変えることがおすすめです。
方法イメージとしては、例えば、①では一番よく利用するチャネルは何かを特定し、どのようなものがきっかけで興味を持つことが多いかを調査します。これらもアンケートやインタビューの中で最初から設問に盛り込んでおくことで情報収集します。サービス/商品によって異なりますが、①②では最近ですとSNSに偏ることが多いですし、③④では家族や知り合いに相談してから決めるなど、購入に近づくにつれて信頼できるものへと移行していく等の場合もあります。
これまで利用していたチャネルが、今回のステップを通じて本当に適切かを見極めて、アップデートします。

4th STEP:CRMの設計/見直し

サービス/商品の設計からプロモーション方法まで見えてきたら、最後は継続的なCRM、PDCAサイクルを回せる仕組みを設計/見直します。オンライン上での顧客コミュニケーションが常態化する中、そこから生まれるデータを活かさない手はありませんし、一度、顧客になっていただいた方々に長期的に選び続けてもらうためにも既存顧客とのリレーション構築も欠かせません。それらを支えるのがCRMの仕組みとなります。
まずは、どのようなKPIを設定すべきかが論点となります。様々なKPIがありますが、重視すべきなのは、自社の目指す姿とリンクしており、KPIの数値の結果次第でアクションが明確になるものを選定することです。そして、数が多すぎても管理しきれない/アクションを絞り切れないので、場合にも寄りますが3~5つ程度を設定することが多いです。
また、ターゲット顧客・サービス/商品・チャネルの見直しサイクルも最初から定めておくことをおすすめします。定期的に行うのか、KPI指標に届かないことが続いたら行うのか、一定のルールを作るとアクションがしやすいです。加えて、常に最新情報に触れていくためにも、年間の内(四半期ごとでも)どのように情報収集を行うのかも定めておきます。参加するイベント、購読する経済紙や雑誌、メルマガ、有識者との会談など、あらかじめ選定しておくとアクションの仕組みを構築できます。

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マーケティング戦略を立案する方法は様々な切り口がありますが、今回はターゲット顧客の明確化⇒サービス/商品の設計/見直し⇒チャネルの設計/見直し、という王道とも言えるアプローチについて、一歩進んだ具体的な方法をご紹介しました。

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