コンサル・投資銀行(IBD)・PEの「業界用語・隠語」一覧<使い方>

今回は、「PEファンド・IBD・コンサルの隠語・業界用語」について解説していきます。これらのプロフェッショナルファームでは、独特の言い回しや業界内で通じる用語、一種の隠語が使われます。

プライベートエクイティファンド(PE)・IBD・コンサルでどの用語がよく使用されるかは一概にはいえないものの、それぞれがよく使う言葉には若干の違いがあります。

ここでは各用語の中でも、使用頻度が高いものを解説していきます。

【目次】

  1. コンサルでよく使われる言葉
  2. 投資銀行(IBD)でよく使われる言葉
  3. プライベートエクイティファンド(PE)でよく使われる言葉
  4. 隠語を理解するのに役立つ方法

コンサルでよく使われる言葉

コンサルタント出身者が頻繁に使う言葉には以下があります。

「ブレスト」

ブレインストーミングの略で、チームでディスカッションを行うときによく言います。IBD出身者で使う人は少ないものの、さまざまな業界でよく耳にする用語ではないでしょうか。

「アベる」

Availableになる、すなわちプロジェクトのアサインがなく暇になるということです。いい意味で使われることがあまりなく、人気のないコンサルタントが、アサインもなく時間を持てあましている状態を指します。

「ASAP」

As soon as possibleの略語で、外国人もよく使います。「できる限り早く」という意味ですが、実際には「早く資料やアウトプットをくれ」という意味合いが強いです。

「アウトプット」

仕事によって生まれた成果物を指します。コンサル業界では報告資料(パワポ等の資料)、Excelの分析データや議事録等です。
コンサルタントはアウトプットをベースに評価されることが多いため、アウトプットは最重要となります。

「ショートノーティス」

急な依頼やお知らせをすることでコンサルやIBDで使用する人がいます。主に、急なお願いごとをしたお詫びを示すときに使われる言葉です。

「デリバリー」

コンサルティングファーム出身者特有の言い回しで、プロジェクトを遂行するという意味です。作った資料をクライアントに配達するため、デリバリー(Delivery)と言います。コンサル業界では、提案から受注までの活動をPD(Project Development)と呼びます。「提案により勝ち取った案件を行うこと」を「デリバリー」と呼ぶという認識で問題ありません。ちなみにIBDでは提案・営業部隊をカバレッジ、案件を遂行することをエグゼキューションと呼びます。

マージ

複数の資料を合体するという意味で、これはコンサルに限らずIBDで使用する人が多いです。何人かで分担して作った資料を、若手がマスターバージョンにひとまとめにするときに使われます。

ロジ

ロジスティクスとのことです。物流という意味ではなく、意味が広く、クライアントのオフィスに訪問する場合なら、集合場所、交通機関の出発時刻、最寄り駅からの移動手段、オフィスへの入館手続き等を総称します。
若手のアナリストがやることが多いですが、海外案件では、クライアントや対象会社とのcallの設定等のやり取り等も指します。

ファクト

主張の裏付けになる客観的な事実のことを指し、プロフェッショナルファームの人が使う傾向にあります。コンサル業界では感覚や漠然とした根拠で物事を判断するのはタブーで、確実にファクトを用意する必要があるため重要な用語です。

投資銀行(IBD)でよく使われる言葉

外資系投資銀行では、海外とのやり取りや海外経験の長い日本人の上司やバンカーと働くことが多いため、英語を含めた隠語のようなものが多いです。

「quick and dirty」

これは外国人の上司がよく使いますが、粗くてもいいから早く成果物をくれという意味合いがあります。ただしあまりにも雑な出来だとかなり怒られてしまうため注意が必要です。

「Deck」

デック、すなわちパワーポイントの資料のことを指すことが多いです。提案書やクライアントへの報告資料や、ディスカッションマテリアルを作成する際に、XX deckを作成中、というように表現することがあります。Pitchをしている際にはpitch deckというように表現することもあります。

「Off the shelf」

Off the shelfとは棚からおろしてすぐに使えるという意味ですが、IBDでも資料を探しているときに「off the shelfの資料はある?」ということを聞いてくる人がいます。出来合いの資料はあるかという意味で、初めて聞いて意味が分からないという人は多いです。

「From scratch」「reinvent the wheel」

これはゼロから資料をドラフトするという意味です。「スクラッチで資料を作成する」という言い方には、このような意味があります。似たような言い回しにはreinvent the wheelという表現があります。これも外国人のバンカーがよく使う表現です。

「ビューコン」

Beauty contestの略語で、投資銀行や証券会社がクライアントに提案する際に、複数社を交えて選定を行う場合このような表現をすることがあります。
「この案件はビューコンではないから、比較的ピッチの競争環境は緩い」等のように使います。

「マーケティング」

これは一般的に認識されているマーケティングとは意味合いが異なります。会社を売却する際に買い手候補や投資家に対して売却案件の概要資料を配布しますが、それを含めたプロセスをマーケティングということが多いです。

「モデル」

これは財務モデルのことです。事業モデルのことを指すことはなく、基本的には財務3表をつなげたバリュエーション等に使用するモデルのことを指します。「モデルを回しておいて」「モデルはできたか?」等の使い方をします。

「バリュエーション」

企業価値評価のことです。M&Aのみならず、キャピタルマーケット業務でも使用される用語です。
「この会社のバリュエーションは低い?」「XX社のバリュエーションをしといて」等の使い方をします。

「Comps」

コンプスと読みます。これはComparable Company Analysis – すなわち類似上場会社分析を指します。ある会社の買収ないし売却案件で、類似上場会社を選定し、バリュエーションのマルチプルの水準を分析することを指します。
「Compsをとっておいて」「compsの分析はどうなってる?」という使い方をします。

「LBO」「DCF」

LBOはプライベートエクイティファンドが会社を買収する際に行う、レバレッジドバイアウトのことです。DCFは会社のバリュエーションの手法の一種で、discounted cash flowのイニシャルを指します。
「LBOモデル回しておいて」「DCFでのバリュエーションの結果を教えて」という言い方をします。

「フォワード」

会議やミーティングの予定を転送することを言います。ほかの業界でも、「XXの案件の会議の予定フォワードしといて」というように使います。

プライベートエクイティファンド(PE)でよく使われる言葉

プライベートエクイティファンド(PE)にいる人も基本的にはIBDもしくはコンサル出身者のため、上記で紹介した言葉はよく使う傾向にあります。ほかに以下のような用語を使うことが多いです。

「IC」

投資委員会のことです(investment committee)。投資案件を通すときには必ずICによる確認が必要です。「ICの資料を作っておいて」「ICの日程決めておいて」という使い方をします。

「IRR」

内部収益率のことです。プライベートエクイティファンド(PE)では投資の成果を図る指標がIRRですので、この言葉の意味と定義は入社前に理解しておく必要があります。
「この案件のIRRはどれくらいになりそう?」という使い方が一般的です。

「MOIC」

Money on invested capitalのイニシャルです。これはキャッシュマルチプルともいい、投資時とエグジット後の株式価値の比率を言います。
MOICはIRRとならんで、プライベートエクイティファンド(PE)における投資のリターンを図る重要な指標です。「MOICはどうなってる?」という使い方をします。

隠語を理解するのに役立つ方法

これは、入社しても戸惑わないようにするためですが、YouTube等で過去にバンカーやコンサルタントだった人が公開している海外コンテンツは多いため、見てみることをお勧めします。

昔はこのようなことはできませんでしたが、今はSNSを通じて業界のリアルを知ることもできるため、常にアンテナを張っておくことが重要です。

外資系投資銀行であれば、シニアバンカーは海外大のMBAを取得している人が相当数います。日本人だけでなく海外のオフィスのバンカーもほとんどが海外の有名大学でMBAを取得しており、上記で示したようなIBD独特の言葉を使う人ばかりです。

海外経験のある人や英語に抵抗感のない人であれば、略語や業界用語を理解しやすいでしょう。

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>PEファンドや投資銀行へのキャリアに関する記事

PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear

コンサルファームから投資銀行(IBD)への転職後、活躍できるコンサル・できないコンサルの違い
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/postconsulinvestmentbank

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このようにコンサルティングファーム、投資銀行(IBD)のキャピタルマーケットやM&Aアドバイザリーチーム、プライベートエクイティファンド(PE)でよく使用される用語や隠語は多くあります。一度業界に入りさえすれば、すぐに慣れるため、早いうちに先輩に聞いてキャッチアップしてみてください。

重要なのは、上記の言葉を理解して上司や先輩の指示に的確に応えることです。キャッチアップする意欲や素養の高い人は、入社後も違和感なく業務に邁進できるでしょう。

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