米国(アメリカ)系投資銀行の社風や年収水準、代表的企業を解説

外資系投資銀行とひとえにいっても、米国(アメリカ)系投資銀行と欧州(ヨーロッパ)系投資銀行でも、社風や、年収水準等に違いがあります。今回の記事では、米国系投資銀行の文化や社風、ビジネススタイル、報酬水準、また代表的な米国系投資銀行についてもご紹介します。

【目次】

  1. ビジネススタイル:上位かつ収益性の高い案件を取捨選択してビジネスをおこなう
  2. 社風:確かに成果主義的だが、日本よりもチームワークを優先する姿勢が求められる
  3. 解雇のリスクは確かにあるが、一般的なイメージほど頻繁ではない
  4. 報酬水準:2-3年目には年収1,000万円に達する、VP昇格後は2,000万円以上
  5. 主な米系投資銀行①ゴールドマン・サックス
  6. 主な米系投資銀行②モルガン・スタンレー
  7. 主な米系投資銀行③JPモルガン
  8. 主な米系投資銀行④バンク・オブ・アメリカ(旧バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)

ビジネススタイル:上位かつ収益性の高い案件を取捨選択してビジネスをおこなう

「米国に本社がある投資銀行だから」という理由づけが適切かどうかは分かりませんが、日本で知名度の高い米国系投資銀行は世界的にみても規模が大きい投資銀行が多く、日本でも積極的にビジネス展開をおこなっています。

欧州系の投資銀行が一部のプロダクト・サービスに特化している傾向がある一方で、米国系では外資系投資銀行としてはフルラインナップに近い形で投資銀行ビジネスを営んでいる企業が多いです。ゴールドマンサックスやJPモルガン、モルガン・スタンレーあたりは、投資銀行のプロダクト・ラインナップとしては日系の投資銀行とも遜色ないほど多様化しています。

リーグテーブル上を見ると株・M&Aなどはクロスボーダーの案件や、海外投資家需要の取り込みが強みとなる場合もある点から、米国系投資銀行が強みを発揮しやすいビジネスとなっています。年にもよりますが、日本の大手証券を差し置いて米系投資銀行がリーグテーブル上位に食い込むことも珍しくありません。

大手の米国系投資銀行は、外資系企業としては組織が相応に大きい傾向にあるものの、やはり日本の投資銀行と比較すると少数精鋭であるため、上位かつ収益性の高い案件を取捨選択してビジネスをおこなっています。また一人一人の業務範囲が広いため、一般的な投資銀行のイメージよろしく激務になりやすい傾向にあります。

社風:確かに成果主義的だが、日本よりもチームワークを優先する姿勢が求められる

しばしば米国系投資銀行の方が「成果主義的」で、欧州投資銀行はマイルド、日系はさらにマイルドで、一般的な証券会社とさほど変わらない、と言われています。(逆にこれを逆手に取って「そんな傾向は全然ない」という意見もあります)

実態として、やはり米国系の方が一般的な傾向を取れば、成果主義的で、シビアに人員整理により解雇などが発生する傾向があるようには思えます。ただし一般的なイメージほど欧州系との差は大きくなく、ハウスやチームの特色による影響の方がよっぽど大きいと考えられます。

また成果主義的といっても、個人プレーが重視されるわけでは決してありません。日本企業にありがちなセクショナリズムに囚われず、積極的にディールに関係する部署(国内だけでなく国外も含め)のメンバーと連携を図り、ディールを進めていく姿勢が求められます。

日本の投資銀行はディールの役割ごとに組織・組織内のチーム・メンバーそれぞれの担当範囲などが固定化しているため、ディールにおいて対応してもらう人は初めから固定しているケースが多いです。一方、外資系投資銀行は、個々の守備範囲が広い分、積極的に他の人と連携しながらディールを進めていかなければ、すぐにオーバーフローしてしまいます。

そのような事態を防ぎ、柔軟かつ能動的に他人を巻き込みながらスムーズにディールを進める人材が好まれます。

解雇のリスクは確かにあるが、一般的なイメージほど頻繁ではない

米国系投資銀行はすぐに解雇されてしまう、というイメージを持つ方が多いです。実際に解雇された、と言うエピソードも出回っています。

確かに日系の投資銀行と比較すると外資系の投資銀行は解雇リスクが高い傾向にあります。特に年齢が上がってくるとポジションがなくなってしまうケースは見受けられます。ただし、ある日突然解雇される純粋なクビはイメージほど多くはありません。

稀にビジネス環境の悪化からチームごと解散するリスクがあるため、外資系=クビになりやすいと言うイメージがありますが、比率にするとせいぜい年間で数%と言うところでしょう。投資銀行は日系でも離職率が相応に高いので、それと比較して突出して高いわけではありません。

実際には投資銀行の離職の多くは解雇ではなく、自主退職によるものです。激務に耐えきれなくなった場合や、新たに有望な仕事を見つけ出した場合など、退職理由は様々。ほとんどの場合次の仕事を見つけてからやめている訳なので、投資銀行にチャレンジする上で、解雇のことをそこまで強く心配する必要はないと思います。

報酬水準:2-3年目には年収1,000万円に達する、VP昇格後は2,000万円以上

米国系投資銀行は、一般的に高報酬とのイメージがある投資銀行の中でも特に高い傾向にあります。大手どころを中心に見ると基本的には米国系大手>欧州系大手>=日系大手の投資銀行採用、といったところ。ただし、投資銀行全体にいえることですが、投資銀行では転職時の交渉や、転職した部署によっても大きく条件は異なるので留意が必要です。

米系ではこの後大手4社を紹介しますが、4社の中ではゴールドマン・サックス(GS)が突出していて、そのほかの3社は大きな差はありません。GS以外の3社でも2-3年目には年収1000万円に達するのが普通です。

欧州系なら1000万円に達するのは早くても20代後半です。日系についてはポジション・契約内容によっては20代後半に達する場合はあり、30歳フラットあたりから多くの社員が1000万円を超えてきます。

30代の給与水準は個人の業績次第にもなってきますが、やはり米国系・欧州系で差がつきます。米国系大手ではVPに上がれば2000万円は基本的に超えていきますが、欧州系ではベースが1500万円前後、賞与を含めても2000万円に達しないと言うケースも少なくありません。あくまでイメージですが、欧州系のVPの中心は1000代後半〜2000万円前半、米国系は2000万円台〜といったところになります。

主な米系投資銀行①ゴールドマン・サックス

世界の投資銀行で見てもトップキャリアとの印象を持たれることも多いゴールドマン・サックスは日本でも積極的に投資銀行ビジネスをおこなっています。外資系の中でもとりわけ全方位的に投資銀行ビジネスをおこなっているのが特徴です。一般的に日系の投資銀行(特に銀行系)が強い傾向にある社債発行などでも、日本の大手証券会社とリーグテーブルで比肩しています。

報酬水準は投資銀行業界でトップ、もしかしたらサラリーマンというカテゴリーとしてもトップクラスかも知れません。同社については初任給から年収1000万円相当に達する場合もあります。VPまで上がれれば3000万円〜になります。

徹底した実力主義により競争はシビアである一方、労働環境は良く、チームワークを重視するカルチャーが魅力的です。自己の成長を追求する場としても特に適しているとの評価がしばしば見受けられます。

主な米系投資銀行②モルガン・スタンレー

モルガン・スタンレーの大きな特徴は、日本の大手金融グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)と合弁企業として運営している点です。実は、日系大手証券会社である三菱UFJモルガン・スタンレー証券にも投資銀行部門があり、両社は互いに協調してビジネスを行なっています。

従って、完全ドメスティックな社債発行などは日系側の投資銀行部門が対応し、同社はクロスボーダー案件や、海外投資家に販売する必要のあるファイナンス案件を中心に対応しています。ただし日本で確かな地位を築いているMUFGのリレーションを活かして、多様なプロダクトでビジネス展開を行なっています。

外資系モルガン・スタンレー側の給与水準はゴールドマン・サックスよりは一回り落ちますが、やはり投資銀行の中でも高水準にあると言えます。2〜3年目には年収1000万円に達する可能性が高いですし、VPまで上がれば2000万円〜を越えます。MUFGと合弁していることが影響しているのかどうかは定かではありませんが、外資系にしては極端な人員削減をおこなわない印象があります。(ただしこれは今後の業績によっても変わってくると思います)

主な米系投資銀行③JPモルガン

大手の投資銀行の中で安定性が高いのがJPモルガンです。同社の母体であるJPモルガン・チェースは財務基盤が盤石で、リーマンショック後も政府の公的資本注入を受けずに乗り切っています。イコール部署の削減・リストラがない、ということを意味するわけではありませんが、本国が不況であるが故に日本の組織が整理されるという外資系特有のリスクは低いと言えるでしょう。

また、新卒採用に積極的である点も特徴的で、ほかの投資銀行よりも新卒関連のイベントを手厚く行い、また新卒者の育成も丁寧に行います。その点では自身の成長の場としては適した企業であると言えそうです。また、激務なイメージのある投資銀行の中では、比較的労働量はマイルド(それでも80時間前後の残業が恒常的に発生しますが)なこともあり、社員の定着率も外資系企業としては高いといわれています。

年収水準は平均してみればゴールドマン・サックス以外の大手2社と同程度と考えられます。賞与は「個人の業績による」と外資系企業では良く言いますが、実態はグローバルな業績>地域の業績>チーム・個人の業績といった形で賞与プールが降りてくるのが基本です。従って、グローバルなビジネス基盤の安定は賞与の下振れリスクを抑制する要因になっています。

主な米系投資銀行④バンク・オブ・アメリカ(旧バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)

JPモルガンに対して、現代もビジネスを継続している企業としては比較的リーマンの打撃が大きかったのがバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチです。両社は元々別の企業ですが、リーマン後の影響を受けて、メリルリンチが単独でのビジネス継続が難しくなったため、バンク・オブ・アメリカと合併したのです。

日本の投資銀行ビジネスとしては、ファイナンス案件ではリーグテーブルTop10外もしくは、他の大手証券会社・外資系投資銀行より下位に位置する場合も多いですが、M&A案件についてはクロスボーダー案件などを足掛かりに強みを持っています。報酬水準もモルガン・スタンレーやJPモルガンとは同程度で、投資銀行としても、日本のサラリーマンとしてもかなり高い水準であることは確かです。

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>投資銀行へのキャリアに関する記事

ブティック型(独立系)投資銀行とは?その特徴と転職後”できること・できないこと”
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/boutique_investment_bank_point

投資銀行における日系・外資系の違い【年収〜働き方〜社風まで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/investmentbankja

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今回の記事では、米国系投資銀行の文化や社風、ビジネススタイル、報酬水準、また代表的な米国系投資銀行についてお伝えしました。

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