PEファンドは投資後リターンでどのくらいもらえるのか<会社、メンバー毎の事例付き>

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今回は、プライベートエクイティファンド(PEファンド)は投資後のリターンにおいてどのくらいもらえるのか、マイナスになるケースもあるのか解説していきます。先ずはそもそもの話としてPEファンドにおける報酬体系を見ていきましょう。

【目次】

  1. PEファンドにおける報酬の仕組み
  2. リターンとしての報酬の仕組みと事例
  3. ラージサイズのPEファンドに入社したからといって高いリターンがあるとは限らない
  4. 失敗になる事例

PEファンドにおける報酬の仕組み

PEファンドは企業に対して投資する前に、ファンドの運用コストをカバーするためにリミテッドパートナー(LP)に管理費を請求しています。
この手数料は調達された資金全体の約2%です。PEファンドにおける報酬も含め経費はこの管理報酬から賄われます。

管理報酬の割合は、「投資期間」(会社が新しい投資を行う期間、通常償還期限が10年のファンドの場合は5年)後に小さくなることがあります。
このような「管理報酬、もしくはマネジメントフィー」という料金体系がPEファンドにおける高い報酬をサポートする理由です。たとえば1,000億円の運用総額のPEファンドの2%が年間20億円の管理報酬を受け取ることができます。

そしてこのサイズのPEファンドを運用するのに100人も従業員は必要ありません。バックオフィスやミドル オフィスの役割を含めていても、数十人、もしかしたら10人程度で済むこともあります。そのため1人当たりの報酬が高くなるのです。
一部のPEファンドは、管理手数料のほかに、取引の種類に基づいてポートフォリオ企業に「取引手数料」を請求します。PEファンドのうちファンドサイズが大きいメガファンドは、これらの手数料を「モニタリングおよび取引手数料」と呼ぶことがあり、管理手数料と同様に、パフォーマンスに関係なく請求されます。このようなフィーは投資先企業に直接請求されるため、LPは異議を唱えない傾向があります。

たとえばPEファンドが10億円の資金を調達し、それを25億円に変えた場合、LP/GP間の契約の時間枠と条件に応じて、その15億円の収益の一部を獲得することができます。
PEファンドがこのリターンを報酬として得るためには、最初に一定のハードルレートを要求するのが標準です。たとえば、ハードルレートが8%の場合、ファンドは利益の20%を得る前に8%のIRRを獲得する必要があります。
このハードルレートが存在するのは、LP 投資家が非上場の会社など株式市場に公開していない非流動資産に投資することで追加のリスクを負い、LPはより高いリターンを期待するためです。
また、ハードルレートは、GPであるPEファンドが最低限のリターンを要求することで、LPとGPの利益を一致させます。

リターンとしての報酬の仕組みと事例

PEファンドの給与とボーナスは単純明快です。投資銀行やコンサルティングファームと同様に年間を通じて毎月現金で支払われるもの(基本給)と、年末に一括で支払われるもの(賞与)があります。
PEファンドにおける管理費と取引手数料は固定されているため、基本給に対してボーナスが支払われる傾向があります。なお、ボーナスは個人、チーム、およびファンドのパフォーマンスに基づいて「任意」に決定されるものであり、市場の状況次第では企業に余裕を与えます。
基本給と賞与の配分は、若手のアナリスト~シニアアソシエイトの場合は50/50の割合であることが多いですが、VP以上のシニア職の場合は賞与に大きく報酬の傾斜があります。

PEファンドにおける報酬のもう1つの要素は、共同投資です。一部のPEファンドでは、特定のディールや案件に自分のお金を投入することを許可しているため、ある企業に特に強気な場合は、個人資金を投資して、その企業の業績が良ければ利益を得ることができます。
主に VP、プリンシパル、パートナー/MDが利用できるキャリー報酬とは異なり、共同投資は多くの場合、アソシエイトも利用できます。
このような仕組みは日本の中小規模のPEファンドでも見られますし、その仕組みを公開しているようなところもあります。

例を出して考えてみましょう。PEファンドが100億円を調達し、5年目までに250億円にしたとします。(ファンドのリターンは150億円になります)
5年間でMOICが2.5倍になりますので、IRRは20%になります。ハードルレートは8%であるため、会社が利益を得る前に、ファンドは8%のIRRを達成する必要があります。今回ハードルレートは達成しています。
配分比率はLPとGPの間で80/20で決められているので、GPであるPEファンドは投資利益の20% (20% * 150 = 30億円)を獲得し、LPは投資利益の80% (80% * 150 = 120億円) を獲得していることに着目してください。
PEファンドのパートナーはファンドの出資額の1~5%しか拠出しないため、キャリード インタレストは非常に多く得られる場合があります。そのためハードルレートを上回るパフォーマンスが得られれば、ファンドの利益の20%を請求できるので上記の30億円のうち1~5%を獲得できる算段になります。

しかし、たとえば、このファンドが5年後にIRR=7%で、ハードルレートを下回っていた場合には最初にGPであるPEファンドが資金を拠出してもGPとしては何も稼いでいないことになります。したがってキャリー報酬はもらえない可能性が高いです。

キャリー報酬は通常、各ファンドの総プールの割合に基づいており、数年にわたって権利が確定します (多くの場合5年、場合によっては最大10年)。通常、PEファンドが投資資本を回収し、ファンド全体のハードル レートを達成すると支払われます。それ以外の場合は、クローバックが必要になることがあります。
*報酬のレポートには、VPの「平均」キャリー2,000万円、プリンシパルは3,000万円など、一括払いの金額が記載されていることがよくあります。

あるファンドで投資利益が10億円出たとしましょう。従来の 80/20 モデルでは、会社はそのうちの2億円を保持します。これが「キャリープール」です。その0.50%を受け取ると、ファンドの存続期間中に1,000万円の追加報酬が支払われます。

ファンドが7年間続く場合、年間報酬総額/7の収益が得られることになりますが、支払いは7年目まで行われない可能性があります。この報酬は、ファンドのリターンがMOIC:2倍で、IRRがハードルレートを上回っていると仮定したときに、発生するだけです。
ファンドレイズ後の5年目または6年目に参加すると、その分もらえるファンドのキャリー報酬が少なくなります。ファンドのメンバーの早期退職も複雑さを生み出します。そのため、実行された利息プールの大部分がパートナーに配分され、一部はプリンシパルとVPにも渡されます。
ファンドの報酬の1つであるキャリーは、通常、最も貢献して収益を上げている「マネージング パートナー」であっても、一桁台前半です。
たとえば、1,000億円超の規模のファンドでは、各マネージングパートナーはキャリープールの2~3%を受け取る可能性があります。これは、ファンドの存続期間全体で数千万に相当します。
ただし、「通常のパートナー」またはMDは、それよりもはるかに少ない金額を受け取る傾向があります。
職位が下がればパーセンテージは低下し続けます。プリンシパルはキャリープールの0.1%から0.3%を受け取る可能性があり、VPは0.1%から0.2%以下を受け取る可能性があります。

ただし、これらのパーセンテージはファンドごとに決まるため、勤務しているPEファンドによって異なり、会社が複数のファンドを持っている場合は、合計のキャリーインタレストが高くなる可能性があります。肝心なのは、PEファンドの従業員がプリンシパルになり、その後パートナーまたはMDになるまで、一般にキャリーインタレストは経済的な成功を決める大きな要因ではないということです。それよりもジュニアの段階でもらえるベースとボーナスの金額に着目する方がはるかに有用です。

実際にキャリー報酬の支払いは「ばらつく」傾向があり、投資先企業の1つか2つのエグジットがファンドのパフォーマンスを劇的に変化させる可能性があるため、不確実性が非常に高くなります。
上記の例から、ファンドのサイズがキャリー報酬、さらにはPEファンドの給与+ボーナス (管理手数料による) に大きな影響を与えることがわかります。

ラージサイズのPEファンドに入社したからといって高いリターンがあるとは限らない

ただし、ラージサイズのPEファンドに入社したからといって、必ずしも長期 (~10年) にわたってより高い報酬を得られるとは限りません。理由は次のとおりです。

・アナリスト、アソシエイト、VP~MDと社内のタイトルの階層が増え、PEファンドにおける営業費用が高くなる
・10年以上同じPEファンドにいる多くの従業員がより高い配分のパーセンテージの報酬を得られる仕組みになっているため、よりファンドAUMの大きなファンドでキャリープールの割合を獲得することは困難
・外資系などの大手のメガファンドでトップになるのは至難の業で、トップになるまでは燃え尽き症候群になりがち。このようなファンドで出世競争に勝つには相当な覚悟が必要
・メガファンドのパフォーマンスは、少なくともIRRとMOICの両方の点で悪い場合がある。そのレベルで常に資金を2倍にするには、単なる「良い投資アイデア」ではなく、「優れた大きな投資アイデア」が必要だが達成することは困難
・業界に数年しかいない場合は、より大きな会社に行って、基本給とボーナス レベル最大化がベストと思われる。特に20代から30代の若手にとってはそのような傾向は強い

一方、小規模なファンドにアソシエイトとして参加し、かなりの割合のキャリー配分を交渉し、ファンドのパフォーマンスが良好な状態で10年以上そこに留まれば、金銭的には優位に立つことができます。このような待遇や柔軟性を持っているファンドを見つけることは決して簡単ではありませんが、もしも見つかれば競争率も低いのでお勧めです。

失敗になる事例

失敗になる事例はシンプルで、投資先が出資したエクイティに満たない金額でエグジットした場合、投資先が破綻した場合、投資先のIPO計画が頓挫した場合、投資先がコベナンツにヒットし、LBOローンの返済に支障をきたしている場合などです。
ディール別にキャリー報酬を付与している場合は、キャリー報酬は支払われない可能性もあります。
もっとも分配方針もファンドごとに違いますし、外資系か日系か、ラージかスモールかによっても異なってきます。分配方針を透明性高く開示しているファンドもありますが、そのような情報の多くは外部からアクセスできないことが殆どなので今回はそこまで詳細に記載はできず(知っていたとしてもみだりに外部に開示してはならない)、あくまで一般論として上記のような理解をしていただければと思います。
自分の手金をファンドの運用額の一部に突っ込んでいる場合には、投資先が全損したり破綻したりするとむしろ損をすることもあるため、その点に注意が必要です。

実際にはそこまでニュースになりませんが、大手のPEファンドが投資した先が破綻したり、民事再生したりすることはままあるため、PEファンドにいる場合にはそのような割の悪い案件にアサインされないように注意するのも大事なポイントです。

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>PEファンド・投資に関する記事

PEファンドのタイトル毎の年収レンジ【1億円を稼ぐ人の共通点・私生活とは?】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/pefund_salary_range

PEファンド投資検討時に必要なスキル・経験【コンサルタントの方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/consulting_pe_investment

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このように一般的に高い報酬で知られるPEファンドにおいて、報酬の仕組みは意外なほど複雑であり、一度入社してみないとわからないこともあります。
特にキャリー報酬は、在籍年数と職位が一定以上でないと支払われないことも多いため、キャリー報酬を目当てに安易にPEファンドに移るのではなく、もともとベースとボーナスが高いファームに移るのが現実的でしょう。
たとえばアソシエイトから全員に対してキャリー報酬を付与するようなファンドがあるかというと、そのようなファンドは限られています。事前にリサーチして報酬体系をある程度明らかにすることが望ましいでしょう。

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