戦略コンサルティングで実際に「役立つ資格」と「役立たない資格」

今回の記事では、戦略コンサルティングで実際に役立つ資格と役立たない資格についてご紹介したいと思います。前提として、どのような資格であっても何かしらの領域では必ず役立つ余地はあると考えるものの、今回は戦略コンサルティングという生業において、活かしやすいか否かという観点でご紹介していきたいと思います。

【目次】

  1. 資格それ自体が役立つことは稀
  2. 保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格①語学力(英語、中国語)
  3. 保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格②簿記
  4. 保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格③プログラミング言語
  5. 資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格①MBA
  6. 資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格②医師免許
  7. 資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格③公認会計士

資格それ自体が役立つことは稀

まず、極論を言うと、戦略コンサルで資格それ自体が実際に役立つものは多くありません。例えば、語学一つをとっても、TOEIC900点以上を取得していたとしても、実際にその語学力を活かしてエキスパートインタビュー等でファクトを掴められるかは別次元となります。現に、語学は非常に堪能であるものの、語学を活用して話す内容がロジカルではない/内容に示唆が伴わない等の事象は、戦略コンサルタントであったとしても目にすることは少なくありません。

従って、資格それ自体が役立つというよりかは、①保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格と、②資格を取得するプロセス、もしくはその資格で仕事を行った経験(公認会計士の資格を取得して、公認会計士として実務経験を積む等が該当)に価値があり、役立てられる可能性が高い資格の二つがあると考えます。上記二つのタイプ別に、それぞれどのような資格が該当するかを述べたいと思います。

保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格①語学力(英語、中国語)

保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格として、語学力(英語、中国語)、簿記、プログラミング言語の三つが挙げられます。

まず、語学力として活用でき得る言語は、言うまでもなく、グローバル言語である英語が該当します。戦略コンサルティングの場合、社内外のエキスパートにインタビューすることは常に発生します。社内であれば、米国や欧州に所属するパートナークラスとミーティングを設定し、夜な夜な(時差があるため)プロジェクトに関する相談や意見交換等を行い、その際に英語力があると会話の中身を理解でき優位に立てるでしょう。もちろん、前述の通り、中身の理解は当然として、理解した内容からどの様な示唆を導き出すかが肝要で、示唆を導出できず会話を理解しただけでは役に立たないということは念頭に置いておく必要があります。

また、昨今は中国の技術革新が急速に進んでおり、米国や欧州よりも中国の方が先進事例として適切な場合も往々にしてあります。そのため、英語に加えて中国語を操れると非常に役立つ可能性が高まります。特に、英語に比べて中国語を操れる人材は非常に希少性が高いので、中国語の場合は話せること自体(ファクトを掴んでくること自体)が比較的アドバンテージポイントに成り得ると現状は言えるかもしれません。

保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格②簿記

次に、保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格として、簿記が挙げられます。簿記の基礎知識はある意味戦略コンサルティングの場合は必須と言えるかもしれませんが、企業の業績評価や財務健全性等を把握するために、そもそも一定程度の会計知識が必要となります。

そのため、簿記で言うと2~3級程度を取得していれば、戦略コンサルティングの生業の中で会計知識の観点で大きくビハインドを取ることはないでしょう。よほど財務/会計関連寄りの案件にアサインされない限り、簿記1級(税理士試験で会計が免除されるレベル)程の知識を求められることはありませんし、仮に求められた場合はその時にキャッチアップすれば十分対応できる認識でいます。
もちろん、公認会計士や税理士等の資格を保有していれば、財務分析面では言う事はないレベルですが、あくまで公認会計士や税理士の資格は、その資格を通じて仕事をした経験に価値があると考えるため、別途後述します。

保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格③プログラミング言語

また、保有する資格を活用して役立てられる可能性が高い資格として、プログラミング言語が挙げられます。プログラミング言語を戦略コンサルティングで活用し得る場合は、非常に局所的にはなりますが、スクレイピングを必要とする局面で活用し得ると考えます。

例えば、クライアント先の競合の製品情報を網羅的に整理することに価値がある/その整理した情報から示唆が出得る局面等で、スクレイピングをクイックに行ってファクトを取ってくることは一つの強みと成り得ます。現に、スクレイピングを通じて鮮やかに示唆まで出し得た案件も、私が知る限りでも複数の案件で目にしてきたので、役立て得る資格/スキルと言えると考えています。

資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格①MBA

資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格として、MBA、医師免許、公認会計士の三つが挙げられます。

まず、MBAは資格とは一線を画すものの、MBAで学んだ内容自体が戦略コンサルで実務を行う上で非常に親和性が高いです。古典的な経営論も然りですが、MBAの場合は、直近のスタートアップの戦略等を題材にすることも多く、MBAで学んだ内容は比較的時流の課題に取り組む戦略コンサルティングで活かしやすいです。
これは、MBAという資格自体に価値があるのではなく、MBA取得を通じて学んだノウハウや経験を戦略コンサルティングの生業で横移動する/必要な部分だけ活用してアウトプットに活かす、というところに一つの価値があると考えます。

また、MBA取得のプロセスで得た同期とのネットワークも非常に活用し得る価値と認識しています。戦略コンサルティングの場合、社内外のエキスパートインタビューを非常に多用するため、MBAを通じて知り合った同期であれば先端の取り組みを行っている企業に勤めている/起業している方が多く、ダイレクトに同期に聞いた方が迅速に示唆を得られることも多分に存在し、非常に活用余地の高い資格と言えると考えます。

資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格②医師免許

次に、資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格として、医師免許が挙げられます。

昨今の戦略コンサルティングの案件では、ヘルスケア領域の案件は増加傾向にあります。特に、米国、欧州、日本が高齢化社会に突入していることもあり、ヘルスケアに対する改革等のコンサルティングニーズが増えていることも背景にあります。他方で、ヘルスケア領域は各国によって規制等のルールが異なり、そのルールも非常に複雑であるため、敷居が高い業界と言えます。
若いうちは業界を横断的に渡り歩く傾向の高い戦略コンサルタントでも、ヘルスケアに一度身を置くと継続的にヘルスケア領域に回されることも往々にしてあるくらい、他業界からヘルスケア業界に参画するハードルは高いです。

そのため、ヘルスケア領域に参画する戦略コンサルタントで、医師免許を有する方も昨今は非常に増えている印象を受けます。特に、医師免許自体に意味があるのではなく、インターン等を通じて医療業界に実際に従事し、医療ビジネスの買い手側の論理を十二分に理解している点は非常にアドバンテージが高い点と言えるでしょう。
また、医療制度等の医療業界では一般的である事も、医師免許を持たない戦略コンサルタントとしてキャッチアップすることは非常にタフであるため、その様な知見もベーシック知識として有している点も非常に役立ち得る資格と言えます。

資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格③公認会計士

資格を取得するプロセス/その資格で仕事を行った経験に価値があり、役立てられる可能性が高い資格として、公認会計士が挙げられます。

公認会計士の資格は、取得するプロセスに価値があるというよりかは、公認会計士として仕事を行った経験に価値があると認識しています。前述の通り、会計知識としては簿記の2~3級程度があれば充分であるものの、簿記との差分としては公認会計士として実際に企業の監査業務等を通じて、企業のビジネスプロセスや課題感等に精通している点に価値がある/資格を活かせられると考えます。

戦略コンサルティングにおいて、戦略を練る上で現状分析は不可欠なモジュールであり、現状分析の際に財務分析を行うことも少なくありません。その際に、単純に会計知識を有しているだけでは、実際の企業活動を把握することは難しく、実際に公認会計士として表に現れている数字とヒアリングを通じた事業活動の実態とを突合させる経験を積むことで、数字の裏側にある事業活動の動きが正確に把握できるようになり、この経験が戦略コンサルティングの仕事にも活かせられる可能性が高いと認識しています。
また、戦略コンサルティングの案件には、デューデリジェンスの様に高度な財務分析/シミュレーションを要するものもあり、公認会計士の資格取得を通じて学んだ知識に財務シミュレーションの経験を上乗せすることで、戦略コンサルティングの仕事にも役立たせられる可能性があると考えます。

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今回の記事では、戦略コンサルティングで実際に役立つ資格と役立たない資格についてご紹介しました。
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