コンサルファームの”SDGs””サステナビリティ”社内取り組み事例【厳選10社】

SDGsなど、サステナビリティに関連するコンセプトへの注目が高まるなかで、企業も社会の一員として、サステナビリティに関し一定の責任を果たすことが求められるようになりました。現在では多くのコンサルティングファームが、 企業のサステナビリティへの対応を支援するサービスを提供しています。
一方、コンサルティングファーム自身も、一企業として社会的責任を果たすよう求められています。しかし、SDGsやサステナビリティを謳ったコンサルティングサービスばかりに注目が集まり、各コンサルティングファームがどのような取り組みを行っているかは、あまり知られていません。
今回は、独自にサステナビリティに貢献する取り組みを行っている、コンサルティングファーム10社を厳選し、それぞれの取り組み事例の特色をご紹介いたします。

【目次】

    1. PwC Japan: 社員のプロボノ活動を応援
    2. KPMGジャパン:国連グローバル・コンパクトとの協働
    3. デロイト トーマツ:地域に根差した環境保全活動
    4. EY Japan: 非営利プロジェクトの支援
    5. アクセンチュア: グラミン日本の設立支援
    6. 野村総合研究所:社長特命のサステナビリティ担当委員会
    7. 三菱総合研究所:差別のない会社を目指して
    8. アビームコンサルティング:パートナーシップによる社会課題の解決
    9. フューチャーアーキテクト株式会社:サステナブルな働き方へのシフト
    10. 株式会社ビジョン・コンサルティング:優しい社会をIT技術で実現

PwC Japan: 社員のプロボノ活動を応援

PwC Japanは「Do the right thing」をモットーに、持続可能な責任あるビジネスの実施を目指しています。国連グローバル・コンパクト、およびグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンに加盟し、分科会活動などを通じて、社会課題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。
同社の環境分野における取り組みでは、同社の温室効果ガスの排出量を、2030年までに実質ゼロにすることが目標です。具体的な取り組みとしては、社員の出張時の航空機利用によって排出されるCO2を、多様な環境保全プロジェクトに投資をすることを通じて、埋め合わせを行っています。
同社はさらに、社員が知見を活かして社会貢献活動に参画する、いわゆるプロボノ活動を推奨しています。「ソーシャルインパクト活動支援制度」により、社員はボランティア休暇や交通費の支給といった支援を受けながら、プロボノ活動に取り組むことができます。他にも、社員同士が情報交換を行う社内コミュニティの設置や、人材育成プログラムにコミュニティ活動を組み込むことによって、社員個人によるサステナビリティへの貢献を後押ししています。

参考:https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/corporate-responsibility.html
参考:https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/corporate-responsibility/environmental-stewardship.html

KPMGジャパン:国連グローバル・コンパクトとの協働

KPMGジャパンはCSR経営を掲げ、質の高い事業の提供を通じた社会への貢献を目指しています。グループ全体のCSR活動を推進するのは、CSR推進委員会や、全国の事務所および事業部ごとに任命されたCSRサポーターです。事業の外でも、ボランティア休暇制度を利用した社員のプロボノ活動が推奨されています。
同社は国連グローバル・コンパクトに加盟しています。さらに国連グローバル・コンパクトとともに、産業別のSDGsへの取り組み事例を紹介する、「SDG Industry Matrix」を作成しています。日本語版の公開時には、同マトリックスを利用したシンポジウムを日本で開催するなど、啓蒙活動にも余念がありません。
この他、CO2排出量の削減や、リサイクル活動、環境保全活動など、環境分野でも多様な取り組みを行っています。

参考:https://home.kpmg/jp/ja/home/about/csr.html
参考:https://home.kpmg/jp/ja/home/about/csr/society.html

デロイト トーマツ:地域に根差した環境保全活動

デロイトトーマツグループは、同社のCSRの一環として、サステナビリティ社会に向けて多様な取り組みを行っています。 環境分野では、同社のCO2排出量の測定と削減、環境負荷の少ない商品やサービスを選んで購入する「グリーン購入」、同社で使用する紙や物品のリユースリサイクルなどを推進しています。
地域社会への貢献も、同社の重要な取り組みの一つです。創始者ゆかりの地である群馬県吉井町から始まった「トーマツの森」活動では、干ばつや下草狩りなど、森林保全活動を行っています。他にも各事務所では、周辺地域の清掃活動や植栽活動などを実施しています。
また社内では、ジェンダー平等や女性活躍を推進することを目的として、「Panel Promise」という施策を取り入れています。各種イベント・カンファレンスにおいて登壇するパネリストの構成を、男性に40%、女性に40%、多様性推進の調整枠として20%の割合で配分するというものです。

参考:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/group-csr/officekankyo.html
参考:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/group-csr/chiiki.html
参考:https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20200331.html

EY Japan: 非営利プロジェクトの支援

EY Japanの理念は、「Building a better working world」というパーパスのもと、社会に「長期的価値」を提供することです。この考え方は事業だけでなく、同社自身のサステナビリティを目指す取組にも反映されています。
同社の所属するEYグループは、2025年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目指しています。これは、総排出量の大幅な削減と、その他環境負荷削減の取組への貢献を通じて実施されるものです。具体的には、出張によるCO2排出の削減、オフィス使用電力の削減と100%再生可能エネルギー化、脱炭素化の取り組みの支援などがあります。
また同グループは、「EY Ripple」と称して、SDGsへの貢献を掲げた多くの非営利プロジェクトを支援しています。環境保全活動、次世代への教育活動、社会的起業家との協働を柱とし、EY社員がプロジェクトの実施や戦略の立案を支えるのです。教育プログラムの場合は、EY社員が直接学生のメンターを行う場合もあります。

参考:https://www.ey.com/ja_jp/news/2021/01/ey-japan-news-release-2021-01-26
参考:https://www.ey.com/ja_jp/corporate-responsibility/how-to-start-ripples-that-create-waves-of-change
参考:https://assets.ey.com/content/dam/ey-sites/ey-com/en_gl/topics/corporate-social-responsibility/ey-ripples-2019-yearbook.pdf

アクセンチュア: グラミン日本の設立支援

サステナビリティサービスを展開するアクセンチュアも、一企業として様々な取り組みを行っています。同社のSDGsにおける重点課題は、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」、ゴール8「働きがいも経済成長も」、ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、ゴール12「つくる責任 つかう責任」の4つです。
同社は、持続可能なサプライチェーンの構築を目指し、「Procurement Plus」というコンセプトを掲げています。サステナビリティ、人権、インクルージョン、ダイバーシティ、ソーシャルイノベーションなどの多様な課題に対し、サプライヤーと連携して取り組むことで、責任ある調達文化をはぐくんでいます。
また同社は日本独自の取り組みも行っています。アクセンチュア・イノベーションセンター福島では、会津若松市の「スマートシティ会津若松」計画に協力しています。震災復興・地方創生を目指し、先端デジタル技術を利用したまちづくり、実証実験を行っています。さらに同社は、近年問題視されている日本の相対的貧困率の改善を目指し、マイクロファイナンスを提供する「グラミン日本」の設立・運営を支援してきました。

参考:https://www.accenture.com/jp-ja/about/corporate-citizenship/sdgs

野村総合研究所:社長特命のサステナビリティ担当委員会

シンクタンク系コンサルティングファームである野村総合研究所は、企業理念として「未来創発」を掲げ、サステナビリティ経営を目指しています。
野村総研のサステナビリティ経営を方向付けるのは、中期経営計画2022が定める財務目標と、CSVへの取り組みを通じた非財務目標、そして持続的成長に向けた重要課題の3つです。この重要課題には、環境保全・多様性や人権の尊重・法令順守・社会のライフラインとしての情報システムの管理の4分野が、ISO26000やGRIガイドラインなど多くの国際基準やガイドラインを参考に選出されています。それぞれの課題に対し複数の指針を定めており、取り組みの幅広さこそが同社の特色といえるでしょう。
こうした方針を支える社内体制として、代表取締役社長の特命で設置される、価値競争推進委員会およびサステナビリティ推進委員会があります。両委員会は、当該テーマについて調査・議論を行い、経営会議等に提言を行うことのできるポジションです。
具体的な取り組みの一つ、「NRIグリーンスタイル活動」では、同社が提供するコンサルティングサービスを通じてクライアント企業や社会システムの環境負荷低減に貢献する(Green by NRI)のと同時に、同社自身の環境負荷低減を進める活動(Green of NRI)も行っています。同社は、データセンターやオフィスビルといった設備やIT機器の省エネルギー化、社員一人一人の省エネ活動に励んでいます。

参考: https://www.nri.com/jp/sustainability/management/sustainability_policy

三菱総合研究所:差別のない会社を目指して

同じくシンクタンク系コンサルティングファームである三菱総合研究所は、環境・社会・企業統治の3つの領域で、サステナビリティの向上を目指しています。
同社は、国際人権章典、国連グローバル・コンパクトの10原則、ILO中核的労働基準等の国際規範に倣い、人権や多様性の尊重と、差別やハラスメントへの反対を、同社の行動基準として定めました。具体的な取り組みとしては、三菱グループの「三菱人権啓発連絡会」における活動があります。同社は1983年の発足時から加盟しており、他グループ会社と協力しながら、差別のない会社を目指して活動を行っています。特に人事部長及び人事担当者の人権意識を高めるため、講演会や研修会などを実施しています。

同社はハラスメント対策にも意欲的です。まず防止の観点では、ハラスメント防止のマニュアルを社内で作成し、全社員を対象に定期的な研修を行っています。また、ハラスメントが起こってしまった場合を想定し、社内外に通報・相談窓口が設置され、迅速かつ適切に解決ができるよう備えています。

参考:https://www.mri.co.jp/company/sustainability/index.html
参考:https://www.mri.co.jp/company/sustainability/social/rights.html

アビームコンサルティング:パートナーシップによる社会課題の解決

アビームコンサルティングがSDGsに貢献するうえで重要と考える課題は、ゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」です。他社や行政、NGOなど様々なステークホルダーと共創して社会課題の解決を目指すという、同社の姿勢が示されています。
また、デジタルイノベーションを推進する同社は、事業を通じたゴール9「産業と技術の基盤を作ろう」への貢献を目指しています。さらに同社は、自社独自のワークスタイル変革「ABeam Business Athlete」を推進することにより、ゴール8「働きがいも経済成長も」にも貢献するとしています。
同社は社会貢献活動にも熱心です。専門知識を生かした社員のプロボノ活動や、沖縄のサンゴ保護活動、沖縄の伝統的漁船「サバニ」文化の保全など、様々な分野で活動しています。

参考: https://www.abeam.com/jp/ja/sustainability

フューチャーアーキテクト株式会社:サステナブルな働き方へのシフト

ITコンサルティングサービスを提供するフューチャーアーキテクト株式会社は、クライアントとのパートナーシップを通じたSDGsへの貢献を目指します。同社が得意とするテクノロジーの活用を通じて、社会課題の解決を図っています。その他事業以外では、同社で利用しなくなったパソコンなどの設備のリユースを推進しています。
さらにフューチャーグループが目指しているのは、サステナブルな働き方へのシフトです。自主性と多様性をキーワードに、社員が多様な働き方を選べる環境づくりを行っています。例えばCovid-19の流行による緊急事態宣言が出されて以降は、全社でリモートワーク体制に移行し、今では90%以上の社員がリモートワークを活用しています。
仕事と子育てとの両立も重要視されており、同社の男性社員の育児休暇取得率と取得日数は、どちらも全国平均よりも高い値です。さらに、動画メディアによる研修の機会を社員に提供することで、社員のだれもがどこにいても成長のチャンスを得られるようにしています。

参考:https://www.future.co.jp/company_profile/sdgs/

株式会社ビジョン・コンサルティング:優しい社会をIT技術で実現

「イノベーションで世界をより良く」を経営理念に掲げる、株式会社ビジョン・コンサルティング。同社の代表は、コンサルティング業界をより良いものにしたいと考え、同社の設立に至りました。
そんな同社が貢献を目指すのは、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」です。残業時間を抑えてワークライフバランスの充実を図るほか、マインドフルネスなど同社独自の健康研修を行っています。また、年齢や性別にとらわれず、誰もが成長できる環境づくりを目指し、多様な社員研修プログラムを用意しています。これは、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」や、ゴール8「働きがいも経済成長も」に貢献する取り組みといえるでしょう。
同社は、事業であるITコンサルティングを通じて、ゴール11「住み続けられるまちづくりを」への貢献も掲げています。脆弱な立場にある人々にとっても安全で過ごしやすい職場・生活の場を提供するため、IT技術を活用した次世代オフィスや街づくりを推進しています。

参考:https://visioncon.co.jp/sdgs/

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>SDGsに関する記事

社会課題の解決(ソーシャルビジネス)に取り組む企業一覧【厳選20社】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/socialbusiness

PwCコンサルティング合同会社/「経済成長と社会課題解決が両立するビジネスモデルの構築支援を目指す」PwCコンサルティング合同会社 Social Impact Initiative(SII)インタビュー
https://www.axc.ne.jp/media/companyinterview/PwC_SII

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今回は、独自にサステナビリティに貢献する取り組みを行っている、コンサルティングファーム10社を厳選し、それぞれの取り組み事例の特色をご紹介いたしました。
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