「DX人材」とは何か?従来の「IT人材」との違いや必要なスキルを解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)が企業の重要な取り組みとなる中で、DXを推進するためのDX人材の重要度が増しています。DX人材とは、いったいどのような人材を指すのでしょうか。従来のIT人材との違いや、必要なスキルについてこの記事で解説します。

【目次】

  1. DX人材とは
  2. 従来のIT人材とDX人材の違い
  3. DX人材に必要なスキル
  4. DX人材に必要なマインドセット

DX人材とは

まず、DX人材とはどのような人材を指すのか、整理します。

DX人材の定義

経済産業省は、2018年に公表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DXガイドライン)※」の中で、DX人材について以下のようなものであると定義しています。

・DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材
・各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DX の取組をリードする人材、その実行を担っていく人材

つまり、DX人材とはDX推進部門(いわゆるIT部門)にのみ存在するのではなく、従来はITと遠い位置にいたビジネス部門側の人材も含んでいるということになります。DX人材として定義されるのは、デジタル技術やデータ活用に関して精通したIT分野の人材に加えて、ビジネス面からデジタルを理解し、DXを進めていく人材となります。

※経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン (1)
DX 推進のための経営のあり方、仕組み」より引用
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004.html

DX人材が求められている背景

それでは、なぜDX人材が重要視されているのでしょうか。それは、各企業はDXを推進する必要に迫られているのにもかかわらず、DX人材として活躍できるポテンシャルを持っている人材が限られているからです。

事業会社がDXを推進するためには、自分たちで主体的にデジタル技術を導入・活用していく必要があります。そのため、自社内にDX人材を多数確保する必要があります。しかし、これまで多くの事業会社ではITシステムをITベンダに外注してきたため、ITに精通した人材の多くはITベンダに所属しているという現状があります。よって、そもそも事業会社内にはDX人材になりうるポテンシャルを持った人材が少ないという事情があります。

さらに、DX人材として活躍するためには、後述する通り従来のIT人材としての能力だけでは不十分であり、DXを推進していくうえでのスキルやマインドセットが必要となります。ただでさえ候補者が少ない中で、さらに能力面も重要であるために、各事業会社はこぞって希少なDX人材を集めているという状況になっているのです。

DX人材のタイプ

DX人材というと、直感的にデータサイエンティスト・AIエンジニアといった新技術を扱う技術者をイメージするかもしれません。しかしながら、上述の経済産業省による定義の通り、DX人材にはデジタル面・ビジネス面の両面での役割があります。具体的には、DX人材の中には以下のようなタイプが存在すると整理できます。

・ビジネスデザイナー:ビジネス側の立場で、ビジネスにどのようにデジタル技術を活用できるかを検討し、ビジネスの推進を行う。
・プロジェクトマネージャー:ビジネス側もしくはIT側の立場で、DX推進プロジェクトをマネジメントする。
・UXデザイナー:IT側の立場で、ユーザーが使いやすいシステムをどうしたら提供できるかを設計する。
・データサイエンティスト・AIエンジニア:IT側の立場で、自社が保有するデータを活用して新たな知見の発見や高度なマーケティング・事業計画を実現する。

従来のIT人材とDX人材の違い

従来型のITシステムに携わっていた人材は、DX人材となりえる可能性があると思われます。一方で、情報処理推進機構がまとめた「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査※」において示されている通り、従来のIT人材とDX人材の間には隔たりもあります。具体的には、両者には「役割の違い」と「スキル・マインドセットの違い」という2つの観点で違いがあるといえます。

※情報処理推進機構「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」より
https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20200514_1.html

役割の違い

まず従来型のIT人材とDX人材ではっきりと異なるのが、与えられている役割です。従来型のIT人材は、「ITシステムをつくること」が最大の役割となります。経済産業省の「IT人材需給に関する調査※」でも示されている通り、IT人材とはIT企業やーザ企業情報システム部門に所属するITを担う人材のことを指し、ビジネス面も含めて最適なITやデジタル技術を活用する役割までは担っていません。

一方でDX人材とは、上述した経済産業省の定義でもあった通り、デジタル技術・ビジネス両面からアプローチし、ビジネスにデジタルを適用してDXを推進できる人材のことであるといえます。つまり、DX人材はITシステムをただ作ればよいのではなく、ビジネスの目標達成に向けて最適なITを導入する役割が与えられているといえます。

※経済産業省「IT人材需給に関する調査」より
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf

スキル・マインドセットの違い

もう一点、まず従来型のIT人材とDX人材では、スキル・マインドセットの違いがあります。スキルの違いについては比較的理解しやすいといえるでしょう。ウォーターフォール型を中心とした従来のいわゆる業務システムの開発と比較して、DX人材にはアジャイルを前提としたスクラムやXPなどの手法に関する知識や、機械学習やクラウドなどの新しいデジタル技術の理解が求められます。

DX人材でスキルとともに重要なのがマインドセットです。DXを日本語に訳すと「デジタルによる変革」となりますが、DXには変革を恐れず挑戦を進めていけるマインドが求められます。特に、日本の大手事業会社では従来の慣習や古い組織などが残存している状況であり、このようなマインドセットはDX推進において重要といえます。

DX人材に必要なスキル

それでは、DX人材にはどのようなスキルやマインドセットが必要なのでしょうか。以下ではまずDX人材に必要なスキルについて解説します。
当然ながら、DX人材としてどのポジションで働くかによっても必要なスキルは異なるため、ここではどのポジションでも有効である汎用的なスキルについて紹介します。

データ活用手法の理解

DXの推進とは、「データの活用法の検討」と言い換えてもよいほどに、データの活用はDX推進のキモとなります。DX人材となるうえでは、データの活用方法について理解することが大切です。
データの活用は、大きく「収集・蓄積」「集計・分析」の2ステップに分かれます。自社のデータを収取する手法としてETLツールやiPaaS等について理解し、また蓄積するためのDWH・CDP・クラウドストレージなどの活用方法を押さえておくとよいでしょう。また、データを集計・分析する方法として、BIツールの用途や、機械学習の活用方法・適用可能範囲などに関する知識も重要なスキルとなります。

デジタル技術の知見

当然ながら、DX人材となるためにはデジタル技術の知見が重要です。例えば、製造業であればIoTデバイスの性能や活用法、エッジコンピューティングの理解などは重要ですし、販売業であれば新しい決済システムやデジタル認証方法などの理解が大切です。
デジタル技術へアンテナを立てながら、どのように自社のビジネスへ適用できるのかを検討できることがDX人材に必要なスキルといえるでしょう。

プロジェクトマネジメントスキル

DX推進は基本的にプロジェクトベースで行うことになります。デジタル技術を導入する実証実験を実施する上でも、必ず必要なのがプロジェクトマネジメントスキルです。
これまでITに触れてきた方であれば、ウォーターフォール型のプロジェクトマネジメントについては精通しているのではないでしょうか。DXで実施するプロジェクトも、必要なスキルセットのベース部分は同じです。さらに、スクラムなどの新しいマネジメント手法を習得することで、現代的なプロジェクトマネジメントを遂行することができるでしょう。

DX人材に必要なマインドセット

続いて、DX人材に必要なマインドセットについて解説します。スキル面もさることながら、意識面もDX人材になるうえでは必須の要素と考えられます。以下では、DX人材に必要な3つのマインドセットについて解説します。

挑戦する意識

最も重要といってもよいのが、挑戦する意識です。DX推進は基本的に失敗する可能性が高い取り組みといえます。失敗を恐れずに、新しいことにどんどん取り組んでいける意識がDX人材には求められます。

協働する意識

また、周囲と協力して仕事をしていく意識も重要です。特にDX推進のためには、ビジネスサイド、ITサイドで協働していく必要があります。独りよがりに仕事をするのではなく、不足する部分はチームで補って解決していくマインドが求められるといえるでしょう。

慣習にとらわれない意識

DXのポイントは、現状打破にあるといってもよいでしょう。従来と同じやり方をしていたのでは、当然ながらDXは進みません。慣習にとらわれず、最適な方法を考え出し、既存関係者の反発を抑えながらも実業務へデジタル技術を導入していく力がDX人材には必要とされます。

=================

>DXに関する記事

“DXコンサル”とは何か?仕事内容~必要なスキル・経験~案件事例まで解説【保存版】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/dxconsultant

コンサルティングファームの”DX成功事例”と”現状の課題”
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/dxconsultantcase

=================

今回の記事では、DX人材と従来のIT人材との違いや、DX人材に必要なスキルについてお伝えしました。DX人材の採用や、DX推進ポジションの求人をご希望の方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


アクシスの求人のうち、
約77%は非公開。
平均サポート期間は3年です。

各ファームのパートナー、事業会社のCxOに定期的にご来社いただき、新組織立ち上げ等の情報交換を行なっています。中長期でのキャリアを含め、ぜひご相談ください。

新規会員登録はこちら(無料)

カテゴリー、タグで似た記事を探す

こちらの記事も合わせてご覧下さい

アクシスコンサルティングは、
プライバシーマーク使用許諾事業者として認定されています。


SSL/TLSとは?

※非公開求人は約77%。求人のご紹介、キャリアのご相談、
企業の独自情報等をご希望の方はぜひご登録ください。

新規会員登録(無料)

※フリーランスのコンサルタント向けキャリア支援・
案件紹介サービス

フリーコンサルの方/目指す方。
×