アンバサダーマーケティングの手法・成功事例・注意点

新しいメディア、新しいテクノロジーの出現により、新しいマーケティング手法が生まれています。

2014年05月13日、便利なメモ機能を利用できる情報ツール「Evernote」のユーザーが1億人を突破しました。

運営元のEvernote Corporationは普及のためのプロモーションをほとんど行っておらず、ユーザーが自力でEvernoteを見つけて利用しています。

累計の広告コストは1ユーザーあたりわずか1セント(1円ほど)以下でした。

参考:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1405/14/news127.html

「優良なコンテンツであれば、プロモーションはいらない」
と言いたいところですが、実はこの裏では「アンバサダーマーケティング」が力を発揮しています。

アンバサダーマーケティングとは熱心なファンの推薦によるマーケティング

「アンバサダー(Ambassador)」は特定の商品やサービスの熱心なファンを意味します。

企業にとっては、自社ないし自社製品のファンとして、企業や製品を周囲に強く薦めてくれる心強い存在。

アンバサダーマーケティングは、アンバサダーがSNSやブログなどで発した商品に対する推薦の言葉を、未来の顧客にまで伝えて購買を促すマーケティング手法です。

アンバサダーマーケティングは信頼度と親しみやすさを演出可能

企業はアンバサダーを採用して自社ブランドや商品をPRしてもらいます。

採用の手順は、自社の公式SNSをフォローして投稿に「いいね」を押したうえで、応募理由とともに応募してもらうのが一般的。

採用されたアンバサダーは企業から無料体験や特典のプレゼントなど何らかの対価を受け取りながら、サービスを宣伝します。

宣伝は「実際の利用者による口コミ」として発信され、利用を検討している人の目に留まるという仕組みです。

現在では8~9割のユーザーが同じユーザー目線の口コミを利用しています。
営業用に作り込まれた従来の広告はどうしても押し付けがましい印象があるためです。

口コミは多くのユーザーにとって、広告よりも信頼度が高く、親しみやすい存在なのです。

アンバサダーマーケティングは口コミを活用し、受け入れてもらいやすいブランドイメージを確立して、消費行動を促すうえで効果的。
現在では世界各国で多数の企業が取り入れています。

アンバサダーマーケティングの成功例:Evernoteが1億人のユーザーを確保した手法

Evernoteはアンバサダーをうまく作り出して活用し、広告・プロモーション費用をほとんどかけずにユーザーを増やすことに成功しました。

2009年10月、Evernote Corporation CEOのフィル・リービン氏は日本を訪問。

Evernoteのファンである個人ブロガー数名を招いて会食を開き、感謝の意を伝え、引き続きの支援を依頼しました。
積極的にブロガーとのコミュニケーションを図ったことがうかがえます。

これがEvernote関連本の出版につながったり、Evernoteコミュニティが拡大したりするきっかけとなったのです。

コアなユーザーとの交流を重視し、2013年からはEvernoteアンバサダープログラムを開始。

アンバサダーを単なる口コミツールとしてではなく、セミナーやワークショップなどを通じ、一緒にサービスを育てるユーザーとして手厚くフォローしました。

結果的にコストを抑えながら、1億人のユーザーを確保することに成功したのです。

アンバサダーマーケティングの代表的な事例:世界の有名企業が実践

アップルやスターバックスなどもうまくアンバサダーを使っていますし、ネスカフェも面白い取り組みをしています。

ネスカフェは職場にネスレのコーヒーマシンを設置する条件の下、アンバサダーにマシンを無料で貸し出し、職場でコーヒーを楽しんでもらうサービスを提供しました。

マシンそのものではなく、コーヒーというランニングで稼ぐモデルによって、2019年時点でネスカフェアンバサダーの会員数40万人を獲得しています。

またホテルニューオータニ東京ではInstagramで「公式アンバサダー」を募集。

選ばれたアンバサダーにはホテルナイトプール「GARDEN POOL」の体験や新作スイーツの試食、イベント招待などの特典をプレゼントします。
アンバサダーはInstagramに魅力的なサービス内容を投稿し、ホテルを宣伝することで集客に貢献するのです。

アンバサダーマーケティングで注意すべきなのは選定する人材の質

アンバサダーマーケティングを実施するうえで、アンバサダーを選定する際に注意すべきポイントがあります。

アンバサダーにふさわしい人材か、質を見極めて、応募者をふるいにかける必要があるのです。

多くの応募者は、ネスカフェやホテルニューオータニ東京の事例で見たような、アンバサダーに与えられる対価を期待しています。

そのため実はサービスのファンではないにもかかわらず、お得なサービスという対価だけを目的に応募する人がいるかもしれません。

応募人数を確保できたとしても、むやみに採用するのではなく、本当にサービスをPRしてくれる良質な人材か見極める必要があります。

本物のファンなのか確認するためには応募の時点で、
・商品に対するPR文を作ってもらう
・サービスの感想や改善点を書いてもらう
・特に好きなサービスと利用したことがないサービスを理由とともに教えてもらう
など一定のハードルをクリアさせるのがおすすめです。

またアンバサダーのSNSを見て、フォロワー数だけでなく「いいね」の数やシェアの回数などの反応(エンゲージメント率)も分析することが大切。

フォロワー数が1万人いても、投稿に対する「いいね」が1個しか付いていなければ、影響力のあるアンバサダーとは言えないためです。

フォロワー数が1,000人でも投稿に対して毎回「いいね」が100個以上付いている人の方が、より多くの人の目に留まる投稿が得意な人材ですよね。

アンバサダーマーケティングを成功させるカギは、アンバサダーそのものの質にあるのです。

アンバサダーマーケティングはあらゆるサービスで戦略上必要となる手法

熱心なファンによる口コミマーケティング「アンバサダーマーケティング」。

情報過多な時代、あらゆる物事に対する判断基準として「信頼できる身近な人」による発言は何よりも重視されます

「いかにアンバサダーを生み出すのか」という課題は、今後どのようなサービスを提供するにしても、戦略上無視できないものになるのでしょう。

私たちのような人材紹介業はその名の通り、人材を紹介することが仕事ですが、人材から紹介されることも重要。
自分のサービスを信頼してくれるファンがいて、そのファンが口コミで宣伝してくれるからこそ運営を続けられるのです。

私たちもアンバサダーを作り出し、アンバサダーと次のファンに対して「最高のサービス」「記憶に残るサービス」を提供し続けなければなりませんね。

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>マーケティングに関する記事

「4C分析」のフレームワーク<具体例付:顧客目線のマーケティングミックスを検討>
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/4c_-framework_-marketing-mix

マーケティング戦略の立て方(プロセス)とは【有効な戦略を立てるための4つのステップと具体的な手法】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/howtomake_marketingstrategy

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今回は、アンバサダーマーケティングの具体的な手法と成功事例についてお伝えしました。

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