カスタマーサクセス(CS)への転職に必要なスキルとは?【企業フェーズ毎】

大手、ベンチャーに関わらずSaaS企業においてカスタマーサクセス(CS)の採用が活発に行われてるものの、候補者からは「企業フェーズやプロダクトフェーズによりどのような経験・スキルがあれば採用されるのかいまいち分かりにくい」という声をお聞きします。

そこで、今回の記事では、企業・プロダクト(サービス)のフェーズ毎に、CSポジションで求められるスキル・経験・キャリアパスの違いをご紹介します。

【目次】

  1. SaaSベンチャーなど、サービス初期のカスタマーサクセス(CS)ポジションの採用ニーズ~キャリアパス
  2. “大手SaaS系ベンダー”のカスタマーサクセス(CS)ポジションの採用ニーズ~キャリアパス
  3. 参考:SEやPMからカスタマーサクセスというキャリアも増えつつある
  4. 参考:”Vertical SaaS/Horizontal SaaSという視点から見る”CS職に必要なスキル・マインド

SaaSベンチャーなど、”サービス初期”のカスタマーサクセス(CS)ポジションの採用ニーズ~キャリアパス

CSの仕事内容は、

・オンボーディング(使い始めから使いこなす手前までの期間をサポート)し、お客様が抱えている課題を解決へ導く
・オンボーディングが完了したお客様の更なる活用を促進する
・利用率が低いお客様に対する利用促進の支援
・お客様に機能を活用してもらうための施策検討・実行
・導入プロセスの改善及び機能提案
・契約更新に向けたアプローチ・対応
・新機能のオンボーディング、機能利用率の向上施策の実行
・オプション機能の提案、プロダクトマーケティングマネージャー・セールスと連携したアップセル活動

など多岐に渡りますが、

初期は、

・事業立ち上げから間もない
・顧客獲得がまだ重要なフェーズ

といったケースも多く、顧客獲得がCSの仕事になることもあります。
そのため、他企業におけるCS経験者は勿論のこと、SIerベンダーのプリセールスやベンチャーのソリューション営業のニーズが高まります。

(求人例)
IT系SaaSベンチャー/マーケティングツールのCS/年収~900万円

・職務内容:
顧客の獲得戦略から、セールス・マーケティング施策の立案や実行までをサポート

・必要経験:
①マーケティング部門や営業企画部門等でのBtoBマーケティングのご経験を持ちの方
②スタートアップ、もしくはベンチャーでのBtoBセールス経験をお持ちの方

・歓迎要件:
中長期的に顧客と関係性を築いていく力

また、サービス立ち上げの初期フェーズでは、”営業や事業企画を繋ぐポジション”としてCSポジションを新設するケースも多く、事業企画やマーケティングが行うような「顧客設定」から、営業部門やインサイドセールスが行う「営業戦略立案」までCSがリードすることもあります。

(職務事例)
IT系ベンチャー:教育アプリの立ち上げにおいて、カスタマーサクセスが”顧客設定””プロダクト改善””価格設定””営業戦略”などをリード

そのため、ゼネラリストや”あらゆることにチャレンジする”といった志向を持つ方の採用ニーズが高いのも特徴です。

(サービス初期フェーズのCS転職事例)
20代後半 Web広告代理店にて、飲食店オーナーに対する無形商材の新規開拓営業~サイト掲載コンテンツの作成、サービスユーザーのメール/電話サポートに関わる。
⇒決算系SaaSベンチャーのカスタマーサクセスに転職、法人顧客に対する導入支援業務や運用状況を測る管理ツールの企画・設計(プロジェクトリーダー)などを経験

<SaaS系ベンチャーのCSポジションを経たキャリアパスについて>

また、”CS経験後のキャリア”ですが、営業出身者であれば前職の営業経験と事業系の経験を掛け合わせて販売企画や、ユーザー分析や営業戦略立案といったスキルを活かしてインサイドセールス部門など、隣接領域に移られる方も多い印象です。

(転職事例)
大手エンタメにてコンテンツの営業を3年経験、その後動画に関するデータ提供会社に転職し、CSとして受注後のクライアントへデータ活用コンサルを行う。
⇒動画サブスク系ベンチャーに転職し、動画を中心とした商品開発に関わる

さらに、ベンチャーや事業立ち上げ期のCSでは「クライアントの生の声」に接する機会も多いため、

・業界の特徴・欠点・ビジネスチャンスが分かる
・クライアントサイドにビジネスパートナーを見つけやすい

というメリットもよくお聞きします。

特定のマーケット動向やユーザーニーズを深く理解する中で、事業企画や新規事業立ち上げポジション、CSから直接起業してプロダクト・サービスをローンチされる方もいます。

(転職事例)
大手デジタル系ベンチャーの営業を4年経験、その後CS部門のマネージャーを3年、セールス&CS部門の統括を2年経験
⇒職場の友人(エンジニアなど)と共にベンチャーを立ち上げ、ブロックチェーンのサービスをローンチする

また、初期フェーズでは、所謂”CSの仕事”以外のことも手掛けることが多いため、営業~事業企画/マーケ~Bizdevといった「事業立ち上げ~収益化までの全フェーズ」に関わりたい方にはメリットでしょうか。

一方で、初期フェーズではあらゆるタスクを担うため、一つの領域やスキルを深堀りしにくいというデメリットもお聞きします。

外資の大手SaaS系ベンダーなど、CS業務が細分化された企業への転職を目指す場合は、現職内で一芸を磨く、同規模のベンチャーでもすでにCSが細分化された企業で経験を積むといった選択肢も視野に入れると良いでしょうか。

参考:「キャリアの掛け算」で市場価値を高める【営業からCS/事業企画へのキャリアチェンジ成功事例】

“大手SaaS系ベンダー”のカスタマーサクセス(CS)ポジションの採用ニーズ~キャリアパス

一方で、セールスフォースやオラクルなどすでにSaaSビジネスを確立している大手ベンダーでは、サービスが完成されていることから、CSが営業も担うといったケースは少なく、逆に一言でCSといえども、業務内容やポジションがより細分化されていることが多いです。

例えば、カスタマーサクセス組織内でも
「カスタマーコンサル(SaaSを用いた顧客毎の戦略立案)」
「カスタマーサクセス(SaaS機能の紹介や提供)」
「カスタマーサポート(保守・運用)」
の3つの部門に分割され、

そのうちの一つ、カスタマーコンサル部門でも、

①戦略立案部門
②設計・実行部門
③パイロット導入部門
④本格導入部門
⑤活用促進部門

とさらに5つのポジションに分かれ、それぞれ別の担当が付ているケースもあります。

そのため、採用においては役割に直結する経験とスキルの”深さ”が求められる傾向にあります。

(転職事例1)
30代前半 セキュリティ系ベンダーのインフラIT部門にて、
保守メニューの拡大化を担当。
⇒大手外資系SaaS企業のカスタマーサクセスのサポート部門にてマーケティングクラウドのインフラ障害のモニタリング、エラー調査などを担当。

(転職事例2)
30代前半 外資系総合ファームの戦略組織にてIT戦略立案~新規事業立ち上げコンサル
⇒大手外資系SaaS企業のカスタマーサクセス、コンサルティング部門にて同社CRMソリューションを用いた戦略立案など

(転職事例3)
20代後半 日系メーカーのプリセールス兼エンジニアとして、営業部門の提案資料作成~クライアント導入後の保守・運用
⇒外資系ベンダーの日本支社においてコールセンターの立ち上げ~サポートサービス部門の BCP作成など

また、”CSマネージャー”などタイトルが上がるにつれ、アカウントとしての色が強くなることから、大手クライアントのカウンタパートとしてソフトウェアやERPのセリングから導入まで経験してきた方のニーズが高まります。

例えば、カスタマーサクセスとしての経験は0でも、CRM導入コンサルチームにおけるマネージャーなどは、転職後いきなりCS部門のマネージャーに就任するケースもあります。

(転職事例1)
外資系ファームのセールスフォース導入チームにて、1年半、マネージャーとしてコンサルティング部隊を率い、セールス、事業開発、アライアンスなどを担当
⇒外資SaaS系ベンダーのプリンシパルカスタマーサクセスマネージャー:ハイタッチのカスタマーサクセスマネージャーとして銀行、製造業、通信業等のお客様へのシングルポイントとなり、営業、サポート、リニューアルなど社内の関連部署の連携をリードすると共に、CRMの定着化、活用支援に従事。

(転職事例2)
外資系ファームにて、IT改革の全体計画策定支援やSAP導入支援
カスタマーサクセスマネージャーとして導入した顧客に対する導入支援およびアカウントマネージメントに従事

(転職事例3)
外資系ベンダーにてシステム構造改革・経営統合プロジェクトのPM
⇒外資系SaaSベンダーのプリンシパルカスタマーサクセスマネージャーとして、社内向けSNSツールの導入~業務改善、新規商談発掘など

<大手SaaS企業のCS経験後のキャリアパス>

まずは順当に社内昇格や転職先にてCS部門のマネージャーに就任といった、CSのケイパビリティをダイレクトに活かせるポジションに移るケースが多いでしょうか。

一方で、すでにオペレーションやプロダクトが確立された企業にいる方は、「0からCSチームの体制づくりに関わりたい」というご志向からSaaS系ベンチャーにCSマネージャーや事業部長として転職される方もいます。

(転職事例)40代前半男性 大手CRM系SaaSベンダー
カスタマーコンサル部門のPMとして導入における営業支援~プロダクトの改善点を米国本社へレポートなど
⇒外資系のSaaSベンチャー日本支社におけるカスタマーサクセス部門マネージャー:日本におけるCS組織の立ち上げ~SaaSプロダクトの活用支援など

また、今日ではSaaS系ベンチャー企業の立ち上げ増加に伴い、CS領域で結果を残された方のニーズは高く、

(転職事例)
外資系CRM企業のCSチーム副リーダー(年収1,000万円)
⇒日系SaaS系ベンチャーのCS部門マネージャー(1,100万円)

など、タイトルの昇格かつ好待遇で迎えられるケースもあります。

さらに、カスタマーサクセス部門のマネージャーとして、SaaS型CRMの活用支援PJで結果を残し、事業会社のIT戦略室に転職、いきなりIT構造改革PJのリーダーに抜擢される方もいらっしゃいます。

参考:SEやPMからカスタマーサクセスというキャリアも増えつつある

また、直近では、大手外資ベンダーを中心にカスタマーサクセス部門内に”カスタマープロダクト”チームも設立され始めており、SEやPMといった職種の方をカスタマーサクセス部門で採用するケースも出始めております。

カスタマープロダクトは、製品導入においてトラブルが発生した際に、本社開発部にエスカレーションしたり、よりテクニカルな面でのカウンターパートとなることを目的としています。

採用においては、マネージャークラスではCTOやCIOと対するため、同クラスとのリレーション経験。メンバークラスではCRMやERPソリューションの開発経験があれば採用の候補となり得るようです。

(求人例)大手外資ベンダー/カスタマープロダクト
・職務内容:デザインシンキング等を用いてクライアントのビジョンを具体化し、同社ソリューションを利用してそれを実現できるか検証する。
・必要要件:エンタープライズ向けシステム開発/システム連携・認証・データ管理/アプリケーションレイヤーの開発経験など

また、同ポジションを経験された方は、ベンチャー企業の開発部門リーダーなど、開発の方針決めといったマネジメントポジションに就任するケースが多い印象です。

(転職事例)
大手CRMベンダーにてソリューションの開発を担当
⇒SaaS系ベンダーにてプロダクト導入の際のカスタマーサポートを技術者として支援

参考:”Vertical SaaS/Horizontal SaaSという視点から見る”CS職に必要なスキル・マインド

また、SaaS系企業のCS職を選ぶ場合には、フェーズという視点と同時に、「Vertical」か「Horizontal」か、といった視点も重要でしょうか。

Vertical SaaSは、全ての産業を対象としたHorizontal SaaSに比べて、ターゲット企業数が限られるケースが多くなるため、1つのプロダクトで広める戦略ではどうしても収益を伸ばすのに限界が生じることがあり、

・決まったプロダクトを入れる
・既存の方法でサポートする

等をことを好む方は、入社後ミスマッチになるケースが多い印象です。

一方で、プロダクトが広がるたびに新しい事業企画やCSの設計がテーマになるため、一つのクライアントニーズに合わせて新しい機能を追加したり、ニーズに合わせてプロダクトそのものを新しく立ち上げるといったチャレンジを好む方はマッチするでしょうか。

逆に、Horizontal SaaSはターゲット企業が多いため、一人のCSに対する顧客数も多く、個社の改善点を見出す以上に、ユーザー全体に共通する改善点を見出すことが求められます。

そのため、データ分析を通したプロダクトへのフィードバック~業務改善といった経験を持つ方のニーズも高いようです。

(転職事例)
MAベンダーにて、データの整備や、データ活用したマーケティングコンサルを経験。
⇒大手SaaS企業のカスタマーサスセスグループにて、マーケティングストラテジストとしてMAのマーケティングコンサルを実施。

また、業界に捉われないビジネスのため、マーケットの動向に左右されにくいといった点も特徴でしょうか。

特に、Horizontal SaaSを手掛ける大手外資系ベンダーでは、メンバークラスで年収約700万円~1,000万円、マネージャークラスでは約1,300万円~2,000万円など高年収であることも大きな特徴です。

一方で、Vertical SaaSのように個々のクライアントニーズに即してプロダクトに新しい機能をすぐに追加したり、プロダクトそのものを立ち上げるといった経験は積みにくいのが実情でしょうか。

参考:「今スタートアップに転職するなら、カスタマーサクセスが面白い」アペルザ取締役 田中大介様インタビュー

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今回の記事では、企業フェーズ毎にカスタマーサクセス(CS)に必要なスキルをご紹介しました。

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