PEファンド転職前に読むべき本・書籍【9選】

コンサルティングファームや投資銀行からPEファンドを目指される方より、「入社前に仕事内容やスキルについてキャッチアップしたい」といった声をよくいただきます。
そこで、今回は、ファンドマネージャーなどの声も参考に、PEファンド入社前に読んでおいた方が良い本についていくつかご紹介します。

【目次】

  1. M&Aファイナンス(金融財政事情研究会:きんざい)
  2. M&A契約の実務(中央経済社)
  3. 最新版 M&A実務のすべて(デロイトトーマツ編)
  4. 図解でわかる企業価値評価のすべて(KPMG FAS)
  5. バリュエーションの教科書
  6. カーライル流 日本企業の成長戦略(日本経済新聞出版)
  7. カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略(ダイヤモンド社)
  8. ブラックストーン(東洋経済新報社)
  9. 企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続(ダイヤモンド社)

M&Aファイナンス(金融財政事情研究会:きんざい)

こちらの本は多様化するLBOファイナンス、メザニンファイナンス、会社法制定や信託法改正を受けた新たなスキームなど、M&Aファイナンスの最新動向を反映した本です。

PEファンドではレバレッジドバイアウトにより買収を行うことが殆どであり、その実務や、貸し手の銀行側の目線、融資契約の実務など細部が分かりやすく書かれており、特にPEファンドを受ける方でケース面接の対策(主にファイナンス面)をしたい方や知識面で肉付けを行いたい方におすすめです。
実際にすでにPEファンドの中で働いている方でも、買収を行う際に必要なLBOファイナンスの実務を確認するのに役立ちます。また、若干データは古いですが、日本におけるPEファンドの過去の投資の実例と、実際のLBOファイナンスがどのように行われたか、貸し手の銀行はどこだったか等を確認することができます。

また財務モデルでのプロジェクション作成の方法や、LBOによる買収の簡単なケーススタディもあり、日本語で書かれたファイナンスの本としては実務に直結し非常に明快に書かれている点でPEファンド、投資銀行で働いている方にとってはマストな書籍と言えます。

M&A契約の実務(中央経済社)

こちらの本は、M&A取引で締結される契約の概要を解説するとともに、典型的な契約条項(おもに株式譲渡契約書:SPAに記載される事項)について、その法的性質、意図・趣旨、条項の相互関係などを詳説しています。
具体的には、M&A取引に関連して締結される契約の概要について、締結されるタイミングや取引類型に応じて解説し、各種の契約のうち、もっとも基本的かつ重要と考えられる株式譲渡契約について、個別の条項ごとに内容と留意点を検討しており実務に非常に役立ちます。
第2版では、債権法改正の影響や、昨今増加しているアウトバウンド取引に特有の外国法や海外の取引実務に関する記述を追加するとともに、最近の実務の進化を反映している良書です。

最新版 M&A実務のすべて(デロイトトーマツ編)

こちらはM&Aの全般的な内容を再度頭に入れて復習するのに最適の本です。企業戦略としてのM&A&D(合併、買収、事業分離)を全図解しています。M&Aのプロセスとさまざまなストラクチャー、バリュエーション手法やデューディリジェンスの進め方、ポスト・マージャー・マネジメントの手法など、M&Aに関する法務、税務、会計の取扱いを章立てて解説しており、知識の整理に役立ちます。

図解でわかる企業価値評価のすべて(KPMG FAS)

こちらはバリュエーションを概説的に解説した本で、投資銀行等で働いている方には既に当たり前になっている事項も多いですが、初歩的な内容で分かりやすく知識や経験の整理に役立つでしょうか。企業規模・国内外を問わず、M&Aによる企業再編や事業の再構築が身近なものになった今日、企業の価格(企業価値)を知ることがますます重要になっており、実際にPEファンドが買収を行う際に企業価値をどう算出すればいよいのかを改めて考えさせてくれる良書です。

主な内容は類似上場会社比較法、類似取引比較法、DCF法や純資産法ですが、コンサルティングファーム出身者などコーポレートファイナンス以外にキャリアを多く積んできた方は改めてこちらで知識を整理すると良いでしょうか。

バリュエーションの教科書

こちらは、株式投資から企業IR、M&A、事業再生、「会社は誰のものか?」「金融資本主義の功罪」の議論まで、M&A、ファイナンスの最前線で活躍する実務家から絶大な評価を受けている良書です。

難解な金融・ファイナンスの世界を実務の目線でシンプルに俯瞰しながら、基本から最先端の理論までを網羅しています。PEファンドで働く前に知識の再整理を行いたい方や、実際に実務でバリュエーションの落としどころをどのように付けるかを考えたい方にお勧めです。
PEファンドでのケース面接にも応用できる内容が豊富に掲載されています。

カーライル流 日本企業の成長戦略(日本経済新聞出版)

カーライル・グループは、米国ワシントンDCを本拠地として世界中に35ヵ所の事務所と1000名を超えるスタッフを抱える世界最大級のPEファンドで、日本における実績の歴史を紐解いた良書になります。

PEファンドは経営改革を行い、場合によっては新しいプロフェッショナルな経営人材を紹介し、結果として筋肉質で効率性が高い経営力をもたせ再び収益力と成長力を持つ企業へと変身させる「コーチ役」のような存在であり、その代表格がカーライル・グループであることが分かります。
面接前にも入社後の仕事の進め方の意識づけにおいても役立つ本でしょうか。

カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略(ダイヤモンド社)

プライベート・エクイティ投資会社であるカーライルが、いかに企業の潜在的な成長力を引き出し、長期的、本質的企業価値を高めていくのか、その投資のノウハウやマネジメント・プロセスのなかにあるドラマを一年にわたる関係者への取材の中で浮き彫りにしています。
具体的に記載されている投資例に下記があります。
(1)コバレント:東芝系半導体材料製造会社。ユニゾンとカーライルで830億円で買収
(2)キトー:130億円で買収。工場内物流設備大手。こちらはうまく行った例
(3)クオリカプス:塩野義傘下の薬品カプセルメーカー

日本で投資活動を行っている外資系PEファンドの中でも最も大きなトラックレコードを築いているカーライルですが、実際にどのように投資を行っているか、アプローチはどのようなものかを経済小説感覚で読み進めることができるので、PEファンドを目指す方も、実際に働いている方にもおすすめの書籍と言えます。

ブラックストーン(東洋経済新報社)

こちらの本は、アメリカのPEファンドの雄であるブラックストーンを例にして、ファンドが果たす役割を実例で学べるものです。アメリカのブラックストーン・グループは、プライベートエクイティや不動産、クレジット、ヘッジファンドに投資する巨大企業で、本書は、同社の事業展開と、その経営者に焦点を当てて描かれたノンフィクションになります。

PEファンドの仕組みと米国投資ファンド業界の80年代から金融危機を経た、25年余りの米国金融業界の変遷が詳しく描かれ様々な企業への投資の成功事例、失敗事例など具体例が多く盛り込まれているため、投資をするとはどういうことなのか、誰の役に立つのか、また、金融システムの中でファンドが果たす役割がどういうものなのかを理解するのにうってつけです。

また同時に知的好奇心を揺さぶる内容であり、金融や投資に関しての基礎知識を勉強中の読者には、本書で次々と登場する金融用語は新鮮であり、かつ金融用語の多さは、アメリカの金融・投資業界が急速なイノベーションを起こしていることの証しです。
その根底にあるアメリカの投資文化が、アメリカ経済を動かすためには不可欠な要素となっていることを、本書では述べておりPEファンドを目指す方、入社して働いている方、その他金融、投資に関心を持つ方にとっては、米国のけた外れの巨大買収と巨額報酬の裏側なども知ることができ、知的好奇心を揺さぶる読み物として優れています。

企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続(ダイヤモンド社)

こちらの原書は、アメリカのビジネススクールで近年評判が高い経営戦略論のテキストブック(教科書)です。本書の論述は、「経営資源に基づく戦略論」(Resource Based View、以下RBV)の提唱者である著者のバーニーによりなされており、先行研究のレビューに基礎づけられた、アカデミックとしても優れた書籍です。
内容は、「戦略とは何か」「パフォーマンス(成果)とは何か」「脅威および機会の分析」「企業の強みと弱み」の分析で構成されており、PEファンドでのバリューアップや、投資仮説を立てる際に役立つ書籍と言えます。

この巻は文字どおり基礎的な議論に充てられており、RBVの特色が一貫して出ているわけではないため読みやすいのが特徴です。企業の強みと弱みを解説する章では明確にRBVの観点から、価値(V)、稀少性(R)、模倣可能性(I)、組織(O)の4要素でそれを分析するVRIOフレームワークが提唱されています。
またVRIOを用いた例として、デル(パソコン)とソフトドリンク業界に関する秀逸な分析も出ております。
本書は3巻本の邦訳の1冊目ですが、それでも300ページを超えるボリュームで議論は包括的・体系的で、多岐にわたります。

やや難解ですが、概念的説明だけでなく事例も多く、アメリカのビジネススクールで行われている経営学の講義や実務を肌感覚で学ぶことができる良書です。

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>PEファンドへのキャリアに関する記事

コンサルから投資ファンドの転職で求められるスキルとは?
https://www.axc.ne.jp/media/column-career-change-case/investmentfund

公認会計士からPEファンドへのキャリアパス【入社前後に役立つスキル・経験】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/accountanttope

PEファンド入社1年目で身に付けておくべきスキル・経験【コンサル・投資銀行の方向け】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/privateequityfundfirstyear

FASからPEファンドに転職して活かせるスキル・キャッチアップが必要なスキルとは
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/fas_pe

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PEファンド入社前に読んでおいた方がよい本についていくつかご紹介しました。キャリアでお悩みの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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