“コンサル”と”PE・VCファンド”の違い【年収からキャリアパスまで】

コンサルタントにとって人気のエグジット先であるPEやファンドですが、コンサルとファンドの年収やキャリアの違いについては意外と知られていません。

そこで、今回のコラムでは、コンサルティングファームとPE・VCファンドの年収やキャリアパスの違いについて、実際にファンドとコンサルティングファームのパートナークラスからお聞きした情報をもとにお伝えします。

【目次】

  1. コンサルファームとPE・ファンドの年収レンジ(ベース給)
  2. コンサルファームでは出資パートナーとなると億単位の年収へ
  3. PE・VCのパートナー/マネージングディレクタークラスは成功報酬により数億~10億のキャリーを得るケースも
  4. 「コンサル」から「PE」への転職は思った以上に険しい
  5. 「PE」から「コンサル」の事例は少ないのが実態、ただし様々な業種・業界に関わりたいという思いから戦略ファームへの転職もあり
  6. 起業・ファンド立ち上げを目指すならまとまったキャリーのあるファンド、スペシャリティを生かすならコンサルへのキャリアがおすすめか

コンサルファームとPE・ファンドの年収レンジ(ベース給)

【アソシエイトクラス 新卒~30代前半】

  • 外資系戦略ファーム:アナリスト 500万~1,000万、アソシエイト/コンサルタント 1,000万~1,700万円
  • 日系戦略ファーム:コンサルタント 500万~600万、シニアコンサルタント 600万~900万
  • 外資系PE:アソシエイト 1,000万~1,500万
  • 日系PE:アソシエイト 800万~1,200万
  • VC:アソシエイト 500万~900万

【マネージャークラス 30代前半~30代半ば】

  • 外資系戦略ファーム:マネージャー 1,600万~2,400万
  • 日系戦略ファーム:マネージャー 900万~1,400万
  • 外資系PE:ヴァイスプレシデント 1,500万~2,000万
  • 日系PE:ヴァイスプレシデント 1,200万~1,500万
  • VC:ヴァイスプレシデント 900万~1,200万

【ディレクタークラス 30代半ば~40代前半】

  • 外資系戦略ファーム:プリンシパル 2,000万~1億
  • 日系戦略ファーム:シニアマネージャー 1,200万~1,900万
  • 外資系PE:ディレクター/プリンシパル 2,000万~3,500万
  • 日系PE:ディレクター/プリンシパル 1,500万~2,000万
  • VC:ディレクター/プリンシパル 1,200万~1,500万

【パートナークラス 40代半ば~50代】

  • 外資系戦略ファーム:パートナー/ディレクター 3,500万~
  • 日系戦略ファーム:パートナー/ディレクター 2,000万~
  • 外資系PE:パートナー/マネージングディレクター 3,500万~
  • 日系PE:パートナー/マネージングディレクター 2,000万~
  • VC:パートナー 1,500万~

ベース給では、ファームの方が全体的にやや高いくらいでしょうか。

ただし、コンサルファームでは出資パートナーとなると数億円のインセンティブが入るため、上記のレンジも大きく上がります。また、PEやVCの場合には、投資が成功した際のキャリー(数千~数億円)が発生する可能性があるため、一概に上記の年収レンジだけでは判断が難しいでしょうか。

外資・総合ファーム等の詳しい年収レンジの違いは以下を併せて御覧ください。

(参考コラム)「実際、外資と国内、戦略と総合コンサルファームで年収はどれくらい違うのか?」

コンサルファームでは出資パートナーとなると億単位の年収へ

コンサルファーム、主にパートナーシップ制を敷くコンサルティングファームにて、自ら出資してパートナーとなる「エクイティパートナー」の場合、会社の利益に応じて億単位の年収を得ることができます。

例えば、Big4系のファームでは、執行役員クラスのエクイティパートナーが2億円という年収をもらったという話をお聞きしました。

また、戦略系ファームでは、さらにその額が上がりますが、最上級のファームでも上限は5億までというケースが一般的のようです。

そのため、年収のアップサイドは総合系ファームでは~数億円、戦略系ファームでは~5億円程度というのが一つの目安でしょうか。

PE・VCのパートナー/マネージングディレクタークラスは成功報酬により数億~10億のキャリーを得るケースも

同じく、PEやVCにおいても、投資から得た儲けの10~20%が会社に入り、メンバーの貢献度により計算された分配率により各々に入ります(所謂「キャリー」)。

例:儲け300億円のうち20%の60億がファンドに、残り240億が投資家に還元。

ただし、PEやVCも株式会社であり、すべての儲けを山分けするわけではなく、一部を会社や次のファンド立ち上げのための資金にするケースが多いようです。

ファンドのメンバーは大手といえども多くて数十人といった規模なので、60億利益を得た場合は、半分はファンドに残すとしても30億を数十人で分けることになります。

パートナー/マネージングディレクターは投資に身銭を切るので、配分率も高く、PEでは利益次第では数億~10億といった金額を得ることが多いようです(バリューアップの出来次第、失敗した場合には身銭が取り返せない場合もある)。

また、アソシエイトクラスの場合は、日系・外資系含め投資が成功してもキャリーが配分されないケースが多いのが実情のようです。理由として、アソシエイトまではPEにとって重要な「案件を見つけ出す」といったソーシングの初期フェーズには参加はせず、案件のメンバーとして財務DDを手伝うといったエグゼキューションのフェーズから関わるためといった意見もございます。

また、配分されたとしても数%というケースが多く、直近お聞きしたファンドでは1~2%といった数字のため、30歳アソシエイトが30億のキャリーを配分された場合、3,000万~6,000万。PEのエグジットまでの平均期間は約6年といったケースが多く、年に500万~1,000万のボーナスというイメージでしょうか。

ただし、成功報酬制かつ成功した投資案件に関わることが基本的には必須の為、成功報酬が少額の場合はパートナークラスがすべてキャリーを受け取る、など時にはキャリーがでないケースもございます。

「コンサル」から「PE」への転職は思った以上に険しい

特にPEでは投資額が大きく、VCほど多くの案件に投資するわけでもないため、ソーシングと呼ばれる投資先を見つけ出し、投資先を精査するフェーズが重要だとされております。

企業を探し出す営業力、財務諸表などから企業の財務状況を正しく判断するといった財務モデリングのスキルは、コンサルティングファームでもFASやM&Aアドバイザリーにおけるエグゼキューションといった限られたポジションでの経験が必要となります。

そのため、戦略系ファームのマネージャークラスでも当該の経験がないと採用の当落線上といった判断をされるようです。

コンサルティングファームに在籍している方は、FAS・M&Aアドバイザリーにて経験を積むか、投資担当ではなく、バリューアップ担当として入社し、投資後のフェーズでコンサルとしての経験を生かすという選択肢が現実的でしょうか。

(参考コラム)コンサルから投資ファンドの転職で求められるスキルとは?

「PE」から「コンサル」の事例は少ないのが実態、ただし様々な業種・業界に関わりたいという思いから戦略ファームへの転職もあり

PEからコンサルへの転職を目指す方は少ないのが実態のようです。

理由としては、キャリーの存在があるようです。基本的にはVP以上が手にする一回のキャリー額は数千万円以上になり、その魅力からPEに残る、または元手にファンドを立ち上げるといったパターンが多いようです。

一方で、アソシエイトなど若手クラスの場合は、M&A以外の手段も踏まえた戦略策定を通して企業をバリューアップしたいといった思いから戦略系ファームへ転職される方もいます。

年収もスライドで転職できるケースが多く、外資系の大手PEであれば20代後半でも年収が1,500万以上になる方もおり、その場合は年収アップでの転職も可能なようです。

また、今日戦略としてM&Aを選択するケースも多く、その道で実地の経験があるPEファンド出身者は重宝されるという声もございます。

戦略敬ファーム以外にも、スキル・経験を生かせるポジションや部門としてFASなども挙げられるでしょうか。ただし、年収レンジは戦略ファームや外資系PEより数百万ほど下がるため、年収面での注意が必要なようです。

起業・ファンド立ち上げを目指すならまとまったキャリーのあるファンド、スペシャリティを生かすならコンサルへのキャリアがおすすめか

PEの場合は、キャリーとして一気にまとまった額が手に入るため、キャリーを元手にパートナークラスでは新しいファンド、メンバークラスでは投資先で培った経営感覚を活かしてスタートアップ企業を立ち上げる方もいらっしゃいます。

またPEの場合は、社外取締役など投資先の経営陣として入るケースもあり、株式も保有していることから「企業を動かす」という経験を積み重ねられるチャンスが多いようです。

すでに成熟した中~大手企業へのマジョリティ投資が多いことから、エグジット後もPEで培ったケイパビリティや経験を生かして大手企業の経営企画といったポジションにスライドして歩まれる方もいらっしゃいます。

一方で、VCの場合は、複数企業に投資することから、様々な業界のナレッジや経営経験が貯まりやすいというメリットもございます。

スタートアップ企業の経営企画マネージャーとして入社、または様々な投資先企業から自分でエグジット先を選ぶという方もいらっしゃいます。その場合は、すでにファンドとして関わっているため、入社後のミスマッチも少ないようです。

一方で、戦略系コンサルや、総合系コンサルの場合は、ケイパビリティも様々なため、一概にどの業界や職種が多いということは言えませんが、会社を動かすという経験は自ら投資してコンサルティングを行うファームにいないと得にくいため、いきなりCxOとして採用されたり、また採用されてもすぐに活躍することは難しいという声もよくお聞きします。

ただし、ロジカルシンキング、デジタル推進やERP導入といった特定領域のスペシャリティは高まるため、事業会社のDX推進ポジションや、CDOやCTOなどスペシャリティに特化した経歴やスキルが求められるポジションを目指すには、コンサルティングファームの方がキャリアパスとしては近道になるでしょうか。

(参考コラム)デジタル専門の経営人材「CDO(Chief Digital/Data Officer)」の設置背景・役割(CIO/CTOとの違い)・年収・キャリアパスについて

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今回の記事では、コンサルとPE・VCファンドの違いについてご紹介しました。

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