コンサルファームの業務内容とは?種類別の特徴・求める人物像を解説

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コンサルの業務内容を一言で言えば、クライアントである企業の課題解決を行うことにあります。しかし、一口に企業の課題といってもさまざまなものが存在するため、現代ではコンサルファームの強みとする領域をもとに、コンサルファームの種類が細分化されています。

今回はコンサルファームの種類別の業務内容や求める人物像について紹介していきます。自分が携わりたいコンサルのタイプを明確にするうえで、ぜひ参考にしてください。

【目次】

  1. ①戦略系コンサルファーム
  2. ②総合系コンサルファーム
  3. ③財務系コンサルティングファーム(FAS)
  4. ④IT系コンサルティングファーム
  5. ⑤シンクタンク系コンサルファーム
  6. ⑥自分のスキルや意向に合ったコンサルファームを志望しよう

①戦略系コンサルファーム

企業の全社的な経営課題を解決するのが戦略系コンサルファーム。ファームによって強みとする領域に多少の違いはありますが、最も経営層に近い上流の案件を多く抱えるのが戦略系コンサルファームです。

受け持つ課題としては、経営計画や事業計画の策定、新規事業開拓、M&A、全社的なDX戦略、マーケティング戦略などです。

ただし、例えばDXであれば最も上段に当たる企業の課題と、課題を解決するための方針を策定するところまでが戦略領域の仕事です。費用対効果の観点から、下流の仕事も合わせて受け持つこともあるものの、実際のシステム導入・運用を得意としているのは後続で紹介するITコンサルティングやSIerの領域となります。

このように、全社的な課題の洗い出しや解決策と、その解決策を実現するための方向性を策定するまでが、戦略コンサルティングファームの主たる業務範囲です。

名だたる大手企業の経営戦略の策定に携われる

戦略コンサルファームのやりがいは、名だたる大手企業の全社的な経営戦略策定に携われる点です。高額なコンサルフィーのもと、時には数千億円〜兆円規模の事業に対する計画を策定したり、助言したりする機会があります。マーケティングや新規事業のプロジェクトに参画すれば、まだ見ぬ新商品や新技術の普及に携われるかもしれません。

その規模感や社会的意義の大きさに加えて、一流企業の大組織の経営手法や経営戦略を間近で知ることができます。将来大手企業のマネジメントなどを目指したい人や、起業して規模の大きな事業を手掛けたいという人にとっては、貴重な経験となるでしょう。

課題解決能力+専門知識

戦略コンサルにおいてはまず、経営戦略を中心とした課題解決能力が求められます。現状を把握し、構造化や情報整理をしたうえで、課題の本質を洗い出し、解決策をまとめる能力が必要です。さらにクライアントのキーパーソンに説明するためのプレゼンや交渉能力も備わっていなければなりません。

これらのスキルは、コンサルとしてプロジェクトに携わる中で培う部分もあるものの、ライバルに打ち勝ち活躍していくためには、入社時点である程度の高いレベルの課題解決能力が求められます。

転職者の場合は財務や会計、金融やマーケティングなど、全社的な課題解決に役立つプラスアルファの専門知識があると好まれます。クロスボーダー案件に対応出来ることから、英語が堪能(ビジネス会話を難なくこなせるレベル)な人も、選考での評価アップにつながるでしょう。

②総合系コンサルファーム

「総合系」コンサルファームはその名の通り、幅広い課題にアプローチできるコンサルファームです。先ほど紹介した戦略系を含めて、今回紹介する他のタイプのコンサルが扱うプロジェクトは、ほとんどが総合系コンサルファームでも対応しています。

外資系で総合系コンサルファームというと、監査法人グループから成長したコンサルファームであるBig4やアクセンチュアなどの知名度が高いです。日本でもアビームコンサルティングは総合系コンサルファームの一角に数えられます。

幅広いプロジェクトに対応するため、組織はクライアントの業種で分けられた「インダストリー」とM&Aや会計、人事組織、マーケティングなどといった課題の内容によって分けられた「ソリューション」のチームがいます。プロジェクトを行う際には、インダストリーとソリューションの中から適したメンバーでチームアップされます。

また、組織が大きいのも特徴です。アクセンチュアは日本の社員が2021年時点で1.6万人、アビームコンサルティングも6500人ほどいました。採用も頻繁に行なっているため、大手コンサルファームを目指すうえではチャレンジしやすいタイプのファームともいえます。

幅広い企業の課題があるため自分の専門性を活かしやすい

総合系には様々な産業の幅広い課題が寄せられます。そのため、コンサル未経験の人でも過去の業務経験や産業に関する専門知識にマッチしたプロジェクトにうまく参画することで、活躍するチャンスの多いコンサルファームでもあります。

目の前には膨大な数の案件の種やプロジェクトが転がっているため、自分がやりたいこと、社会的意義の大きいテーマに沿った案件に積極的にアプローチすることで、自分のキャリアビジョンを実現しやすいのも魅力です。戦略系と比べるとクライアントの全社的なテーマに関わるチャンスは減りますが、Big4や大手コンサルクラスであれば、一流の大企業の課題解決に貢献できるのも特徴といえます。

特定の専門性をアピールすれば転職のチャンスは多い

総合系コンサルファームは、様々な領域や業種における専門性を持つ人材を継続的に募っています。プロジェクトの件数が常に多い一方で、かつてのように一人の人に長時間労働を強いることが難しい時代になっているため、人材の厚みが求められているのです。

そのため、コンサル未経験者でも、現職が属する特定業種の専門知識や業務経験などをコンサルプロジェクトに役立てやすいと言えます。あとは、今自分が持つ専門性を正しく理解し、コンサルに役立つスキルであるとして選考でうまくアピールすることが大切です。

また同時に、コンサルに入ってどんな付加価値をもたらしたいのか明確にしておくことも重要に。これは選考通過よりも、むしろ入社後にコンサルタントとして活躍するうえで欠かせません。自分の専門性をどのようなプロジェクトにおいて、どのような顧客の課題に活かすのか、あるいは社会にどのような変革をもたらしたいのかを、事前に整理しておいてください。

③財務系コンサルティングファーム(FAS)

財務面の課題解決を専門とするコンサルティングファームです。PwCアドバイザリーやKPMG FASといったファームが比較的知名度が高いですが、名前からもわかるように、総合系や監査系コンサルファームの一領域として成長してきた形態です。ただし、近年では財務系案件の増加に伴い独立したファームとして認識されるようになってきました。

FASに寄せられるプロジェクトのうち、最も多いのはM&A関連のプロジェクトです。M&Aにおける買収先や自社の企業価値評価、M&Aを実行するための財務戦略などのコンサルティング案件が多く見られます。

M&Aにおいてはクロスオーバー案件なども盛んに手掛けています。海外企業になると通貨や商慣習の違いなどもあり、適正な企業価値の算出がより難しくなる分、FASが活躍する場面は多いと言えるでしょう。

そのほか、企業全体の財務戦略や事業再生、企業再生といった領域も得意としています。

M&A領域の専門性を圧倒的に高められる

近年M&Aビジネスが着実に成長していることもあり、コンサルや投資銀行などを志望する方にとって人気の領域の一つです。FASに入社すれば、多くのM&A案件を扱うチャンスがあります。表面的な関わりではなく、売買先の選定や企業価値の算出、買収条件の交渉、契約締結とM&Aを実現するまでのあらゆる領域に関わるチャンスがあります。

M&Aにおいて自分のキャリアのエッジを立たせたい人にとっては、特に魅力的なコンサルファームの形態と言えるでしょう。また、外資系や大手のFASではクロスボーダー案件を豊富に取り扱っています。海外法人の買収は海外事業進出の常套手段の一つでもあることから、M&Aは実はクロスボーダー案件に携わるチャンスの多いファーム形態の一つです。海外志向の強い人にとっても魅力的な転職先といえます。

ファイナンスや金融・証券に関する専門性が求められる

FASの軸は企業や事業の価値を評価し、最適な資金調達やM&Aの実行をサポートするところにあります。そのため、たとえ新卒であっても、ファイナンス領域や金融・証券といった領域の知見が求められます。

直接・間接金融双方に関する知見や、財務戦略の策定、企業価値モデルの策定と価値算出などができる、あるいは早期にキャッチアップしてくれると期待できる人材を探しています。大学であれば商・経済系や商法を専攻した法学系の出身者が好まれます。転職の場合は、銀行の法人営業や投資銀行など、やはり企業の資金調達や金融と関わりの深いビジネス、あるいはより直接的にM&Aビジネスに知見のある人を求めるケースが多いです。

資格が優位に働きやすい領域でもあり、特に公認会計士や弁護士資格所有者で、M&A領域の知見がある人は評価されやすいでしょう。またクロスボーダー案件が多いことから、コンサルファームの中でも英語力がプラスに働くファームでもあります。

④IT系コンサルティングファーム

経営課題を、IT技術を活用して解決を目指すのがIT系コンサルティングファームです。ミッションに基づくシステムの開発や導入、保守・管理を本業とするSIerなどと異なり、まだシステムのあり方や理想像がない段階で、企業の課題をヒアリングしたうえで、それを踏まえた企業のIT戦略や、戦略に基づくシステム変革や導入の方針、スケジュールなどを策定していきます。

一方で、SIerの本業は計画・スケジュールが確定した後の段階で、ミッションに従ってシステムの開発や導入などを進めて行くのが主たるミッションです。

ただし、以上はあくまでITコンサルとSIerそれぞれの「主」とする領域であり、それぞれは互いにオーバーラップする部分も大きくなります。アクセンチュアなど大手のコンサルファームとなると、システム開発を行うチームも抱えていますし、日立コンサルティングのように元々はシステム開発を主領域としている日立製作所から派生して成立したコンサルファームも存在します。

安定した需要が期待できるコンサル領域

近年は2025年問題を背景にDXがある種のブームのように広がっており、多くの企業が全社的なITによる変革を進めています。この流れの中でITコンサルファームの案件は増加傾向で、人材ニーズが強い領域でもあります。

今後についても時代とともにテーマが移り変わることはあっても、ITを活用したコンサルティングニーズが低下するとは考えにくく、長期に渡り安定したビジネス需要が見込める領域といえるでしょう。

また、IT技術やITを活用した課題解決、プロジェクトマネジメントの経験を持つ人材は、事業領域が近いSIerや先進技術の開発を行うスタートアップ、事業会社のシステム関連部門など、コンサル以外でも多くの企業や業種で高いニーズがあります。ポストコンサルも含めたキャリアの広がりや将来性の観点からも魅力的です。

ITに関する知見が望まれるが、必須ではない

ITをツールとして課題解決をおこなう以上、ITに関する素養があるに越したことはありません。IT系コンサルファームはSIerからのキャリアアップの一環とみられるケースも多いです。システム開発やシステム案件プロジェクトのマネジメント経験などがあると、選考上プラスに働くでしょう。

一方でITに対する素養がなくとも、バックオフィスや人事、財務などの本部スタッフの業務経験がある人は高評価につながります。こうした業務を経験している人は、企業の課題の洗い出しや、ITを活用した解決策の策定において過去の業務経験が役立つからです。特に業務課題に対して、IT導入や業務プロセスの変革などをもたらした実績がある人などは、選考において積極的にアピールしましょう。

IT領域とはいえあくまで本分は「コンサル」なので、重要なのは課題解決能力です。一般的なコンサルファームが求める、現状分析と仮説設定、解決策の提示といった一連のコンサルスキルが備わっている必要があります。

⑤シンクタンク系コンサルファーム

シンクタンクは経済や政治、社会学など特定の分野で独自の研究を行い、情報発信や調査内容の提供、政策提言などを行う企業や団体のことです。シンクタンク系コンサルファームはこのような機関から派生しているか、シンクタンク機能とコンサル機能を併せ持っているコンサルファームのことを指します。

このタイプのコンサルファームは、他のコンサルと比較して、リサーチや市場調査、研究成果の情報提供などの比率が多い傾向があります。また、官公庁など公共団体との関わりが多いのも特徴です。政治や公共事業の運営のために第三者の視点からの調査を必要とすることが多々あり、こうした案件はしばしばシンクタンク系コンサルファームに持ち込まれるからです。

一方で、他のコンサル同様に経営コンサルタントやシステム導入など、企業の課題解決に資するプロジェクトも受注します。市場調査や、制度変更に関するリサーチなどを起点とした経営戦略の策定など、シンクタンクの強みを活かしたコンサル案件も見られます。

社会問題や市場全体の課題などマクロ的な課題解決に携わるチャンスがある

社会や市場の調査・リサーチを得意とするシンクタンク系コンサルファームでは、社会全体、市場全体など、広い領域の課題へアプローチが可能です。他のコンサルファームが、あくまで目の前のクライアントのためにミッションを遂行する案件が多いのとは対照的といえるでしょう。

より公共性・社会性の強い課題の解決を目指したい場合には、シンクタンク系コンサルファームに入り、官公庁や公共団体などを巻き込んだ社会変革に取り組むのがおすすめです。

他のコンサルファームより学歴や専攻分野がクローズアップされやすい

シンクタンク系コンサルファームは特定の領域に対する深い知見が付加価値となります。そのため新卒入社においても他の業種と比べて修士・博士卒業者で、特定分野で成果を挙げた人を好む傾向があります。中途採用の場合にも、特定分野において他者にエジュケーションや提言ができるレベルの深い知見が求められます。

ただし、さまざまな社会課題に取り組んでいるため、法制度、市場動向、経済、特定業種の専門知識、先進技術への知見など、ファームに入社したのちに役立つ専門知識は多数あります。自分がどのような課題にアプローチしたいか、そのうえでどのような専門性が役立つのかを、選考の場で相手が納得する形で説明することが大切です。

⑥自分のスキルや意向に合ったコンサルファームを志望しよう

一口にコンサルファームと言っても、得意とする分野ややりがい、求める人材などはさまざまです。コンサル転職をうまく進めるためには、自分のスキルセットに合っていて、自分が実現したい付加価値に合ったファームを選ぶ必要があります。また、コンサルで活躍するためには、早いうちにファームで付加価値を発揮し、評価を高めることが大切です。コンサルファームを選ぶときには、自分のスキルセットを踏まえた活躍の仕方までイメージしておきましょう。

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>コンサルタントへのキャリアに関する記事

ITコンサルで「激務」になりがちな人のパターンと理由、その対策
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/itconsultantwlbreason

コンサルタントへ転職するための「志望動機書」の作り方【未経験~ファームtoファームまで】
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2015/0713/264.html

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今回は、コンサルファームの業務内容・種類別の特徴・求める人物像を紹介しました。

コンサルへのキャリアをお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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