『フェルミ推定は役に立たない?』メリット・デメリットや使う場面とは

コンサルの採用で盛んに行われるとともに、コンサルの業務現場でも必要とされるスキルであるといわれるフェルミ推定。近年ではなぜか「役に立たない」と考えている人が一定程度、コンサル志望者にも、コンサル志望者にもいるようです。

この「役に立たない」というのは、誰の視点から考えるかにもよります。少なくともコンサル志望者及び現役コンサルタントにおいてはやはり、フェルミ推定の能力は欠かせません。今回は、フェルミ推定は役に立たないといわれる背景と、フェルミ推定のメリット・デメリットについて紹介します。

【目次】

  1. フェルミ推定が役に立たないといわれる背景
  2. フェルミ推定のコンサルにとってのメリットや必要性
  3. フェルミ推定のデメリット・留意点

フェルミ推定が役に立たないといわれる背景

フェルミ推定が役に立たないという意見が出る背景について紹介します。必ずしも「コンサル志望者」や「現役コンサルタント」の視点で語られている意見ではない点に注意が必要です。

フェルミ推定が役に立たないという意見の多くは「採用担当者」の視点

実は、フェルミ推定が役に立たないという意見の多くは「採用担当者」の視点によるもの。すなわちその背景には「フェルミ推定を採用試験で課しても、優劣をつけづらい」ので役に立たないという意見なのです。

したがって、そもそもコンサルタントを目指す、もしくはコンサルタントとして活躍するために「役に立たない」という意味ではない場合も多いことに注意が必要です。

ちなみに、採用試験としてフェルミ推定が役に立たないと感じる背景には大きく次の3点があります。

・面接官によって異なる例題を出すため、志望者間の優劣がつけられない
・限られた面接時間では高度な問題は出題できないため、差がつかない
・知名度が高すぎて、充分に対策している志望者が多いため、差がつかない

いずれも役に立たないといわれる理由は「選考者間で差をつけられない」から。それはフェルミ推定自体の欠陥ではなく、不適切な面接手法や面接時間などの制約、志望者のレベルの高さなどが背景にあります。

Googleがフェルミ推定を取りやめたことも背景に

日本ではコンサルや投資銀行などの難関企業を中心に盛んに取り入れられている印象のあるフェルミ推定ですが、もともと日本よりも率先して導入していたGoogleなど一部の大手グローバル企業は、逆に近年フェルミ推定を用いた選考プロセスを取りやめつつあります。

このことを「フェルミ推定が役に立たないからGoogleは使わなくなった」と考えている人も少なくないようです。

Googleはフェルミ推定を取りやめた背景を明記しているわけではありませんが、より人間性を見るようになった、フェルミ推定優秀者と入社後のパフォーマンス優秀者に有意な差が出なかった、といった背景があるようです。ここでも「役に立たない」背景は「採用者サイドの事情」であることに注意が必要です。

確かにフェルミ推定を課せば論理的思考や推論力は試せますが、パーソナリティなどは把握できません。組織や募集ポジションに課せられた志望者の適合性やパーソナリティは、鍛錬することである程度身につけられる論理的思考力よりも重要なファクターになる場合もあるため、採用試験のあり方が変わったのだと考えられます。

フェルミ推定はビジネスで応用する余地は多々ありますが、いうまでもなくそれだけでパフォーマンスを発揮できるものではありません。この後紹介するように、フェルミ推定はコンサル志望者、現役コンサルタントにとってメリットの大きいものですが、他方でそれだけで競争の激しいコンサルの世界を乗り切れるわけではないことも忘れてはいけません。

フェルミ推定のコンサルにとってのメリットや必要性

役に立たないといわれることもあるフェルミ推定ですが、やはりコンサル志望者やコンサルタントとして働いていくうえでは、明らかにメリットや効果があります。ここからは志望者及び現役コンサルタントの視点に立ってメリット・効果について紹介していきます。

そもそも選考を有利に進めるうえでは欠かせない

まず大前提として、ハイレベルなコンサルへの転職を成功させるうえで、フェルミ推定は「必要条件」の一つであるといっても過言ではありません。先ほどGoogleではフェルミ推定を課さなくなったと書きましたが、コンサルでは現在でもケース面接や筆記試験などの中でフェルミ推定を必要とする課題や問題が頻繁に出題されます。

いくら世間で「役に立たない」という意見があったとしても、フェルミ推定ができないせいで選考を通過できなければ元も子もありません。やはりコンサルでの転職を成功させるためには、フェルミ推定は欠かせないスキルの一つであるといえるでしょう。

数式を用いた推計はコンサルの世界では頻繁に応用される

フェルミ推定は数式と常識的な値、入手可能なデータをもとに、正確に捉えるのがむずかしい大きな単位の数値や規模を推論するのに用いられます。

一般のビジネスでは、業種や職種によってはこうした推論を行う機会がない場合もあるため「フェルミ推定は役に立たない」という意見が出る側面もあるのかもしれません。しかし、コンサルのプロジェクトについては、多くの場面で、捉えるのが難しいデータをフェルミ推定の応用によって仮説を立て、仮説をもとに解決策を導き出したり、解決策を実践に移したりします。

数値を用いた仮説設定はいわばコンサルにとって基本的な思考プロセスの一つ。もはやそれをいちいちフェルミ推定すると呼ぶことすらありませんが、思考のプロセスとしてフェルミ推定を用いる場面は非常に多いのです。

例えば、次のようなプロジェクト、場面でフェルミ推定的な思考をします。

・経営戦略を立てるに従い、市場規模から自社のシェア拡大余地を推定する
・マーケティングのターゲット選定においてどのターゲット候補がどの程度の市場を持つのか推定する
・広告戦略において広告を打つときの効果を推定する
・自社の事業戦略を立てるにあたり、その戦略がどの程度の売上向上・利益向上につながるか仮説を立てる
・システムを導入したときに、どの程度人件費を削減できるか推定する

いずれもコンサルプロジェクトとしてしばしば取り扱う題材で、このように書くと「フェルミ推定」には見えません。しかし、いずれも「捉えどころのない大きな数値を入手可能なデータと数式で試算する」ことになりますので、その根底にはフェルミ推定と同じような思考プロセスが無意識のうちに取り入れられています。

数式を用いて論理的に捉える癖がつく

明白に定量化しないとしても、コンサルにおいて物事を論理的に分解する能力はプロジェクトの仮説設定、分析、解決策の策定などさまざまなシーンで必要になります。

フェルミ推定は基本的に、論理性を伴った数式に分解することで、捉えどころのない数値を推計する手法なので、これに慣れておくと「数式で要因分解する」能力が身につきます。

もちろんマーケティングフレームワークを導入すべき場合などのように、全てのプロジェクトにおいて数式分解が有効なわけではないものの、コンサルプロジェクトにおいて数値を用いて定量的に捉えることが求められるシーンは多いため、数式による要因分解も非常に重宝されます。フェルミ推定を身につけておけば、実際にコンサルタントとして働くなった時も、数式による要因分解を導入できるようになるでしょう。

フェルミ推定のデメリット・留意点

続いて、コンサル志望者やコンサルとして働くことを念頭においた場合のフェルミ推定のデメリットを紹介します。「フェルミ推定だけでコンサルとして活躍できる訳ではない」ことに留意しましょう。

数値で把握する題材にしか応用できない

コンサルでも数値で捉えることのできない課題を取り扱うプロジェクトも多数あります。その時にはもちろんフェルミ推定は応用できないでしょう。

ただしこれはフェルミ推定の欠陥というわけではなく、そもそも「どのような案件にも導入できる」魔法のようなロジックやフレームワークは存在しません。あくまでフェルミ推定は思考プロセスの一つに過ぎないことを認識の上、他のフレームワークやロジカルシンキングなどについてもしっかりと身につけておくことが、コンサルとして活躍していく秘訣です。

選考通過に求められるレベルと、現場で求められるレベルに差がある

コンサルの選考においてフェルミ推定を用いたケース面接は言うなれば、コンサルとして入社するための「基準の一つ」でしかありません。したがって、選考通過に必要なフェルミ推定と、実際のプロジェクトで応用するフェルミ推定では、全くレベルが違います。

コンサルで定量データを用いているのにフェルミ推定が役に立たないと考えている人は、数式を用いた推計能力が身につきすぎて、それがフェルミ推定の応用だとわからなくなっているか、もしくは過去問でフェルミ推定対策をしただけにとどまってしまい、現場での応用力が不足していると思われます。

選考であれば、日本のマンホールの数のように、いくつかの「過去問」を解いておけば慣れていきますが、現場のプロジェクトでは非常に多様なテーマの課題が降りかかってきます。コンサルとして活躍していくためには、課題をいかに自分なりに把握し、定量で推計できるようなロジックを立てていくかが大事です。

しかし、残念ながらその能力の優劣を短い選考時間で完璧に評価するのは困難です。その結果、中には選考は通過できても応用力が足りず、コンサルの現場でフェルミ推定的な思考を取り入れることができない人が少なからずいるわけです。

完全な推定で進める選考と多様なデータソースや調査を活用できる現場の違い

最後もデメリットというよりは応用するうえでの留意点ですが、選考の場ではフェルミ推定は、ほとんどデータがない状態で紙とペン、良い場合でも電卓だけを使った推計を強いられます。

しかし、現場ではそもそも特定のシンクタンクなどから豊富なデータソースを入手できるケースもありますし、仮説設定の時点で簡単な調査・ヒアリングなどを取り入れる場合もあります。このように「完全ノーヒントで行う選考のフェルミ推定」と「効率よく入手できるデータを活用して行う現場のフェルミ推定」は、実は、思考のプロセスはさほど変わらないのですが、両者が別物のように感じてしまう人も珍しくありません。

また「データでロジックを補強する部分」と「計算式で推計する部分」をうまく棲み分けて、必要な情報を効率よく入手するのにも慣れと能力が必要になりますが、この部分がうまくいかずにフェルミ推定の応用に失敗する人もいます。

こうしたプロセスの違いについても、コンサルとして実際に働く人は留意しておくとよいでしょう。

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Googleの採用プロセスの変化などを背景にフェルミ推定は役に立たないと考えている人も少なからずいるようですが、コンサル選考を通過し、またコンサルタントとして活躍するうえで、フェルミ推定は欠かせません。

特に意識しておきたいのは選考を通過した後、実際に現場でコンサルプロジェクトにとりくむ際の応用力です。あらゆる題材に対して、数式を用いた定量的な推計やロジックの組み立てを自然にできるようになるのが理想。ただ選考に通過するためだけにフェルミ推定を身につけるのは勿体無いので、選考期間も入社後も、フェルミ推定を積極的に応用する意識を持つことをおすすめします。

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