投資銀行への転職に役立つ資格とは【実際の保有率から使い方まで】

投資銀行への転職を成功させるためには、ファイナンスやビジネス関連の高いスキルが求められます。現職での成果を元に入社後に貢献できることを示すのも大事ですが、金融関連などの特定の資格を取得しておくこともアピール材料となります。今回は投資銀行への転職に役立つ資格について紹介します。

【目次】

  1. TOEIC
  2. 証券アナリスト(CMA)
  3. CFA(米国証券アナリスト)
  4. 海外大学のMBA
  5. 簿記1級

TOEIC

投資銀行マンは他の業種と比較して高い英語力が要求されます。外資系ではネイティブに近い英語力を有していることが理想ですし、日系でもある程度の英語力がある方が有利なのは間違いありません。

英語力を証明する資格としてメジャーなものはTOEIC・英検・TOEFLがありますが、投資銀行への転職においてアピール材料になるのはTOEICでしょう。TOEFLでも大丈夫ですが、現場で話題に上るのはもっぱらTOEICのため、これから取得するならTOEICがおすすめです。点数の高低はありますが、大半の投資銀行マンは一度は受検している印象があります。

TOEICについては、日系ならば最低限の水準という意味では600点台でも選考通過は可能です。しかし現場では、「800点程度の社員までは特に珍しくない」という意見もあり、転職時のアピール材料にするという意味では日系でも860点以上が望ましいところ。

外資系になるとグッとレベルが上がり、800点台後半は最低限取っておきたい水準。社員もネイティブに近い方が多い外資系では「英語だけで有利になる」ことはあまりありませんが、それでも900点台後半を取得していれば印象はいいでしょう。

業務における英語の使用シーンについては別の記事で紹介していますが、最低でも英語の文献などを読む機会は多いですし、部署によっては英文での資料作成も発生します。外資系やクライアントが海外企業の場合などでは英語でのプレゼンテーションやカンファレンスも日常的に発生します。

英語を避けることができないからこそ、卓越した英語力の高さはアピール材料の一つとなる可能性があります。

証券アナリスト(CMA)

二つ目の資格は証券アナリスト。組織によって異なりますが、社員の30%〜半数程度というところです。この資格は本来証券関連の「アナリスト」(市場や特定商品の分析の上、アナリストレポート作成やアドバイスなどを行う業務)を行うための資格なのですが、初〜中級レベルの証券ビジネス関連の知識が一通り獲得できるので、資格取得を目指す方は多いです。

ただし一次・二次と二回の受験が必要で、高い専門性も求められます。金融の現場でも「取得したいがなかなか取れない」という方が多いため、予め証券アナリストの資格を取った上で転職にチャレンジすると強いアピール材料になるはずです。

また、実用性の高さもポイント。証券アナリストは証券に関する全般的な知識を網羅しているので、投資銀行のあらゆるビジネスにおいて知識を活用するシーンがあります。

株や債券のファイナンス部門については、証券アナリストの多くを占める証券分析の知識を幅広く使用します。特に株・債券の商品特性やポートフォリオ理論などは、証券アナリストで特に広汎な知識をつけることが可能です。仮に資格取得がかなわなくとも、勉強を通じて培った知識は活かせる部分が多いので、特にファイナンス部門への転職を考えている方は証券アナリストの取得を目指して勉強しておくことをおすすめします。

財務分析や資産価値評価といった分野は、M&Aで買収先の価値評価をする際や、IPOでクライアント企業の財務分析や時価総額の試算に必要な知識です。財務分析の分量は証券分析より少ないものの、証券業に携わったことのない方としては申し分ないレベルの基本知識が身につきます。

これらの知識は、もし証券アナリストを持っていなかった場合、転職後に急ピッチでキャッチアップする必要があります。しかし、実際の業務に放り込まれながら基本知識を身につけることは容易ではありません。

証券アナリストはただ転職時のアピール材料になるだけでなく、転職後にスムーズに成果を上げていくためにも有用なので、投資銀行にチャレンジする前に取得しておくことをおすすめします。

CFA(米国証券アナリスト)

CFAは証券アナリストの米国版ですが、世界的にはこちらの方がネームバリューのある資格です。全て英語で試験が実施されることに加え、日本の証券アナリストより科目が多いため、一般的に日本では証券アナリストより難易度が高い資格と認知されています。

日本での取得人数は1,500人未満。日系投資銀行では現役社員でも保有者は少なく、予め取得しておくと大きなアピール材料になります。外資系でも保有者は半数には満たない印象なので、選考時のスキルレベルの証明としては一定程度役立つでしょう。

転職後の実務面で役立つ知識が多々取得できるのがCFAの特徴です。計量分析、株式分析、債券分析、デリバティブ、経済といった科目はファイナンス関連の部門で仕事をする上で役立ちます。特に計量分析・デリバティブの知識まで体系的に習得しているメンバーは投資銀行の中でも少数です。

株・債券の基本的な分析能力に加えこれらの商品知識や分析能力を身につけておくと、知識面では現役メンバーに引けを取らないレベルになります。従って転職後すぐディールに貢献できるようになるでしょう。

他方、CFAの会計・財務分析、コーポレートファイナンス、オルタナティブ投資といった科目はM&A、IPOの分野で活用できる部分が多いです。日本の証券アナリストはファイナンス部門で活用しやすい証券分析の比重が大きい傾向にあるので、CFAの方がM&A、IPOの分野では特に有用性が高いといえます。

会計・財務は国際会計基準・米国会計基準をベースに学ぶことになるので、海外企業や日本のグローバル企業をクライアントとする場合には非常に役立ちます。オルタナティブ投資では、不動産投資のセクションは、財務分析や資産価値評価などで不動産評価を行う上で有用です。また未上場株式の知識は、ディール開始時点では未上場であることが多いIPOクライアントの資産状況を理解する場合に活用できます。

以上、グローバルに投資銀行ビジネスを行う上で申し分ないレベルの知識を習得できるのがCFAの特徴です。難易度は高いですが、特に外資系投資銀行を狙っている場合には、事前に取得していると選考・実務双方で優位に働くでしょう。

海外大学のMBA

投資銀行というとMBAというイメージが強いかもしれませんが、実際には誰もがMBAを有しているわけではありません。日系ではむしろレアな存在で、外資系でも半数は行かないでしょう。

ただし、外資系でシニアクラスになればなるほどMBAの比率が高まってくるため、非常に難易度の高い「外資系での長期キャリアの形成」まで視野に入れている場合は、むしろ入社後の差別化要因とするためにも取得しておくことをおすすめします。

MBAとは日本語にすると「経営大学院」になります。その名の通り経営者やビジネスのプロフェッショナルとして必要な知識やスキルを総合的に取得できる資格(というよりは学位)なので、投資銀行に活用できる知識だけでなく、ビジネスマンとして出世したり、経営者になるためにも役立ちます。

企業のファイナンスや会計関連の知識はM&A、IPOといった部門には特に役立つでしょう。ファイナンスの部門を目指す場合でも必要な知識を多く習得できますが、一方で証券に特化したカリキュラムはさほど多くありません。従ってファイナンス部門で「入社後すぐに活用できる知識」としては証券アナリストやCFAには及ばないでしょう。

MBAはむしろ、投資銀行に入社した後のプロモーションに役立ちます。組織運営や、ビジネス機械の発掘、企業・部門の収益性管理などシニアマネジメント〜経営者となるうえで必要な知識・スキルが学べます。従って転職面接でも、ただ選考を通過するだけでなく「将来の幹部候補」とみなされる可能性が高く、入社後も優位なポジションでキャリアを歩めるはずです。

尚、国内大学でもMBAの知識をある程度身につけられますが、投資銀行、特に外資系でのアピール材料としては少なくとも海外MBAでなければあまり効果はありません。もちろんハーバードなどを筆頭に世界的にステータスの高い大学であればあるほど選考時のアピール材料としての効果は高まります。

簿記1級

簿記の2級・3級は、知識をつけておくこと自体はマイナスではありませんが、難易度がhiku転職時のアピール材料にはあまりなりません。転職時のアピール材料とすることや、転職後に知識を活かすという意味では簿記1級を取っておくことが望ましいです。

簿記1級は保有者が2,000人以下で、保有者が数万人もいる2級以下と比較して難易度が高い資格です。実際に投資銀行マンの中でも簿記1級を取得している方は多くありません。

科目としては2級にもある商業簿記・工業簿記は格段にレベルアップする上、会計学・原価計算という科目が追加されます。この中で特に商業簿記・会計学・原価計算といった分野の知識は企業の帳簿を深く理解したり、企業価値を正確に算出したりする上で役立ちます。

特に簿記1級の知識が要求されるのはM&AとIPOの部門です。これらの業務は企業の財務状況の分析や企業価値の算出が欠かせませんので、簿記1級を持っていることで転職後、早期からディールに貢献することが可能となります。

株や債券のファイナンス部門でも、知識があった方が良いのは確かです。しかし、これらの部門は企業の財務状況よりも、金融市場の知識や株・債券それぞれの金融商品の特性や投資家行動などを深く知ることの方が重要なので、先に挙げた部門ほどは簿記の知識を活用する場面は少ないでしょう。

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>投資銀行へのキャリアに関する記事

投資銀行を目指すコンサルタントからよくある質問と回答例【年収面から採用まで】
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コンサルファームから投資銀行(IBD)への転職後、活躍できるコンサル・できないコンサルの違い
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投資銀行におけるエクセル仕事術【必要なスキルから多用する関数まで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/investmentbank_excel

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投資銀行に限らず転職を成功させるためには、現職でしっかりと実績を積んだ上で、培ったスキルが投資銀行で役立つことをアピールすることが重要です。一方で、予め投資銀行に役立つ分野の勉強を進め資格を取得しておくことでも、自分の知識・スキルを証明することが可能です。

現職や業務内容の特性上自分の実績のみで面接をクリアする自信がない方や、転職後すぐに貢献できるようにして万全の準備をしておきたい方は、今回紹介した資格を取得しておくことをおすすめします。

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